New world note in Earth 作:YUKANE
ついでに戦艦「ナツキ」の漢字や東和の年号が判明します。
ここからは設定を見ながらの執筆になるので更新が遅れるかも。
「あれが43.1cm砲·········分かっていたつもりだが、やはりデカすぎる。」
「ハワイで見学した「ミズーリ」の主砲よりデカいしな·······そして大和の46cm砲はこれよりもデカいなんて信じられん。」
第2機動部隊首席参謀の滝原正路一等海佐と「DDH-185 あまぎ」副長の照山新司二等海佐は、暮田海軍基地内を移動する内火艇に乗りながら目の前に停泊している戦艦「
未だにアメリカ各地で保存されているアイオワ級は疎か、江田島の海自学校内に保存されている「陸奥」の41cm砲よりも大きな3連装砲に2人の視線は釘付けになっていた。
東和海軍が誇る最新鋭戦艦をずっと見続けている2人に、自ら案内役を買って出た東和海軍第4艦隊司令官 津田基湧洞が話しかけた。
「どうやら「夏姫」に随分興味津々の様ですが、何かありましたか?」
「ええ、動いている戦艦を初めて見たもんでして。日本でも保存されているのですが、これよりかなり小さいのでかなり驚かされました。」
「動いている戦艦を初めて見た? 日本には戦艦が無いのですか?」
「日本は疎か地球······元いた星で戦艦は過去の産物になっていました。同盟国の一つは30年前まで運用していましたが、それが退役してから戦艦は航海にすら出た事がありません。」
滝原の説明を聞いた津田基は黙っていたが、目を見開いて大いに驚いていた。例え戦場でも冷静に状況を把握出来る度胸を持つ彼が驚く姿は、東和海軍の水兵が二度見するくらいに珍しい光景だった。
その事を知る由もない滝原と照山はその反応を予測出来ていたのか、津田基がこれから話し出すであろう疑問へと答えた。
「戦艦がいない理由に関してですが、元いた星では百発百中の砲弾が実用化されています。例え厚い装甲を持っている戦艦でも弱点を狙って当てられる砲弾の実用化された事で、戦艦の存在意義が失われたのです。」
「百発百中の砲弾······もしかして誘導弾か?」
「誘導弾を知っているのですか?」
「えぇ、確か横灘浜の海軍研究所が実用化に取り組んでいると聞いたことがあります。」
「なるほど·······」
津田基が誘導弾の存在を知っていた事に滝原らが驚いている間に、彼らを載せた内火艇は「夏姫」の反対側に停泊していた一隻の艦へと近づく。滝原と照山の2人が近づく艦を見上げると戦艦並の巨大な船体と同じ位に長く平らな甲板を持ち、煙突と一体化した大きな箱型の艦橋が右舷に建てられた航空母艦が泊まっていた。
「こちらが東和海軍最新の航空母艦 大鳥級航空母艦で、その1番艦 大鳥となっております。」
「近くで見ると艦橋がデカいな······」
「煙突と一体化しているとは言え、「あまぎ」の3倍はありそうな大きさだ·····」
「煙突と一体化した艦橋は排煙が着艦になるべく影響しない様に考えられた結果です。艦橋容積にかなりの余裕があるので乗組員からも好評らしいですよ。」
滝原らがいる左舷側からも見える程大きな艦橋に対する津田基の説明を聞いている間に、3人を載せた内火艇は「大鳥」に横付けして停泊する。
止まった内火艇から滝原と照山が津田基に導かれて正方形の床に降りると、3人が乗っていた床が轟音を立てて上がり始める。
「やはりこの床はエレベーターでしたか。先程の皆様はこんな感じだったのですね。」
「えぇ、どうせならあなた方にも体験して頂きたいと思って。」
「エレベーターは全て左舷側に配置されているのですか。」
「前級は中央配置だったのですが、機体の大型化に対応出来る様にこんな配置になっています。」
3人が話している間に「大鳥」の動力である六十六式重油ボイラーの出力で動いていたエレベーターは、船体の中段辺りで止まる。
エレベーターが止まった先には開放式の格納庫が広がっており、格納庫の中には数多くの機体が止まっていた。
並べられた機体の前には茶色のパイロットスーツを着たパイロットと白い作業服を着た整備員が並んでおり、津田基を先導に入って来た滝原と照山に敬礼した。
滝原らが旧軍機の前に整列している隊員らが男女関係なく並んでいる事に違和感を感じていると、3種類の機体が1機ずつ並べられた場所の前で立ち止まった。
一番手前に置かれた銀色の機体は蝶型フラップを備えた主翼を低翼で配置されたスタイリッシュな見た目をしており、真ん中の機体は主翼の配置こそ手前の機体と同じだが折り畳めないであろう主脚を持ったズングリした見た目をし、一番奥の機体は細長い胴体と主翼を備えた細い見た目をしていた。
それぞれが独自の特徴を持っている3機の前にはパイロットスーツ姿の青年が立っており、やって来た津田基に向けて敬礼した。
「彼は第4艦隊が保有する第4空母航空団で団司令を務める
「ご紹介に預かった巣神山市次です! これから後ろの3機について1機ずつ説明させて頂きます!」
滝原らに意気揚々と挨拶した巣神山は一番手前のスタイリッシュな機体を指差す。
「ここに並んでいる機体は現在の主力艦上機で、一番手前に止まっているのが最新鋭の艦上戦闘機 七式戦闘機です。
徹底的な軽量化の実施と最新技術の搭載によって570km/hもの最高速度と優れた上昇力・旋回性・安定性・操縦性・低空域での加速性を持っており、21mmの機首機銃と15mmの装甲板を備えているので攻守どちらでも優秀な機体として空軍でも採用されています。」
滝原らは巣神山の分かりやすい説明を聞きつつ、七式戦闘機の姿を色んな角度からマジマジと眺める。
2人は来る前に渡島から見た目が瓜二つな旧陸軍の一式戦闘機に関する説明を聞いていたが、巣神山が話したスペックは聞いていた説明とは少しだけ異なっていた。
「空軍と海軍のどっちでも使われているとは····やはり一緒の方が使い勝手が良いですか?」
「そりゃ燃料や部品・弾薬の優遇が直ぐに効く上に、パイロットの育成を合同で行えますから色んな面で合理的です。」
「21mmとは中々の重武装ですな。それ以外の武装はどの様な感じですか?」
「機首機銃以外には両翼の中に13.4mm機銃を1基ずつ内蔵しており、主翼の下には対地ロケット弾を3発ずつ搭載できます。胴体下にも350kgまでの爆弾を乗せられるので戦闘爆撃機としても使えます。」
「ロケット弾!? ロケット弾があるなら誘導弾を知っているのも納得だな·····」
それぞれの質問に対する巣神山の解答に納得しつつ驚く中、巣神山は七式戦闘機と隣に停まっている固定脚の機体へと2人を誘う。
「こちらの機体は六十五式襲撃機です。急降下爆撃を行うべく機体は頑丈に作られており、強度を維持する事も狙って敢えて固定脚を採用しています。
空軍でも低空での近世航空支援に用いる事を想定していた為に、燃料タンクを覆う防弾ゴムや操縦席背面の装甲板などの防弾装備も備えています。」
「急降下爆撃か·······ジェット機では見れないものだな。」
「ですけどしっかりとした防弾装備を持っているので、急降下爆撃以外でも使い勝手は良さそうですな。」
七式戦闘機とは古い見た目ながら、実用性に優れた機能美を持っている六十五式襲撃機にも興味関心の目を見せていた2人は、そのままその目を一番奥に置かれている見慣れた機体へと向けられた。
「最後に紹介する機体は六十四式攻撃機で、貴艦隊と接触して誘導した機体ですね。
この機体は魚雷を搭載する艦攻ですが、爆弾搭載量だけなら前の3機より多いので対潜哨戒にも使える万能機です。ただ航続距離を伸ばすべく主翼そのものを燃料とするインテグラルタンクにしているので、防弾性能は六十五式に劣っています。」
「インテグラルタンクを採用していたのか、だから艦隊先導も出来る航続距離を持っていたのか」
それまで抱いていた疑問が解決された照山の脇で、滝原は顎に右手を当てて考えていた。
「これらの機体名には七式や六十四式などの数字が使われていますが、この数字は年号ですか?」
「そのとおりです。この機体は7年前の1664年に採用されたので六十四式と言う名前が、六十五式はその1年後・七式は5年後となる去年に採用されたのでこの名前になりました。」
「七式が去年という事は·········今は1671年ですか?」
「御名答です。」
巣神山の返事で疑問が解決された滝原は照山と同じく満足した表情を浮かべる。
3機の機体を見終えた2人は巣神山らにお礼の敬礼をして「大鳥」を去る。さっきまで乗っていた内火艇に再び乗って、第4艦隊の旗艦を務める「夏姫」へと向かっていた。
幾つもの艦が停泊している狭い海域を通る内火艇に乗りながらも、周囲を見回していた2人は海へと繋がるスロープの先に置かれた巨大な機体を見つけた。
「アレって接触した飛行艇じゃないか?」
「ホントだ。しかも5機以上停まっているな。」
「間違いなくUS-2の全配備数より多そうですね·····」
対馬沖でF-15JやF-35JCと接触した九七式飛行艇と瓜二つな飛行艇を見ている2人に気づいた津田基は話しかける。
「アレは六十四式飛行艇です。長大な航続距離と優れた離着水性能を持っているので、周辺海域の哨戒や遭難者救助に使われています。」
「
「東を担当した4番機と南東を担当した6番機が接触しましたな。4番機はあなた方の機体を追いかけましたが追いつけなかった上に、燃料不足で周辺の環礁に着水する事になりましてな。お陰で燃料補給や機体の損傷確認を行うべく水上機母艦が向かう羽目になりました。」
「なんと·······ご迷惑をおかけしました。」
3人が気まずい空気になっている中、3人を載せた内火艇は「夏姫」へと到着した。
内火艇用のタラップを津田基の先導で昇った滝原らは間近に現れた43.1cm3連装砲の大きさに驚かされた。
「いやはや、分かってはいましたがデカいですな。」
「こんなのに我々の艦が撃たれたら一撃で消し飛ぶでしょうな。」
現役の戦艦を見れた事に感激している滝原の隣で、あまりの大きさに引いている照山は、自らの主砲を第2機動部隊の各艦へ向けている戦艦へと視線を向いた。
連装砲を艦首と艦尾に2基ずつ・艦中央部に1基搭載している戦艦「
「あれは夏姫級の前級の真金級戦艦ですな。主砲こそ39.7cmですが、今でも東和海軍で主力を担っております。」
「39.7cm·····下手なミサイルより大きいな。」
一世代前にも関わらず接近戦であれば海自艦を圧倒出来る真金級戦艦に若干の呆れを抱いた照山は、滝原と共に「夏姫」の艦内へ入っていく。
軍艦ながらも清潔さを保っている通路を通り、会議室と書かれた部屋に入ると白いテーブルクロスが敷かれた長テーブルと椅子が置かれていた。
純白が支配した長テーブルの片側には暮田海軍基地の司令官を務める
室内にいた乗組員に引かれた木製の高級椅子に座った2人の前には1枚の細長い紙が置かれており、その紙には右からお品書きと幾つもの料理名が書かれていた。
「お品書きという事は、これからフルコースが出てくるのですな?」
「その通りです。あなた方との接触は東和にとって大きな出来事なのですから、こうして歓迎しないと逆に失礼ですから。」
「なるほど。
錫先らの歓迎に感謝しつつも何処となく気不味い空気を漂わせた滝原の様子に、錫先と津田基の双方が気づいた。
「何か気不味い様ですが、この中にアレルギーの食品がありましたか?」
「いえ、私も照山も食品系のアレルギーはありません。ただ、現在の我が国は過去に類を見ない食糧不足に陥っており、第2機動部隊も消費量を少しでも減らすべく食事の量をいつもの半分にしていたので、彼らが半分しか食べれてない中でこんな豪華な物を食べて良いのかと思いまして······」
滝原の発言を聞いた錫先と津田基は不覚だった驚きと後悔が混じった難しい表情になる。2人には
伝えられた時点ではあまり気にしていなかったが、少ない食料自給率が第2機動部隊へも影響が出ていた事実を予測出来なかった。
事前に聞いておけば良かったと心の中で後悔する津田基の脇で、錫先は右手を顎に当てて思考する。
「そう言う事ですか。そこまで追い詰められているとは思っていませんでした。」
「いえいえ、周辺国を失っただけで食事が半分になってしまう
「とは言っても········聞き流して貰っても構いませんが、この暮田基地は最東端に位置しているので有事に備えてもう1艦隊を展開可能な規模を有しています。
その関係で燃料や食糧類の備蓄も2艦隊分あるのですが、それらを供与出来る権利がこの私に与えられています。その権利を使えば貴艦隊にも食糧を供与出来ますが、どうしますか?」
錫先の発言に滝原と照山の双方が驚きつつ顔を見合わせる。それぞれ手で口元を隠しつつ暫く会話した2人は、錫先らへ向き直る。
「もし食糧を供与して頂けるのであればありがたいのですが、艦隊で話し合う必要がある案件なので一度持ち帰らせて頂きたい。」
「無論構いません。貴艦隊にも難しい都合があると思いますので。お、前菜のサラダが来たのでまずは食べましょう。」
「では、いただかせて頂きます。」
金色の装飾が縁に巡らせた皿に盛られた筍サラダが全員の前へと運ばれ、手元に置かれている銀製のフォークで食べ始めた。
・戦艦「夏姫」
前書きに書いた通り、当艦の漢字が判明しました。
東和海軍の最新戦艦で第4艦隊の旗艦を務めています。しれっと書かれてますが、実はネームシップですw
・江田島の海自学校内に保存されている「陸奥」の41cm砲
「陸奥」の主砲は横須賀のヴェルニー公園などの日本各地に保存されてますが、江田島のは砲塔ごと展示されているのでここでの比較対象に選びました。
・煙突と一体化した大きな箱型の艦橋
隼鷹級や「大鳳」・「信濃」等で採用された艦橋そのままです。こっちの方で艦の姿を書いているので、Twitterの方で上げるかもしれません。
ここで挿絵にすると容量の問題で面倒くさいので······
・巣神山市次中佐
当初のプロットには存在していませんでしたが、司令官自らが航空機を解説するより専門の人物がやった方が自然だと思って作ったキャラです。
・今回紹介された航空機
これら機体の見た目は紹介順で一式戦闘機・九九式艦爆・九七式艦攻です。
よくよく見るとモデルとなった機体とはかなり違っているので、比べて見ると面白いかもですね。そもそもやる人がいるかな·····
・今は1671年ですか
これも前書きに書いた通り、TRM国家の年号が判明しました。
本当は前話でやる気でしたが、すっかり忘れてたので今話にねじ込みました。機体名が年号由来だったから自然に出来たかな?
・第2機動部隊に主砲を向けた戦艦「真輝帆」
万が一第2機動部隊が攻撃してきた事態に備えているという事です。これ以外にも諸島内の沿岸砲台や陸上魚雷も戦闘態勢を取っているという裏設定もあります。本編で使わないとな·····
・食事メニュー
これは前に読んだ『戦艦大和の台所』に書かれていたメニューです。マジの海軍で出されていたメニューですが、食べてみたさがある。
・食事の量をいつもの半分にしていたので···
これが出来るのか分かりませんが、かわぐちかいじの『ジパング』でこれに似た事をやっていたのでやってみました。
かわぐち作品は現実とは違う事が多いですが、これ含めフィクションだし問題ないね?