New world note in Earth   作:YUKANE

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UA4000突破ありがとうございます。

前回は13時に投稿したのですが、0時投稿よりUAが伸びててビビってます。
あの時間帯に投稿すれば伸びやすいんですかね?
今回は実験として早朝に投稿してみます。

そんでもって今話は東和や冷軽諸国に関する設定を詰め込んだ自己満回です。


Episode.17 南瑛諸島の全貌

「皆さんお揃いですね。本日中には東和本土へ赴く事になりますが、前提知識としてここ一週間で得た東和に関する情報の共有を行わせて頂きます。」

 

第2機動部隊で旗艦を務める「DDH-185 あまぎ」の会議室は連日に渡って艦隊司令部と園田姉妹の会議に使われていたが、今日ここに集まっていたのは日本が東和へと派遣した使節団のメンバーだった。

会議室には外交官としてファーストコンタクトを担った園田姉妹を筆頭に、農林水産省や経済産業省・国土交通省・防衛省・陸海空それぞれの自衛隊から派遣されたメンバーが集まっていたが、彼ら彼女らの心情にはこれから訪れる東和国に対する興味と不安が入り混じっていた。

 

「既にある程度知っていると思いますが、再度説明させて頂きます。

東和国は東西約2000km・南北約1000kmの東和大陸を中心としており、この南瑛諸島は大陸から見て南東に位置しています。人口は6700万人で、首都は国名と同じ東和、国旗は赤地に白丸という日本とは真逆の物になっています。

国土内には広大な穀倉地帯と複数の油田・露天掘り鉱山が存在しており、100%超えの食糧自給率と膨大な資源を元手に東冷共栄圏最大の経済力と技術力・軍事力を持つ国家として君臨しています。

国家体制としては君主の存在しない共和制を取っており、地球の国々だとフランスに類似しています。」

「短いながらここまで分かりやすいプレゼンを出来るのは流石としか言えないな。安川大臣が“彼女らがいなかったら交渉が難航していた”と言ってたのも納得だ。」

 

農林水産省副大臣の役職を持ち、今回の使節団で団長を務める国山太地が拍手をしながら凜音のプレゼンを褒め称えた。

一週間に渡って交渉や情報収集・東和との親善を行う多忙な日々を過ごし、この後は休む事なく使節団に加わるにも関わらず分かりやすいプレゼンを作り上げた園田姉妹の苦労を(ねぎ)らった。国山に続いて他のメンバーも彼女らへ拍手して代わることの出来ない疲労を(いたわ)った。

 

「ありがとうございます。拍手を頂けるだけでも苦労が少しばかり消えます。」

「作っている時は愚痴ばっかだったのに·····」

「言うな、ボケ。」

 

隣にいる妹の麗音と小声のツッコミを交わした凜音は、手に持っていた液晶タブレットの画面を動かそうとするが思う様に行かず手間取る。液タブを手渡された麗音は素早く指を動かして、目的の画面へ辿り着くと凜音へと返した。

 

「すいません、私は何故か電気機器と相性が悪くて。続いて東冷共栄圏ことTRMに所属する周辺国についてザックリと説明いたします。」

 

不可抗力ながらも笑いで会場を和ませた凜音は直ぐに仕事モードへ切り替え、周辺国に関する説明を開始する。

 

「周辺国の殆どが位置する冷軽(レウィンガル)大陸は、東和の北西400kmに位置する東西5700km・南北2500kmの巨大な大陸で、左へ傾いたT字型をしています。

東和に向けて突き出た体班(テイハン)半島は狩須(カリス)王国が、半島の右側は茶瑠祢須(チャルネス)共和国の領土になっております。半島の左側は6つの国々が乱立しており、南から蟻涙(アリルン)王国・樽鞄亜(タルカパニア)王国・留度(ルド)王国・海理亜(シーリア)王国・砂利馬(サリバー)王国・毛鈴(ケーベル)王国となっております。

冷軽大陸の南500kmにフィルラント諸島があり、その大半を古陸(フィルラント)王国が治めていますが島々の一つに狩寧(カルネイ)王国が存在しています。」

「合計で10カ国か······何だか東アジアと東南アジアみたいな国ばっかだ。」

「副大臣もそう思いましたか。正直チャルネスが中国で、カリスが韓国、フィルラントがフィリピンにしか見えません。」

 

国山副大臣の発言に経済産業省で大臣官房審議官を務める八巻耕司が同意し、他のメンバーも全員が頷いた。日本に酷似した東和の周りに東アジアと東南アジアに類似した国々が存在している事実は余りにも出来過ぎていた。

 

「大陸左側の国家も言語さえ分かれば類似国家の特定が出来ますね。」

「もし東南アジア諸国の言語が通じるのなら交渉も捗りますね。」

「それどころか、出稼ぎで日本に取り残された東南アジアの人々を移住させられるかもしれんぞ。」

 

言語さえ分かれば交渉が捗る上に、日本国内の在留外国人問題も解決するかもしれない6つの国に使節団メンバーが期待を寄せる中、海自の代表として選ばれた桐島龍樹は黙って顔を顰めていた。会話に混ざっていない桐島の様子に気がついた麗音は彼へ話しかけた。

 

「桐島さん、難しい顔をしてましたがどうかしましたか?」

「いや、日本語を使う国家があっただけならただの奇跡なんですが、ここまで周りがアジアに似ているのはなんだか露骨すぎて·······」

 

桐島の発言を機に他のメンバーも訝しむ。最初に接触した東和は日本語を使い、その周辺には中国語や韓国語を使っているであろう国家群が存在する。東アジアと東南アジアを生き写しにした様な国々の配置は余りにも出来過ぎていた。

 

「よくよく考えればそうだよな········配置から何まで日本周辺にそっくりすぎる。」

「地形はまだしも、国の言語までそっくりな地域が自然に出来たなんて信じれません······」

「まるで誰かが作ったみたいだ。それこそ神様とかな···」

「神様なんて馬鹿げてる······と言いたいとこだが、転移なんてしたら実在してもおかしく無いよな····」

 

余りもの一致点の多さに神が作ったと言う非科学的な仮説まで出て来たが、国そのもの転移に遭遇した挙げ句解読不能な詠唱を聴いた今であれば信じられた。

使節団メンバーが偶然の一致としては出来すぎている事実に困惑する中、その事実を真っ先に知った凜音は空気を変えるべく話し出す。

 

「TRMが東アジア・東南アジアにここまで類似している理由は不明です。第2機動部隊首脳陣との会談では“何かしらの理由でやって来た地球人が影響している”という意見も出ました。」

「確かに地球人が作ったのならあり得るが······それでもここまで似るか?」

「まあそれも無理やりではありますが、その理由は国交締結後に本職の学芸員が調べてくれるでしょうから、ガヤの我々は黙って待ちましょう。

取り敢えずTRMの話はこれぐらいにして、続いてここ南瑛諸島について紹介致します。」

 

非現実的な憶測しか出ない状況に桐島は疑心と不満を露わにしたが、凜音の補足で本業では無い自分達が議論しても納得の答えは出ないと判断する。

凜音は自分たちも味わった納得しかねない感情に同乗しながら、話題を南瑛諸島へと切り替えた。

 

「ここ南瑛諸島は東和最東端の地であり、暮田島を中心に10近い島々で構成されています。

ここ暮田島は諸島内で最も大きな島であり、92万もの人口を抱えている為に中心地として機能しています。

今我々がいる暮田は対岸の十花(とうか)島に挟まれた早紀派(さきは)海峡が、船の停泊に適した穏やかな海になっていた為に古くから港町として発展しました。

当地の財界人が設立した海運会社 暮田海運が東和本土との航路を運航開始した事で本土の技術流入が急速的に進み、東冷共栄圏最東端の地として軍事的な面でも重要視された事で、巨大な海軍基地が作られて現在の姿になりました。」

「なるほど、現地の資本家が創業した海運会社によって本土と繋がった事が転機になったのですね。」

「確かにここは港に適した海をしている。東側には我々が来るまで島すら無かったらしいし、最前線拠点としてうってつけだ。」

 

凜音の説明に国土交通省から使節団メンバーに選出された吉田正文と、防衛省の代表として派遣された三田宗次が納得する。

国土交通省審議官の役職を持つ吉田は、暮田入港時に目撃した貨客船の海運会社が南瑛諸島(ここ)の発展に貢献した事実に興味を示し、防衛研究所戦史研究センターで主任研究員を務める三田は軍事的な面で南瑛諸島(ここ)の重要性と基地に適した地理であった事をすんなりと理解した。

 

吉田と三田が自分の説明で納得した事に好印象を抱いた凜音は、内心で喜びながら説明を続けた。

 

「続けます。ここ暮田から北西13kmに位置する舞原は工場が立ち並んだ産業都市で、島内に路線を敷く暮田鉄道の本社と車両基地も置かれた交通の要衝にもなっています。

舞原とは逆に南東30kmに位置する継目は林業と漁業で栄えた第一次産業の拠点になっています。漁業では水産物の水揚げと港周辺での養殖・水産物の加工が行われており、林業では暮田山で栽培された複数種の木々を舞原で様々な用途へと加工しています。」

「それぞれの街で第一次産業と第二次産業に役割を分けているのか、中々面白い街づくりをしているじゃないか。」

「暮田鉄道ってあの黒い煙を出して走っている汽車の事ですか。日本では保存以外で稼働していないので、非常に興味深いです。」

「第一次産業の継目、第二次産業の舞原、第三次産業の暮田。ここまでバランスよく役割が別れた都市を作るなんて素晴らしい腕だ。

南瑛諸島は万が一独立しても充分やっていけるだけの経済力があると言えるな。」

 

国山が第一次/第二次産業について、吉田が暮田鉄道のSLについて、八巻が各都市が担う産業のバランスとそれぞれが各々の専門分野で意見を述べる。

八巻の最後の冗談で全員が笑い、凜音と麗音もそれにつられて笑う。日本の為に休まずに動き回っていた彼女らにとって、この笑いは少しばかりの安らぎとも取れた。

 

暫く笑った使節団メンバーは園田姉妹の話を聞く体制へ切り替え、凜音と麗音もそれに合わせて説明モードのスイッチを再度入れた。

 

「続いて暮田島以外の島々についてです。暮田島以外の有人島は対岸の十花島と南西に位置する冬須島のみで、人口は両島合わせて15万人程です。

十花島北部に聳える十花山は鉛筆の芯に使われる石墨(せきぼく)の鉱山があり、現在も()()()()を施した上で採掘されているとのこと。

冬須島は海上安全を(まつ)る諸島内で最大規模の神社 冬須大社が建っており、観光客から船乗り・海軍といった多種多様な人々が訪れる一大観光地になっています。」

「公害対策をやっているのか? 既に鉱山公害を知っているとは思ったよりも先進的かもしれん······」

「海上安全と言えば住吉大社や厳島神社みたいなもんか·····海自の人間として行っとくべきだったな。」

 

八巻は日本ですら戦後暫くして問題視されていた鉱山災害に対策を施していた事に驚き、桐島は元空自とは言え現在は海自の役職持ちである為に行った方が良かったと後悔した。

 

「これ3つ以外の島は全て無人島ですが、各島ごとに様々な形で利用されています。

十花島南東の野木(のぎ)島は品種改良した蜜柑の栽培が行われており、冬須島北西の平子(ひらこ)島には空母航空隊の訓練に用いる飛行場が、南西の夜津(よづ)島には海亀の産卵地として有名な砂浜海岸が存在しています。」

「品種改良に訓練飛行場に海亀の産卵地····文字通りの多種多様だな·······」

「そりゃここまで多様だと本土から観光客が来るわけだ。」

 

軍事を専門とする三田ですら多種多様な役割を与えられた島々に驚き、吉田も南瑛諸島の観光客数が多い理由を理解した。

 

「取り敢えず説明すべき内容は以上となります。これからのスケジュールについてですが日本へ東和側の使節団を見送り、7月12日(本日)中に東和本土へ向かいます。」

「かなりカツカツのスケジュールだがやむを得ん。我々の行動に日本の命運が伸し掛かっている事を熟知する様に。それに我々はこの世界へ初めて踏み出す日本人だ、くれぐれも日本人の印象を下げる馬鹿なマネはしないように。」

 

国山は使節団団長として、日本がこの世界で生き残れる生き残れるか否かという重荷が載っている事を再度認識させた。国山の言葉に頷いた使節団メンバーは、自分達が乗ってきた「パシフィックびいなす」で日本へ向かう東和使節団の見送りに向かった。




・使節団メンバー
日本側が派遣した使節団メンバーは桐島以外の全員が今作からの登場人物です。八巻や吉田・三田は取り敢えず思いついた名前を組み合わせて作りましたが、国山だけはモデルがおります。
農林水産大臣のモデルが分かったなら、自動的に判明すると思います。

・私は何故か電気機器と相性が悪くて
何か伏線のように見えますが、凜音のキャラ設定なので何の深い意味もありません。

・冷軽諸国の漢字表記
当初はカタカナだけだったのですが、漢字があるのならと付け加えました。見ての通り当て字ですが、地球の国家だってこんなだし問題ないよね?
今回似ている国が表記されなかった6つの国のモデル分かるかな?

・神が作ったと言う非科学的な仮説まで出て来たが、国そのもの転移に遭遇した挙げ句解読不能な詠唱を聴いた今であれば信じられた
この文を書いた時に“転移を期に新興宗教がブームになる”という展開を思いついた。何処かで書きたいな。

・早先派海峡
わざわざ名前をつけていたのですが、今話を執筆するまですっかり忘れてましたw

・南瑛諸島の島々
今回は本文に馴染む様に一部カットして載せました。果たして全文載せる機会はあるのだろうか······




ゴジラ-1.0に続いてトップ・ガンも見させて頂きました。F-14がカッコ良すぎましたが今作では出て来ないでしょう。
Mig28······F-5ならワンチャン?
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