New world note in Earth   作:YUKANE

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UA5000ありがとうございます。前作ではほぼ1年かかったのに、今作は1/3の4ヶ月で達成してしまいましたww

今回から暫く日東それぞれの使節団編になります。今回は両者の描写を書きますが、明らかに読みづらいのでそれぞれで1話ずつにした方が良いかもしれませんね。

そして先日細長い棒線をダッシュと呼ぶ事を、初投稿から5年目にして知りました。でも繋げ方は分かんない。

んでもって韓国で何であんな事が起きてるんだよ·······


Episode.19 2つの初上陸

暮田を出港した「ぱしふぃっくびいなす」は対馬や壱岐の沖合を通って日本へ向かう。第2機動部隊とは途中で別れたが、ヘリコプター搭載護衛艦と対潜能力に長けた護衛艦に守られた彼女は、出港翌日に博多港へ辿り着いた。

 

西日本で唯一2機のヘリコプターを搭載可能な「PLH-22 やしま」を筆頭とした福岡海上保安部の所属艦艇が隊列を成して出迎え、福岡市消防局の消防艇「飛龍」も放水で東和使節団の到着を歓迎した。

空自の芦屋基地から飛び上がった第13飛行教育団のT-4 6機も、三角形のデルタ編隊を組んだまま「ぱしふぃっくびいなす」の真上を飛んでいく。練習機を現す赤い塗装から“レッドドルフィン”と呼ばれるT-4の姿を東和使節団のメンバーは見上げていた。

 

「いやはや凄い歓迎だな······」

「国内情勢が厳しいと聞いてましたが、ここまで歓迎して頂けるなんて思いませんでした。」

「全くだ。国民から非難されるだろうにここまでやる辺り、我々に相当な期待をかかっているみたいだ。」

 

東和使節団の代表を務める外務副大臣 風凪(かざなぎ)神路(かんじ)は、「ぱしふぃっくびいなす」のデッキから日本の手厚い歓迎を感心しながら眺める。副大臣補佐官の積田(つみだ)虔十郎(けんじゅうろう)は日本の情勢が危うい事を知っていた故に、その状態でここまでの歓迎を行えた事に驚かされた。

 

「これは横灘浜や見浜に負けない街並みね······」

「地方都市でこの規模なら首都は摩天楼が立ち並んでもおかしくないですな。」

「摩天楼ね······もしあるのなら一番高いのに登ってみたいわね。」

 

予想を越える歓迎に驚かされた風凪と積田の横では、経済省からメンバーに選出された井手浦(いでうら)麻日奈(あひな)が、部下の古神(ふるかみ)天璽郎(てんじろう)と博多の街並みについて話し合っていた。

2つの円柱が組み合わさった独特な屋根を持つ博多港国際ターミナルや、同じく円柱が折り重なったマリンメッセ福岡A館・赤い鉄骨と白い展望台によって灯台の如く聳え立つ博多ポートタワーといった目立つ建物に興味を示していた。

 

その国の経済を現す都市の姿を眺める経済省メンバーの脇では、交通省から派遣された麻見田(あさみだ)龍二郎(りゅうじろう)と、海軍代表として加わった嵯峨浦(さがうら)明二(めいじ)が博多港に停泊している船舶を指差しながら話し合っていた。

 

「フェリーきずな」(あの旅客船)は中々スタイリッシュな見た目ですな――ん? もしかして車を乗せられるのか?」

「車を直接乗せられる船を実現しているのか――あれは陸軍も欲しがりそうだな。」

「対岸の貨物船もかなりデカイ! 東和港ぐらいしか入れなさそうだ!!」

 

博多から壱岐・対馬を結ぶフェリーやばら積み貨物船を見ながら2人は喋り合う。どちらも東和に存在・もしくは構想されている物だが、海の専門家である自分達の知る姿とは違っていた為に興味関心を抱かせた。

 

それぞれが興味を抱いたモノへ話し合っている中、先程船の上空を南西に向けて飛んでいった6機のT-4が、V字の編隊に切り替えて再度飛んできた。

 

「先ほどの機体が帰って来ましたな。戦闘機は分野外ですが、これですと旅客機もかなり凄そうだ。」

「あぁ、余りにも凄すぎて彼女はついていけてなくて可哀想だが。」

「彼女?」

 

嵯峨浦が向いた先を麻見田も見てみると、空軍代表の羽沢(はざ)零季(れいき)が上空をフライパスするT-4の姿に顔を青ざめていた。

 

「あれがジェット機······七式戦闘機でも·····勝てるわけない····」

「なるほど······」

 

空軍の中でも精鋭が集められる第1航空師団の飛行隊長に最年少で就任したエリートであるが故に、時速926km/h(マッハ0.75)の巡航速度で青空を支配するかの如く飛ぶT-4の凄さを思い知らされていた。

T-4は武装も存在しないただの練習機であるのだが、それを知らない東和側の人間は自国とは隔絶した技術の差が存在しているのだと強制的に認知させるには充分すぎた。

 

日本に驚かされる彼ら彼女らを載せた「ぱしふぃっくびいなす」は博多港に配備されたダグボートに繋がれ、キャンパスの様に白い船体を押して中央ふ頭クルーズセンターへ誘導していった。

純白の豪華客船は330mもの6号岸壁に接岸し、東和使節団は船体から伸ばされたタラップを渡って日本への初上陸を果たした。

 

日本の地を初めて踏んだ東和人となった使節団メンバーを陸上自衛隊第4師団第4音楽隊が演奏で到着を歓迎し、公務の合間をねって出迎えた福岡県知事と話し終えた使節団に外務省から派遣された案内役が近づく。

 

「皆様の案内を任された外務大臣政務官の脇山 衆一です。こちらは補助役の関根優希です。」

「関根です。宜しくお願いします。」

 

脇山と関根は名刺入れに閉まっていた名刺を一人一人に渡しつつ握手していく。名刺を受け取った東和使節団も、自らの名刺を脇山と関根へ渡していく。10枚を越える名刺を閉まった脇山は使節団に向けて話し出す。

 

「皆様にはこれから234mもの高さの福岡タワーと、日本文化の成り立ちを展示している九州国立博物館・500年に渡ってここ九州の中心であった大宰府・学問の神様が祀られている太宰府天満宮を見学して頂きます。

皆様の荷物はその間に宿泊予定のホテルへ運ばせて頂きます。」

「タワーで市街地を見渡した後に歴史を知るという形ですな。」

「御名答です。時間も余りありませんので、あちらの車にどうぞお乗りください。」

 

脇山は場数を踏んでいるが故に行き先の意図を理解した風凪に答えつつ、使節団メンバーを移動用に手配したレクサス・LS600が3台並んで停まっていた。

日本最大の自動車会社であるトヨタの高級ブランドとして、内閣総理大臣専用車は疎かモナコ公室でも使われた事がある高級車は、漆の様に真っ黒でありながら輝きを放っていた。新車だと1台で2000万円もする高級車の後部座席に惜しげもなく乗り込んだ使節団メンバーは、乗り慣れたIU-4()とは似ても似つかない車内に興味を示した。

 

「シートベルトの形式は一緒ですが、座席の座り心地は全く違うな。」

「シートベルトは一緒なのですか? あと座席に関してはこうやれば倒せますよ。」

 

麻見田と積田に挟まれる形で乗った風凪は座席の座り心地に感心したが、脇山が座席下のレバーを動かして背もたれの角度を変えると3人は揃って驚いた。

 

「おぉ!! 背もたれが倒れたぞ!! 我が国(うち)の車にも欲しいな。」

「車そのものを輸入出来なくても、座席ぐらいなら輸入出来そうかもしれませんね。」

「座席だけの輸出ですか······やれるのか分かりませんが、面白い発想ですな。」

 

風凪の発送に感心した脇山が助手席に乗り込んでドアを閉めると、3台のLS600は福岡県警のパトカーに警護されながら最初の目的地である福岡タワーへ進み出す。

 

 

東和使節団が日本に降り立って1時間ほど経過した頃。日本側の使節団を乗せたTP-01旅客機は、6機の七式戦闘機と1機の六十八式爆撃機に出迎えられながら、東和の中心地である東和大陸へ差し掛かろうとしていた。

 

「あれが東和大陸か·······」

「大陸というだけあってかなりデカいな――」

 

使節団メンバーの桐島龍樹と松柳雄介は、客室の座席ではなくコックピットから大陸の姿を遠目に眺める。2人ともに戦闘機パイロットを務めた経験からコックピットの見学を羽根崎に申し入れ、2人の経歴を知った羽根崎はパイロットと相談して見学を許可した。

 

タッチパネルに囲まれたコックピットに慣れ切った2人は、アナログなメーターばかりのコックピットに子供の様な興味津々な目を向けていた。

2人が見学している間にTP-01は目的地である東和大陸が視認出来る範囲に来ており、機体の進路上には海へ向けて突き出た半島と、先端が折れ曲がる様にして対岸へ伸びる砂州(さす)が見えていた。

 

「先端が90°折れ曲がっている――とんでもない形の半島だな·····」

「アレは笠見(かさみ)半島ですね。あの半島のお陰で横灘浜は港として機能しており、防衛用の砲台も置かれている重要拠点です。」

「沿岸砲台って事ですか? 現役のは始めて見たな――湾内に浮かんでいるアレは海上要塞か?」

 

桐島の発言から日本では沿岸砲台が存在しない事に驚きつつ、笠見半島に遮られた湾内に点々と存在する海上要塞の説明を始めた。

 

「えぇ、陸軍管轄の海上要塞です。対岸の尾見(おみ)岬の砲台も合わせて3つで横灘浜と首都の防衛線を担っています。さきほどの話からの推測なのですが、日本には沿岸砲台が無いのですか?」

「えぇ、今の日本には100km越えの射程を持つ移動式ミサイルがあるので、移動出来ない沿岸砲台は不要なんです。」

 

さも当然の様に言い切った桐島の発言に羽根崎は驚きを通り越して恐怖を抱く。射程が100kmを有に超えている上に何処からでも撃てるミサイルを日本が保有している事実は、東和各地に築かれた沿岸砲台の価値を一瞬にして喪失させるのを意味していた。

 

羽根崎の心で本土防衛の要である沿岸砲台の価値が下落する中、下落させた張本人の桐島は松柳と一緒に薄っすらと見え始めた横灘浜の街並みをマジマジと見ていた。

 

「海軍基地がマジでデカいな――ドック併設とは恐ろしい···」

「飛行場もかなりデカいぞ。しかも舗装済みとなると、C-130(ハーク)なら直ぐに使えるかもしれん。」

「見た感じ線路も基地に入ってる。かなり使い勝手が良さそうだ。」

「そろそろ着陸態勢に入りますので、皆さんは後ろの補助席に座ってください。」

 

横灘浜の街並みを見ていた2人は、機長を務める男性パイロットの呼びかけでコックピット後ろの補助席へ座る。桐島の発言に愕然としていた羽根崎もパイロットの言葉を聞き、自らも折り畳み式の補助席に座った。

 

横灘浜管制(YNH)日本国使節団機(NIPPON MISSION)現在高度は2100m(The current altitude is 7000ft)着陸は第3滑走路で良いか(Can we land on runway 3)?············日本国使節団機(NIPPON MISSION)了解(OK)

 

パイロットが流暢な()()で管制との会話を終えると、桐島と松柳が顔を近づけて小声で話し出す。

 

「桐島聞いたよな。航空用語も同じだ。」

「あぁ、大体理解出来た。しかも英語ときた。こりゃ何か裏にあるな。」

 

2人が小声で話す間にも横灘浜の街の上空で旋回したTP-01は、着陸予定の第3滑走路に向かって高度を下げていく。機体が滑走路に正対すると、パイロットがスイッチを動かして格納されていた着陸脚(ランディング・ギア)を展開する。

 

滑らかに高度を落としていったTP-01は3つの着陸脚を第3滑走路へと降ろす。機体は着陸の衝撃を受けながら3000mもの滑走路を滑っていき、滑走路中程で完全に止まる。

 

TP-01が滑走路から自力で誘導路へと移動していく中、桐島と松柳はパイロットに迷惑をかけないべく再び小声で話し始める。

 

「離陸時は余り見えなかったが、やっぱり誘導灯も一緒だったな。」

「ここまで一緒だと最早不気味だな――だが、同じであれば乗り入れるのも楽だろう。」

「話している中で悪いのですが、そろそろ降りるので座席に戻って準備した方が宜しいですよ。」

 

申し訳なさそうに話しかけた羽根崎の話を聞いた2人は、降りる準備すべく客室へ戻っていく。

2人が客室に戻って暫くすると地上誘導員(マーシャラー)に案内されていたTP-01はエプロン上に停まり、搭乗口にタラップが取り付けられる。

 

機体と一体化していたドアが開き、代表である国山が現れるとタラップの先で待機していた音楽隊が演奏を始める。横灘浜方面軍が誇る音楽隊の演奏を聞きながら、東和本土の地に降り立った日本使節団の前に、白い軍服に身を包んだ海軍士官とスーツ姿の職員が立っていた。

 

「日本使節団の皆さん。ようこそ東和へ。皆様の案内役を任されました外務省の井都築(いつづき)大家(たいか)です。」

「横灘浜海軍基地司令官の穂寿美(ほずみ)専一(せんいつ)元帥だ。歴史的な場面に立ち会えて光栄だ。」

 

行政側の人々は案内役の井都築が差し出す名刺を受け取って言葉を交わすが、防衛省と各自衛隊から派遣された4人は自衛隊の誰よりも階級が高い穂寿美に敬礼する。

 

「松柳雄介空将補です。元帥自ら歓迎なされるとは思っておらず、申し訳ありませんでした。」

「東和の歴史書に乗るであろう現場に立ち会いたかっただけだから大丈夫だ。それよりも―空将補というのは初めて聞いたが、日本独自の階級か?」

「そうですね。他国だと少将と同格として扱われています。」

「少将か、後で日本の階級について報告しないとな。さて、貴方がたにはこれからこの横灘浜基地を見学して頂くから楽しみにしてくれ。」

 

日本独自の階級に興味を示した穂寿美は後で詳しく聞こうとしつつ、松柳らを東和最大規模の基地見学へ誘った。




・博多港での歓迎
福岡海上保安部には「PLH-41 やしま」以外に巡視船2隻と巡視艇4艇が所属しており、7隻全てが参加している感じです。
海保も周辺海域の捜索に出ていましたが、福岡海上保安部は捜索の穴埋めで待機していたから歓迎に参加出来たという設定です。

消防艇に関してはが歓迎として水を上げている写真を見たことがあるので、やってみても面白いと思って調べたら福岡市消防局が持っていたので出してみました。
余談ですが「飛龍」と聞いて、双胴船の「ひりゅう」を思い浮かべましたがあれは海保でしたねw

T-4(レッドドルフィン)は本音を言えばスモークをやりたかったですが、ブルーインパルス仕様しか出来ないので編隊を組んで飛んでもらうだけになりました。

なお、これら歓迎は書いてる中で思いついたので設定などは全て後付けですw

・フェリーきずな
博多港と壱岐・対馬を結ぶべく九州郵船が運航している実在のフェリーです。この会社は同じ区間を結ぶ水中翼船も持っているので、水中翼船に驚く展開も考えましたが停泊中だと全く分からなそうなので却下しました。

・博多の見学地
国賓が何を巡るかは分かりませんが、取り敢えず博多市街地を見舞わせるタワーと、歴史的な施設を回る形にしてみました。

・LS600
政府の公用車について調べたらこの車が出て来たので出してみました。
政府や都道府県の公用車を調べるのはムズすぎる······大使館の車からYouTubeに動画が上がっているのに。

・横灘浜
東和最大の軍都で人口は90万人。
尾身岬と笠見半島に囲まれた防衛に適した天然の良港だった為に海軍の本拠地が置かれ、現在は陸海空全てが大きめの基地を置いている。
軍事基地の設置に合わせて周辺都市も発展し、東和とアクセスする交通網の整備もあって東和第3の都市の地位を確立した。

なお当初は砂州(さす)によって湾と完全に分離したラグーンにある設定だったが、ラグーンの大半は水深が浅くて軍港には適していない上に砂州を切り開くする手間を考えると、塞がない方が良いと判断して本編の形にしました。

・航空無線
サイトを見ながらやってみましたが、コレで合っているのか不安です·····分かりやすく紹介してくれる無料のサイトとか無いかな?

・穂寿美に対する松柳らの対応
自衛隊には元帥が存在していないので、取り敢えず階級が一番高かった松柳が対応した形です。
余談ですが三田の役職が間違っていたので直しました。防大の副校長は直す前の設定でした······
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