New world note in Earth 作:YUKANE
同じ日本転移モノを見ていると、自分の語彙力の低さに悲しくなります·········ああまでカッコいい言い回しは何処から生まれるのやら(呆れ)
それと本作の文章って読みやすいですか? 是非参考にしたいので、意見があったらコメントに書いてください
大阪万博の見学を終えた東和使節団は東海道新幹線で日本の首都 東京へ向かった。乗車した新大阪駅始発の定期列車 のぞみ232号が終着の東京駅に着いたら、休む間もなく皇居へ向かって日本の象徴 天皇陛下に謁見し、そのまま鈴村総理ら内閣面々・衆議院/参議院各議長・最高裁判所長官も加わった宮中晩餐会が行われた。
1時間半に渡る晩餐会が終了し、使節団が宿泊する帝国ホテル 東京へ向かうと鈴村総理ら日本側の面々は無事に終わった事を安堵した。
「取り敢えず何事も起きずに終わってなりよりだ。」
「全くです──陛下も東和の話を熱心に聞いて下さったので、初めてにしては成功したと言っていいでしょう。」
「共和制と聞いたので陛下に無礼を働かれるかもしれないと不安でしたが、杞憂に終わりましたな。」
「使節団団長が外務省副大臣ですので、恐らく事前に無礼の無いように言ってくれたかもしれません。」
鈴村総理は皇居から戻った首相官邸の一室で、一部の閣僚と晩餐会の反省を行っていた。反省と言っても謁見や晩餐会で大きな問題が発生しなかった為に、それぞれが東和に抱いた印象を話し合う場になっていた。
「使節団団長の風凪殿が言ってたが、使節団は東京駅に林立する高層ビル群に圧巻されたらしいぞ。」
「節電で明かりが減っているのも関わらず圧倒されたのか──再開発が完了したらもっととんでもないのに。」
「それと皇居までの移動に馬車を使ったのも中々好評だったと言ってましたな?」
「確かに言ってたな。信任状奉呈式に参加する大使の大半が選ぶからそうしたが、大成功だった。」
「中央音楽隊の演奏と特別儀仗隊の儀仗が素晴らしかったと仰ってくれたのは有り難かった。」
官房長官 大洋洋司の発言を皮切りに、宮中晩餐会に参加した総務大臣 大森弘正や国土交通大臣 中山礼吾・外務大臣 安川孝之・防衛大臣 栃木昇司らが次々と東和に対する感想を述べる。
東和使節団を乗せたN700S系が東京駅に着く頃には既に日の殆どが沈みかけていたが、丸の内口 正面玄関に降り立った面々は再開発が進む丸の内の近未来的なビル群に圧倒された。
東和には無いであろう高層ビル群に驚かされた使節団の進路上には、宮内庁が保有する儀装馬車2号と3号・4号が既に待ち構えていた。
皇族の儀式や新任の駐日大使が信任状*1を陛下へ献上する信任状奉呈式に使われる馬車に乗り込んだ使節団は、防衛大臣直轄の中央音楽隊による国歌演奏と東部方面警務隊第302保安中隊で編成された特別儀仗隊の儀仗で歓迎されながら、皇居へ一直線に伸びる
転移するまで積み上げてきた国賓待遇を元に急ピッチで計画された歓迎だったが、想定以上に東和の面々が感激した為に成功したと安堵した。
「聞いていたとはいえ、西洋文化にあれ程までに精通しているとは──フレンチ料理をナイフとフォークで難なく食べていて驚かされました。」
「ある程度の英単語も分かるらしいから、英語圏国家の人でも暮らせるかもしれんな。」
「流石に転移で取り残された外国人を押し付けるのは無理でしょう。ただ、英語が使えるのであれば、明日の交渉もスムーズに進む可能性は充分あり得る。」
外務省のエリートとして諸外国の閣僚や大使と幾度も会食した安川は、宮中晩餐会で出されたフレンチメニューを使節団面々が手慣れた手つきで食べていたのを驚きつつも、副総理を務める大森や鈴村と一緒にその違和感を利用しようと画策していた。
「東和にいる使節団からは会談が良好に進んだと連絡が入ったからには、こっちもしっかり挑まなくてはな。」
「勿論です。我が国が生き残る為には東和との国交締結が不可欠ですから。」
「転移から既に2週間が経って、国民は飢えているでしょう。今まで通りとはいきませんが、国民がこれ以上飢えさせない為にも明日が正念場になりますな。」
鈴村の発言にそれまで黙っていた経済産業大臣 音次辰馬と農林水産大臣 城山茂が明日の会談に向けた意気込みを語る。日本の行く末をかけた会談に参加する鈴村は、その意気込みに安堵しながら節電によって何時もの日常より暗い都心の夜景を眺めた。
◇
『21時頃に皇居を出た東和の使節団は宿泊する帝国ホテルへ到着しました。』
『この危機的なご時世なのに
「このコメンテーターは馬鹿か? いや、現実を見れてない馬鹿か。食料を輸入できるかもしれない国の国賓に下手な飯を出せるわけ無いだろ。」
東和使節団について特集しているテレビ番組に出演するコメンテーターの発言に荻窪は思わず愚痴る。ネットニュース会社のOREジャーナルで編集長兼社長を努める彼は、国賓よりも国民を優先しろと叫ぶコメンテーターに呆れながら自らの意見を述べる。
「まあ、最近ネットで同じ意見の人を見かけるので、その代弁をしていると思えばまだマシですよ。」
「政府ってのは国民の批判を受ける役目もあるとは言え、こういう考えの人は政府の返答も曲解して受け取るから余計悪化しそうだが───お、出来た出来た。」
荻窪がOREジャーナルに勤める記者 瀧川汐織と話していると、カップ麺の完成を告げるスマホのタイマーが鳴る。荻窪はタイマーを止めて、カップ麺の蓋を開けると意気揚々とソレを食べ始める。
「今日は赤いきつねですか。ここ最近カップ麺やレトルト食品ばかり食べてません?」
「そりゃそうだろ。政府の備蓄米や保存食が放出されたとは言え、未だに食料不足だからな。うちは少しばかりでも貢献するつもりだ。」
「食品の転売が禁止されたとは言え、
「お陰でプランターや種子・培養土・液体肥料が全国的に品不足のなったらしいな。」
荻窪は瀧川と話しながら赤いきつねを食べていく。東洋水産が1978年から販売し続けるきつねうどんを美味しそうに食べる荻窪を見た瀧川は、数日間の経験からその原因へ行き着く。
「編集長。まだ一日一食生活を続けているんですか?」
「そりゃそうだろ。人間ってのは最悪水だけで生きていけるしな。」
「呆れた───しかも、一日一食だけじゃなく風呂のキャンセル界隈も流行っているとかこの国は終わりだわ·····」
「俺は風呂はキャンセルしてないから良いだろ!! でも、木戸はやりかねんな」
瀧川の溜息混じりの発言に荻窪は食べながらツッコむ。荻窪の理由とは違うが、現在の日本では全国的な食料不足から確保した食料で少しでも長く過ごすべく、1日の食事を1回にする一日一食生活がブームになっていた。
入浴どころかシャワーにすら入らない風呂キャンセル界隈も、加えて風呂を沸かす電気やガスの使用量を減らして貢献するとしてネットを通じて若者の間で話題になっていた。
女性である瀧川も女性だけでなく、食料不足に貢献すべく一日一食生活を送る荻窪でも風呂はキャンセルしていなかったが、記者の一人である木戸進一は誰もが認める馬鹿だからやりかねないと思わされた。
「確かに木戸君はやりかねない·······その木戸君は先日の強盗に関する取り調べで警察ですか?」
「あぁ、隣人だから容疑者の候補に上がっているとか。あのバカが強盗なんて出来るとは思えんが。」
「だとしても怖いですよね。転移してから2週間経っているのに、未だに強盗件数が増えているんですよ。」
「この転移で海外から切り離された上に国内経済が大打撃を受けたから、多くの個人店や企業が相次いで倒産したからな。
職を失った人が生き残るべく犯罪に手を染める·······一種の悪循環だな。」
転移によって品物を得る手段を失った輸入業や、国内経済の大打撃に耐えられなかった様々な分野の個人店や中小企業は閉店・倒産し、倒産の申し立てを受ける裁判所や口座凍結を行う銀行は余りもの倒産数に本来の業務が滞る影響を受けていた。
また倒産によって職を失った人々は自らや家族の生活を養うべく、強盗や詐欺と言った犯罪に手を染めるケースが多発していた。
生活の為にやむを得ないとは言え、犯罪を起こした人々はもれなく逮捕され、その家族は解決しようの無い悲しみに暮れると言う誰も得しない悪循環が日本各地で起きていた。
抜け出す方法が存在しない負の悪循環が広まった今の日本を嘆く荻窪は、関東のだし汁まで飲み干したカップ麺の容器をテーブルへ置く。
「警察も複雑でしょうね·······」
「あぁ──陸の警察ばかり注目してるが、
「数日前に母国へ帰ろうと出航して故障した船もいましたね───我々は容易に近づけない海だからこそ知られてないのは悲しいですね。」
「そうだな──次の記事は転移後の海保について取り扱うか。」
瀧川と話している内に次の記事内容を思いついた荻窪はそのアイデアを愛用のノートパソコンへ打ち込む。キーボードを打つ高い音が響く中、瀧川は自らのスマホに記録したメモを表示する。
「使節団の明日の日程に関してですが──「ASY-91 はしだて」とか言う船で日中に国交締結に向けた会談を行い、そのまま東京湾クルーズを兼ねた晩餐会を行うらしいです。」
「「はしだて」だと!? また珍しいもん使うね〜」
アイデアの打ち込みを終えた荻窪は瀧川の発言に大きく反応する。防衛庁からもに認知される程のミリオタな編集長は食いつくと予想した瀧川の思惑は大当たりし、その意図を汲み取ったかは不明だが荻窪は聞かれてもいないのにその艦について語り出す。
「「はしだて」ってのは海自の船だが、国賓や諸外国軍将校との式典や会談の舞台になる船で“迎賓艦”とも呼ばれるな。
その役割上武装は一切持っていないが、その代わりに艦内には素晴らしい設備が備わっているらしい。特にこの艦の調理員は海自の中でも特に選りすぐりの者だって言われてるな。」
「言葉で戦闘する場を提供する船って事ですか?」
「中々面白い例えだなw 今度の記事に使ってみるか。」
意気揚々と説明する荻窪の話を聞いていた瀧川は感想を述べ、それを聞いた荻窪は笑いながら記事のアイデアとして打ち込んでいく。
再びキーボードを叩く音が響く社内で瀧川はスマホに入れられた東和使節団に関するデータを見ていたが、不意に明後日の日程が目に入った。
「明後日の日程だけ不自然に公開されていない······何かあるかも?」
不自然な違和感を抱いた瀧川は記者であるが故か、ソレを追及すべく動き出した。自らネタを見つけて動き出した瀧川を見ていた荻窪は、その推察力と夜であるにも関わらず動き出した即断力に喜んでいる様にも見えた。
・定期列車 のぞみ232号
前回と同じ様に団体列車を使わなかった理由に関しては、唯でさえ多い東海道新幹線の本数が転移による需要集中で更に過密になって、専用列車をねじ込めるスペースが無かったため。
・天皇謁見や宮中晩餐会
今作は実在の会社名を使ったりしてますが、流石に皇族関連の描写は気を使って曖昧な描写にしました·······
宮中晩餐会についてwikiで確認したら、コロナ以降は行われてないとありましたが、つまり6年間近くやってないってこと?
・皇居までの移動に馬車を使った
新任大使が皇居まで馬車で向かうのを知っていたのでソレを参考にしました。執筆の際に馬車について調べてみたら4人乗りだったので、急遽2台を3台にする羽目に。
因みに中央音楽隊は当初東部方面音楽隊でしたが、防衛大臣直轄と言う事で急遽変更しました。
・テレビ番組に出演するコメンテーターの発言
正直テレビ番組にこんな事を言うコメンテーターを出すとは思えませんが、転移の混乱で出せる人がこの人しかいなかったと解釈して下さい。
作者的にはTwitter(X)で“何が何でも今の政府は悪で、政府の見解も嘘だ”と言っている人を時折見かけるので、実際に転移が起きたらこう言う人達がのさばりそうだと思ってます。
・備蓄米が放出された·····
備蓄米放出のニュースを見て、思いついたので入れました。不謹慎ではあると重いますが、状況は違うけれどもフィクションと同じ出来事が起きると参考になりますね。
因みに荻窪が食べたカップ麺に赤いきつねを選んだのは、炎上しているからではなく作者が好きだからです。
・一日一食だけじゃなく風呂のキャンセル界隈も流行っている·······
実際に個人が食料と資源の不足に貢献する方法として流行りそうですね。作者としては一日一食はまだしも、風呂キャンセル界隈は理解出来ません。
・中国海警船の監視と竹島の韓国守備隊救援····
しれっと書かれましたが、この様な日本が抱える対外問題も日本国召喚との差異として今作は描写します。今回は触れただけですが、後に詳細を書く予定です。
・ASY-91 はしだて
あるのであれば使わない方が勿体ない───と言うより出番が無さそうと言う事で登場させました。プロットでは国交締結に関する会談は迎賓館赤坂離宮で行う予定でしたが、纏めた方が良くない?と思って変更しました。