New world note in Earth   作:YUKANE

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UA400突破ありがとうございます!
こんなに多くの人に見てもらえるとは思ってなくて、自分でもビックリしていますw

執筆出来る時間が取れたので更新できました!
今話から本作のオリジナルティが出て来ますのでお楽しみに!


Episode.3 既知の未確認

東から昇った太陽によってサファイアの様な蒼色に輝く東シナ海の空を2匹の鷲が飛ぶ。

アメリカで開発された原型機を日本仕様に改造してライセンス生産されたF-15J(イーグル)は、チタンや炭素繊維複合材(グラファイト・エポキシ)・アルミニウム・ハニカムといった複数の素材で構成された灰色の外装を纏う事で生身での生存が不能な高度に達し、尾部から吐かれた赤い炎によって生物では到達不能な程の高速で海と同じく碧い空を我が物顔で舞っていた。

 

「今のところ東シナ海に何も変化は無いな。桑谷(エンジ)、そっちはどうだ? 終了(Over)

同じだ(Copy)、見た感じいつも通りの東シナ海だ。そもそもここは担当じゃないけどな。終了(Over)

 

部隊創設地である百里基地が位置する茨城県の観光名所 偕楽園に植えられている梅花を模したマークを、ツインテールと呼ばれる2枚の垂直尾翼につけたF-15J(イーグル)を操るパイロット 本嶋浩己一等空尉は、仲間として隣を飛んでいる機体を操縦している 桑谷益貴三等空尉とインカム越しの会話を行う。

 

2機が飛ぶ東シナ海は日本とユーラシア大陸に挟まれている縁海で、日本や中国・朝鮮といった東アジア諸国を繋ぐ重要な場所として機能していた。

現在も上海への国際フェリーの航路として使われていたが、あの現象による変化を確かめるべく2機は飛んでいた。彼らは本拠地である新田原(にゅうたばる)基地を飛び立ち、九州本土と天草諸島を横断して東シナ海へ出ると、長崎県と五島列島の間を通って担当する空域へと辿り着いていた。

 

「“日本が別の星へ転移した可能性が高し”か······今でも信じられんな。」

『確かに現実味はありませんが、そうでもなければ日本全国の飛行隊に緊急発進(スクランブル)は出ませんし、そもそも担当じゃない空域に向かうなんてありえませんよ。終了(Over)

「インカムつけっぱなしだったか、独り言の筈だったんだがな。終了(Over)

 

日本が地球では無い星へ来たと仮定した政府から出された周辺海域の緊急調査命令は空自だけでなく海自や海保・在日米軍の航空基地にも出されているが、GPSが使えなくなった状態での夜間飛行は危険すぎると判断された為に、いつもと同じ様にやって来た夜明けと共に各地の航空基地に配備された機体が緊急発進(スクランブル)していった。

 

その命令は彼らが所属する第305飛行隊ら2つ飛行隊を纏める第5航空団にも出されていたが、指定された空域は本来の担当である九州南部〜奄美諸島方面ではなく、北九州方面だった。

北九州の空域は大分県の築城(ついき)基地を根拠地とする第8航空団の担当だったが、同部隊は空自の戦闘機部隊が存在しない中国及び四国方面の海域哨戒を任せられ、佐世保を母港とする第3機動部隊は沖縄方面に向かう事から、ポッカリと空いた穴を埋める役目は第305飛行隊に任せられた。

 

重要な役目を任せられた第305飛行隊は夜明けと共に主翼に燃料を満載した増槽を取り付け、自衛用として増槽と主翼を繋ぐ柱に取り付けられたハードポイントに90式空対空誘導弾(AAM-3)を1基ずつ、胴体下部にAN/ALQ-131 電子戦ポッドを装備したF-15J(イーグル)を新田原基地から次々と離陸させ、2機ずつの編隊を組んで北九州に向けて飛んでいった。

 

夜明けまで待機中のパイロットに対して、日本政府の仮説である“日本が別の星へ転移した可能性”が告げられていたが、本嶋や桑谷らは半信半疑のまま海域哨戒へと出撃する事になった。

 

『春日管制より本嶋(コルト)桑谷(エンジ)へ。無駄話はよせ、無駄話で異変を見逃したら大問題だからな。終了(Over)

「異変を見逃すと言っても、我々は普段の東シナ海を知らないんでどれが異変だか分かりませんよ。終了(Over)

同じく(Copy)、赤いヒビ割れでも起きれば別ですがね。終了(Over)

 

西部航空方面隊の司令部が置かれている春日基地で航空管制を担当する春日管制隊から注意混じりの通信が来たが、本嶋と桑谷は反論する。それは出撃前に伝えられた現実味の無い仮説に対する半信半疑の意思表示でもあり、通信相手である春日管制隊はそれを理解したからこそ無言を貫いていた。

 

『何かしら反論したいが、まあ良い·······海栗(うに)島と福江(ふくえ)島のレーダーサイトが対馬西300km地点で国籍不明の未確認機(アンノウン)を捉えた。探知位置に一番近いのは君たちだから、確認として向かってくれ。終了(Over)

 

無言の後に伝えられた内容は、それまでの雰囲気を吹き飛ばすには充分すぎた。本嶋は管制員の発言を脳内で再生して疑問点を導き出す。

 

「国籍不明の未確認機(アンノウン)? 東シナ海ですし、韓国か中国の機体じゃないんですか? 終了(Over)

『両国の機体だったら既にそう伝えてる。それに未確認機(アンノウン)は300km/h前後で飛んでいるから、どんな機体か確認して欲しいんだ。終了(Over)

『300km/hって輸送機より遅いですね。見間違いなのでは? 終了(Over)

『確かに福江のJ/FPS-4(レーダー)は20年選手のおじいさんだが、海栗島のJ/FPS-7(レーダー)は最新だから誤認では無さそうだ。それに2つのレーダーが同士に壊れるなんて可笑しいからな。終了(Over)

 

本嶋と桑谷は管制官との通信で未確認機(アンノウン)が現実の存在だと認識する。国籍不明の未確認機(アンノウン)は速度だけだと自機より大きく劣っている存在ではあるが、それが何か分かってない状況で近づくのは自らの命も失いかねないリスクもあった。

しかしながら、空自のパイロットとして中国機に対する緊急発進(スクランブル)経験を持つ2人に選択の迷いは無かった。

 

本嶋(コルト)、これより未確認機(アンノウン)の調査に向かう。終了(Over)

桑谷(エンジ)同じく(Copy)。どんな姿か見てやりましょう。終了(Over)

『2人とも頼むぞ。自衛目的以外での戦闘は厳禁だぞ! 終了(Over)

 

管制官との通信を終えた2人は垂直尾翼の方向舵(ラダー)を動かして機体の向きを変えると、F-15Jの動力源でもあるF100-IHI-220Eの出力を上げて未確認機(アンノウン)が探知された空域へ向かっていく。

プラット・アンド・ホイットニーが開発したエンジンを石川島播磨重工業(IHI)がライセンス生産したターボファンエンジンは、30tにもなる金属の鷲を北西へと突き進ませた。

 

対馬を遠目に眺めながら北西へ飛翔する2機の先には広大な青い海が広がっていたが、本来であればここには朝鮮半島の南端が見ていたはずだった。

昨日まであった陸地が消えている事実が、2人に日本が別の星へ転移した仮説が正解だったと認識させている中、機首に内臓されたAN/APG-63(V1)火器管制レーダーが探知した情報がヘッドマウントディスプレイ(HMD)に映し出される。

 

AN/APG-63(V1)(レーダー)が10時方向に未確認機(アンノウン)を捉えたが······確かに300km/hで飛んでいるな。終了(Over)

敵味方識別装置(IFF)も反応していませんね。こりゃ実際に見なければ分からないって事すか、終了(Over)

「速度差からしてもうすぐ見えると思うんだが·····」

『雲に隠れているかもしれnあ、斜め下のアレか!?』

 

桑谷の叫びをインカム越しに聞いた本嶋が左斜め下を向くと、その先に2人が探していた航空機を見つけたがその外見を見た本嶋は絶句する程に驚かされた。

 

青い海と空に浮かぶ白い雲とも似つかない緑色に塗られた機体は船の様な胴体と主翼を柱で繋げたシルエットをしており、主翼と一体化した4基のエンジンで回したプロペラでF-15J(イーグル)よりも一回り大きな機体を空に浮かしていた。

 

本嶋らは目の前の機体が飛行艇であると直ぐに分かったが、その姿は2人が見たことがある海自のUS-2とは大きく違っていた。

そして4基のエンジンを載せた主翼に国籍マークの如く描かされた()()()()()()()()()は、目の前の存在が既知でありつつ未知である事を確認した。

 

本嶋(コルト)より春日管制へ! 未確認機(アンノウン)を視認した!! 日の丸をつけてない旧日本軍の飛行艇だ!!」

『日の丸をつけていない旧日本軍の飛行艇!? 見間違いじゃないのか!?』

『見間違いじゃありませんよ! 翼には日の丸の代わりに赤線に囲まれた白丸がデカデカとついてます!!』

『マジで言っているのか·······』

 

目にした物の衝撃で通信の終了を意味するOverを言い忘れる本嶋であったが、春日管制の方もそれを指摘する事がすっぽ抜ける程の内容に驚きの声を上げる。

 

春日管制と話している間にも飛行艇とF-15J(イーグル)を隔てる決して埋める事のない速度差によって、相対したが直ぐに飛行艇を視認すべく機体を180°旋回させる。

急激な右旋回によってかなりのGがパイロットにかかるが、耐Gスーツの締め付けによって意識を手放さず旋回を終える。

 

飛行艇の方もF-15J(イーグル)の存在を認識したのか、同じく180°の右旋回を始めていたが圧倒的な速度差があり、本嶋らが再度視認した時は右の主翼を下げて右旋回していた。

 

『と、取り敢えずその機体は写真に収めたか!?』

「既にガンカメラで前と横の写真を何枚も撮っていますよ!」

『よくやった!! 写真を撮り終えたら今直ぐ引き返せ! そこは飛行艇を持っている国の領空だからこれ以上滞在したら面倒な事になる!!』

本嶋(コルト)了解(Roger)終了(Over)

桑谷(エンジ)了解(Copy)終了(Over)

 

時間が経つにつれて冷静さを取り戻した2人は、規定通りの返事を返して自らの愛機を日本がある南東へと向けた。

 

この出来事は10分にも満たない短すぎる物が、日本と新たな世界のファーストコンタクトという重要な出来事として歴史に刻まれる事になった。




・本嶋浩己と桑谷益貴
この2人は今作から登場させた新キャラです。この1回だけなんて勿体無いから、出番を用意しとこ·····

・空自の航空団について
南九州を担当する第5航空団を北九州へ持っていた理由は、本来の担当である第8航空団が中国や四国方面に向かったのが大きな理由ですが、メタ的にはF-2の航続距離が短いのなら中国と四国の沿岸を飛ばした方が良いだろうと判断した為です。しれっと第5航空団に2個飛行隊があると書いてありますが、もう片方の部隊は近々出す予定です。
てかそもそも当初は千歳基地の第203飛行隊として出す予定でしたが、とある事情で第305飛行隊へ変更されました。レーダーサイトに関しても奥尻(おくしり)島だったのを福江島と海栗島に変えました。

変えた理由に関してはまた今度·······

・Over···
前作では使っていない所と使っている箇所で分かれていましたが、今作では基本使っていく予定です。
表記に関しても前作でオーバー(Over)だったのを、終了(Over)にして分かりやすくしました?

遂に今作のオリジナリティ?要素が出て来ましたが、今回出てきた飛行艇はとある機体そっくりの見た目なんですが、どの機体か分かる人いますかね?
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