New world note in Earth   作:YUKANE

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UA19000突破ありがとうございます。学期末で色々立て込んだので、更新が遅れました。

今回で日東大演習は終了となります。連載開始から1年が過ぎようとしてますが、未だドンパチパートに行けてないとは······遅筆に後悔。

前回に続いて新兵器が山程出てきますが、1章が終わった段階で兵士資料集を出そうと思っています。いつになるかとかは言っちゃ駄目。


Episode.46 実戦型演習

山銀大将の号令の元、第3師団は動き出す。日東大演習のフィナーレを飾る実戦型演習は、“平野の要塞に立て籠もった敵軍を、夜間に奇襲して殲滅する”と言うシチュエーションで行われ、攻撃目標となる陣地は森林内にある窪美台(くぼみだい)と呼ばれる丘に設けられていた。

 

目標への強行偵察を任された第2戦車連隊第209大隊は6両の六十二式軽戦車*1を中心に、六十二式小型乗用車*2 と六十六式自動二輪車*3 4両ずつを率いて、闇夜の演習場を突き進む。

 

軽量化を追い求めて装甲厚を最低限にし、アーク溶接のみで車体を作った軽戦車は、直6空冷ディーゼルエンジンの稼働音を響かせながら草叢を掻き分けて履帯を回して進み、木々の間から主砲として積まれた六十五式四十四粍戦車砲が火を噴いた。

対戦車砲を改造した砲は万が一の対戦車戦に備えた最低限の貫徹力しか持ってないが威力偵察には充分で、丘の陣地に幾つも着弾していく。

 

六十二式軽戦車が砲撃を行う中、民間の乗用車と同型のエンジンや変速機を積んだ六十二式小型乗用車は、ダブルカルダンジョイントで後輪駆動から切り替わった四輪駆動の機動力で森林を駆け抜け、陣地の側面へ回る。小型乗用車は後輪のリーフスプリング式固定サスペンションと、前輪のコイルスプリング式独立懸架サスペンションで衝撃を吸収し、後部座席に乗る偵察員による偵察を支援した。

 

偵察の結果は小型乗用車に同伴していた六十六式自動二輪車の操縦手に渡される。東和で一番のシェアのバイクにサイドカーを取り付けた自動二輪車は、最低地上高を下げて高めた悪路走破性で来た道を素早く司令部へ戻っていく。

 

「偵察結果が来ました! 敵陣地は塹壕に囲われており、塹壕と陣地の間には野砲と戦車が展開しています!」

「ご苦労だった!! 209大隊を戻せ! 歩兵大隊のロケット砲とカリス陸軍の榴弾砲を展開させろ!」

 

偵察員の報告を受け取った山銀大将は続けざまに指示を出す。威力偵察を終えた209大隊が森林を利用して後退していき、その間に第7歩兵連隊第131大隊の六十五式十六連装ロケット砲*4 10門と、カリス陸軍南部方面師団第1砲兵連隊の湯向(ユムカ)榴弾砲 6門が砲撃準備を行う。

 

歩兵部隊でも面制圧射撃を行うべく開発された多連装ロケット砲と、東和の旧式榴弾砲をライセンス生産したカリス製榴弾砲は砲撃準備を終えて間もなく、火蓋を切った。

160発の40mmロケット弾と6発の170mm砲弾の雨が窪美台へ降り注ぎ、着弾と同時に破壊を齎す。絶大な面制圧能力を持つロケット弾と、大口径榴弾の同時着弾は攻撃目標に甚大な被害を与え、周囲の野砲型と戦車型の目標が幾つも砕け散る。

 

「ロケット弾と榴弾砲による砲撃で、敵陣地に多大な損害を与えたと判断!!」

「宜しい! 第131大隊は前進!! 戦車と対戦車砲は歩兵大隊の支援を行え!! カリス軍は側面へ移動して待機!」

 

観測員からの報告を受けた山銀は第131大隊に前進を命じた。

 

歩兵大隊の露払いとして東和初の戦車 五十七式戦車*5 8両が、燃費と引火性の低さに優れながらも振動と騒音の大きさを抱えたV8空冷ディーゼルエンジンを全開にし、コの字型の複雑な動力伝達機構で送られた動力は下9輪・上4輪の転輪と高マンガン鋼製の縦幅の短い履帯で構成された足回りを回し、森林の中へ突き進んでいく。

表面浸炭処理を施したニッケルクロム鋼をアーク溶接とリベット接合を組み合わせて作られた黄土色の車体は鬱蒼とした木々の中を進み、急停車すると対戦車戦ではなく陣地攻撃や歩兵支援を重視した短砲身の58mm砲が火を噴き、辛うじて残っていた野砲型の標的を射抜いていく。

 

五十七式戦車の砲撃に合わせて六十八式五十四粍対戦車砲*6 8門も砲撃を始め、装弾筒付徹甲弾(APDS弾)仕様の演習弾が戦車型の標的を次々と壊していった。

戦車と対戦車砲の砲撃を浴びた攻撃目標は煙に包まれ、周りに置かれた標的の大半は壊れていた。

 

「我々を攻撃するものは無くなった!! 全車進めぇ!!」

 

第131大隊大隊長の谷中(たになか)綱要(こうよう)大佐は、自らの部隊を攻撃可能な兵器が全て壊されたと確認するや、搭乗する六十二式小型乗用車の後部座席から身を乗り出し、進軍の指示を出した。

大隊長の指令を元に兵士を乗せた10両の六十八式兵員輸送車*7が森林の中から飛び出る。東和初の兵員輸送車は、牽引車の装軌式走行装置と自動貨車の前輪で構成された半装軌の足回りで不整地の演習場を突き進む。

 

兵員輸送車が窪美台を囲うように掘られた塹壕の前に着くと、運転席と助手席を区切る様に取り付けられた六十三式重機関銃*8が射撃を開始する。空砲ながらも重機関銃の重い発砲音が響く中、8mmの傾斜装甲で守られたキャビンの折り畳み式座席に座っていた12名の兵士が、自らの武器を持って車体後部から下車していく。

先に足を下ろした歩兵分隊は隊員全員が所有する六十八式小銃*9と、分隊支援火器の六十七式軽機関銃*10を塹壕へ向けて構える。

 

歩兵分隊が展開を終えると同時に、各分隊に1門ずつ配備された五十七式擲弾発射器*11の発射準備が始まる。地面に当てられた湾曲した台座を足場に、ライフリング条が掘られた砲身をつまみを回して45°に調整すると、支柱に設けられた引き金を押して58mm口径の専用砲弾が発射される。迫撃砲の砲弾を元に開発された専用榴弾は孤を描いて飛翔し、着弾すると中に詰められた爆薬が炸裂し、土煙を巻き上げた。

 

炸裂の発光で明るくなる中、兵員輸送車に後続していた六式自動貨車に乗っていた迫撃砲隊も展開を終えた。分解輸送に特化した六十七式迫撃砲*12 16門は素早い展開を見せつけ、擲弾に続く様に火を噴く。16発の迫撃砲弾も孤を描き、擲弾攻撃を受けたばかりの塹壕へ次々と着弾していった。

 

「敵は立ち直れない大打撃を受けた! 全軍突撃ぃぃ!!」

「「「突撃ぃぃぃ!!」」」

 

迫撃砲弾の着弾から間もなくして、第131大隊の歩兵は谷中大隊長の号令で塹壕への突撃を始める。分隊唯一の軽機関銃手は小銃と同口径の9.2mm弾をクロムメッキが施した銃身から連射し、上部に取り付けた30発の箱型弾倉を入れ替えながら空砲の制圧射撃を続ける。

歩兵は軽機関銃の制圧射撃を受けながら塹壕へ突き進み、塹壕の中が見える位置まで来ると、持っている六十八式小銃を次々と放つ。1発撃つごとにボルトアクションさせて空の薬莢を排莢し、装填された5発を撃ち終わると同数の弾丸を素早く装填していく。

 

歩兵分隊は手慣れた動きで塹壕内へ弾丸の雨を浴びせると、次々と降りていく。塹壕内には幾つもの弾痕が刻まれた藁人形が点在し、歩兵は未だ原型を留めている人形へ小銃の先に取り付けた六十六式銃剣を突き刺して、トドメを刺す。

遠くからは見えない塹壕内での戦いが始まって暫くし、塹壕内から何かが撃ち上がる。ソレは五十七式擲弾発射器から発射されたモノで、真っ暗な上空でも目立つ白い煙を爆散させた事で遠くから見ていた山銀らもそれが信号弾だと認識した。

 

「信号弾の発射を確認!! 塹壕の制圧が完了した模様!!」

「終わらせるぞ! カリス陸軍部隊は前進!! 司令部を制圧せよ!!」

 

山銀の号令は通信機を通じてカリス陸軍南部方面師団へ伝えられ、虎の子とも評される第1装甲連隊が隠れていた鬱蒼とした森林から勢い良く現れる。

国産豆戦車の原芽(ハラメ)軽装甲車*13を先陣にして、五十七式中戦車をライセンス生産した天全(テンゼン)中戦車 9両が横一列に並んで進軍する。

 

「敵は正面に気を取られている! 今こそが我々の勝機だ!!」

 

第1装甲連隊連隊長の劉雄(ルオ)円地度(エジド)大佐は、搭乗する有嵐(アリラン)重装甲車*14から自らの戦車部隊を激励する。

原芽軽装甲車はチャルネス製の戦車砲をライセンス生産したFI-1型43mm戦車砲を次々と放ち、攻撃目標の監視所や機銃台・出入り口の扉を瞬く間に壊していく。天全中戦車も続けて砲撃を始め、榴弾で攻撃目標の防壁を軽々と射抜いていく。

 

装甲連隊が激しい砲撃を浴びせる中、六式六輪自動貨車をライセンス生産した牟板(ムイタ)自動貨車 12両が森林内の細い道路を通って現れ、攻撃目標制圧の任を任された第3歩兵連隊の歩兵が荷台から降りていく。

 

カリス陸軍の精鋭歩兵達は自動貨車の荷台に積まれた理鰓(リエラ)重機関銃の射撃を盾に、装甲連隊の砲撃で壊された壁の大穴から攻撃目標へ突入していく。

攻撃目標内部へ侵入した歩兵は東和陸軍と同じく、分隊支援火器の江輪(エリン)軽機関銃を斉射し、8.1mm弾の傘の下を米良射(メライ)小銃を携えた歩兵が進んでいく。

 

攻撃目標内から軽機の連続した発砲音と、小銃の短い発砲音が幾つも響く。時折手榴弾の炸裂音と発光も混ざりながら戦闘は進んでいき、10分程が経過して鳴り響いていた音が収まったかと思えば、攻撃目標内から白旗が上がった。白旗を見つけた第131大隊の兵達は歓声を上げ、それは部隊全体へ連鎖していった。

 

「攻撃目標内に白旗を確認!! 敵陣地の制圧に成功しました!!」

「ご苦労! ほぼ予定通りの時刻で終わるとは、素晴らしい。カリス陸軍の練度も上出来だ。彼らがいなければ、予定通りには終わらなかっただろう。」

「カリス陸軍にも伝えておきましょう。彼らも喜ぶ事でしょう。」

 

工兵部隊が構築した野戦陣地から演習行程を眺めていた山銀は、想定された時刻とほぼ同じ時間で終了させた事に感心しながら、攻撃目標攻略で大きく貢献したカリス陸軍部隊の腕前を忖度無しに褒め称えた。

 

「次は陸自の実戦型演習だな。何処まで驚かせてくれるか、楽しみにしているぞ。」

 

実戦演習が終了し、最前線にいた第131大隊や第3歩兵連隊・第1装甲連隊の兵と車両が自軍陣地へ引き上げていく中、山銀は大トリを飾る陸自がどの様な戦いを見せてくれるか楽しみにしていた。

 

 

「実戦型と言うだけあって、迫力が凄まじい·····」

「アレだけ本格的な実戦演習が出来る場所なんて、米軍の演習場ぐらいだ。さて、これから陸自の番ですが───怖気づいたりしてませんよね?」

 

東和陸軍とカリス陸軍合同の実戦型演習を施設大隊お手製の野戦陣地から見ていた第2師団師団長の古澤(こざわ)賢三郎(けんざぶろう)陸将と、陸上幕僚監部の湯浅賢二陸将補は想定以上に本格的だった演習光景に圧巻されていた。

湯浅はふと、古澤が陸自でも総火演ぐらいでしか見せない本格的な演習を目の当たりにして怖気づいてないか気になった為に彼へ問うた。だが、当の古澤本人は怖気づくどころか、寧ろ演習前より勇んでいる様に見えた。

 

「まさか。寧ろアレほどまでのモノを見せられたのなら、こちらも存分に答えなくてはと、張り切らせて頂きます。」

「怖気づくどころか、より張り切っている様で安心しました。」

 

古澤の張り切り具合を見た湯浅はさっきまでの不安は杞憂だったと、忘れる事にした。東和陸軍とカリス陸軍の撤収作業が終わり、窪美台の攻撃目標を見ていた観戦武官や各軍の広報員は陸自に与えられた攻撃目標 桶間高地へ視線を写す。

窪美台と同じく周囲に塹壕が掘られ、戦車型や野砲型の標的が点在する桶間高地を攻略するシュチュエーションで、陸自の実戦型演習は始まりの時を迎えた。

 

演習開始と同時に桶間高地の実情を把握すべく第2偵察隊が動き出す。攻撃前に偵察部隊を送り出すのは日東だけでなくチャルネスやカリスにも通ずる常識であったが、陸自は地上だけでなく空からも偵察を行う違いがあった。

 

第2対戦車ヘリコプター隊本部付隊に属する観測ヘリコプター OH-1は、木々に隠れる程の低空飛行で攻撃目標へ接近し、コックピット上部に据え付けた索敵サイトで情報を収集する。

川崎重工業が作り上げたその機体は闇夜でありながら木々スレスレの低空飛行を行い、少しばかり顔を出しただけで敵の情報を探れる姿は“ニンジャ”の名称に相応しだろう。

 

OH-1が名称に恥じぬ観測を行う中、地上から攻撃目標の観測を担当する第2偵察隊も森林を駆け抜けて、観測目標を捕捉する。第1偵察中隊の87式偵察警戒車 4両は目標を捉えるや、威力偵察を行うべく主砲が火を噴いた。スイスのエリコン社が開発した25mm機関砲KBA-002は甲高い発砲音を上げて連射され、25mm弾は攻撃目標へ何発も着弾していく。

木々に隠れ潜むOH-1と激しく撃ち込む87式偵察警戒車による2種類の異なる偵察が一通り済むと、87式は砲塔脇の発煙弾発射機を発射する。闇夜でも目立つ白い煙に包まれて87式偵察警戒車は森林へ引き返し、OH-1も立ち上がる白煙を利用してその場から離れた。

 

役目を終えたOH-1が引き返す中、入れ替わる様にして4機編隊のヘリコプター隊が現れた。その機体はひと一人がやっと乗れる程に細すぎる胴体の上で回るローターで飛び、機首のM197機関砲とスタブウイングのロケットポッドを相手へ向けるその姿は、獲物を仕留めるべく狙いを定めた毒蛇(コブラ)の名に恥じなかった。

 

日本初の攻撃ヘリコプターとして導入されたAH-1Sの編隊は、T53-K-703ターボシャフトエンジンとローターの回る爆音を響かせながら攻撃目標へ飛んでいく。

真っ暗闇の中を飛ぶ4機は全てが夜間戦闘能力を向上させたC-NITE仕様であり、通常のヘリコプターが飛べない状況であっても難なく飛び回っていた。操縦席前の前方監視赤外線装置が捉えた目標は、前席の射撃手(ガンナー)が被るヘッド・マウント・ディスプレイ(HUD)に写し出され、それに向けて操縦桿に取り付けられた引き金を引いた。

 

我先にとロケットポッドから射出されたハイドラ70ロケット弾は、弾頭に沿って折り畳まれていた湾曲した3枚の取り巻き型翼を出して、弾体に刻まれた溝によって回転しながら飛翔していく。回転する事で弾道を安定させたロケット弾は着弾するや、M151高爆発威力弾頭(HE)が炸裂して野砲型の標的を破壊する。

スタブウイング両翼のロケットポッドから撃たれた計152発のハイドラロケットは毎分2100回転しながら続けて着弾し、攻撃目標を土煙で覆う。ロケット弾を撃ち終えたAH-1Sは、機首のユニバーサルターレットに搭載されたM197機関砲での攻撃へ切り替えた。

M61 バルカンを小型軽量化したガトリング砲は3本の砲身を回しながら40発程度のバースト射撃を行い、20mmの焼夷榴弾(HEI) M56A3弾は攻撃目標の監視塔と機銃台を軽々と壊していく。

 

ロケット弾の斉射を受けた攻撃目標の周囲は爆発によって抉れたクレーターが点在し、20mm弾で倒れた監視塔と機銃台は残骸を中と外の両方へ撒き散らす。課せられた目標への攻撃を終えた攻撃ヘリコプターの編隊は、満足した様に真っ暗闇へ去っていく。

 

「攻撃目標周囲の野砲は全て破壊されました。」

「宜しい。第3即応機動連隊、前進!!」

 

攻撃ヘリから攻撃報告を受けた第3即応機動連隊連隊長 長沼(ながぬま)宣治(のぶはる)一等陸佐は、自らの部隊へ前進を命じる。機動力と輸送性を高めて、既存部隊よりも素早く展開可能な部隊として再編された即応機動連隊は、機動戦闘車中隊の16式機動戦闘車 7両を先頭に陣地を出発する。

日本初の装輪戦車は8輪のスタッドレスタイヤで道なき森林を獣の如く突き進み、攻撃目標の前に到着すると同時に52口径105mmライフル砲が走りながら火を噴く。引退済みの74式戦車から転用した砲弾は戦車型の標的に命中し、いとも簡単に壊していく。

 

16式機動戦闘車が走行間射撃を終えると、後続していた10両の軽装甲機動車が戦場に現れる。自衛隊の海外派遣に良く用いられる小型装甲車は円形の上部ハッチが開き、そこから現れた隊員は狭い車内から太い円筒を取り出す。

小型化や民生品活用による低コスト化を行いながら、非冷却型赤外線画像誘導方式を世界で初めて採用した国産対戦車ミサイル 01式軽対戦車誘導弾は、残された戦車型標的に向けて対戦車弾頭が放たれる。少ない後方爆風で発射された弾頭は低伸弾道モード(ダイレクトヒット)で飛んでいき、赤外線画像で捉えられた戦車型標的を正確に破壊した。

 

16式による砲撃と01式軽MATの攻撃を受けた戦車型標的は全て壊され、攻撃目標を遮る障害は全て姿を消した。射撃を終えた16式と軽装甲機動車が戦場を去ると、2種の車両が向かう先から飛んできた15発の小さなミサイルが頭上を飛んでいった。即応機動連隊の本部管理中隊対戦車小隊の中距離多目的誘導弾 3両が発射したミサイル弾は、発射装置から迫り上がったミリ波レーダーと赤外線カメラに導かれて、まるで糸で繋がれたかと思わせる程の正確さで塹壕内へ着弾する。

 

16式機動戦闘車(MCV)01式軽対戦車誘導弾(ラット)によって敵戦車の排除を確認。中距離多目的誘導弾(中多)の攻撃で塹壕内の敵に大打撃を与えました。」

「宜しい。第1普通科中隊の第1・第2小銃小隊は塹壕制圧で前進! 火力支援中隊は攻撃目標へ砲撃を浴びせろ!」

 

朱雀戦争以降から急速的に導入が進んだドローンによる観測結果を、82式指揮通信車の車内聞いた長沼によって第1普通科中隊は塹壕制圧を行うべく進み出す。

各小隊は8両ずつの96式装甲装輪車A型が先陣として走り、その後ろから第1普通科中隊の迫撃砲小隊の高機動車 6両と、120mm迫撃砲RTを牽引した火力支援中隊の重迫牽引車 5両が追随する。

 

陸自初の装輪装甲車は塹壕の少し前で停まると、運転席の真上に取り付けられた96式40mm自動てき弾銃を塹壕へ撃ち込み、その間に車内の隊員が素早く下車していく。

隊員が下車し終わると隊員の一人が担いでいた84mm無反動砲(B)を展開する。スウェーデン製の無反動砲の引き金が引かれると、砲身の後部ノズルから装填された弾が後方に燃焼ガスを噴射しながら発射される。発射されたILLUM 545 照明弾は塹壕の真上で炸裂し、攻撃目標を囲う塹壕を激しく照らし上げた。

 

真っ暗闇を昼間の様に照らした太陽の如き照明弾を合図に、両小隊の隊員は塹壕制圧へ動き出す。

制圧前のダメ押しとして、主力小銃である89式5.56mm小銃の銃口に突き刺された06式小銃てき弾が発射され、狭い塹壕内を爆風が反響する。ダメ押しの攻撃が収まると、隊員らは微光暗視装置を付けた5.56mm機関銃 MINIMIの空砲弾幕で守られながら進み、塹壕内へ降りていく。

 

隊員が降り立った塹壕内から89式小銃の射撃音が幾つも聞こえる中、96式装輪装甲車の後ろで高機動車が運んできた81mm迫撃砲 L16 9門と、重迫牽引車が牽引していた120mm迫撃砲 RT 5門の展開が終わる。展開終了を確認した弾薬手はそれぞれの車両が運んできた重い迫撃砲弾を砲身へ運び、迫撃砲手の指示で砲弾から手を離す。

重さで高い仰角の砲身へ落ちていった迫撃砲弾は底の撃発に触れ、炸裂した装薬によって遥か高く飛ばされる。安定翼を備えた迫撃砲弾は大きく湾曲した曲射弾道を描き、隊員が制圧を続ける塹壕の頭上を通り越して攻撃目標へ次々着弾していく。

 

「迫撃砲の命中を確認。塹壕の制圧も進んでいます。」

「宜しい。第2飛行隊に突撃指示を! 第3小銃小隊はヘリ部隊を援護しろ!!」

 

攻撃目標が迫撃砲の集中砲火を受ける光景を見ていた長沼によって、最後の一手が指示される。

攻撃目標右側からローターの風切音が聞こえてきたかと思えば、陸自の迷彩が施された6機のヘリコプターが現れる。SUBARUとベル・ヘリコプターが共同開発した国産多用途ヘリコプター UH-2は、下方へ吹き下ろされるダウンウォッシュで明るく色づいた木々の葉っぱを揺らしながら低空飛行で攻撃目標へ進んでいく。UH-2が現れた木々の合間から第3小銃小隊の96式装輪装甲車 8両も現れ、桶間高地の陣地へ96式40mm自動てき弾銃で側面から攻撃を加える。

 

迫撃砲とてき弾の集中砲火を浴びる攻撃目標の真上にUH-2は悠々と辿り着く。桶間高地の施設上空でホバリングを始めたUH-2は側面の扉から何本ものロープを垂らし、それを用いた懸垂下降(ラペリング)で搭乗していた隊員達は攻撃目標内へ次々と降り立った。

 

短時間で敵の本拠地へ乗り込んだ隊員達はサイトロンMD-33 光学照準器やJVS-V1 レーザー照準具を装着した89式小銃を持ち、攻撃目標の制圧へ動き出す。

隊員らは88式鉄帽に装着された個人用暗視装置 JGVS-V8にも支えられて、爆発で引火した火だけが明かりの攻撃目標内を進み、点在する人型標的を3点制限点射や単発射撃で倒していく。

 

暫く桶間高地から銃声が響いていたが、それが収まると窪美台と同じく白旗が上がった。

 

「攻撃目標の制圧を確認しました!」

「良くやった。ここまで実戦的な演習の経験は少ない筈だが、素晴らしい手際だった。」

「流石、1年前まで最前線にいた部隊の腕前でしょう。TRMの方々に日々の鍛錬の成果を見せられて、隊員も満足してるでしょう。」

「大トリを飾るには充分でしたな。」

 

桶間高地内から上がった白旗を双眼鏡で確認した古澤は満足した表情を浮かべ、隣の湯浅は第3即応機動連隊の腕前を褒める。

 

陸自の実戦型演習が終わって間もなく朝日が立ち上り、砲撃で幾つものクレーターが空き、攻撃でボロボロになった窪美台と桶間高地の陣地がハッキリと写し出される。

11月3日から3日間に渡って行われた日東大演習は幕を下ろし、甲斐原演習場で陸自・東和陸軍・カリス陸軍装備の展示が行われた。各国軍の兵器を間近で目の当たりにした観戦武官や秋川大臣ら東和陸軍関係者はそれを打ち破る手段が自軍に無く、戦った場合は一方的に負けてしまう事を痛感した。陸自側も各国陸軍装備の見学や観戦武官からTRM加盟国軍の情報を得た。

 

この演習は日本とTRMが軍事的も繋がる大きなきっかけとなった。

それだけでなく、TRM加盟国は最新技術が詰め込まれた軍事力によって、日本の国力と技術力を取り入れようと画策しだす事になる。日本側もTRMのリアルな軍事力を目の当たりにし、今後の自衛隊はどうあるべきか考え直す事になった。

*1
六十二式軽戦車

東和初の五十七式戦車は歩兵支援に充分な性能を手に入れたが、高い最高速度と即応機動力が求められる威力偵察には不向きとされた為に、火力や防弾性よりも最高速度と機動力を重視した軽戦車として秋野重工業で製造された。外見モデルは九五式軽戦車。

車体は五十七式では出来なかったアーク溶接のみで作られている為に、大幅に軽量化されている。全長は五十七式より1mほど短いが六十三式無線機を搭載出来るスペースが確保されており、正規採用後に順次搭載されていった。

五十七式と同じく戦闘室と機関室を隔てる隔壁に、空冷ディーゼルエンジンの簡易的な整備を行う事が出来る連絡扉が設けられているが、車体後部にも大型の出入り口扉が設けられている。駆動方式には五十七式の反省から前輪駆動が採用されているが、サスペンションは同じ形式を採用している。

主砲は六十二式四十四粍対戦車砲を戦車砲に改造したものを左寄りで搭載しており、威力偵察に充分な火力と万が一の対戦車戦に対応出来る最低限の完徹力を有している。また同軸機銃として六十四式車載機関銃を車体前方に搭載している。

装甲は機動性重視の要求から試作段階では最大で15mmだったが、小銃弾ですら貫通できた為に溶接によって車体重量を軽量化出来た量産型では五十七式と同じ22mmに変更されている。また増加装甲板やゲージ装甲を取り付けられるフックが車外に取り付けられている。

五十七式を遥かに上回る機動力と対戦車戦能力を手に入れた上に、簡易的な渡河装備でも川を渡れるほどに軽量だった為に、戦車連隊では威力偵察や遊撃・奇襲に使用されており、空挺連隊や新設されたばかりの海軍陸戦隊にも配備されている。

スペック

全長:4.6m

全幅:2.24m

全高:2.39m

重量:8.54t

エンジン:A-22型 直6空冷ディーゼルエンジン

最高速度:46km/h

武装:六十五式四十四粍戦車砲

   六十四式車載機関銃 1基

装甲:車体前面 22mm

   車体側面 18mm

   車体上部 12mm

   車体下部 14mm

   砲塔周囲 16mm

   砲塔上部 13mm

乗員:3名

*2
六十二式小型乗用車

国内で民間自動車が普及し、一般市民にも自動車免許を持ち始める人が増え始めた為に、四輪駆動で高い不整地走行性能を有した小型乗用車として桓騎自動車で開発・製造された。外見モデルは九五式小型乗用車。

必要時のみ四輪駆動になる機構が採用され、通常時は後輪駆動で走行する為にジョイントはダブルカルダンジョイントが採用されている。後輪はリーフスプリング式の固定軸なのに対して、前輪はドライブシャフトのジョイント切れ角の条件を緩くする為にコイルスプリング式の独立懸架になっている。

民間乗用車と部品の互換性も重視された為に,エンジンや変速機・機器類に同じものを搭載している。

搭載量は少ないが四輪駆動によって道路整備状況が悪い地域でも充分に走行可能な性能を得た為に、戦場での偵察や連絡・将校の移動用車両として使用されている。

スペック

全長:3.82m

全幅:1.38m

全高:1.81m

重量:1.37t

エンジン:AX-8型 V2空冷ガソリンエンジン

最高速度:80km/h

乗員:3名

*3
六十六式自動二輪車

国内で一番のシェアを有しているBv-330 バイクを元に、左側にサイドカーを取り付けた軍用バイクとして販売元の槇尾自動車工業で製造された。外見モデルは九七式側車付自動二輪車。

バイク自体はサイドカー装備の為に前 3段・後 1段の手動シフトが取り付けられている事と、最低地上高を下げて悪路走破性を高めている以外は市販車と全く同じで、部品や燃料などを共有出来る様になっている。

サイドカーは不整地走行性能を上げる為にバイクに合わせて駆動する様になっており、操縦席左後方のクラッチレバーを操作する事で動作した。

バイク特有の柔軟に動ける機動性と高い悪路走破性・敵から発見されにくい隠密性を兼ね備えていた事から、歩兵連隊や戦車連隊・空挺連隊・海軍陸戦隊などに配備されて、偵察や伝令・警護などに使用されている。

スペック

全長:2.63m

全幅:1.85m

全高:1.19m

重量:550kg

エンジン:SC-27型 V2空冷ガソリンエンジン

最高速度:95km/h

乗員:2名

*4
六十五式十六連装ロケット砲

前任の後継として発射数を増加させた牽引式多連装ロケット砲として東和陸軍工廠で開発・製造された。

発射機の段数は4に増やされた為に、発射本数は16発に増やされた。戦場でパンクが相次いだゴムタイヤもパンクレスに変更されている。

前任の優れた操作性を確保しながら、面制圧射撃性の火力を強化して、戦場での機動性も上げた為に、五十七式を置き換えて歩兵連隊へと配備されている。

スペック

口径:40mm

砲身長:1100mm

重量:890kg

初速:307m/s

有効射程:6100m

弾種:榴弾・ナパーム弾・煙幕弾・照明弾

*5
五十七式戦車

チャルネスを筆頭に冷軽大陸各国の陸軍が近代化して、既存の装備では苦戦を強いられる事が想定された為に、戦場を駆け巡れる機動力と敵陣地を制圧出来る砲撃力を兼ね備えた戦車が必要とされ、三ツ和工業と東和陸軍工廠で共同開発・製造された。外見モデルは八九式中戦車。

車体は被弾時の乗員保護や軽量化を求めた為に溶接で製作される事が望まれたが、既存の溶接技術では不安があった為に表面浸炭処理を施したニッケルクロム鋼をアーク溶接とリベット接合の双方を使用して製造された。またフィルラント等の高温多湿なジャングルが広がる場所や、低温乾燥なレヴィンガル大陸北部でも運用出来る事が求められた為に断熱材としてグラスウールが貼られている。車体後部には塹壕乗り越え用の橇がついているが、通常時はドラム缶などを置く荷物置き場として使われている。

エンジンには大型で振動と騒音が大きいながら、燃費が良くて被弾時の引火性も低い空冷ディーゼルエンジンを搭載している。燃料タンクは車内スペースの問題から車外の履帯上部に置かれている為に被弾する可能性が高かったが、タンク内の燃料が引火点の高い軽油な為に問題視されなかった。戦闘室と機関室は隔壁で仕切られ、そこに設けられた連絡扉を用いてエンジンの整備を行う事が出来た。

駆動方式には後輪駆動を採用しており、車体後部左側に設置されたエンジンからコの字型の動力伝達機構でエンジン隣のクラッチとトランスミッションに繋がっている。動力伝達機構が複雑だった為に、後継では前輪駆動が採用されている。サスペンションには2つの車輪を連成懸架にして、それらを2組ずつで横置きのコイルスプリングで繋げる形式を採用しており、以降の戦車でも同じ形式が使用されている。

転輪は下に9個・上に4個ずつ取り付けられており、高速走行に不向きで整備性も悪化しているが、地形追従性に優れている。履帯には高い耐久性を持つ高マンガン鋼で作られた縦幅が短いものを装着している。

主砲は陣地攻撃や歩兵支援向けに開発された短砲身の58mm砲を搭載しており、専用の榴弾と対戦車を想定した徹甲弾が開発されている。同軸機銃として五十二式軽機関銃を車載出来る様に改造したものを車体前方と砲塔後部に搭載している。

東和初の戦車として新設された戦車連隊に配備され、フィルラント平定やティレンテ川の戦いで想定された役割通りの活躍をしたが、チャルネス軍戦車との戦闘で被害が大きかった為に対戦車戦に特化した六十八式戦車が開発された。

現在は六十八式戦車の戦車連隊配備で歩兵部隊での歩兵支援や、練習部隊で使用されている。また未開拓地相手では未だに過剰戦力になるほどの火力を有している為に、外地駐留部隊では主力で使用されている。

スペック

全長:5.89m

全幅:2.28m

全高:2.63m

重量:13.6t

エンジン:YM-54型 V8空冷ディーゼルエンジン

最高速度:37km/h

武装:五十七式五十八粍戦車砲

   五十二式軽機関銃 2基

装甲:車体前面 22mm

   車体側面 20mm

   車体上部 14mm

   車体下部 12mm

   砲塔周囲 21mm

   砲塔上面 13mm

乗員:4名

*6
六十八式五十四粍対戦車砲

チャルネス軍が開発した中戦車は小口径の六十二式対戦車砲では威力不足で対処出来ないとされた為に、後継として口径を拡大して対戦車性能を向上させた対戦車砲として牟礼重工で開発・製造された。外見モデルは一式機動四十七粍速射砲。

六十二式と同じ方式の閉鎖機や足回りを採用しながら砲身の口径を10mm拡大したり、砲身長も800mm程長くして初速を上げる・タングステン製の弾体を備えたAPDS弾を新規開発する等して対戦車能力を向上させている。

対戦車能力が格段に向上した為に六十二式を置き換えて歩兵連隊に配備される事になったが、六十八式戦車の戦車砲としての製造が優先されていた為に1671年時点では各方面軍の主力師団のみの配備に留まっている。

スペック

口径:54mm

砲身長:2610mm

重量:824kg

初速:850m/s

最大射程:7100m

弾種:榴弾・徹甲弾・成形炸薬弾・装弾筒付徹甲弾・演習弾

*7
六十八式装甲兵員車

戦車などの履帯車両でしか進めない悪路での兵員・物資輸送は、後輪に履帯を取り付けた六式六輪自動貨車で行っていたが、履帯取り付け・取り外しに時間がかかって非効率だった為に、五十七式戦車の歩兵連隊への転属に伴って半装軌式で悪路走破性を向上させながら、歩兵や物資を守れる装甲を有した装甲兵員輸送車として神屋重工業で開発・製造された。外見モデルは一式半装軌装甲兵車。

足回りは六十六式牽引車のものを改造した装軌式の走行装置と六式自動貨車から流用された前輪で構成されており、運転席前の傾斜がついたボンネット内に空冷ディーゼルエンジンが搭載されている。

内容積を確保する為に傾斜した薄い装甲で囲まれた車体後部のキャビンには折り畳み式の座席が12人分設けられており、座席を折り畳んだ状態なら2.5tの物資を乗せる事が出来る。また車体前面には障害物を乗り越える為の橇型の板が設けられており、後部には火砲や牽引台車を引くことが出来るフックが取り付けられている。

武装として重機関銃を取り付ける事ができ、運転席の中央を貫く様に設置して使用される。

舗装された道路や不整地の双方で高い機動性と速度・牽引能力を発揮でき、製造・運用コストも安かった為に大量生産されて、歩兵連隊に多くの車両が配備されている。

スペック

全長:6.42m

全幅:2.34m

全高:2.74m

重量:7.87t

エンジン:Kb-88型 V8空冷ディーゼルエンジン

最高速度:65km/h

装甲:前面 11mm

   側面 8mm

乗員:3+12名

*8
六十三式重機関銃

目立つ欠点が無く非常に優秀だった重機関銃だったが、採用から20年近く経過した間に発展した装甲車両や航空機に対して8.1mm弾では有効打を与える事が出来ないとされた為に、前任をベースに弾薬の口径を9.2mmに拡大すると共に、製造工程の簡略化を行って量産性や整備性を上げた重機関銃として沖名重工で製造された。外見モデルは九二式重機関銃+一式重機関銃。

ベースとなった重機関銃が大型で頑丈だった為に、口径拡大の改良に十分対処する事が可能だった。給弾や排莢方式はベースを受け継いでおり、弾帯以外の部品は共有する事が出来る。製造工程の簡略化として銃身周りの放熱ファンは減らされた事で銃身が過熱しやすくなった為に、容易に銃身を交換出来る構造になっている。

前任では航空機に対する命中精度が問題になった為に仰角を45°まで上げられたり,安曇光学工業製の光学照準器を尾部に装着出来る様になっている。

前任の重機関銃の性能や信頼性を引き継ぎつつ、光学照準器を搭載した為に高い命中精度を手に入れた。また口径拡大などの改造で試作段階では非常に重くなったが、各種軽量化を行った為に2kgの増加に抑える事に成功した為に歩兵連隊に配備された。

スペック

口径:9.2mm

銃身長:681mm

装弾数:ベルト給弾

作動方式:ガス圧作動・ロッキングブロック式

全長:1091mm

重量:46.2kg

初速:635m/s

有効射程:900m

*9
六十八式小銃

採用から20年が経過した前任の後継として、弾薬を9.2mmに変更した小銃として沖名重工で製造された。外見モデルは九九式短小銃。

戦場での取り回しを向上させる為に銃身は100mm程短縮されており、前任と比べて200g程の重量増加に抑えている。六十七式と同じく耐久性向上のクロムメッキが銃身内に施されている。前任よりも各種部品の量産性と互換性を更に高めている等の様々な箇所を改善している。

スペック

口径:9.2mm

銃身長:708mm

装弾数:5発

作動方式:ボトルアクション式

全長:1190mm

重量:3940g

初速:736m/s

有効射程:1600mm

*10
六十七式軽機関銃

前任の後継として口径を六十三式重機関銃や六十八式小銃と同じ9.2mmに拡大すると共に、複雑だった内部構造を改善した軽機関銃として緋王工機で製造された。外見モデルは九六式軽機関銃+九九式軽機関銃。

給弾方式は30発の箱型弾倉を上部に取り付ける方式を採用している為に、前任に比べて内部構造を簡略化して生産性と整備性を向上させている。また弾倉口や蹴子・薬莢蹴出窓に防塵対策のカバーが設けていたり、残弾確認用の丸い小窓が設けられている。

それ以外にも短機関銃と同じく耐久性向上としてクロムメッキを銃身内に施していたり、銃口に着脱式のフラッシュサプレッサーや左側面にアイアンサイトを、右側面に対物レンズが装備されている・製造にプレス加工が用いられている為に部品の互換性と整備性を高めている等の改良点がある。

前任軽機関銃の後継として六十八式小銃が配備された歩兵部隊や空挺部隊・海軍陸戦隊に配備されている。スペック

口径:9.2mm

銃身長:510mm

装弾数:30発

作動方式:ガス圧作動・ロッキングブロック式

全長:1320mm

重量:13.2kg

初速:730m/s

有効射程:1150m

*11
五十七式擲弾発射器

前任の擲弾発射機の後継として、射程延長と命中率改善を重視した擲弾発射器として浜登工業で製造された。外見モデルは八九式重擲弾筒。

本体の構造は前任を引き継いでいるが,分解せずに持ち運ぶことが出来る構造になっており、重量が2kgほど増加していたが素早い展開を可能にしている。

専用砲弾として五十四式迫撃砲の砲弾を元にして榴弾が開発されており、射程が700mに延長されている。また最大射程が1/3程に落ちるが、通常手榴弾や催涙手榴弾を発射する事も出来る。

使用する際には湾曲した台座を地面に当てて、ライフリング条が入った砲身を45°に調整した後に、砲身後部のつまみを回して射距離を調整し終えると支柱に取り付けられた引き金を使って発射する。

一人で運用出来る位に小型かつ軽量で、長射程・高威力だった為に歩兵大隊に4門ずつ配備され、歩兵や空挺連隊の貴重な火力として活躍している。戦車連隊や特科連隊・補給部隊にも自衛武器として配備されている。

スペック

口径:58mm

銃身長:260mm

全長:610mm

重量:4.8kg

最大射程:700m/210m(手榴弾)

*12
六十七式迫撃砲

前任迫撃砲の後継として分解輸送が可能な迫撃砲として牟礼重工で開発された。外見モデルは九七式曲射歩兵砲。

分解可能な構造にして持ち運びを容易にした上で発射速度が速く、発砲時の音や煙が少ない点が歩兵から高い評価を得た為に、歩兵連隊以外にも警備部隊や海軍陸戦隊にも配備された。

スペック

口径:84mm

砲身長:1322mm

重量:74kg

初速:195m/s

最大射程:3040m

*13
原芽軽装甲車

チャルネス製の有嵐重装甲車と東和製の軽装甲車をベースに火力や防御力・エンジンを改良した豆戦車として蛭清重工業で製造された。外見モデルは九七式軽装甲車。

リベット接合で作られた車体は生産性悪化を代償に、曲線や被弾経始を多用して防御力を上げている。ガソリンからディーゼルに変更されたエンジンは騒音や車内温度上昇を防ぐ為に車体後部に設置され、戦闘室と区切られた事で搭乗環境を向上させた。

武装としてチャルネスの火-7型43mm戦車砲をライセンス生産したものを砲塔に搭載する事で火力を大幅に向上させたが、砲塔の旋回方法は手動旋回のままになっている。また砲塔後部には防弾ガラスがつけられた展望窓が設置された事で、視界を向上させている。

前任の軽装甲車よりも火力や防御力を向上させながら、最高速度が余り変わらなかった為に偵察や連絡・警戒を行える汎用装甲戦力として陸軍と海兵隊の歩兵部隊と機甲部隊に配備された。

スペック

全長:3.94m

全幅:2.15m

全高:2.01m

重量:4.97t

エンジン:AP-30型 直4空冷ディーゼルエンジン(80馬力)

最高速度:48km/h

武装:FI-1型43mm戦車砲

装甲:前面 14mm

   側面 8mm

乗員:2名

*14
有嵐重装甲車

カリスを挟んでいる東和・チャルネス両国で戦車開発が始まった事を受けてカリス軍でも戦車導入が検討されたが、軍の予算や技術力不足を鑑みて装軌式装甲車の導入に切り替えられた。方針転換こそしたがそれまでの主戦力だった騎兵部隊の後継となる機甲部隊の主力として、充分な火力と防御力・速度を持った重装甲車としてチャルネスの納遁軍工廠で設計され、蛭清重工業で製造された。外見モデルは九二式重装甲車。

縦に長い車体はチャルネスでも初となる溶接を用いて作ったが東和と違って未成熟だった為に強度不足を原因とする溶接剥離が発生した事から、量産車ではリベット接合で作られている。エンジンはチャルネス製の玉馬自動貨車の玄-09型をライセンス生産した物が搭載されており、民間でも使われているトラックとエンジンを共有する事で整備性を上げていた。

武装として東和製の軽機関銃1基を搭載した砲塔を車体上部に備え、車体前部にも重機関銃を設置している。当初はチャルネス製を搭載する予定だったが、搭載予定だった機銃は性能不足だった事から東和製に切り替えられた。

火力や防御力が貧弱だったがトラックと同等な速度と機動力を持っていた為に、各方面師団や海兵師団に機甲部隊を編成すべく製造・配備された。天全中戦車のライセンス生産が始まると要所や補給線の警備といった後方支援へと回ったり、サリバーやシーリア・フィルラントへも騎兵戦車として供与された。

スペック

全長:4.17m

全幅:1.88m

全高:2.04m

重量:3.88t

エンジン:狩玄-9型空冷直6ガソリンエンジン(75馬力)

最高速度:46km/h

武装:理鰓重機関銃 1基(車体前部)

   江輪軽機関銃 1基(砲塔)

装甲:6mm

乗員:3名




・日東大演習の裏話
プロット当初は前に登場した東和の都市 牧都で、日本に東和が乗っ取られるのを危惧した軍部によるクーデターが発生し、日本人が拘束された為に陸自部隊が鎮圧に出撃するという展開でした。
“牧都事変”という名称まで与えてましたが、東和軍のクーデターを陸自が鎮圧する理由が無いので、日東大演習へ変更しました。
部隊こそ違いますが即応機動連隊やC-NITEのAH-1Sが登場するのは、牧都事変の展開から引き継ぎました。

・カリス陸軍兵器
今回登場したカリス陸軍の兵器には東和の装備をライセンス生産した物も含まれており、ライセンス生産品は設定集に載せませんでした。

前書きにも書いたように今回で日東大演習は終了です。次回はこの演習を受けた自衛隊の戦略方針について語ります。
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