New world note in Earth   作:YUKANE

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イスラエルとアメリカがイランを攻撃と言う信じられないニュースに驚かれました。ハメネイ師の死亡や米原潜によるイラン海軍フリゲートの撃沈、B-52による爆撃が出来る程に防空網が崩壊した、在日米軍の投入等の情報が日を追うごとに入って来て、毎日困惑しっぱなしです。

イランは中東各地にも攻撃している様で、このまま中東全土が戦場になるかもしれません。我々は教科書に載る歴史の変化を目の当たりにしているかもです。

今回は東和海軍とティアンワ海軍の海戦を描きます。東和海軍パートを纏めて描いた結果、1万3千字近くの大作になってしまった····

※2026/3/16 書き損じた脚注を補足


Episode.66 シオラ半島の墓標

日東艦隊のバリア泊地出港の一報はパータの監視所から電文を用いてジャラカの軍司令部へ通達され、直ちにスラヴァ海軍基地のティアンワ海軍第1・第2艦隊に出撃が命じられた。

開戦後から緊急の出航に備えて、艦を動かすボイラーに火が灯った状態を維持していた為か、両艦隊は夜明けと同時に出港を始めた。石炭専焼ボイラーが吐き出す幾つもの煤煙が朝焼けの空を汚し、凪いだ海面に白い波跡(ウェーキ)を何本も刻んでいく。

 

艦隊を構成するのは蒸気機関と帆を組み合わせた帆船が大半を占めていたが、その中に1隻だけ異質な艦が紛れ込んでいた。

全長に対して横幅を狭くして安定性を高めた長船首楼型の船体は衝角を廃した切り立った艦首を持ち、船体中央から生える2本の煙突からは重油と石炭の煤が混じった煙を吐き出す。艦橋前と煙突に挟まれた船体中央・艦尾に備えた連装砲はどのティアンワ軍艦よりも巨大で、船体側面の副砲と合わさって要塞の如き重厚感を漂わせる。

 

それはフラスタリアから供与されたオピリオン級戦艦ことエリルベリャ級戦艦*1の「エリルベリャ」。フラスタリアからすれば練習艦になる旧式の準弩級戦艦であったが、ティアンワでは技術やドックの問題で国産化出来なかった事も相まって、最新鋭の虎の子として扱われていた。

前線に出る主力艦隊では無く、本土近海で新兵を育成する練習艦隊に姉妹艦と揃って属しているのも虎の子っぷりを表しており、今回の第1艦隊編入は初めての実戦にして、国の命運を左右する重要な一戦が迫っているのだと知らしめていた。

 

第1艦隊と全体の旗艦を任せられた「エリルベリャ」の艦橋は、四角柱を根幹に横に飛び出た見張り台(ウィング)を持つ構造をしていた。トラクティア諸国や東和・茶瑠祢須の弩級戦艦が誇るマストと統合した艦橋からすれば平べったい古めかしい代物だが、ティアンワ海軍にとっては最新鋭の設備であった。

 

ヴィジランド海軍の観戦武官として乗艦していたガーツ・ローランズ大尉も内心ではそう思っていたが、それを口に出さない様に気をつけながら艦隊幹部に対して話していた。

 

「東和艦隊がヴィジランド海軍(我々)と同じ速力だと仮定した場合、途中で何かが無ければタンキル海峡は間違いなく越えているでしょう。

その場合この艦隊と相見えるのはガンヴァ岬もしくはシオラ半島沖合かと。」

「シオラ半島は急峻な山々が壁となって反対側を視認出来ない。もし、待ち伏せでもされたら反撃出来ずに滅多打ちにされかねん。」

 

第1艦隊司令官のオルベ・コヲ・ソルダート中将は、幾度もの航海で馴染み深いシオラ半島の地形を思い浮かべながら最悪のシチュエーションを仮定した。

ただでさえ強力な艦隊が不意打ちとなる待ち伏せを選択すれば、劣勢なティアンワ艦隊が一方的にやられるのは目に見えていた。ティアンワ艦隊が岬を背に待ち伏せを行うのも選択肢ではあるが、東和艦隊が予測通りに通る算段は無いだけでなく、航空機とやらで空から襲撃を受ける可能性すらあった。

 

(我が方に勝機が無いのが素人でも分かる厳しい状況───だか、国を護り、姪の仇を取るには戦うしか無いんだ!)

 

オルベ自身も自らの艦隊に勝利の見込みなど存在しないのを認識出来ていたが、彼に戦わない選択肢は無かった。その原動力には母国であるティアンワを護る使命と同時に、この戦乱で亡くした妹への敵討ちも含まれていた。

彼の姪 ミラメンは海上揚陸旅団司令官として前線基地予定地とされた南鳥島(孤島)を占領すべく出港し、二度と帰ってこなかった。実際に彼女を戦死させたのは日本の海上自衛隊だったが、それを知る由もないオルベにとっては可愛がっていた姪を亡き者にした復讐すべき相手として認識されていた。

 

「オ、オルベ司令!! 空に鳥ではない何かが飛んでいます!!」

 

国を護る使命と姪への弔いに燃えるオルベが見張りの報告を聞いて間もなく、何かが風を切る音が空から聞こえてくる。オルベが上空に目線を向けると、先端で小さな風車を回す細長い小さな物体が鳥の如く飛んでいるのが視界に写った。

 

「な、なんだ!? あの蜻蛉の様な物体は!?」

「航空機です! 十中八九東和のものでしょう!!───あれは()()()()ベースか?」

 

オルベは驚愕しながら、ガーツは自国と照らし合わせながら眼前を飛ぶ航空機を見上げる。

ガーツの予測は正しく、第1艦隊唯一の航空戦力である第1航空戦隊に属する麗鷹級航空母艦「玄鷹(げんよう)」から飛び立ち、ティアンワ艦隊捜索にあたっていた第1空母航空師団第833飛行隊の六十四式攻撃機であった。低翼配置の片持ち主翼に内蔵されたインテグラルタンクによる2200kmの航続距離と3人乗りを活かして10機が艦隊捜索の任についており、その中の5番機がティアンワ艦隊の上空にいた。

 

オルベら艦隊幹部だけでなく、「エリルベリャ」の甲板にいた水兵も悠々と舞う六十四式攻撃機を見上げていたが、不意に重厚な射撃音が連続して響く。全員が音の方を向くと、1基の40mm連装機関砲が六十四式攻撃機目掛けて射撃を始めていた。

 

「全く届いてないではないか。撃ち方を止めさせろ!」

 

自らの上を悠然と飛ぶ航空機に攻撃しないのに苛立った機銃手が独断で行っただけでなく、貴重な40mm弾の浪費を防ぐべくオルベは射撃を止める様に指示を出す。当の六十四式攻撃機は一瞬回避行動を取ったものの、当たらないのに気付くと優位性を見せびらかすかの如く再び艦隊上空へと戻ってきた。

暫くティアンワ艦隊上空を旋回しながら飛んでいた六十四式攻撃機は、使命を果たしたのか南西に針路を向けて飛んで行った。

 

「単機である事から恐らく──いえ、間違いなく偵察でしょう。」

「我々の位置がバレたと言うわけだな。接敵は近い! 全艦戦闘体制!!」

 

時間と共に小さくなっていく六十四式攻撃機を見送りつつ、航空機に関する認識が豊富なガーツの補足を受けたオルベは全艦艇に戦闘体制を命じた。

彼の指示はウィング上の信号灯や手旗信号を用いて、各艦へ共有される。水兵は各々の持ち場へつき、いつでも発砲出来る様に弾薬庫から運ばれた砲弾が送られる。シフト外の見張り員もマストへ登り、東和艦隊を一早く見つけるべく周囲を見渡す。

いつ砲撃を食らうか分からない緊張感が艦隊を包む。未だかつて無い強敵との戦いを前に、艦隊へ覆い被さったピリピリとした空気を打ち破ったのはまたしても見張り員だった。

 

「艦隊2時方向に艦隊と思わしき煙を確認!! 距離7000!! 数6!! 高速で接近しています!!」

「7000だと!? 何故気づけなっ!?───煙が薄い!! あれで視認性を下げたのか!!」

 

反射的に見張り員が示した方角を望遠鏡で覗いたオルベは、煤煙の濃度を下げる事で視認性を下げているだと直感する。その傍らではガーツが母国製の双眼鏡で視認した東和艦隊の姿に目を見張っていた。

 

「アレが東和海軍の超弩級戦艦!! クイーン・エネリス級にも劣らない大きさだ! 巡洋艦に駆逐艦もデカい!! 我が国と対等に戦えるではないか········」

 

東和海軍の艦艇群を初めて目にしたガーツは、噂通りトラクティアの主要国並みの軍事力を持っていると確信した。

東和海軍の超弩級戦艦こと夏姫級戦艦「彼月」は稲津級巡洋艦*2菊乃(きくの)」と、時風級駆逐艦*3「朝風」・「秋風」・「沖風」・「飛風(とびかぜ)」で組まれた第2駆逐隊を率い、先陣として斬り込もうとしていた。

 

「彼月」が前部甲板に背負い式で備える41.3cm三連装砲がゆっくりと左舷へ回り始める。続けて「菊乃」の21.1cm三連装砲と、駆逐艦の13.4cm連装速射砲も砲口をティアンワ艦隊へ定める。槍の如く長い砲身を20門近く向けられたティアンワ艦隊に死の恐怖が水紋の様に広がっていく。

 

「なんて馬鹿でかい大砲だ─────っ!?」

 

オルベが艦砲の大きさを認識する前に「彼月」の主砲が火を吹いた。海戦の始まりを告げる第1主砲と第2主砲の一斉射は、先陣を任された第2艦隊へ夾叉もしくは船体へ命中し、41.3cm砲弾の時限信管が破壊を齎す。

直撃した艦は常識外の炸薬で中から呆気なく破壊され、水中で爆発した砲弾は海水を盛り上げて船を傷みつける。泡が伸縮と膨張を繰り返すバブルパルスによって、あっという間に限界に達してた鉄骨木皮の船体は不快な軋み音を立てて裂け、一部の艦は積まれていた砲弾が誘爆して船としての機能を失っていく。

 

「フリゲート「ティアレ」、コルベット「アリイア」・「グライア」、スループ「グラフォル」・「レバド」・「サジュン」轟沈!?───あ、あっあ!! コルベット「サルイア」も爆発!!」

「一発で旗艦を沈めただと!? 巫山戯た威力だ!! こっちも反撃だ! 主砲回せぇ!!」

 

初弾にして第2艦隊旗艦を含む7隻の艦艇を葬られたティアンワ艦隊に、これまでよりも現実的で悍ましい恐怖心が舞い起きる。オルベ自身も常識外の脅威に晒されながらも、海軍としての使命を果たす為に反撃を命じた。

 

38000馬力を出すグラノーレSF-47型ギヤードタービン 4基から分けられた動力が、「エリルベリャ」の前甲板と艦中央に備えられた34.8cm連装砲が右舷へ旋回させる。ティアンワ海軍で最大の砲塔が敵艦隊へ向き、他の艦も船体の中心に砲身を備えるセンターピボット式の主砲を続いて旋回していく。

 

ティアンワ艦隊が戦闘態勢に入る中で、東和艦隊の先遣隊的な立ち位置となった「彼月」と「稲津」が再度砲撃を始めた。主砲だけでなく駆逐艦の主砲を流用した副砲と高射砲も混ぜて第2艦隊に更なる打撃を与える中、第2駆逐隊はAK-22A3型蒸気タービン 2基が齎す33.9ノットにもなる最高速度を用いて第2艦隊へ切り込もうとする。

絶え間ない砲撃でティアンワ海軍第2艦隊はボロボロになり、組織的な艦隊行動が不能になって各々で逃げ出そうとした艦艇へ急速的に接近した時風級駆逐艦 4隻はダメ押しの一撃を浴びせる。主砲の13.4cm連装速射砲による速射でスループ「オクターン」と「ガラメン」が轟沈したのを筆頭に、ティアンワ艦隊は逃げる事も許されずに海の藻屑へ変えられる。

 

「だ、第2艦隊────全滅です··········」

「なんと言う事だ·········」

「ここまでの砲撃精度とは··········相応な練度を持っているぞ。」

「怯むな!! 第2艦隊の仇を取り、本土への攻撃を防ぐぞ!! 砲撃開始!!」

 

26隻で構成された第2艦隊が僅かな時間で全滅するのを目の当たりにした艦隊参謀やガーツは、東和艦隊の強さと逃走の余地すら一切無い冷酷さを思い知らされていたが、オルベは恥じらうことなく反撃に踏み切った。

 

旋回と照準合わせ・砲弾と装薬の装填を終えた34.8cm連装砲が、ティアンワ海軍に編入されてから初の実戦で火を噴く。フリゲート艦もヴィジランド製の後装式203mmライフル砲を、コルベット艦とスループ艦はライセンス生産された180mmライフル砲を立て続けに撃ち始める。

ティアンワ海軍で最高練度を誇る第1艦隊の砲兵は人力ながらも機敏な動きで素早く再装填を行い、東和艦隊への砲撃を絶えずに行う。「エリルベリャ」もフラスタリア製の昇降機によって砲弾と装薬を運び、大口径の一撃を間髪入れずに撃ち込んでいく。

 

ティアンワ海軍の熾烈な砲撃の半数は東和艦隊の眼前へ着弾していくが、「エリルベリャ」の34.8cm砲弾やベルリナ級の203mm砲弾の一部は至近弾となり、これまで対等な相手との戦闘経験の無い海軍将校らを混乱させていく。

砲撃を避けるべく各艦ごとに針路を変えて、東和海軍艦隊が散り散りになる光景はオルベらティアンワ海軍の士気を大きく上げたが、それを氷点下の絶望感へ急転直下させる相手が右側から近づいていた。

 

「5時方向に敵艦隊!! 距離11000!! 数10!! 」

「なっ!?───しまった!? 挟み込まれた!!」

 

絶叫に近い見張り員の報告を聞いたオルベが右舷を向くと、フィルターにかけられた煤煙を上げながら近づく10隻の艦隊が目に映った。

艦隊旗艦の夏姫級戦艦「奥羽(おくは)」率いる巡洋艦「稲津(いなづ)」と2個駆逐隊で構成された10隻は第1艦隊の本隊であり、「彼月」の先遣隊に続いてティアンワ艦隊に攻撃する役目を任されていた。奇しくも先遣隊を追走するティアンワ艦隊に並走する同航戦の状態になり、ティアンワ艦隊は分離した2個艦隊によって前と右から挟撃させる形になった。

 

「全艦取舵!! 挟撃から免れるぞ!!後部主砲を後方の艦隊へ砲撃して足止めし──っ!!」

 

オルベが挟撃を免れるべく左へ進路を変え、後続の艦隊への牽制を指示したが、先遣隊から降り注ぐ砲撃が指示の伝達を妨げる。その間にも「奥羽」以下本隊の10隻は主砲の左旋回をし、魔南向司令官の指揮で砲撃が始まった。

発砲の黒煙が上がり、轟音が響く頃には何十発もの砲弾がティアンワ艦隊へ降り注ぐ。1万1000mの距離から弧を描いて飛んできた砲弾の一部は海中へ突き刺さるだけだが、半分近くは夾叉もしくは至近弾となり、海中の爆発が船体を傷みつける。奇しくも砲弾が命中した艦は弾薬庫の誘爆も合わさって内部から爆発を起こして引き裂かれた。

 

「フリゲート「オルガーナ」、コルベット「サドイア」・「デロイア」、スループ「ガシュレ」・「フルカ」・「クラレ」轟沈!!」

「たった一撃で───っ!? 被弾か!!」

「奥羽」(敵戦艦)の砲弾が艦首に命中!! 被害甚大!!」

 

東和海軍艦隊の高精度な砲撃に慄くオルベの全身に猛烈な振動が襲いかかる。振動源と思わしき艦首には爆発による黒煙が立ち込めていたが、「奥羽」が撃ち込んだ43.1cm徹甲弾の命中で生じた大穴が見えていた。

 

「前弩級戦艦の装甲を一撃で────あの砲はクイーン・エネリス級を超えているのか!?」

 

非バイタルパートとは言え、197mmもの舷側装甲を一発で貫いた「奥羽」の砲撃を目の当たりにしたガーツは、近づきつつある東和の戦艦の巨砲が、自国の誇る超弩級戦艦を上回っている可能性に思い当たった。

 

機関を全開に回して挟撃から逃れようとしたティアンワ海軍第1艦隊だったが、東和海軍はそれを上回る走力で素早く前と右舷から挟み込む陣形を作り上げた。2方面から砲撃を撃ち込まれたティアンワ艦隊は次々と撃沈されていくが、そんな中で「エリルベリャ」の砲撃が第15駆逐隊の時風級駆逐艦「東風(とうかぜ)」へ命中した。

 

「東風」(敵艦)に命中弾あり!!」

 

34.1cm砲弾が船尾へ命中した「東風」は主砲の旋回機構と給弾装置をやられただけでなく、2軸あるスクリュー軸の片方を折られた為に爆発を起こしながら速度を落として行く。

漸く敵艦へ一矢報いた砲撃にティアンワ水兵は湧き上がったが、その一発は焼け石に水に過ぎなかった。既に第1艦隊に属していた艦の半分は海の底へ沈み、浮いている艦も何処かしらに損傷を負っているだけでなく、戦闘能力を失った艦もいた。

 

「最早これまでか··············「サリシュン」に“残存艦を率いて退却せよ”と伝えよ!! 本艦は殿として食い止める!!」

 

組織的な戦闘が出来なくなったと認識したオルベは退却を決断した。旗艦を残存するフリゲートへ託し、艦隊で最も大きな乗艦を退却する仲間を護る盾となるべく、5つの主砲と片舷3基の13.8cm単装速射砲を東和艦隊へ撃ち込んだ。

残る砲弾を使い切るかの如き速射と広範囲にばら撒く砲撃は駆逐艦の接近を阻む壁となったが、より遠距離に陣取る巡洋艦「稲津」の3連装砲が撃ち込む21.1cm砲弾が壁を壊す様に右舷へ直撃した。

 

「4番、5番主砲大破!! 砲撃不能!!」

「右舷副砲群大破!!」

「右舷缶室に甚大な被害あり!!」

 

艦級だけは格下ながら最新鋭の巡洋艦の砲撃は、前弩級戦艦

の戦闘力と航行に大きな打撃を与えた。「エリルベリャ」の速度はみるみる落ちていき、格好の的と化した前弩級戦艦に集中した駆逐艦の射撃が艦上構造物を破壊していく。

集中砲火を浴びた「エリルベリャ」は瞬く間に戦闘能力を喪失し、航行速度は鯨よりも鈍足へ落ちていく。喫水線下にも被害を食らったのか、船体は少しずつ右へ沈み込み始めていた。

 

「最早これまで──────総員退艦せよ!! 私はこの結果の責任を取らなければならない。」

「艦に残る気ですか!? ヴィジランドでは艦と命運を共にするのは後世までの愚行!! 生きて帰れば失態を挽回するチャンスが──」

「魚雷5本接近!!」

 

敗北と帰還が不能だと悟ったオルベが総員退艦を下令する。見張り員が大声と釣鐘を鳴らして、乗組員へ総員退艦を伝える。艦橋にいる艦隊幹部も敬礼を告げて退艦していく中、オルベだけは艦隊全滅の責任を取って艦と命運を共にすると宣言する。

防水袋に入れた海戦と東和海軍の記録を本国へ持ち帰るべく、海へ飛び込もうとしたガーツはオルベの宣言を聞いて思わず反対意見を述べる。母国での扱いを用いてオルベの行動を変えようとしたガーツだったが、見張り員の絶叫がそれを妨げる。

 

時風級駆逐艦の船体中央に2基備える五連装魚雷発射管から射出された65cm空気魚雷は、海中と言う名の蒼いキャンパス海中に白い線を描きながら「エリルベリャ」へ接近する。「風」が打ち込んだ5本の内、3本が沈みつつあった「エリルベリャ」の右舷へ突き刺さる。

煙突すらも越える白い波飛沫が3本上がり、間もなくして右舷に大爆発が起こる。弾頭の爆発とバルブパルスが混ざりあい、被弾で傷ついた船体が呆気なく壊される。爆発で開いた破孔から流入した海水は重石として27400tの船体を海中へ沈め込む。

 

度重なる被弾と海水の水圧でボロボロになった船体は、中央から2つに引き裂かれる。煙突は転がりながら崩れ落ち、速射砲や機銃と共に水兵が海中へ滑り落ちる。

船体が沈むに連れて艦首と艦尾が上がり、沈み込む場所に渦が巻き起こる。沈没の衝撃で主砲弾薬庫に残されていた砲弾が誘爆し、水を巻き上げた大爆発が起きる。

 

轟音を響かせ、爆煙を天高く上げた爆発はフラスタリアとティアンワ 2国を渡り歩いた戦艦に終焉を告げる。「エリルベリャ」は海面に浮かぶ多くの水兵を渦に巻き込みながら、海中へ没した。

 

渦への巻き込みを免れた艦隊参謀やガーツは海上から姿を消した戦艦と、命運を共にしたオルベ司令官に対し、敬礼を告げる。東和海軍第1艦隊も盾となった戦艦に敬意を評し、魔南向司令官らが敬礼をした。

 

後にシオラ海戦と呼称される海戦は、ティアンワ艦隊旗艦の撃沈を持ってして終結した。駆逐艦1隻の被弾のみで完勝した東和艦隊は敗走するティアンワ艦隊を負わず、自らが沈めた艦の乗組員救助に専念した。

敵味方問わずに救助する東和海軍の姿勢は、国を滅ぼさんとする敵だと抱いていたティアンワ海軍水兵の心証を刺激し、戦後の両国関係に大きな影響を及ぼした。また、水兵に混じって救助されたガーツは、金髪の白人と言うティアンワ人と異なる見た目から重要人物とされ、治療を行った後に旗艦での尋問が行われる事となり、東和がヴィジランドを知ったきっかけとなった。

 

ティアンワ水兵の東和への心証が改善される中、この時点で艦隊の母港であるスラヴァに戦火が及んでいるのを知る由もなかった。

 

 

シオラ半島沖合でティアンワ艦隊と東和艦隊が海戦を繰り広げる中、第1艦隊に続いてタンキル海峡を抜けた東和海軍第7艦隊は大きく膨らむ航路で戦闘海域を迂回し、ティアンワ海軍の拠点にして国内最大規模の港湾都市 スラヴァへと向かっていた。

陸地から遠く離れた海域を通過した為にティアンワ側は気付くのが遅れ、スラヴァに面するジェデベック湾を警戒していた守備艦隊の電信が第一報となった。

 

「敵艦隊速度増幅!!」

「漸く気づいたみたいだ。まずはあの艦隊を蹴散らす。前部主砲照準合わせ!! 上空の観測機は弾着観測!!」

 

戸妻級巡洋艦のネームシップにして第7艦隊旗艦を務める「戸妻」の艦橋にして、司令官の井筒(いつづ)冬鬼(とうき)中将は本攻撃の露払いとして、守備艦隊への砲撃を命じた。

 

艦首甲板に背負い式配置で積まれた21.1cm連装砲が左舷へ旋回し、それぞれの目標へ照準を合わせる。既にNS-3XA型火薬式カタパルトで「戸妻」から発艦した六十一式水上偵察機*4は艦隊前方を飛んで、砲撃目標となる守備艦隊に対して弾着観測を行える状態にあった。

 

「主砲照準完了!!」

「観測機準備良し!!」

「一番、二番砲撃ち方始めぇ!!」

 

井筒の号令で「戸妻」の主砲が火を噴く。開戦の合図となった砲撃は空を裂き、旗艦のフリゲート「ベルリナ」とコルベット「テライア」へ2発ずつ直撃した。

ベルリナ級のネームシップとワークホースであるコルベットは、弾頭の爆発と砲弾の誘爆で呆気なく海底へ葬られた。

 

「一発で命中とは───貴艦の砲術手は素晴らしい腕前だ。」

「お褒めの言葉ありがとうございます。後で各砲の要員に伝えておきます。」

「後続の「零基(れいき)」も砲撃始め!!」

 

井筒の褒め言葉に、艦長の雨崎(あまざき)(れん)中佐は砲術手に代わって感謝を述べる。その間にも後続する巡洋艦「零基」が砲撃を始め、守備艦隊に21.1cm砲弾の雨を降らせる。絶え間なく降り注いだ砲撃によって、残っていたコルベット「へロイア」と4隻のスループは次々と撃沈された。

 

「敵艦隊全滅!!」

「良くやった。次はあの砲台だ!」

 

守備艦隊が呆気なく全滅すると井筒は完勝に喜ぶこと無く、直ぐに次の目標を指定した。

ジェデベック湾を一望する南西の高台に位置するパールティア要塞は、ティアンワでは希少な鉄筋コンクリートで建設されただけでなく、エリルベリャ級の34.8cm砲を転用した要塞砲を3基備えた攻守共に優れた要塞であり、スラヴァを護る守り神として鎮座していた。

 

単装で設置された要塞砲は建設された使命を果たすべく、備え付けの発電設備によって第7艦隊に向けて動き始める。だが、最高速度が30ノット超えの巡洋艦と駆逐艦で構成された第7艦隊を捉える事が出来なかった。それどころか湾内を高速で駆ける「戸妻」と「零基」は、守備艦隊を葬った砲を要塞砲へ照準を合わせていた。

 

「照準合わせ!!」

「ベトン弾の装填を確認!!」

「一発で当てろ!! 撃てぇ!!」

 

井筒は要塞を射抜くベトン弾の装填確認を経て、発砲の号令を発する。装薬によって21.1cmの砲身を通って放たれたベトン弾はその重さを感じさせずに飛翔し、速度と重さを味方に鉄筋コンクリートの壁へ突き刺さる。

要塞壁へ突き刺さったベトン弾の信管が起爆し、積められた装薬が要塞を中から突き壊す。外からの砲撃だけを想定していた故に、防御機構の存在しない要塞内部は爆風によって瞬く間に壊されていく。爆発は要塞砲の砲弾を仕舞う弾薬庫にも届き、積まれた砲弾を誘爆させた。

戦艦級の主砲の砲弾の誘爆は要塞全体を包み込み、要塞の機能を内側から失わせる。行き場を失った爆風は壁を壊し、要塞砲を空へ突き上げた。

 

「要塞砲が!!」

「一撃でここまで壊れるとは········」

 

8発のベトン弾で要塞が呆気なく壊れ、要塞砲が空を飛ぶ光景を目にした井筒らは唖然としていたが、結果としては要塞の無力感に成功した為にスラヴァへ砲撃すべく接近する。だが、空から先にスラヴァを偵察していた六十一式水上偵察機から電信が届く。

 

「観測機より電信! “湾内に前弩級戦艦と装甲巡洋艦1隻ずつあり”」

「前弩級戦艦に装甲巡洋艦だと!?」

 

思いがけぬ報告に驚いた井筒が自前の双眼鏡を介してスラヴァを覗くと、古めかしい蒸気帆船の中に佇む前弩級戦艦と装甲巡洋艦を視認した。2隻の煙突からは煤煙が噴き出し、静物ではなく動く状態であると知らしめる。

 

「海自が撃沈したと聞く装甲巡洋艦の同型艦でしょうか?」

「写真を見てないから分からんが、可能性は大いにある。だが、今の我々にとって厄介なのには変わらない。」

 

井筒に続いて双眼鏡を覗く雨崎と2隻に対する考察を交わすが、それ以上に思いがけない敵に彼は戸惑いを隠せない。

第7艦隊は巡洋艦と駆逐艦を主力とし、現在はバリア泊地警備にあたる巡洋艦「白鷺(はくろ)」と第33駆逐隊を除いた巡洋艦3隻と2個駆逐隊で構成されていた。最新の巡洋艦と駆逐艦を有しているとは言え、砲撃と防御の両面で隔絶した差を持つ前弩級戦艦の存在は大きな障害であった。

 

「巡洋艦はあの2隻へ集中砲火!! 駆逐艦は帆船群を砲撃しつつ、雷撃距離まで接近せよ!!」

 

火力の高い巡洋艦で前弩級戦艦と装甲巡洋艦を引き付け、その間に駆逐隊を切り込ませる手段に行き着いた井筒の指示は発光信号と手旗信号で素早く各艦へ伝達された。

3隻の戸妻級巡洋艦が駆逐隊を守る壁の如く立ち塞がり、艦首と艦尾に2基ずつ備える連装砲を両艦へ向ける。対して、ティアンワ海軍唯一の戦艦 エリルベリャ級の「ロールヴァイア」と、同じく唯一の装甲巡洋艦 クエリオル級「バスティダ」は練習艦隊に属しながらも、ティアンワ海軍最強の戦力として君臨している。

 

「ロールヴァイア」は34.8cm連装砲を、「バスティダ」は23.2cm連装砲と自らの主砲を第7艦隊へ向け、砲口同士を突き合わせて睨み合う。時が立つにつれて両艦隊は接近する。両艦隊の砲火は奇しくも同時に切られた。

 

前部主砲の一斉射が空気を揺らし、風圧で押し潰された海面が円形に広がる。比較的至近距離から撃ち込まれた砲弾は互いに相手を捉えた。

東和艦隊が撃ち込んだ21.1cm砲弾は、数世代上の照準機器と六十二式水上レーダーを組み合わせを味方に付け、「ロールヴァイア」の巨大な船体と「バスティダ」の船体へ命中していく。

一方のティアンワ艦隊も近距離の要素が練習中の新兵と言うデメリットを掻き消す。複数発が夾叉となり、その内の一発が「戸妻」の右舷中央へ吸い込まれた。

 

「右舷船体中央に被弾!!」

「くぅぅ!! 一発で当てるとはやりおる!!」

「被害状況報告!!」

 

被弾で12000tの船体は激しく不規則的に揺れ、不快な金属の軋み音があちこちで鳴る。井筒は敵艦隊の砲撃精度に下を巻き、雨崎艦長は艦内へ通じる伝声管に被害報告を問いかけた。

 

『第10〜14船室に被害あり!!』

『5番副砲の旋回機構損傷!! 旋回不能!!』

『第7ボイラーの排気管が破損!! 速力低下!!』

『第2燃料タンクのパイプ断裂!! 重油(燃料)が漏れ出ています!!』

「各箇所でダメコン対応と負傷者救護!! 救護班は被弾箇所へ、修理班は排気管と燃料パンプの復旧へ急行せよ!!」

「主砲に問題が無いのなら撃ち方を続けろ!! 後続艦には援護を依頼しろ!!」

 

瞬く間に集まってきた情報を雨崎は脳内で整理しつつ、救護班と修理班に指示を出す。井筒は東和でも珍しい女性艦長が被弾の確認を行っている傍らで、砲撃継続と後続艦への援護を命じる。

指示を受け取った同型艦の「零基」と「高目(たかめ)」は、「ロールヴァイア」へ砲撃を集中させる。幾つも命中した21.1cm砲弾は艦上構造物と武装を破壊し、戦闘能力を奪う。例え装甲の厚い戦艦とは言え、旧世代の前弩級戦艦と新鋭の巡洋艦で砲撃の威力に存在する大きさな差が格上の相手を叩きのめす。

 

「ロールヴァイア」が大破する中で、同艦が壁となって被弾を免れていた「バスティダ」が巡洋艦群への砲撃を始めたが、巡洋艦とは異なる相手の砲撃が右舷から襲来する。

 

それは艦隊から分離して帆船群を蹴散らしていた第21駆逐隊の時風級駆逐艦「天風(あまかぜ)」と「涼風」・「牧風」・「百合風」の4隻による砲撃。対艦と対空の両方に対応すべく速射性に特化した主砲は13.4cm砲弾を絶え間なく撃ち込み、装甲巡洋艦に次々と命中する。

装甲巡洋艦であるクエリオル級は194mmの舷側装甲と159mmの主砲塔装甲を持っていたが、連射性を活かした連続着弾で瞬く間にひしゃげる。片舷に5基ずつ備える17.7cm単装砲も壊れ、竜骨に沿って聳える煙突も次々と崩れていく。戦闘能力と航行能力を短時間で失った「バスティダ」は徐々に速度を落としていく。

 

「戦艦ならびに装甲巡洋艦速度低下!! 砲撃も沈黙!!」

「砲撃能力を失ったか!! 被弾箇所はどうなった!?」

「被弾箇所の損傷は軽微!! 人的被害も重傷者は無し!!」

「よし! 各砲の照準を港湾施設と造船所へ変えろ!!」

「し、司令!! ティアンワとは異なる国旗を掲げる船があります!!」

「なっ!? 何処だ!!」

 

前弩級戦艦と装甲巡洋艦の大破を確信し、雨崎から被弾した「戸妻」の被害が軽微だと報告された井筒は主砲を本来の砲撃目標である港湾施設へ向けるよう指示する。

だが、見張り員からティアンワとは異なる国旗を掲げる船を知らせると、双眼鏡片手に自らそれを見ようとした。見張り員が示した先を双眼鏡で覗くと、未知なる国旗をマストに棚引かせた近代的な軍艦が停泊していた。

 

艦首艦舷の高い100mの長船首楼型船体を持ち、背負い式の単装砲と搭載艇で前後から挟まれた艦橋を備え、船尾に爆雷投射軌条を設けた艦影はティアンワのものではないと知らしめた。

 

「ティアンワの船じゃないよな········一体何処の───発光信号!?」

 

見るからにティアンワと釣り合わない近代的な見た目の軍艦を目にして、何処の国が持っているのか疑問を抱いていた井筒だったが、彼の眼前でその船から「戸妻」に対して発光信号が送られた。

 

「“我フラスタリア海軍通報艦アルカティル。ティアンワトハ異ナル国家デアリ、砲撃目標ニハシナイデクレ”────との事です。」

「フラスタリア···········聞いたことないが、手を出すのは不味い。各砲と各艦にあの艦を狙いから外す様に通告!」

 

見張り員によって発光信号で送られた内容を受け取った井筒は、素早く「アルカティル」なる艦の砲撃目標除外を各艦へと伝達した。

その伝達を受け取った各艦はその艦を避けてスラヴァへの砲撃を行う。砲弾が雨の如く着弾した港湾施設と造船所は原型を失い、与えられていた機能を失う。

 

「一先ず攻撃目標は達成しましたね。」

「予想外の事態が複数あったがな────にしても、フラスタリアとはなんだ?」

「なんだと言われましても────そう言えば見張り員。フラスタリアの通報艦は発光信号を何語で送ってきた?」

「確か日本語(東和語)で送ってきまし───っ!?」

 

本来の目標を達成したのを確認した雨崎と井筒はフラスタリアなる国家について語り合う。聞いた事すら無い国家に対する疑問は幾つも湧き出たが、雨崎が問いかけた見張り員によって艦橋はざわつく。

東和が知らない国家が自国の言葉を知っている。絶対にあり得ない事実が更に混乱を誘引する。

 

「知らない国家にも関わらず、我々の言語を知っているのか。どういう訳だ?」

「我々に関する何かがあるのかも────しれません。」

 

初対面にして数々の矛盾を突き付けたフラスタリアへの考察を傍らに、東和海軍第7艦隊は反転してジェデベック湾の入り口へ航行する。

 

ティアンワ海軍の根拠地でもあったスラヴァは僅か数時間にして、甚大な被害を被った。

守備艦隊含む海軍艦艇の殆どが沈められ、切り札でもあった「ロールヴァイア」と「バスティダ」は沈没こそ免れたが艦上構造物を尽く破壊され、座礁して海面に姿を留める大破着底状態に陥った。

埠頭や燃料タンク等の港湾設備と造船所含む軍工廠は砲撃で破壊され、港としての価値と海軍の継戦能力を喪失させた。

 

第7艦隊に与えた被害は「戸妻」の被弾のみであり、東和海軍の完勝と言っても過言ではなかった。また東和にとってはフラスタリアとの初接触ともなり、未知なる場所に広がる国家の存在を知らしめた。

 

そして、海上自衛隊が国内各地の都市を攻撃し、東和海軍がティアンワ海軍を壊滅させた頃、北回りで進んでいたもう一つの艦隊がティアンワに対して大きな一撃を与えていた。

*1
エリルベリャ級戦艦

ティアンワを"北進計画"の拠点とすべく接触したフラスタリアへ、基地の土地や食糧・燃料・周辺国の情報を提供する代わりとして帆走設備を無くした近代的な軍艦を求めた為に、練習艦になっていたオピリオン級弩級戦艦 2隻がティアンワ初の弩級戦艦として供与された。

供与に伴って本艦が入渠出来るドックの建設が必要だったが、既存の軍艦を遥かに凌駕する火力や防御力・最高速度などを有していた為に主力艦として第1艦隊と練習艦隊に1隻ずつ配備された。

国内での建造も計画されたが船体に使用されている鋼材やタービンを製造出来なかった上に、既存の造船ドックに入れなかった為に断念された。

スペック

排水量:27400t

全長:181m

全幅:30.7m

吃水:9.84m

主機:グラノーレSF-47型ギヤードタービン 4基

ボイラー:アンヴァルティアAW-18b型石炭・重油混焼水管缶 26基

出力:38000馬力

速度:22.7ノット

武装:34.8cm連装砲 5基

   13.8cm単装速射砲 6基

   40mm連装機関砲 7基

装甲:舷側バイタルパート 290mm(非バイタルパート 197mm)

   甲板 134mm

   主砲塔 345mm

   バーベット 301mm

乗員:1170名

*2
稲津級巡洋艦

高い各種性能と汎用性を有する戸妻級をより大型化し、発展させた巡洋艦として建造された。

排水量と船体はより大型化して装甲厚も増しているが、新型タービンを搭載している為に速力は2ノットの低下に収まっている。

主砲は3連装へ変更され、射撃コンピュータを搭載して命中率を上げている。魚雷発射管の口径も拡大して雷撃能力を強化しているが、それ以外の武装は戸妻級から引き継いでいる。また、戸妻級で火薬式だった水上機発射カタパルトは新開発された油圧式に変更されている。

戸妻級の強化発展型として建造が始まり、1671年時点では第1艦隊にのみ配備されている。

スペック

排水量:14800t

全長:212.5m

全幅:22.3m

吃水:7.58m

主機:零月DF-2型蒸気タービン 3基

ボイラー:六十六式重油ボイラー 6基

出力:174000馬力

速度:30.8ノット

武装:21.1cm3連装砲 4基

   13.4cm単装速射砲 6基

   13.4cm連装高角砲 4基

  65cm4連装魚雷発射管 2基

   43mm3連装機銃 9基

   爆雷投射機 2基

   機雷敷設軌条 2基

艦載機:七式水上観測機 2機

航空装備:NR-4AJ型油圧式カタパルト 1基

レーダー:七式水上レーダー

     六十八式対空レーダー

弾道コンピュータ:七十二式弾道電算機

ソナー:七十三式探信儀

    七十四式水中聴音機

装甲:舷側 165mm

   甲板 72mm

   主砲塔 39mm

乗員:985名

*3
時風級駆逐艦

雪波級の改良型である風潮級を更に大型化して、戦闘力を上げた駆逐艦として建造された。

雪波級から引き継がれた船首楼甲板が中央まで伸びた船体の艦首と艦尾に2基の主砲を背負い式で搭載しており、艦中央の魚雷発射管は5連装に強化されている。

船体は更に大型化した為に機動力は低下しているが砲撃・雷撃力共に強化されており、風潮級と共に主力駆逐艦として多くの艦が運用されている。

スペック

排水量:3900t

全長:140m

全幅:11.9m

吃水:5.48m

主機:AK-22A3型蒸気タービン 2基

ボイラー:六十六式重油ボイラー 4基

出力:74000馬力

速度:33.9ノット

武装:13.4cm連装速射砲 4基

   65cm5連装魚雷発射管 2基

   43mm3連装機銃 2基

   爆雷投射機 2基

   爆雷投下軌条 2基(六式爆雷 34発)

レーダー:六式水上レーダー

     六十三式対空レーダー

ソナー:六十四式探信儀 1基

    六十五式水中聴音機 1基

乗員:278名

*4
六十一式水上偵察機

塩生級や水上機母艦に搭載された水上偵察機は艦隊に先行して偵察を行う重要な役割を担っていたが,空母の配備に伴って配備された雷撃機がその役割を担う事になった為に,航続距離を削って最高速度や安定性を上げて弾着観測に特化した水上偵察機として名時航空産業で製造された。外見モデルは九五式水上偵察機。

機体は低速低空飛行性能に長けた複葉機として設計され,木金混製骨組みに羽布張りの構造ながら胴体や主翼などは空力的に洗練された形状になっている。

それまでの水上偵察機より航続距離は減少したが速度や上昇性能・安定性は向上し,特に運動性能は当時開発中だった六十二式戦闘機に匹敵すると評価された。

優れた性能を持っていた為に水上機運用能力を持つ艦に配備されたが,高い運動性能を持っていた為に偵察だけでなく軽爆撃にも使用され,第二次東麗諸島沖海戦ではチャルネス軍の天燕戦闘機と空戦を繰り広げた。

後継となる七式水上偵察機の就役で艦から降ろされたが優秀な機体だった為に練習部隊で使われたり,諸外国へと輸出されている。

スペック

全長:9.02m

全幅:3.97m

翼面積:27.9m²

重量:1460kg/2040kg

エンジン:ナハ-052 空冷星型10気筒エンジン(680馬力)

最高速度:318km/h

航続距離:940km

乗員:2名

武装:五十一式八粍機関銃 2基

   50kg爆弾 2発




・ガーツ・ローランズ
観戦武官ながらここまで口出しして良いのかと思いましたが、ティアンワよりヴィジランドの方が全般的に格上で、東和海軍と同レベルの海軍を持っている為に大々的に意見を述べれたと言う体です。

・海戦の海域
当初はよりスラヴァに近いバリダン岬の沖合で相まみえるプロットでしたが、近すぎて第7艦隊の突入を気づかれるだけでなく、阻止される可能性があったのでより南のシオラ半島へ変更しました。

・スラヴァ
島の南南東に位置する都市で人口は210万人。
広大なジャデベック湾に面しつつもジャラカから離れていた為に小さな漁村だったが、周囲の広大なブラタンス平原に目を付けたヴィジランドによって開発が行われた事で国内最大規模の港湾都市へと発展した。
国内各地やトラクティア諸国へ向かう船が泊まる巨大な港には大型のクレーンや倉庫群・燃料タンクが併設されており、乗客の乗り換えや荷物の積み替えを容易にすべく駅と貨物ターミナルが隣接している。民間港の隣には海軍司令部や船渠を併設した軍港が置かれており、海軍の主力艦隊が配備されている。ジャデベック湾を一望できる南東の高台には鉄筋コンクリートで覆われたパールティア要塞があり、フラスタリアから輸入した前弩級戦艦の主砲を流用した要塞砲が3基設置されている。
ヴィジランドが主体で都市開発した為にヴィジランド建築の建物が建ち並んでおり、外国人の入り口になっている為に外務部管轄の入国管理所が置かれている関係でトラクティア諸国が邦人保護を目的とした領事館を設置している。ヴィジランド人の居住区付近には同国人向けの銀行や同国由来の品を販売する市場があり、市場にはヴィジランド製品を求めて島の内外から人が訪れている。



ティアンワ戦が終わった後のストーリーも考えてはあるのですが、プロットがまだ煮詰まってません。なのでティアンワ戦の終結で章を一区切りにして、次章のプロットを作ろうと考えています。
その間は日本やTRM諸国の変化に視点を置いた間章でも書きましょうかね?
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