New world note in Earth   作:YUKANE

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UA800処か、UA900行っててマジでビックリ。ここままだと8月中にUA1000行っちゃうかもな······

にしても横須賀港にマジでイタリア空母の「カブール」が来て感動したw
そのうちフランス空母の「シャルル・ド・ゴール」も来そうww


Episode.6 姉妹の外交官

本州から北に約50kmの海域に位置する隠岐諸島は、現在でも本土から高速船で1時間かかる立地から後醍醐天皇などの歴史上の人物が数多く流罪として送られた地であり、明治維新で島根県に編入された後も日本で6番目の世界ジオパークに認定される程に豊かな自然を有していた。

 

隠岐諸島を構成する島々は複数の島を纏めた島前(どうぜん)と日本で15番目の面積の島だけを有する島後(どうご)で形成されており、島前の中で3つだけの有人島である中ノ島と西ノ島・知夫里(ちぶり)島に囲まれた内海に第2機動部隊が停泊しており、舞鶴港からやって来た「AOE-425 ましゅう」から燃料や食料の補給を受けていた。

 

第2機動部隊は専属の補給艦として「AOE-427 いなわしろ」を持っていたが、1年半前の朱雀戦争でシ連潜水艦の雷撃を食らって大破炎上し、現在も生まれ故郷である三井E&S玉野造船所で修理を受けている最中だった為に、舞鶴が保有するもう一隻の補給艦「ましゅう」が送られていた。

しかしながら、転移という未知の現象で只でさえ貴重な補給艦をこれ以上失わない為にも、万が一に備えて舞鶴港に残った第14護衛隊を構成する4隻で最も新しいもがみ型護衛艦の7番艦「FFM-7 によど」を護衛として連れていた。

 

200m超えの船体から片舷に3本ずつ生えたモノポール型補給ステーションから伸びるホースは、右舷側の「DD-131 しらぬい」と左舷側の「DDG-175 みょうこう」に繋がっており、彼女らを動かす源となる燃料を送り込んでいた。

船舶用燃料と同じ方法で航空機用燃料や真水を同時並行して補給され、食糧や弾薬等の固形補給品(ドライカーゴ)がクレーンで護衛艦へ積み込まれる様子を長瀬や石見らが「DDH-185 あまぎ」の島式艦橋(アイランド)から眺めていた。

 

「旧海軍は間宮が来るのを待ちわびていたと聞いていたが、その気持ちを分かる日が来るなんてな。」

「いち早く見つけるべく見張員を増やしたなんて話も聞いた事がありますが、今なら分かる気がします。」

「「ましゅう」が来なければ我が艦隊は動けなくなっていましたから、まさに女神の様でしたね。」

「女神より寮母の方が似合っているんじゃないか?」

 

副艦長の照山も加わって石見と長瀬は「ましゅう」を見ながら会話を続ける。

 

舞鶴で転移現象に遭遇した第2機動部隊はその直後から長瀬の独断によって出港準備を行っており、政府から出された周辺海域調査を目的とした緊急出港に短時間で応じれたが、出港時から艦を動かす原動力となる燃料を満載出来なかった事が気がかりになっていた。

舞鶴を出港した艦隊は朱雀列島を回って対馬へ向かう遠回りのルートで日本海を航行した事でその不安は大きくなっており、飛行艇との接触後に補給艦の派遣が言い渡されたが燃料の残量が厳しかった為に、大事を取って同地に停泊して補給艦の到着を待つべく一晩過ごしていた。

 

地球と同じく東から登った太陽によって朝を迎える頃に「によど」に連れられた「ましゅう」が到着し、各艦へ割り当てられた量の燃料や乗組員の食料を補給していた。

艦隊に息を吹き替えさせたと言っても過言ではない「ましゅう」に長瀬らが今まで以上の感謝の念を抱いてる中、主席参謀の滝沢は右手に装着したアナログ式を視認していた。

 

「そろそろ隠岐空港へ外交官を迎えに行ったSH-60K(シーホーク)が帰る頃でしょうか?」

「当初の予定だとそうだな。転移から1日しか経たずに外交官を招集出来るのは単純に意味分からんがな。」

「24時間待機の自衛隊(うちら)と比べるのはアレですけど、国内が混乱している中でよくぞここまで早く準備出来ましたよね·····」

 

滝沢をきっかけに長瀬らの会話はこれから乗艦する外交官らへと移った。

 

「確か外交官姉妹は実家がある福井県から舞鶴基地へ陸路で向かい、第23航空隊のSH-60L(シーホーク)で隠岐へ飛んできたそうだな。」

「外務省からの連中は空自のU-4を使って入間基地から隠岐空港へ飛んで合流して、さっき飛ばした「あまぎ」(うち)SH-60K(シーホーク)でやって来るという流れか」

「ヘリを乗り継ぐなんて、中々アクロバットな工程だな。外交官らが酔ってそうで不安になるな。」

「その点に関しては医務室から酔い止めを余分に渡しといたから大丈夫だろう。それに話をしてたら本人が来たみたいだから、確認してみたらどうだ。」

 

石見がそう言った頃に長瀬らの耳にプロペラが空気を裂いて飛んでいる音が微かにだが聞こえてくる。複合素材を用いる事で高強度と軽さを両立したブレードを4枚繋げたメインローターが成す風切り音は徐々に大きくなっていき、次第に音の発生元であるSH-60K(シーホーク)の白く目立つ胴体を視認出来る様になった。

 

アメリカのシコルスキー・エアクラフト社が開発したUH-60(ブラックホーク)をベースに、海上でも運用出来る様に改良されたモデルを日本の三菱重工が改良を加えらたSH-60K(シーホーク)は、「あまぎ」の航空甲板へ降り立つ。

胴体上部に取り付けられたT700-IHI-401C2 ターボプロップエンジンの轟音が少しずつ小さくなり、全備重量で11tにもなる機体を浮かび上がらせるべく回っていたメインローターが少しずつ止まっていく。

 

4枚のブレードで構成されたメインローターが完全に止まると、3本の脚で甲板上に立っている胴体横のスライドドアが後ろに向けて稼働し、中に乗っていたスーツ姿の男女が降り立った。

 

艦上へと降り立った外交官らは乗組員の先導で飛行甲板を歩き出し、ヘリが止まるまでの間に艦橋から移動していた石見や長瀬らの出迎えを受けた。

 

「第2機動部隊司令官の石見惣一海将だ。貴方がたの護衛は任せて下さい。」

「「あまぎ」艦長の長瀬竜也一等海佐だ。ようこそ、「あまぎ」へ!」

 

厳しい訓練と長年の実践で身体へと染み付いた海自式の機能美に満ちた敬礼に、感動の眼差しを向ける外交官らも見様見真似の敬礼で返す。

 

「お出迎えありがとうございます! 今回、未知の国家との交渉を担当する外交官の園田凜音(りおん)です。」

「同じく外交官で妹の園田麗音(れおん)です。」

 

意気揚々と元気よく自己紹介した2人に石見と長瀬は感嘆と驚きが混じった表情になる。

 

「ここまでの長旅ご苦労でした。体調とかに問題は無いでしょうか?」

「問題ありません! パイロットが渡してくれた酔い止めがしっかりと効いてくれました!!」

「それなら良かったです。皆さん用の部屋を用意してあるので、イーグル隊隊長の青木がご案内いたします。」

 

園田らは手が空いていた為に案内役を任せられた第1飛行隊(イーグル隊)隊長の青木柊三等空佐に連れられて艦内へ入っていく。長瀬は軽鴨(カルガモ)の親子の様に隊列を成す園田らを見送りながら、石見へと話しかける。

 

「若いとは聞いていたが、あそこまでとは·····俺と余り変わりませんよね?」

「滝沢によると30歳と28歳らしい。丁度お前を挟んでいるのが面白いなw」

「桐島も30歳ですし、ある意味黄金世代かもしれませんね。」

「最近は若い役職持ちが増えたと言ってるネットニュースを見たが、これだと間違いなく当たっているな。」

「人の事言えませんが、増え過ぎじゃないですかねぇ?」

 

石見と長瀬は冗談交じりの話をしながら、園田らに付いていく様に艦内へと向かった。

 

 

第2機動部隊側から「あまぎ」に用意された部屋で長いフライトの疲れを少しばかり癒した園田らは、会議室として急ぎ組み替えられた多目的区画に集まっていた。

折り畳み机を幾つもくっつけた大きなテーブルの上には様々な資料が乱雑に置かれており、滝沢はその中に紛れていた飛行艇の写真を園田らへと手渡した。

 

「これが(くだん)の飛行艇ですか····」

「聞いた通り、二次大戦の飛行機っぽい雰囲気がありますね。」

後ろの翼に書かれた文字がアルファベットという事ですか?」

「雰囲気っぽいではなく、まんまと言った方が正しいです。そして尾翼·····機体後ろの縦に伸びている翼をアップした写真がこちらです。」

 

飛行艇の写真を見ている園田らが述べる意見に補足した滝沢はもう1枚の写真を手渡す。手渡された写真を見た園田らは再度歓声を上げる。

 

「確かにどう見てもアルファベットとアラビア数字にしか見えませんね。」

「逆に聞くけど、それ以外に見えるかってレベルでそっくりだね。飛行機自体も80年前の機体とそっくりなら、地球じゃない星に来たんじゃなくてタイムスリップしたんじゃないかと思うんだけどな〜」

 

長瀬らは昨日交わした会話と殆ど同じ内容を話す園田姉妹の様子に既視感を抱きつつも、石見は姉妹故に仲良い会話を続ける2人の中へと入っていった。

 

「確かに機体は過去の日本が作ったのにそっくりな上に馴染み深いアルファベットと数字が書かれているから、我々からもタイムスリップしたという意見が出た。

ただ主翼にある白丸が国籍認識用のマークだとすると、こんな国旗を持つ国家が歴史上にも存在してないのは外務省の貴女方の方が分かっているでしょう?」

「それはそうですね·······やはり地球とは違う星なのですね。外務省(我々)も国名すら分からない相手に交渉するのは創設初の事案ですし、不安ですね。」

「あっち側が英語を使っているのであれば案外すんなり行くのかもしれませんが、そこに関してはどう考えてますか?」

 

長瀬が凜音へ投げかけた言葉は滝沢らも抱いていて疑問でもあったらしく、彼らの目線が凜音へと向いた。鍛え上げられた乗組員からの視線を一手に浴び、今までに感じた事がない恐怖を感じた凜音だったが直ぐに平常心になって答え出す。

 

「確かに彼らが英語を使っている可能性はありますが、我々とは使い方が違う可能性もありえるのが懸念点だとしています。」

「確かにそうだな·······言語は一緒でも会話出来ないなんてもどかしすぎないか?」

「でも、言語が一緒であれば解読も手早そうなのが救いですね。」

 

園田の答えにそれぞれが意見を述べる中、室内の壁に貼り付ける様に設置された艦内電話が鳴る。近くにいた乗組員が艦内電話を取り、短い会話をすると長瀬に向けて受話器を手渡した。

 

戦闘指揮所(CIC)から艦長宛の連絡です!」

「CICからって事は何かあったな。」

 

電話を受け取った長瀬も渡した乗組員と同じく短い会話し、電話を元あった位置に戻した。

 

「何があった?」

「対馬の沖合で未知の艦隊が確認された。我々はCICへ向かうので、貴女方は指示が出るまでここで待って頂きたい。」

 

長瀬の短いながらも言いたい事が伝わった会話に園田らは頷く。その反応を確認した長瀬と石見・滝沢らはCICへと向かった。




・AOE-427 いなわしろ
こちらは架空のましゅう型3番艦で、名前は福島県の猪苗代湖から取られています。
冷戦時代の米空母機動部隊の様に専属の補給艦が必要だと考えて用意したけど、生まれ故郷である福島県由来の艦を出したかったというのが本音。

・FFM-7 によど
「ましゅう」の護衛として彼女が登場するシーンは元は架空のあぶくま型だったのを変更しました。しかも、その架空艦の名所はまさかの「によど」で名前が被ったからこそ変更するしかありませんでしたww

・園田姉妹
この2人は今作から登場するキャラで、暫くは主要人物として活躍させる予定です。
こんな若くて大丈夫かと思うかもですが、長瀬も桐島も30歳近辺で空母艦長になっているから問題無いよね? 補足としてネットニュースの記事で若い役職が増えているって書いたし····

・手が空いていた為に案内役を任せられた青木柊
彼は前作から役職や階級を変えずの登場です。案内役を任せられた経緯としては、補給艦待ちの停泊でパイロットはやる事が何も無い状況に陥ってそうだと思ったからで、他のパイロットも会議資料製作等の何かしらに関わっています。
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