New world note in Earth   作:YUKANE

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UA1000突破ありがとうございます!!

海保が複数のヘリと舟艇を運用可能な大型巡視船を作るらしいですが、上の文だけ見れば最早揚陸艦·····
この巡視船を本作でも出したいけど艦名が当たるわけなさそうww

それと先日松島基地の航空祭に行ってきました。天候が悪くて飛行展示の機体撮影に大苦戦しましたが、EC-1を見れたので大満足ww


Episode.7 既知の機体と言語

対馬から艦隊発見の連絡をうけた第2機動部隊は「AOE-425 ましゅう」による補給が終わると直ぐに隠岐諸島を出発し、艦隊の進路だと推測される北に向けて日本海を進んでいた。

 

当初は出港から間もなくして周囲の探知を行うべく警戒飛行隊のE-2C(ホークアイ)を発艦させる計画だったが、出港した時点で気象衛星を失って察知が難しくなっていた悪天候に見舞われており、悪天候下での発着艦は危険だと判断された為に見送られていた。

E-2C(空中の目)を失ったと言っても過言ではない第2機動部隊は、各艦が積んでいるレーダーの探知範囲を最大にして昼夜を問わず捜索していたが、対馬沖で確認された艦隊を見つけられていなかった。

 

日本転移から3度目となる朝日が昇る頃には天候は回復しており、昨日飛ばせなかったE-2C(ホークアイ)が「DDH-185 あまぎ」の蒸気カタパルトによって空へと飛び上がっていた。

E-2D(改良型の後継機)が配備された事で空自から海自へと移行された機体が、アリソン T56-A-427ターボプロップエンジンを全開にして艦隊上空を舞っている姿は、昨日飛ばせなかった鬱憤を晴らしている様にも見えた。

 

「何だかいつもより威勢が良い感じがするのは気の所為か?」

「気の所為じゃ無いだろうな。昨日飛べなかった事を全乗組員が悔やんでいたようだし、漸く活躍出来ると意気込んでいるのだろう。」

 

「あまぎ」艦長の長瀬一等海佐と第47航空団司令の渡島一等空佐は戦闘指揮所(CIC)内で会話を交わす。海自にどっぷりと漬かった長瀬であっても元空自である渡島の言い草は理解できたが、それでも思った以上に張り切っている様子に苦い顔をするしか無かった。

苦い顔を浮かべる長瀬の脇で主席参謀の座につく滝沢も同じく苦い表情になっており、その様子に気がついた艦隊司令の石見が話しかけた。

 

「主席参謀も艦長みたいな苦い顔してどうした? お前もあの機体に不満があるのか?」

「機体に関しては不満はありませんが······これで直ぐに見つかったら今までの努力は何だったのかと思いまして····」

「艦のレーダーで探した時間が全て無駄になると?」

「そう思って貰って結構です。」

 

E-2C(ホークアイ)が飛べなかった為に各艦は航海用レーダーの探知距離を最大にし、見張員も増やして夜まで捜索していた。「あまぎ」ですら搭載されたOPS-20 2次元レーダーを最大限活用していたが目標である艦隊は見つける事が出来ず、政府から自粛要請が出ているにも関わらず漁をしていた漁船しか発見出来ていなかった。

 

増員された見張員には滝沢も加わっており、寝ずに捜索していたにも関わらず何の戦果も得られなかった事に後ろめたさを感じていた。

空という圧倒的な高所から周囲を見れるE-2C(ホークアイ)があの艦隊を簡単に見つけたら、自分達が寝ずに捜索した事が無駄になってしまうと滝沢は不安視していたが、当たって欲しくない不安は当たってしまう事になった。

 

生方(アイス)から通信! E-2C(ホークアイ)AN/APY-145(レーダー)が艦隊11時方向に我々へ向かっている航空機3機からなる編隊を確認した模様!!」

「航空機の編隊だと·····一昨日の飛行艇か?」

「いえ、反応が小さいので飛行艇では無いと思われます!」

 

警戒飛行隊を纏める航空管制士官 生方(うぶかた)牧雄一等空尉からの連絡にCICは一気にざわつく。対馬で確認された艦隊の手がかりを遂に掴めた挙げ句、近づいてる編隊が未知の機体だと判明した事で更にざわめく。

 

「飛行艇に比べて反応が小さいって事は艦上機か? 渡島航空司令、大まかでも良いので機種の推測は出来ますか?」

「正直に言うと候補が多すぎて無理だな。実際見なければ機種は分からないだろう。」

「見なければ機種識別は不能か·······確認するがアレの撃墜は出来るよな?」

「あの機体が魔法とか使ってくれば無理ですが、二次大戦のままであれば標的機より楽な相手かと。」

 

確認を兼ねて投げかけた質問に意気揚々と答えた滝沢や長瀬の様子を見た石見は、濃紺のキャップ型帽子を被り直して覚悟を決めた。

 

「あの編隊に近づくぞ。万が一に備えて全艦に戦闘態勢を発令!! 「あそ」と「はつづき」は火器管制レーダーの照射も準備しろ!!」

 

石見の指示は素早く各艦へ伝えられ、「あまぎ」を中心とした6隻の艦隊は新たな進路を進むべく取り舵を切る。

 

先頭を進むいぶき型イージス巡洋艦の4番艦「DDG-204 あそ」は気高きマストに取り付けたAN/SPQ-9B 捕捉・追尾レーダーを編隊へと向け、イージスレーダーを備えた八角形の艦橋と艦対空ミサイル(SAM)を積んだMk.41VLSに挟むように置かれたMk.45 5インチ砲 2門の砲身が若干上へと向く。

「あそ」の左斜め後ろに位置する「DD-124 はつづき」もステルス性を重視して傾斜が設けられた艦橋に内蔵された00式射撃指揮装置3型(FCS-3A)の元、Mk.45 mod.4 5インチ砲が射撃態勢へ移行する。

 

朱雀戦争時を彷彿とさせる緊張感がCICを支配する中、艦橋に陣取る副艦長 照山から通信が入った。

 

『艦橋からCICへ! 1時方向に未確認機(アンノウン)の編隊を視認!! 単発のレシプロ機です!!』

 

照山自らの報告と同時にCICのディスプレイが艦橋からの映像へと切り替わる。映像は紺碧の日本海と白い雲が混じった空で構成されていたが、1時方向に少しずつながら大きくなっている黒点が写っていた。

 

「あの黒点が未確認機(アンノウン)だな。出来る限り拡大して写し出せ!! 砲雷長は迎撃態勢を取れ!!」

「了解! 1時の未確認機(アンノウン)近接防空システム(CIWS)とSeeRamを向けろ!!」

 

石見の指示へ砲雷長の宇津木尚弥は直ぐに返事し、各部署へ素早く指示を出す。

島式艦橋の屋根に取り付けられた81式射撃指揮装置2型-31(FCS-2-31)未確認機(アンノウン)の編隊へ向き、航空甲板下のスポンソンに設置されたファランクスとSeeRamが1時方向に狙いを定める。

 

「あまぎ」以外の各艦も持てるだけの武装を稼働させている間に艦橋からの映像が拡大され、小さな黒点が機首のプロペラを回して飛んでいる航空機の姿へと変わる。

 

「あれは·······九七式艦上攻撃機だ!」

「真珠湾攻撃に参加した雷撃機か! マジで旧海軍だな!!」

 

飛行艇と同じく赤線で囲われた白丸を主翼に付けた緑色のプロペラ機を見た渡島が直ぐに機種を特定すると、滝沢がCICの全員が抱いているであろう感想を代弁する。

 

「九七式ならイケるな·····通信士! 先程の内容をモールス信号で送れ!! 艦橋も信号灯と手旗信号で同じ内容を発信しろ!」

 

石見の指示に返事した通信士は艦内倉庫から引っ張り出した電鍵(でんけん)を右手で操り、九七式艦上攻撃機もどきに向けて英文と日本語でモールス信号を送り出す。通信の種類が豊富になった現在では海自艦の発光信号以外でモールスによる通信は行われていなかったが、未確認機(アンノウン)が二次大戦の機体に酷似しているのであれば、同時代に主流だったモールス信号を使っている可能性が園田らも加わった昨晩の会議で示唆され、通信士がモールス信号を発信する電鍵を扱えた事も幸いして実行へと移された。

 

同時に艦橋に設置された30cm信号探照燈を使った発光信号と紅白の旗を使った手旗信号でも送る事で、モールス信号が通じなかった場合にも備えていた。

 

「“ワレ、ニホンコクカイジョウジエイタイダイニキドウブタイ。キキノショゾクコッカトソシキヲコタエヨ”か······無事通じてくれ。」

「アルファベットを使っていたのならローマ字を使っている可能性も高いが·····使い方が違うのなら全て無駄になりますな。」

 

長瀬の発言に滝沢が根も葉もない弱点を指摘するとCICは気不味い空気が漂う。彼らの頭に何も通じない最悪の想定がよぎる中、モールス信号を送り終えた通信士が気不味い空気をぶち破った。

 

「“ワレトウワコクカイグンダイヨンカンタイショゾクキウチヘンタイ。キカンタイニホンコクカイジョウジエイタイ、テキイハアルカ?”······に、日本語で返事が来ました!!」

 

通信士の言葉に喜びの歓声が上がる。相手の国名が分かった事・相手が日本を話していた事・相手に明らかな敵意が感じられない等の喜ぶ理由はそれぞれ違っていたが、いきなり襲撃を食らって戦争に発展する最悪のシナリオにならなかった事に安堵するのは同じだった。

CICの隊員が大人らしくない喜びを表す中でも、石見や滝沢・長瀬らは落ち着いて現状を見ていた。

 

「“トウワコク”か·····まさに日本語っぽい国名だな。」

「取り敢えず言語の心配は無くなりましたね。司令官、返事はどうしますか?」

「そうだな·····“ワレシュウヘンカイイキノチョウサチュウ、テキイハナシ”と送ってくれ。」

 

通信士は石見の言われた通りに電鍵を打って内容を“キウチヘンタイ”へと送る。電鍵を打つ際に生じる独特な甲高い音が収まると、相手からのモールス信号を聞き逃さないべく一言も発さずに黙る。

 

「“キカンタイヲカンタイへユウドウスル”との事です!」

「あちら方も敵意が無いらしいな。ならばアレに付いていくのが最善だろうな。」

「万が一に備えて戦闘態勢は維持しままですが、やって見る価値はありますな。政府は驚くでしょうがw」

「園田姉妹も呼んできましょうか、彼女らはこれからが本領ですから。」

 

日本を救えるかもしれない明確な希望への道しるべを見つけた第2機動部隊は、九七式艦上攻撃機もどき3機の編隊に引きつられて進路を北西へと取った。




・E-2C
「あまぎ」だけでなく海自が保有している全ての空母に搭載されていますが、機体自体は後継機のE-2D(アドバンスド・ホークアイ)導入で置き換えられた設定です。

・政府から自粛要請が出ているにも関わらず漁をしていた漁船
政府は備蓄燃料の放出こそ決めましたが、燃料の輸入相手が見つかってない以上無駄遣いは出来ないので出されたという経緯です。
この自粛要請には自家用車やバイクも含まれています。

・艦内倉庫から引っ張り出した電鍵(でんけん)
ネットで調べでは海自がモールス信号を使っているかは発見出来ませんでしたが、空自での運用終了を確認出来たのでそれならば海自も何かしらあるだろうと考えてこうしました。
モールス信号って相手も同じ機器を持っていれば通じるという解釈で合っていますよね?
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