New world note in Earth   作:YUKANE

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前話投稿と同じ日に発表された令和7年度概算要求を読んだのですが、色々ありすぎて理解が追いつかん······
16式をベースにした装輪装甲車シリーズの配備開始や74式戦車等のモスボール保管・こんごう型護衛艦の置き換え・海上輸送群の新設等色々興味深いですが、個人的に一番の衝撃は護衛艦隊と護衛隊群を水上艦隊と水上戦群に改称する事ですね。
ウクライナ戦争を機に今までの自衛隊から変わろうとしている様に思えます。

てかこの要素をどうにかして本作にも組み込みたい。24式装輪装甲車シリーズや輸送用船舶とかマジで出したい。


Episode.8 似つかない艦隊

未確認機(アンノウン)こと九七式艦上攻撃機もどきとの通信に成功した第2機動部隊は、機体の母艦が加わっているトウワコク海軍第4艦隊と合うべく日本海を北西へ突き進んでいたが、小さな3機の編隊に空母を含む6隻の艦隊が導かれる姿は異質としか言えなかった。

 

プロペラ機に誘われる艦隊の中央に陣取る旗艦「DDH-185 あまぎ」の甲板要員は、仕事が無い事も相まって3機のプロペラ機をずっと眺めており、右舷側に置かれた島式艦橋からは園田姉妹が海自から渡された双眼鏡でその編隊を見ていた。

 

「姉上、あんな小さな機体にこんなに立派な艦隊が誘導されているのは何か面白いですね。」

「麗音、貴女はいつもお気楽的ね。実はこの艦隊を沈めたり、奪おうとしているかもしれないのよ?」

「もし、そうでしたら既に攻撃しているのでは?」

「あっちに有利な戦場へ誘導しているのよ、多分。」

 

双眼鏡を眺めながら物騒な話をする園田姉妹へ、艦橋に陣取る副艦長 照山新司二等海佐が話しかける。

 

「その様な事態にも備えて全艦が戦闘態勢を維持しているので、その点に関しては心配ないかと。もし攻撃して来よう物なら瞬く間に粉々になるでしょう。」

「成る程、心強いです!」

「相手からしたら、いつ撃たれるか気が気じゃないですよ·······」

 

第2機動部隊は九七式艦攻もどきについて行ってはいるが、突如として攻撃して来る可能性も充分あり得る為に戦闘態勢を維持し続けており、各艦が3機に向けて火器管制レーダーを照射しつつ主砲やCIWS・SeeRam等といった兵装の照準を合わせていた。

 

各艦が自らの対空火器を向けている様子に妹の麗音は頼もしく感じ、姉の凜音はパイロットのメンタルを心配していると、照山がインカム越しに会話を始めた。

 

「照山です········了解(ラジャー)。規模はどのくらいですか······かなり大きいですね、ここにいる2人にも伝えておきます。」

「何かあったんですか?」

「丁度真正面の方向に編隊の母艦がいると思われる艦隊を発見したとの事。大型艦2・中型艦3・小型艦8隻の大艦隊らしいです。」

 

照山の発言に園田姉妹だけでなく艦橋要員もざわめく。1隻ごとの性能が上がった現代では余り組まれない規模である事に加え、現在の第2機動部隊より2倍もの艦を持っている艦隊と相対する事実は乗組員に大きな衝撃を与えた。

数だけで見れば素人の園田姉妹であっても自分らが不利なのは目に見えていたが、照山ら乗組員は取り乱していなかった。

 

「艦隊の数や陣容・位置は判明しているが、各艦の艦種や詳細は何一つ分からん。我々の知らない姿かもしれないし、肉眼では見えない存在かもしれないが日本を救うかもしれない存在である以上、絶対に見逃すな!!」

 

照山の宣言に一斉に返事した艦橋要員は素早く周囲の見張りを開始する。園田姉妹は素早すぎる動作に驚きつつも、自分達は邪魔にならないと思われる位置へと静かに移動した。

 

彼らは「あまぎ」を取り囲む各艦越しにも関わらず熱心に周囲の見張りを行ったが、艦隊上空という圧倒的に見つけやすい場所に陣取るE-2C(ホークアイ)が最初に艦隊を視認するのだった。

その報告か間もなくして、12時方向の水平線から灰色の煙が何本も立ち昇っているのが「あまぎ」の艦橋からも見え始めた。

 

「もしかして灰色の煙が立ち昇っているのが艦隊ですか? 」

「間違いなく艦隊でしょうが、煙が中々濃いですね。今の護衛艦ならまず見ない濃さです。」

「環境活動家があんなに色のついた煙を見たら間違いなくぶっ倒れますね。」

「麗音、アレの濃さでブッ倒れる活動家が森林火災なんか見たら天に召されるわよ。」

 

現在では余り見ない濃さの煙で照山と園田姉妹の話は盛り上がる。

第2機動部隊が先にいるであろう艦隊との衝突を避けるべく取り舵をしながら前進する度に煙の柱は大きくなっていき、次第に煙を立ち昇らせている船の姿も見えてきた。艦橋周りで見張っていた乗組員は周りの艦に遮られながらも、首掛けタイプの双眼鏡や艦橋に備えた65式12cm双眼鏡を使って艦の姿を発見する度に歓声を上げた。

 

「スゲェ、3連装砲持ちの軍艦だ! ()()()()()()姿()だけど、隣が駆逐艦だからちょっとデカめだが巡洋艦か?」

「あの駆逐艦、艦橋前に主砲を背負い式で置いているぞ!?」

「真ん中にいるのは空母と···戦艦か!? でも艦橋が低すぎるような·····」

「空母の艦橋が煙突と一体化しているぞ! しかも舷側にエレベーターがある!!」

 

園田姉妹は子供の様にはしゃぎながら報告する乗組員の姿に驚きつつも、2人とも双眼鏡で右斜め前に見える艦隊の姿を視認した。

 

「見た目は全く違いますが、何となく大和と似た雰囲気がありますね。」

「姉上と同じ意見ですが、何か全体的に平べったいですね。日本海軍にもあんな艦があったんですね?」

「いえ、日本海軍は疎か海外にもあんな艦はいません。我々も今初めて見ました。」

「えっ!?」

 

照山の返事に麗音は思わず大声を出し、凜音も双眼鏡から目を外して照山の方を見た。

 

「え、でも、今まで現れたトウワコクの飛行機は全て日本海軍と同じ姿をしているですよね!?」

「飛行機に関しては瓜二つですが、艦艇に関しては似ても似つかない全くの別物ですね。」

「飛行機だけ同じで、船は違うって·····どう言う事ですか?」

「私に言われましても······」

 

日本海軍について社会の授業でしか習っていないであろう麗音の純粋無垢な質問に、照山はどう答えるべきか悩んでいる間に第2機動部隊を先導していた3機の九七式艦上攻撃機もどきは、煙突と一体化した艦橋を右側に備えた航空母艦へと着艦していた。

 

未確認機との通信で出てきたトウワコクカイグン第4艦隊と思わしき大艦隊は、戦艦と空母・補給艦らしき艦を巡洋艦と駆逐艦で囲った輪形陣で赤い長方形の真ん中に白丸を書いた国旗を棚引かせながら徐々に近づいてくる。

第2機動部隊とすれ違う形で正対する大艦隊の中央に堂々と布陣する戦艦の低い艦橋から小さな光が点滅し出す。不規則的な間隔で点滅する光の意味を園田姉妹は何一つ理解出来なかったが、照山は無言で点滅する光を見つめていた。

 

「“ワレ、トウワコクカイグン第4艦隊旗艦「ナツキ」。貴艦隊ガ日本国海上自衛隊第2機動部隊カ?”とのこと······了解(ラジャー)、“ワレ日本国海上自衛隊第2機動部隊旗艦「アマギ」、本艦ニ乗ル外交官ト貴艦隊責任者ノ対談ヲ本艦デ求厶”と送れ!!」

 

インカムを介して戦闘指揮所(CIC)と通信を行った照山の指示で、艦橋脇のデッキに置かれていた30cm信号探照燈を用いた発光信号を送った。

「あまぎ」が発光信号を送り終えて暫くすると、「ナツキ」から発光信号で返事が帰って来る。

 

「“承知シタ、護衛ノ兵ヲ連レテ行カセテモラウ”との返事です·······了解(ラジャー)。艦隊司令と艦長が出迎えるらしいのですが、お二人も出迎えますか?」

「交渉を任された以上、出迎えない訳にはいきません!! そうですよね姉上!」

「勿論よ。」

「承知しました。園田姉妹も出迎えるらしいです。」

 

照山がCICに伝えたのとほぼ同じに、艦橋前に設置された艦載機エレベーターが下がり始める。

 

「もしかしてあのエレベーターに乗って貰うのですか?」

「ええ、あのエレベーターなら艦内へ案内する場合も直ぐに対応出来ますから。艦隊司令らは艦橋横で出迎えるらしいのですが·······井山と殿浦、彼女らを艦橋横まで案内してやってくれ。」

 

巨大な戦艦を艦橋の窓越しに眺めていた井山と殿浦は照山の指示で、園田姉妹を艦橋横へと案内していく。手慣れた足取りで歩く2人について行った園田姉妹は迷う事なく艦橋横へと到着し、ほぼ同時についた石見や長瀬と合流する。

 

「我々海自は寄港先で要人を出迎える為に作法をある程度学んでいますが、外交術に関しては何一つとして知りませんので、ここからは貴女方にお任せします。」

「日本の命運がかかった正念場ですから、ご期待に答えられる様に精一杯尽くします。」

 

石見からの激励を受け園田姉妹が興味本位で習った海自式の敬礼で返していると、下がっていたエレベーターが轟音と共に上がり出す。

着艦した艦載機を格納庫へと運ぶ役目を任された長方形のエレベーターは、10名の人影を乗せて上がって来る。

 

中心の人物をグルリと囲むセーラー服の兵士がボトルアクション式の銃を構えている事に気づいた石見は、後ろに並んでいた紺色の迷彩が施された作業服の上に救命胴衣にもなる防弾チョッキを着てた隊員に素早く指示を出し、自らと園田姉妹を取り囲む様に展開させつつ万が一に備えて64式7.62mm小銃を発砲出来る様にした。

 

石見らの動きにセーラー服を着た兵士の目線が集まるが、彼らに囲まれた人物が彼らを咎めつつ石見に向けて進路を開けるように言った。

セーラー服の兵士が囲む中にいた海自の第1種夏制服と旧海軍の制服を混ぜた様な白い制服を着た初老の男は、隣に立っている似た感じの制服ながら膝丈程のスカートを履いた女性を連れて石見へと近づいていく。

 

「私は東和海軍第4艦隊司令官の津田基(つだき) 湧洞(ゆうどう)海軍大将だ。貴艦隊が日本国海上自衛隊第2機動部隊で間違いないか?」

「如何にも、日本国海上自衛隊第2機動部隊司令官の石見惣一海将だ。お会いできてなりよりだ。」

 

社交辞令が混ざった挨拶を交わした2人は敬礼を交わし、長瀬ら海自側も東和海軍側も続いて敬礼を行う。

敬礼を解いた津田基は「あまぎ」の艦上を興味深く見回し、東和海軍側の人物もそれにつられていく。

 

「木内から“巨大な空母がいる”と連絡は入っていたが、まさかここまで大きいとはな······この船は何と言うのかね?」

「こちらは「あまぎ」と言いまして、彼が艦長の長瀬竜也一等海佐です。」

「ご紹介に預かった艦長の長瀬竜也一等海佐です。」

 

石見に続いて自己紹介した長瀬に津田基は感嘆の目を向けた。

 

「その若さで艦長とは凄い優秀なのだな。出月君も自己紹介したらどうだ?」

「艦隊司令補佐官の出月(でづき)マキ少佐です。海上自衛隊の皆さん、宜しくお願い致します。」

「そちらも優秀な若き士官が揃っているようで。さて、挨拶はほどほどにしましょう。本職がいつまでも待たされたままになりますから。」

 

園田姉妹は自然な流れで話を引き継ぐ事を成功させた石見に感謝しつつ、既に取り出しておいた名刺を津田基と出月へと渡した。

 

「私は日本国外務省より貴国との交渉の全権を任された園田凜音です。名刺は先日までの役職のものしか無く申し訳ありません···あ、文字は読めるでしょうか?」

「えぇ、我々と同じですので難なく読めます。この歳で副大使とは相当な()()()()なんですね。」

「お褒めの言葉ありがとうございます。こちらは妹の麗音で同じく外交官を務めています。」

「ご紹介に預かりました、妹の園田麗音です。今回は姉上の補佐を努めさせて頂きます。」

「姉妹で外交官とは初めて聞きました。お二方とも優秀なのですね·······さて、我々は日本国という国名を初めて聴いたのですが、現在地からどの方角から来たのかを教えて頂きたい。」

 

優しげな雰囲気の挨拶から一転して、真面目な雰囲気の本題へ入ったのを直ぐに察した園田姉妹は一気に仕事モードへと入る。

 

「我が日本国は4つの大きな島で構成された列島を国土としており、現在地から南に150kmの場所に国土の一部が存在しています。」

「ここから南150kmの場所に陸地だと?」

 

凜音の説明に津田基と出月はハテナマークを浮かべる。2人の警備を任された兵士も皆が彼女の言った言葉をすんなりと理解出来ていなかった。

 

「どう言う事だ······出月、この海域に陸地はあったか?」

「いえ、我々の記録では我が国の南や西に先程の列島含む陸地は何一つありません。」

「だよな······我が艦隊はこの海域の警備も任されているのですが、あなた方の言ったような土地は全く知らない。この艦隊とあなた方は一体何処から来たのですか?」

 

津田基らは若干混乱気味ではあったが、凜音は混乱を助長してでも国を救うべく現状を話し出す事を決めた。

 

「正直信じられないと思われますが、我が日本国は別の星からこの星へと転移して来ました。」

「·······もう少し詳しく教えてくれ。」

「2日前の0時に国土全体が赤い光で包まれ、その後から諸外国との連絡が取れなくなりました。その際に星の位置が元いた星と違っている為に違う星へやって来たと仮定され、その確認を行っている中、東和国と接触したという流れです。」

 

凜音の説明を聴いた出月や兵士らは理解出来たか出来ないか分からない絶句の表情を浮かべたが、津田基は髭の生えた顎に手を当てて思考する。

 

「我々は2日前に起きた発光現象の調査に赴いていたのだが·····もしかして飛行艇と接触した機体は貴国のか?」

「恐らくそうだと思います。貴国の領海へ侵入した件については不可抗力でもありますが、謝罪させて頂きます。」

 

そう言い切った凜音は津田基に向けて頭を下げ、麗音も続けて頭を下げる。躊躇う事なく頭を下げた園田姉妹に津田基らは驚き、石見と長瀬も2人に驚きの目を向ける。

 

「貴女が悪い訳では無いので、お顔をお上げください。色々深く聞きたいことはありますが、このまま海上で話すのは不都合が多いので、よりもここから東に200km程に我が艦隊の母港へと誘導したいのですが宜しいでしょうか?」

「異論は無い。我々としてもずっと海上に停泊してては問題がありますので。」

「承知した。我々は艦隊や母港へ伝える必要があるので艦へと戻らせて貰います。母港でまた会いましょう。」

 

そう言い切った津田基らは石見や園田姉妹と握手を交わすと、エレベーター横に付けた内火艇で自らの艦へと戻っていった。

津田基らが戻って間もなくして「ナツキ」に率いられた艦隊は左回りで210°回頭をして東へと進んでいき、第2機動部隊はそれについていくのだった。




・灰色の煙が何本も立ち昇っている
正直言ってこの部分はこの描写で良いのか悩みました。YouTubeで日本海軍 カラー映像で検索しても着色した奴なので信憑性は欠けていると思いましたが、多分合っているだろうとしました。

当初は文字通りの黒煙でしたが、黒煙は流石に······と思って変更しました。

・東和海軍第4艦隊の艦艇
これらの艦艇に関する情報は後に出す予定ですが、一応イラストもあります。ただ挿絵として差し込むのはかなり面倒いので作者のTwitterで上げると思います。

・エレベーターに乗って貰うのですか?
この描写は日本国召喚と全く同じ展開ですが、海面まで下ろせるエレベーターとかめっちゃ使い勝手が良いのでこうするしかありませんでした。

・井山と殿浦
この2人は今話の執筆中に即興で登場させたキャラです。現時点では名前も無いキャラですが、登場させた以上名前付きで再登場させようと思ってます。

・園田姉妹と津田基の会話
正直言って要人との話し方は全く知らないので、この当たりは全て空想です。多分というか確実に間違っていると思いますが、フィクションだとしてご了承して下さい。
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