メシマズキヴォトスを美食研究会と一緒に救いたい先生 作:tarako
ここはよくある銃と神秘のファンタジーグランドセフトオートの世界。
そしてここはD.U区シャーレオフィスビル。
物語はここから始まる。
私は先生。そしてこっちの女の子は黒舘ハルナ。
どこにでもいる普通の女子高生だ。
彼女は大きく息を吸うと、その思いを吐き出した。
「あー店を爆破したぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…店を爆破したいですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その考え!人格が悪魔に支配されている!
ノベルゲームだと1ページを丸々埋めるような、とても長く物騒な事を言うハルナ。
どうしてこんな事を言うまでに至ったか、少しだけ見ていこう。
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ここ最近ハルナは店を爆破することなく大人しくしていたのだが、とある事件があった。
彼女が開催した料理講習会でレシピを提供した店の一つに入ってみた所、物凄く不味い料理を出されて、怒りのあまり爆破してしまったらしい。
そして当たり前のごとく、ヴァルキューレに通報され、手配書が出回る。
私がハルナがなにかやらかしたのを知ったのは、手配書を見たからだ。
私は手配書を見て思わず呟いてしまった。
「ワ◯ピースみたいな指名手配されとる……」
慌ててハルナに連絡するも音信不通。
どうなっているのか不安になっていた所、カンナから着信が来た。
……なるほど、大体展開が読めた気がする。
「もしもし、カンナ?」
「ああ、先生。今お時間大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。……もしかして、ハルナが指名手配されてる件について?」
「お話が早い。実はもう既に捕らえているんですが『私のバックにはシャーレが付いているんですのよ!』と喚いていてどうしたものかと」
「………………すぐにそっちに向かうよ」
「……お疲れ様です、先生」
カンナの労りの声とともに電話が切れる。
ハルナぁ……お前ぇ……。
ヴァルキューレに着き、カンナにハルナが入っている牢まで案内してもらう。
「あら、先生。ごきげんよう」
そこには優雅にくつろぐハルナが居た。
まるで牢屋が自室と言わんばかりの余裕な態度。
相当牢屋生活が長くないと身につかない風格だよ、これは。
「ご・き・げ・ん・よ・う、ハルナ!」
「怒らないで下さいませ……うぅ、私もこんなつもりでは……めそめそ」
「めそめそじゃないの!お店を爆破、ダメ!オッケー!?」
「……まぁ、それは置いておいて。シャーレ権限で釈放してくださいません?」
「置かないの!それにシャーレの力で罪を帳消しとか出来るわけ無いでしょ!」
「あー……先生」
成り行きを見ていたカンナが気まずそうに口を挟む。
「可能です。シャーレ権限での釈放は」
「出来ちゃうの!?料理店爆破しちゃったのに!?」
「フフン♪」
カンナは苦虫を噛み潰したかのような顔で続ける。
「この程度の犯罪はキヴォトスでは溢れてますからね。……それに、美食研究会は牢屋に入れたままだと脱獄騒ぎで余計に被害が拡大します。先生に持っていって貰えるとこちらとしても助かる、というのが本音です」
このキヴォトスで治安維持機構に身を置いてるカンナは、誰よりも現実を見据えているのだろう。
逮捕された犯罪者が即日出ようとしていても、割り切れてしまうのかもしれない。
せめて、少しでも慰めになればと彼女に最大限の敬意を払う。
「それじゃあハルナを引き取っていくよ……いつもありがとうねカンナ。キヴォトスの平和を維持するために頑張ってるの、本当に凄いと思うから。私に手伝えることがあったら何でも言ってね」
「
ニヒルに笑い、目を瞑るカンナ。
頼れる警察って感じでとても絵になるなぁ。
カンナは懐から鍵を取り出し、ガチャリと牢を開ける。
「んん~!いつ味わってもこの罪から開放される瞬間がたまりませんわね!」
「何度も味わうものじゃないぞハルナぁ……」
兎にも角にもシャーレに帰るとしよう。
最後にもう一度カンナに感謝を伝えて、帰路につく。
それを見ていたハルナがカンナに声を掛ける。
「それではまたお会いしましょう……ごきげんよう」
「……いや、もう来ないでくれ」
常連の会話じみてるなぁ。
ゲヘナの牢屋だけでなくヴァルキューレの牢屋にも馴染みがあるとは驚きだよ。
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・
と、いった事があった。
そしてシャーレに帰ってくるなり、冒頭の長々爆破セリフだ。
全くこりない悪びれない。まさに悪魔だな……。
「先生、レシピを知らない店が不味いのはもう仕方ありません。ですが、レシピを受け取っておいてその通りに作らず不味いのは食に対する冒涜です」
「それは、まあ、確かに……」
「でしょう!?少し味見でもすれば、いかに不味い料理か分かるはずです!それすらも怠っていたんですのよ!!」
怒り冷めやらぬといった感じで不満を爆発させるハルナ。
気持ちは分かるんだよな。
つい最近超不味い料理を食べて怒ったことを思い出すと、どうにも強く窘められない。
「もー!まったく。もー!ですわ!」
牛になってしまった。
しばらくもーもー鳴いていると、ピタッと動きが止まる。
「……美食研究会、動きます」
動かないで。
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@EATorDIEOfficialへの返信
:でたわね
:いつもの美食研が帰ってきた!
:頭ゲヘナ
:いや、お前さっき逮捕されてなかった…?
:さっきヴァルキューレから出てくるの見たからもうシャバに居る
:釈放されてすぐこのポストってやばw
:儂の店を返せ!!
:これから毎日派手にやろうぜ!!
:これだからゲヘナは……
:でも不味い店だったら爆破したくなる気持ち分かるわ
:美食研って倫理観←この漢字読めなさそう
あーもうやりたい放題だよ。
私はにっこにっこで情報待ちをしているハルナを、どうにか思いとどまらせようとすると、電子キーの解錠音が聞こえる。シャーレに来客だ。
今日のシャーレ当番は確か、イズミだ。……イズミか。
「やっほ~せんせ~……あれ、ハルナだ!」
「イズミさん、ナイスタイミングですわ!」
出会っちゃったかぁ……。
まるで、これから行うことに惹き寄せられるかのように自然に合流する美食研。
「これから料理店を爆破しに行くので準備して下さい、イズミさん!」
「おっけー!」
「おっけーじゃないよ!イズミ、そんな事より料理動画を撮ろう……な?」
「え?う~ん……今日は爆破って気分かな~」
「そっかぁ……」
着々と運命が廻る。
その時を待ちわびるように。
なので、当然のように今日の爆破対象の情報提供もされる。
「時は来ました。早速料理店を爆破しに出かけますわ!後に続いてくださいまし!」
「おー!!」
「止めてほしいなぁ……」
私は提供された情報がデマで、今日の爆破が空振りに終わるという淡い期待をする。
が、ここはキヴォトス。こういったことは律儀に正しい情報だったりするのだ。
嫌だ、止めろと言いつつ、心の奥の方では生で見る爆破劇に期待している自分も居る。
もうなるようになれだ。
「ここが情報提供された料理屋ですわね……」
あっという間にお店に着いた私たち3人。
普通の洋食料理屋といった店の外観をふむふむと眺めるハルナ。
「使う爆薬は少なくて済みそうですわ!」
料理屋を見て出てくる感想じゃないんだよなぁ……。
「さて、イズミさん。今日は少し趣向を変えて調査しますわよ」
「うーん?」
「今日は店主にセクハラ疑惑もかかっています。そこに先生も一緒に居てしまうと、セクハラを躊躇してしまうかもしれません。ですので!」
一旦区切るとビシィ!とイズミに指を突きつけるハルナ。
「今日のイズミさんは『美食潜入員』として単独でこのお店を調査してくださいまし!」
「び、美食潜入員!?」
「ええ。悪徳な料理屋の野望を挫く、正義の囮調査ですわ」
「おお~!やるよハルナ!不味い飯食べまくりのセクハラされまくりだよ!」
セクハラされまくりはまずいんじゃないかな。
少し気になることがあったのでハルナに聞いてみる。
「イズミからはどうやって連絡や合図を出す?席を外してスマホで電話とか?」
「いっそ通話状態のスマホを忍ばせておきましょうか。こちらからも会話をリアルタイムで聞けますし」
「なるほど。いいね」
話はまとまり、いよいよイズミが入店する。
その前にハルナは円陣を組むらしい。店を襲撃する前はいつもやっているとか。
「さあ、美食研究会。準備はよろしくて?……ファイト!!」
「「「オーーーーッ!!」」」
ドアが開き、ちりんちりん♪と入店を知らせる音が鳴る。
『いらっしゃいませ。お一人様ですかな?』
『うん。一人~』
イズミが隠し持っているスマホからはクリアな音声がこちらに届いている。
これならいざという時は助けにもいけそうだし、大丈夫そうだ。
お店に入り、しばらくは待機時間が続く。
『今のところ問題は無し。お店にほとんど人が居ないから爆破はしやすいかも?』
そんなイズミの報告が聞こえてくる。
ハルナは既に爆破する気満々なのか爆弾のチェックをしてる。怖い。
『お待たせしました。洋食セットです……ぐふふ』
『ありがとうございま──』
『お嬢ちゃん可愛いねぇ。その制服はゲヘナかな?ご飯を食べ終わった後おじさんといいことしてみないかい……ぐへへ』
『……あの、先に料理食べていいです?冷めるので』
『おっと。もちろんさ。ぐふふ』
どうやらセクハラは事実らしい。
粘ついたおじさんの声と冷めきったイズミの声がスピーカーから聞こえる。
沈んだイズミの「いただきます」の声が聞こえて、少し料理を食べた後。
『不味いよこれ。愛のないゲテモノ料理だよ』
その声を聞くと、私とハルナは店に入っていく。
ガチャリとドアを開けると、丁度、犬の獣人店主が話す所だった。
「お、お嬢ちゃん、エッチな事に興味はあるかい?」
「……あら、エッチな事に興味ありますわよ?」
「あ、ハルナに先生~!」
店に入ったばかりのハルナが応える。
その言葉に店主はようやく私たちが入店して来たことに気づいたようだ。
「お、おや。お嬢ちゃんの友達かな……?ぐふふ!随分とエッチなお嬢さんみたいだ!エッチな事に興味津々なお年頃というわけだ!!」
「ただ、店主さん。少しだけ問題が有って」
ハルナはガチャリ、と銃を構えて店の天井に向ける。
イズミもすっかり臨戦態勢で私の傍に来ている。
「エッチはエッチでもHELLのほうですわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そう言うとハルナは銃を乱射!
スナイパーライフルとは思えない発射速度で、ショットガンとマシンガンの銃声を合体させたかのようなガガガガ!という音が店内に響く。
その銃声で数少ないお客さんは全員逃げ出してしまった。
「やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「やめるわけねえですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ハルナ!お客さん全員出てったよ!」
「了解ですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
イズミの言葉を聞くとハルナは店主に近づき
「シっ!」と抉りこむようなボディーブローを放つ。
あまりの痛みに店主は悶絶して、程なく気絶する。
気絶した店主は手際よく、イズミが店の外に引っ張っていく。
「先生も私に着いてきて~店の外にいくよー!」
「わ、わかった……」
ちらっと店内を見るとハルナがウキウキで爆弾を仕掛けている。
この瞬間を写真に収めて「喜」というタイトルにして飾りたいぐらいの笑顔をしている。
いや、いつまでも見ていないで、外に出よう。
「ふぅ~~あとはお楽しみの時間だね、先生」
「……そうだね!」
ちょっとだけ待つと、一抱えの荷物を持ったハルナが店から出てきた。
「消し飛ばすのと、有効利用、先生はどっちが好ましいと思いますか?」
「え……え!?……有効利用?」
「まぁ、流石は先生。SDGsですわね」
「おお、今回の店は結構溜め込んでるね~」
「セクハラが無ければあなたに返してもよかったのですが……残念ですわ」
「慰謝料代わりに貰っていくね~『イイヨ(裏声)』おお~ありがと~」
やってんねぇ!
でも、強盗してるのとかはどうでもよくて(クズ発言)
私は、店が爆破される所を見たいだけなんだ。
「ではお待ちかねですわ!」
そう言うとハルナは起爆スイッチを取り出す。
赤いボタン一つのシンプルな起爆スイッチに人差し指を乗せ、一言。
「ポチっとな」
ズドォォォォン!!
腹に響く爆発音とともに、料理屋の内部が派手に爆発する。
だが、外に破片が飛び散ってくるようなことはなかった。
最初の爆発音の大きさとは違い、次に訪れたのは静かな崩壊だった。
メキメキと音がしたと思うと柱が折れて、屋根が店全体を押しつぶす。
その店だけに壊滅的被害をもたらす爆発は、熟練の技を感じる火薬の芸術だった。
あぁ……素晴らしい……生で見れて本当に良かったな。
私は、評判の良い花火大会に来たかのような感想を抱く。うん、本当に良い爆破だった。
「あ……あぁ……儂の店が…………あんまりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………ガクリ」
気絶から復活した店主が見たのは、自分の店が爆破される瞬間だった。
そして、ショックで再び夢の世界へと旅立つ。
まぁ、何にせよ。
悪徳料理店は営業活動を停止……死んだのだ。
ほ..3.1万 5..6599 ふ..共有
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「ヨシ!投稿完了ですわ!」
店を爆破し終えた私たちの前に1台の車が止まる。
その中からは聞き覚えのある声がした。
「ハルナ~!私たちも混ぜて下さ~い!」
「そっちだけ楽しそうでずるいわよ!」
アカリとジュンコだ。
なんだかんだ美食研究会が全員集合してしまった。
「あらあら。全員揃ってしまいましたわね」
「ねえ、せっかくだし全員でご飯食べに行こうよ!」
「それなら奢るよ。みんなは何か良い店知ってる?」
「先生の奢りですか、今日は一杯食べちゃいますね★」
「あはは…お金なら心配しないで。満足するまで食べてよ、アカリ」
「それなら前に行って、きちんとレシピ通りに作ってて美味しかったお店がありますの!あそこにしましょう!」
わいわいと盛り上がる美食研究会。
爆破して美味い料理を食べる一日がこんなに楽しく感じられるとは自分に驚きだ。
美食研究会の才能、有るかも。
こうして今日もキヴォトスの一日は平和に過ぎていく。
特に何も無い日のこんな日常がいつまでも続きますように。
生徒に幸あれ。