メシマズキヴォトスを美食研究会と一緒に救いたい先生 作:tarako
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キヴォトスの食のトレンドを知りたいならジュンコをフォローするといいだろう。
彼女が紹介する料理は食の最先端。
先生が紹介する最新レシピや、評判の良かった料理、更にはおすすめの料理店など。
あなたの欲しいグルメの情報が必ず手に入る。
美食研究会の一員だからと尻込みしている人は安心してほしい。
このアカウントが発信しているのはグルメ関連の情報だけなのだ。
美食研究会公式アカウント?……あれは、まあ、フォローしたければする感じで。
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そうそう、キッチンカーアカリも順調だ。
今はアルバイトも広く募集して、フランチャイズ契約を結んでの販路拡大など、経営面でもキッチンカーアカリは躍進を見せている。
契約に後ろ暗い事など一切なく、主にヘルメット団やスケバンが元気にキッチンカーで料理を売っている光景がキヴォトスでは日常になりつつある。
時折アカリが顔を見せると、「アカリの姉御!」や「アカリの姉貴!」と慕われているそうだ。
決して反社とかそういうアレではないのだ。いいね?
先生の料理チャンネルの事をまだ話していなかった。
あのチャンネルの登録者は300万人を突破したらしい。
まだまだ登録者は伸びている。料理とエロは偉大だ。
でも、チャンネルの影の功労者としてイズミを忘れてはいけない。
彼女のカメラワークと、先生への衣装への口出しによって、先生の料理チャンネル特有といわれる、料理とエロに対するねっとりとした情欲溢れる空気感が形成されているのだ。
料理は美味しい。エッチなのはOK、無罪。楽に生きていこう。
ハルナの近況を紹介する前にアリス食品の事を話しておこう。
これがアリス食品のとても可愛いマスコット、アリスだ。
天童アリスに許可を得た上で、マスコットとして使用されているぞ。
アリス食品の売り上げの一部は、マスコット代としてアリスの口座に入る契約が結ばれているぞ。
よかったね。
アリス食品は食品関係の展開を幅広く手掛けており、最近ではレトルト食品、インスタント食品の商品開発に成功している。早速売り出されたそれらは、瞬く間に人気商品となり、アリス食品の立場をより盤石のものとする。
そんな展開の中で、冷凍食品が次のアリス食品の商品開発の主軸となることになった。
そこで先生の要望が入る。
もしも可能ならば柴関ラーメンを冷凍食品で販売して欲しいと。
滅多に経営に口出しをしてこない先生の、珍しい要望に、アリス食品代表の調月リオは張り切った。早速冷凍ラーメンのサンプルをいくつか作り、柴関ラーメンの味の再現をある程度可能と判断する。
即断即決、リオはアビドスの柴関ラーメンへと着いた。
まずは実物のラーメンを食べてみて、これはいけると判断したリオは、大将に商売の話を持ちかける。最初は訝しんでいた大将だったが、先生の名前が出ると、ころっと話を聞く方向へ転がる。
「なるほどなぁ。家のラーメンも有名になったもんだ。……よし!冷凍食品やらインスタント食品やらの話、受けるぜい!最近では人気でずっと行列が出来てて、気軽に家のラーメンを食べられなくなってきてるしな」
「ありがとうございます。こちら、試しに制作した冷凍ラーメンのサンプルです。スープと麺と具材を凍らせて、円盤状にして販売します。食べる際は、最初にコードを読み取って先生の料理動画を再生させ、水を加えて鍋で煮るだけなので、手軽に食べることのできるラーメンとなります」
「はー……冷凍食品ってのは初めて見たけど工夫されてるねぇ。うん、まあ、そこら辺の話はよく分からんから、リオさんを信用するよ。先生があんたの会社に関わってるってんなら間違いないだろうしな!」
「ええ……先生には本当によくして頂いています。では、まずスープの再現の部分は──」
ある意味先生が繋いだとも言える柴大将とリオの縁は、最高の商品をキヴォトスに生む。
「アビドス柴関ラーメン」が発売されると、これが大ヒット。
先生の動画で紹介されていた柴関ラーメンを食べたいと思ってはいたが、アビドスにまで行くのはちょっと……と考えていた人が思った以上に多く、冷凍食品で出たなら一度食べてみようと考えた人が押し寄せた結果の大ヒットだった。
これからもアリス食品は美味しい商品を作っていく。
キヴォトス中の食を支配する勢いで成長するアリス食品だが、リオの行動原理は単純。
ただ、アリスや先生に喜んでもらいたいだけなのだ。
最後にハルナの近況について話そう。
彼女は今、裁判所に居る。
なんでこうなった、というよりも、とうとうこうなったと考える人の方が多そうだ。
では、裁判の様子をどうぞ。
証 言 開 始
あの、私だけ
まあ、いいですわ。
不味かったから爆破した。
EAT or DIE
罪を恐れていては、
例え、裁判所の証言台に立とうと
さぁ、判決を言いなさい!
「……本法廷はこれ以上の審議の必要を認めません」
「さらに、被告に対する判決を決める時間も必要としません」
「これは、きわめて明白な事件です。疑問の余地はない!」
「被告人、黒舘ハルナにこの場で、判決を言い渡します」
有 罪
「では、本日はこれにて閉廷!」
その後、収監されたハルナは僅か2日で仲間の手を借りて脱獄。
このキヴォトスでの法とは暴力なのかも知れない。
裁判で有罪を食らったとは思えないほど、いつも通り。
今日もハルナ率いる美食研究会は元気です。
「さぁ!今日も美食の道を突き進みますわよ!」
・
・
・
ガタン、ゴトンと電車が揺れる。
この光景は見覚えがある。
ブルーアーカイブ冒頭の連邦生徒会長が先生に話しかけるシーンだ。
ただ、少し違う箇所がある。
生徒会長の服が赤く染まっていないし、彼女が満面の笑みでこちらを見ている。
「ありがとうございます、先生。あなたの尽力により、世界からメシマズが取り除かれつつあります。このペースでいけば、世界からメシマズの法則が消え去るのも遠い話ではありません」
「それは良かった。確かに、最近だと美味しい料理を気軽に食べられるようになったからね」
「ええ。これも全て、先生と美食研究会の皆さんが頑張ってくれたおかげです」
彼女の言葉に今までのことを振り返る。
動画チャンネルを開設したり、グルメ情報をSNSで発信したり、キッチンカーで料理を販売したり、外食産業に講習会を行いレシピを教えたりと。
どれも自分だけでは無理で、美食研究会と一緒だから出来たことだ。
「まぁ、美食研究会は問題行動も目立っていたのですが……」
「ははは……」
「笑い事ではないですよ。先生も途中から諭すのを諦めて、一緒に楽しんでましたよね?」
「~~♪~~♪(誤魔化す口笛)」
済んだことは、置いておこうよ。
誤魔化す私に、まったく、と彼女は呆れたように苦笑する。
そして仕切り直すように、言葉を続ける。
「メシマズ化直前の世界と混濁した様々なテクスチャ」
「矛盾した世界に、最初から飯が不味かったら存在しない様々なもの。さらに、世界の重大な秘密に気付きかねないほど不味い飯」
「綱渡りの世界でした。ですが、無事乗り切れたのはきっと先生の料理が美味しかったから」
「……本当にありがとうございます。先生は重大なことを成し遂げたんですよ?」
「何だか実感が無いな。ただ、美味しいものを食べたかっただけだから」
「ふふ、先生らしいです」
鈴を転がすような声で彼女はころころ笑う。
アロナと同じその声は、発し方でこうも印象が変わるのか。
いつもの「先生!先生!」と元気の良いアロナの声から、大人の魅力を感じさせる「先生」の声を聞いて、温度差でどうにも風邪をひきそうだ。
「先生、最後に一つだけお願いがあるんです」
「いいよ、何でも言ってよ」
「もう、気軽に何でもって言ってると、その内とんでも無いことを言われてしまいますよ」
「大丈夫、大丈夫。生徒たちはみんな良い子だから」
ジト目で睨まれてしまったが、生徒たちの力になりたいだけなんだ。
これはきっと変わることのない私の性質なのだろう。
「はぁ。そういう所ですけど、ですから先生として好感を持ったんですよね……」
小声で何かを呟くと、こちらをしっかりと見つめる彼女。
何処か既視感を感じつつ、彼女の願いを聞き漏らさないようにする。
「では、改めて。お願いというのは、アロナにイチゴミルクをご馳走してあげて欲しいのです」
「アロナにイチゴミルクを……?」
「ふふ、ただそれだけのお願いです。彼女の好物なので♪」
「分かった。それがお願いなら喜んで」
んん?連邦生徒会長=アロナって訳じゃないのかな。
何処か他人事みたいにアロナの事を言っていたけど、でも同一人物なような……?
私はここに来てアロナのことが良く分からなくなってしまった。
少しいたずら気にこちらを見ている連邦生徒会長が、からかうように話す。
「アロナの正体、気になります?」
気になってる。
けど、それを素直に認めるのは癪だという子供じみた反抗心が出てきた。
なので大人らしく言葉をこねくり回した、曖昧な表現で逃げる。
「どんな事情があったとしても、アロナはアロナだからね。シッテムの箱のメインOSで、私の相棒だよ」
「先生の、なんかいい感じの言葉でまとめるの、ずるいと思います」
ぷくっと頬を膨らませる連邦生徒会長。
あぁ、その姿は正しく成長したアロナだった。
やっぱり連邦生徒会長はアロナじゃないか。
「ごめんごめん」
「イチゴミルク沢山ですよ!そうしたら許してあげます」
もう隠す気も無く、ただ二人して笑う。
今までずっと支えてくれてありがとう、アロナ。
これからもよろしくね。
それからもしばらく話していると、何時かのように意識が保てなくなってくる。
とても強い眠気にうつらうつらとしているかのような、心地よい気持ちだ。
「時間が…来たみたい。……また、向こうで……会おうね……」
「ああーー!!ここの記憶って基本、忘れるんでした!!」
「今……言うこと……?もう、意識が……」
「ああああ!!もう少し起きてて下さい!イチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルクイチゴミルク」
き、記憶に残そうとする方法が力技すぎる。
「イチゴミルクをお忘れなく!!!!」
い、意識が…………
・
・
・
もんにょりとした気分で私は昼寝から目覚める。
なんとも言えない、この気持ち。不快というわけではないし、何かあった訳ではないのだけど、どうにも、こう、言葉にしにくい歯がゆさがあるのだ。
寝ぼけ眼でモモトークやSNSをチェックすると、ジュンコの呟きが目に入る。
果物のスムージーか……そういえば、前に動画で取り上げた時はバナナやベリー系なんかが中心の紹介になっていた。
今日は少しだけ違う種類の、そう、例えばイチゴのスムージーなんかを作ってみるか。
スーパーで買い物をしていると、珍しくアロナが表に出てきた。
「イチゴです!」
イチゴだね。スムージーにしてみるつもりなんだ。
「スムージー?よく分からない横文字を使わないで下さい!イチゴといえばイチゴミルクですよ!イチゴミルク!今日はイチゴミルクにするべきです!なぜか凄くそんな気分なんです!」
わ、分かったよ。プラナもそれでいい?
「はい。私も先輩がそんなに気になっているイチゴミルクを飲んでみたいです」
多めのイチゴを買い込んで、イチゴミルクを作っていく。
二人の味の好みに合うようにちびちびと試飲しながらの制作だ。
レシピよりも砂糖とイチゴの量が多いイチゴミルクを飲んだアロナは、目をカッと開く。
「こ、この配合です先生……!アロナは今、猛烈に感動しています!!」
「これがイチゴミルク……美味しいですね」
プラナの好みでもあったようで、この分量で本格的に作る。
出来上がるのをわくわくしながら見守るアロナとプラナは、普段意外と見ることがない子どもらしさに溢れていた。
大き目のグラスに注いで、太いストローをさしたら、完成。
「さぁ、出来上がったよ」
「早速スキャンして仮想空間に取り込みます!」
「手伝います、先輩」
アロナとプラナが両手をイチゴミルクにかざし、むにゃむにゃと何事かを唱えると、イチゴミルクは器ごと粒子となってシッテムの箱の中に取り込まれていった。その原理は全く不明。
シッテムの箱ってスゴい、私はまたもやそう思った。
「それじゃあ、食べようか。いただきます」
「「いただきます!」」
よく冷えた甘めのイチゴミルクを飲みながら、なんとなく、初めてキヴォトスに来た日の事を思い出す。よくもまあ、あの地獄のメシマズを味わった日からここまでこれたなと思う。
それもこれも、美食研究会やアロナにプラナ、他にも大勢の助けがあって出来たことだ。
感動で胸が一杯になった私は、ひとまず身近なアロナとプラナに感謝の言葉を伝えようとする。
「ありがとね、アロ──」
「イチゴミルク美味しいです!!最高です!!」
ハイになってるアロナに私の声は届かず。
ゆっくりとイチゴミルクを味わっていたプラナに届いた。
「……?先生、何か言いましたか?」
「イチゴミルク美味しいね、プラナ」
「はい、とっても美味しいです」
にこりと笑うと、またイチゴミルクを味わう事に集中するプラナ。
「先生も飲んでますかー?いぇいいぇい!イチゴミルクサイコー!」
酔っ払いみたいなテンションのアロナに、感謝の言葉を伝える気は全く無くなってしまった。
また後日、シラフのアロナに伝えよう。
「はは……気に入ったみたいだし、また作ってあげるからね」
「ふおおぉぉ!!先生も最高です!イチゴミルク先生です!!」
どんな先生なの。
とはいえ、美味しいものを食べてる時はそっちに集中しなきゃ失礼か。
イチゴミルクを一口飲み、私は決意を新たにする。
これからも美味しい料理でキヴォトスを満たしていくぞ!
~完~
駆け足気味ですが、これにて完結です。
これから忙しくなり執筆時間が取れなくなるので、書き溜めてた小説を眠らせておくよりかは、ここで一旦まとめて投稿してしまったほうがいいかなと思い、急いで書き上げました。
お気に入り登録、高評価、感想、ここすき、本当にありがとうございました。
色々と粗く拙い本作ですが、この作品を読んで、少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいです。