地下生活者はチーレムしたい!   作:名無しのレイ

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短めで申し訳ありません~。

ご意見をいただいたのでミカと先生の会話を変更してみました。


第六話

 

「という訳で……『お互いの誤解』から『小競り合い』が起きましたが『先生の仲裁で場を納めた』そういう事でどちらもよろしいですね?」

 

 地下生活者と先生のあれやこれやが終わって、ともあれ敵対的関係にならずに済んでほっとしている地下生活者を他所に、ミネ団長はこの場を収める提案を皆にしていく。『小競り合い』が起きたが、『先生の仲裁で場を収めた』という形にすれば、一番問題のトリニティ学園の権威はこれ以上傷つかずにすむ。

こんな寄せ集めの小勢力に負けたとなれば、トリニティ学園は自分のメンツのために全力でこちらを叩き潰しにくるだろうが、『小競り合い』で『仲裁』されたのなら、まあ仕方ないか……で矛を納めるはずである。

元トリニティのアケミからしたら(トリニティの権威なんてすでに地面にめり込んでますでしょうに)といいたげな顔だったが、それでもそれを口にするほど子供でもない。

大まかな部分ではまとまりそうではあったが、それに異議を唱えたのはいわゆるスケバンたちだった。

 

「おいおい、ちょっと待ってくれよ! 小競り合い云々はまあいいとしても、ウチラの拠点ボロボロにしておいて、「はいそうですか」じゃすまねーんだよ!! 修理費払ってきちんと元通りにしろよ! ウチラ間違った事言ってないよなぁ!?」

 

心の中では(余計な事言わないでくれー!!)と叫びたい地下生活者ではあったが、彼女たちの意見は実に正論である。拠点をボロボロにされておいて何も言わずにそのままはいどうぞ、と言うのは彼女たちの立場からすれば一言言いたくはなるだろう。

 

 トリニティのいわゆる『トリカス』なら「元通りにしろ」と言われたので「元の廃墟そのまま」にして戻すなどやりかねないのだが、ミネはそんな不誠実な事とは無縁の清廉潔白な女性である。

 

「……解りました。『修理費』に加えてアリウス生徒の『自立支援料』と言う形で上乗せする方向で話をしたいと思います。『保護』した生徒たちの『自立支援』という形ならスムーズですし文句もつけにくいでしょう」

 

 つまりミネは『保護した』というトリニティの言い分を逆手に取った形になる。『保護した後で自立支援を行うために信頼できる所に預ける』と救護騎士団長のミネが言い出したら真っ正直から逆らえる生徒たちなどいない。言い出したら「お前は私たちより弱者救済を行っているのか? 私たちより専門家なのか?」と一刀両断されて終わりである。

 予算は最悪弱者救済を行っているシスターフッドからふんだくってくるという事もできるだろうが、流石のミネ団長も何もしていないサクラコを問い詰めるほど悪辣ではない。(普段はサクラコが何かしてると思ってるから問い詰めているだけである)

 

「これでお詫び代……もとい『自立支援費』は賄えるでしょう。ただ建物の『修繕費』となるとやはりティーパーティーから出していただくのが……。」

 

「わ、私!? ひぃん……。またナギちゃんとセイアちゃんにガチで怒られるぅ……」

 

 確かにストレスが溜まってしまっていたミカはタガが外れてしまい暴れまわってしまったが、公式的には『ちょっとした小競り合い』『ただの誤解』で強弁するつもりではある。だが、当然彼女を「魔女」扱いするトリカスたちはこれ幸いに再度攻撃を仕掛けてくるだろうが、それは本人のやらかしでありミネ団長としても庇えないというのが正直なところである。

 ナギサやセイアのポケットマネーで賄うという裏技もあるかもしれないが、それはもうティーパーティーの問題であり地下生活者たちやミネ団長たちの入れる余地はない。

 

「……ミカ。大変だろうけど一緒に頑張ろう。私も全力でミカを支えるからね。先生は生徒の味方だからね。」

 

「せ、先生……。ぐすん、本当にごめんね。」

 

 恐らくは今まで周囲から散々魔女呼ばわりされて迫害され、それでも贖罪のために頑張っていたが、彼女の精神に多大なストレスがかかっていたことは間違いない。そこに『敵』を見つけてしまい、精神のタガが外れて半ば暴走してしまったのだろう。これは自分のフォローが悪かったからである、と先生は判断した。

 

「ミカの件はメンタル的にフォローしきれなかった私にも責任がある。私がきちんとミカの責任を取るし、ティーパーティーの皆とも私が交渉してこちらに修繕費を払う。なんならシャーレから出してもいい。だからここは勘弁してくれないかな?」

 

まあ、先生がそこまでいうのなら……と皆頷いてその場を納める事にした。

 


 

 ともあれ、先生やトリニティ勢力たちもようやく帰ってへろへろになった地下生活者が率いる混成勢力は、それぞれ休息に入る事になった。

 これで一番被害を食らったのが直したばかりの戦車がボコボコにされためそめそしているヘルメット団で、スケバンたちもアリウス生徒たちもほとんど被害が受けていないのが皮肉であったがともあれ、地下生活者たちの指揮の元彼女たちはそれぞれ休みへと入っていった。

 だが、休息に入る前に、地下生活者にはやるべきことがあった。それは勝手に暴走したアリウス勢力たちへの『お説教』である。自分を熱狂的に慕ってくれているのは理解できるが、それでも「自分のためを思って勝手に攻撃を仕掛けました!!」という事を平気でやられてはどんどん暴走していってしまっていく先はお互いの破滅しかない。きちんと引き締めておくところは引き締めておかなくてはならない。

 会議室(仮)に呼び出されたアリウス生徒たちの顔はまさに沈痛と絶望だった。まるでこれから先粛清が待っているかのような面持ちの彼女たちに、地下生活者は厳かに言葉を放つ。

 

「これはね……いくら小生でも怒るよ。めちゃくちゃ怒るよおおお!」

 

「めっ!」

 

 地下生活者たちは暴走したアリウス生徒たちに対して「めっ!」と声を出して叱りつける。これが地下生活者が美少女たちに行える最大級の叱りつけだった。自分のようなキモい存在が美少女に対してこんなに怒るなんてメチャクチャ心が痛いぜ……。と地下生活者は額の汗を拭いながら彼女たちにさらに言葉を続けていく。

 

「勝手な事をせずに行動をするときは小生にきちんと報告する事。暴走はせずに小生の指示を仰ぐこと。これさえ守ってくれれば今回は不問にするから。次回は気を付けてね。」

 

 彼としては自分のようなキモ男が美少女に「めっ!」するだけでも良心が痛んで仕方ないのではあるが、これ以上暴走しないためのまさに苦肉の策である。アリウス生徒たちも落ち込んでいるだろうから、何か美味しい物でも食べさせてあげないとな……。ブラックマーケットとか調べて色々食料品とか買えるところを調べないと……。と考えている地下生活者に対して、アリウス生徒たちはおずおずと彼に向って問いかけてきた。

 

「あ、あの……勝手に動いた罰はないんですか? 強酸で沈めるとか、絞首刑にして皆の見せしめに吊るすとか……。」

 

キヴォトスの生徒たちはヘイローが存在し、その恩恵で極めて肉体的に頑丈である。そんな彼女たちの命を奪うためには、強酸に漬けたり絞首刑にしたりコンクリで沈めたりするという手段を過酷なアリウスでは取られており、逆らう者たちはこうなるぞ、とベアトリーチェは見せしめに行っていた。

当然、勝手に暴走してしまった自分たちも見せしめにされるのではないか、と考えていた彼女たちではあるが、それは地下生活者の逆鱗に触れるには十分すぎる一言だった。

 

「あぁ!?」*1

 

「ふざけるなよボケが!! 美少女を傷つけるなんて……そんな事小生がするわきゃねえだろうがぁあああああ!!」

 

「美少女を傷つけるなんて……小生の……小生の名が廃るだろうがぁあああああッ!!」

 

 頭に血が上って切れまくった地下生活者は、自分の拳を机に叩きつけて机をその一撃で真っ二つに破壊する。さらに続いた言葉と共にその破壊された机を踏みつけ、蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされた机の残骸は、まるでボールのように壁に叩きつけられ、轟音と共にその残骸が壁に叩きつけられ粉微塵に破壊される。はあはあ、と暴れまわって息を切らしている彼に対して、アリウス生徒たちはあまりの豹変っぷりに呆然とする。自分たちが当然だと思っていたことにまさかここまで激怒する存在がいるなんて思わなかったからだ。今だに興奮が収まりきらずにふーっふーっと息を荒げる地下生活者は、アリウス生徒たちを迫害・弾圧・見せしめにしてきたベアトリーチェに対して激しい怒りを向ける。

 

(クソがぁああああ!!あのアカ頭女、美少女の命を奪うとか何考えてるんだクソが!!クソイチゴ頭が!!死ぬほどボコボコにしてアリウスたちのされてきたこと全部してやりてぇわ!!後は死ぬほどボコボコにした後で首だけ引っこ抜いて美少女フェイスをイン! してやりてぇな……。いやだめだ。あの体で美少女フェイスなら……小生は許してしまうかもしれない……ッ!! くっ!)

 

だが、そんな荒れ狂う地下生活者を見て、アリウス生徒たちは恐怖よりも歓喜による歓声が一斉に起こった。

 

「うおおおおお!!さすがが地下生活者様!!我らが救い手!!我らが救世主様!!」

 

「地下生活者!!私たちはこれから一生お側にお仕えいたします!!何でもお命じください!!」

 

 中には涙を流しながら感動している生徒たちまでいる始末である。彼女たちの常識からすれば、勝手に暴走してしまったら自分たちは最悪処刑されるのが当然。まさかこんな程度ですまされるとは全く予想外だったのだ。これによりただでさえ狂信じみていた彼女たちの信頼はさらに上がる事になったが、それに一番困惑していたのは地下生活者その人だった。

 

(えっ……?何で怒ってるのにさらに士気が上がってるの……?なにこれこわ……。)

 

 しかし、大盛り上がっているアリウス生徒たちを見ながら、地下生活者は思わずドン引きしながら冷や汗をかいていたがそれを表に出すほど子供でもない。大盛り上がりしている彼女たちを何とか落ち着かせると、とりあえず今日は休みなさい、と彼はアリウス生徒たちに指示を出し、激動に満ちた一日は終了した。

 

 

 

*1
地下生活者、切れたッ!! 

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