狩人さん、新エリー都へ逝く   作:ネットの狩人

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第1話

古都ヤーナム。

 

獣の病が蔓延し、獣と成り果てた者は人を殺し、喰らい、狩人が殺し、殺され、正気を失い、狩り狂い果てる……もはや常人には計り知れない地獄とも言える街だった……。

 

しかし、ヤーナムは医療の街であり、血の医療と呼ばれるヤーナム独自の治療方が存在し、血の医療を求めて狂気の街へと踏み込む者は絶えない……。

 

月の香りのする彼もまた血の医療を求めてヤーナムを訪れ、覚めない悪夢の中、悪夢からの目覚めの為に青ざめた血を求めて獣狩りの夜に挑んでいた…。

 

「とは言え……これで何周目だ……?」

 

正確には何百と越える周回を繰り返してだ……。

 

そう彼は血も滲む努力と人形ちゃんと戯れながら最後まで狩りを全うして車椅子のお爺ちゃんことゲールマンに介錯された筈なのだ……しかし、最初に目覚めた所から手に入れた装備あり再スタートでもう一度巡礼する羽目になった……

 

狩人は何かの間違いだろうと気を取り直して取り敢えず道中の全てをの獣と血によってベロンベロンの狩人達を凪払いながらもう一度介錯された……また再スタートである。

 

狩人は頑張った……そして人形ちゃんと戯れた……たまにババァに会いに行った……。

 

今度はゲールマンが原因じゃね?的な理由でゲールマンを瞬殺、そして変な奴が出てきて……再スタート。

 

狩人はマジギレした……そして人形ちゃんと戯れた……娼婦の血を貰ったら修道女のお怒りを買った……。

 

今度は念入りに探索し、色々あってゲールマンの後から出てくる謎生物をジョリジョリとノコギリで始末した……何故かナメクジ……人形ちゃんに抱かれた……そして再スタート。

 

再スタート。

 

再スタート。

 

再スタート。

 

そして……再スタート。

 

……狩人は燃える館を尻目に引きこもりました。

 

「狩人様……ゲールマン様がお待ちですよ?」 

 

「嫌だぁッー!どうせ再スタートだもん!人形ちゃんと戯れてるもん!」

 

狩人は困った事に人形ちゃんに抱きつき、離れない。

 

人形ちゃんも困った所でゲールマンがギコギコと車椅子を押してくると……。

 

「ふん!!」 

 

「ぐほぉッ!?」

 

狩人の頭を杖でぶん殴った。

 

「何んすんだクソ爺!?」

 

「何時までも人形にすがるんじゃない……老人を何時までも待たせるつもりかね?」

 

「知らねぇよ!どうせまた繰り返すんだ!好きにさせてくれ!」

 

狩人はゲールマンの介錯及び戦闘を完全ストライキした。

 

だが、このストライキはまだ狩人達の中ではマシな方だ。

 

トチ狂った狩人達のお遊びとして淡々と地下遺跡に籠って出てこなかったり、変な服装(例えるならオッサンがドレス姿になる事)で変なルール(武器を使わない素手縛り)で狩りをし始めたりとゲールマンにも理解出来ない事をするのだ。

 

だからこそ、ストライキはまだ何気に分かるのでマシなのだ。

 

「君は解放されるのだよ?この悪夢からね……」

 

「そうしてまたヨセフカの診療所行きだ!懲り懲りだし飽きたんだよ!」

 

「いいや……本当に解放されるのだ……君は……ある意味やり過ぎた……と言うか数多くの変態を減らしたいし、何度も殺されるの嫌だなら別の所で目覚めてくれと苦情が沢山来ておる……」

 

「は?」

 

狩人は意味が分からないとばかりの顔をすると……足元が抜けた様な感覚を覚えながら落下した。

 

「何で落下なんだあぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

狩人は目覚めにしても何故落下なのかと叫びながらその姿が見えなくなると地面は何事も無かったかの様にそこにあった。

 

「狩人様……貴方の目覚めが、有意な物でありますように……」

 

もはや狩人が聞く事の無い人形のその言葉だけが寂しげに響きながら今宵もまた獣狩りの夜が繰り返される……。

________

______

____

 

その頃、夢から追い出される形で落ちていった狩人は……。

 

「此処は何処だ……?」

 

ヤーナムでは見ない様な造りをした崩れた建物……彼方こちらにある見た事も無い物と文字……獣やブヨブヨですらない何かがウヨウヨと彷徨いている……。

 

狩人は明らかにヤーナムですらない何処かへと飛ばされたと知るまで時間は掛かる事はなかった。

 

薄暗い道のど真ん中で狩人は唖然とし、本当に何処とばかりに辺りを見渡して灯りに集まる使者がいないか確認するがいない……。

 

「いないか……参ったな……マジで追い出されたか……?」

 

狩人は帰れない……人形ちゃんに二度と会えない……そもそもどうしろって言うんだと幾つか考え、困り果てるしかなかったが……目の前に獲物がいる……それは分かった。

 

「……狩りの時間だ」

 

狩人はいつもの様にノコギリ鉈を軽く振って鉈状態へと変えると目の前の獣を狩る為に歩き出した。

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