狩人さん、新エリー都へ逝く 作:ネットの狩人
結局、狩人は採用試験としてテストを受ける事となった。
流石に社長のクレタに通さずにやるのはアレだったらしくベンが試しに言った所、怪我さえしなければの範囲で許可された。
よって、狩人はアンドーの監督の元、テストを開始した。
「よーし!先ずはこの機材を時間以内に向こうに運ぶんだ!機械を使わなくても運べる重さだが重いのは間違がいねぇから注意しろよ!」
これを聞いたベン及び周りの作業員は無茶だろとツッコンだ。
機材は山の様に積まれており、大きさも重さも熊のシリオンでも一つ運ぶだけでも大変なのにそれを大量にかつ、一人で運ぶ等無謀なのだ。
「おーいアンドー!無茶だぞー!」
ベンは狩人が不合格だったら良いな的に感じてはいるが流石に理不尽過ぎるテスト内容にアンドーを嗜めようと試みるも。
「気合いだぁー!!」
アンドーは全く聞こえてなかった……これにはベン達は呆れて物も言えない。
「運ぶだけでも良いのか?」
「おう!危なくなったら俺が助けてやるからお前は……て、うぉッ!?」
アンドーは説明している途中で狩人を見ると狩人は機材を軽々と持って普通の人間が歩くスピードでせっせと運んでいった。
その顔に疲れも汗も無く狩人はホイホイとこなすと……。
「ふぅ……出来たぞ?」
狩人は特に疲れた様子も無く機材を全て運び終えた。
「スッゲェな!これなら即戦……」
アンドーは言葉を紡ぐ前に奥の方から大きな音と共に何かが駆け出して来た。
「退いて退いてぇッ!?」
「うおぉッ!?またかグレース!?」
ベンがそう叫び、狩人が騒ぎの起きた方向を見ると何やらデカイ生物みたいな何かが此方に向かって突っ込んで来るのが狩人には見えた。
そしてその上には露出の多い女性が乗っかっている……恐らくベンの言っていたグレースだと狩人は推測した所で急に立ち止まり、グレースは何かの機械を弄っている。
「ただのファイアーウォールさ!だから……て、うおわぁッ!?」
グレースを乗っけたデカブツは再び動き出し、そのまま狩人へと突進していく。
「あ、危ねぇッ!?」
アンドーがそう叫んで駆け出すが時既に遅く……デカブツは狩人へと突進……した所で勢いよく吹き飛んで近くの柱にぶつかった。
「ビックリした……」
狩人が手にしていたのは仕掛け武器、教会の石槌を地面にドスンッと置いて吹き飛ばしたデカブツを見つめる中、周りを愕然とさせた。
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結果として……狩人は見送りと言う形の不採用となった……。
狩人は悪くなく、寧ろ作業のスピードと効率の高さはまだ判断しきれないとは言え、即戦力級であり、狩人が吹き飛ばした白祁重工の自律型重機で時折、こうした暴走が度々起きたりする為、白祁重工の面々も手を焼かされる時が屡々ある。
そんな自律型重機を一撃で吹き飛ばして大人しくさせた狩人の強さも評価されてアルバイトよりも正社員にしようと言う話があったが……。
「経費の都合上……アルバイトでもこれ以上の人員を雇うのは無理だ……いや、私情無しでもなぁ……」
「マジか……」
ベンのその結果にアンドーが落胆する。
「アレを見れば分かるだろ?」
騒ぎを聞き付けたロリっ子社長のクレタがジト目で視線を向けた先には折れた柱と壊れてピクピクしている自律型重機。
グレースを除いた白祁重工の面々はドンよりとした雰囲気の中、グレースが笑った。
「またやっちゃったな!」
「なーにがまたやっちゃったなだ!グレース!!」
クレタの雷が鳴り、場が混沌とする中、狩人の肩にアンドーの手が置かれた。
「まぁ……アレだ……また俺達が人を募集したら来てくれよ。お前ならすぐにうちの精鋭になれるからな!」
アンドーからの励ましを狩人は受けると次はベンが少しぎこちなく狩人に話し掛ける。
「俺もだ……あんたの事はまぁ……苦手だが実力は理解した。アレだ……また来てくれ。もっとも……何時になるやら……」
ベンはそう言って遠い目になり、アンドーも黙ってベンの背中に手をやった。
どうやら白祁重工は経済的にあまり良くないのだと狩人は察し、少し申し訳なくなってきた。
狩人も血の意思不足に何度も悩まされてきた過去がある……強くなる為にレベルアップの経験値として、道具や武器、狩り装束を揃える為の資金として。
他にも武器の強化や修理にも血の意思を使う為、必然的に大量の血の意思が必要になるのだ。
それに死んで夢に帰ったら全てパーになる可能性もある。
だから白祁重工の今の気持ちを理解できない訳ではないのだ。
狩人とアンドー、ベンは何気に噛み合いながらクレタの雷をBGMに黄昏るのだった。