狩人さん、新エリー都へ逝く   作:ネットの狩人

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第9話

狩人そしてライカン達、ヴィクトリア家政はパエトーンの仲立ちによって休戦し、互いにこの場を訪れた理由を話し合った。

 

その結果。

 

「何て事だ……すまなかった貴公らよ……少々、血も身体も熱くなり過ぎた様だ……てっきりボンプをバラした者の仲間だと……」 

 

「いえ……どちらにせよタイミングが悪かっただけの事……貴方様はボンプ達を誘拐し害した者達を倒した後で我々が来た事……そして我々はこの凄惨な状況と不意打ち、そしてな殺気だった狩人様によって戦わざるをえないと判断した事……何れにしてもプロキシ様がお止め下さなければ我々の中に死人が出ていてもおかしくなかったでしょう……」

 

「え?そ、そんなに狩人さんはその……お強いのですか……?」

 

「ハッキリ言って本気で覚悟したよ。死ぬかもって」

 

エレンの何とも言えないお墨付きにカリンは腰が抜けたのかそのまま床に座り込んでしまった。

 

グロホラー感のあるこの場所を見てカリンはリナの付き添いのもと思いっきり吐いてしまったのだ。

 

幸いにも暫く食べ物を口にしていなかった為、胃液だけで済んだが暫く吐き気が止まらず、リナに背中を擦って貰いながら何とか吐き気が止んで戻ればライカンとエレンが狩人と交戦していた。

 

ライカンとエレンが苦戦していると知り、リナと共にすぐに駆けつければそこは死地だったのだと知れば気の弱いカリンの精神も体力も限界になっても仕方ない事だった。

 

「それにしてもどうしてこんな所にいるの?治安官の朱鳶さんと青衣が険しい顔で狩人さんの指名手配書を持ってきた時は驚いたよ?」

 

「なに?指名手配だと?」

 

「それなら私も聞き及びました。何でも街中で堂々と返り血を全身に浴びた男がホロウの出入口から現れて二人の治安官が職務質問を行った所、姿を消したとか。その男が現れたホロウ内を調べてた結果では大量の血痕以外は異常は無く、猟奇的殺人事件の可能性があるとして捜査されているとか?」

 

「ろくに証拠を隠さずにホロウから出るなんて間抜けだな!」

 

「間抜け!間抜け!」

 

リナの穏やかな口調での説明と宙に浮くボンプ二匹の辛辣な言葉に狩人は地面に膝をつき、両手も地面につけた所で落ち込んだ。

 

「俺は……普通に獣を狩っただけなのに……詰んでる……」

 

「あ、あの……まさかと思いますが……」

 

「マジで殺人鬼とかじゃないよね?」

 

カリンとエレンはマジの目で狩人を疑うとパエトーンが弁護する。

 

「狩人さんが言っているのは本当だよ!エーテリアスとは違う何かと戦ってたのはこの子を通して確認したから。まぁ……途中でニコ達に担がれて離脱したから結果は分からないけど……」

 

パエトーンのその言葉を聞いてカリンはまだビクビクしているが少し落ち着き、エレンはまだ何処か納得できてないと言う顔だった。

 

それは無理もない……グロホラーみたいな状況を作った狩人の事を思えば誰だって疑いたくなるものだから。

 

「エーテリアスとはまた違う何かですか……それが貴方様の言う獣だと?」

 

「獣狩りの夜……人の血を求めて彷徨い、襲い掛かる怪物だ。その正体は人……獣の病の発症者だ」

 

「獣の病?」

 

パエトーンはそんな病気聞いた事が無いとばかりに言うと狩人は頷く。

 

「無理もないな。獣の病は風土病……その土地にしか発病しない。獣の病は人としての理性を徐々に失い、本能で行動し始め、正気を失って人を襲い、そして身も心も獣となる……そうだな……強いて言うならエーテリアスのモフモフ犬ッころバージョンだ」

 

「途中までホラー映画みたいだったのに最後可愛くなってない?」

 

パエトーンがそうツッコミを入れた後、狩人は顎に指を当てる。

 

「ふむ……あまりに周りの緊張感が強いと思って冗談を言っただけなのだが……」

 

「え?なら作り話しを話したの?」

 

「いや、最後のモフモフ犬ッころバージョンとだけだが?」

 

パエトーンは困った……話を聞くだけなのにスッゴく疲れる。

 

狩人からもたらされた話は未知の物が多く、パエトーンが暫く固まった後、再び動いた。

 

「と、取り敢えず!ライカンさん達の依頼を片付けよう!」

 

「そうですね。ホロウに何時までも長居する訳には参りません。御主人様のボンプの安否を確かめねば」

 

「そう言えば生き残りがいたよね?生き残ってたボンプは此処の連中のボンプじゃない?だとしたらさ……知っててもおかしくなくない?」

 

エレンがそう言って指摘するとライカン達はそう言えば何処だとばかりに辺りを見渡した所で物陰からブルブルと震えて見ていたボンプが視線に気付いて駆け出して逃げてしまった。

 

「ンナー!?」

 

「御待ちを!!」

 

「追い掛けよう!!」

 

ライカンの制止で始まり、そしてパエトーンの追い掛けようと言う言葉が終わった所で狩人も含めて追い掛けた。

 

逃げるボンプの足は意外にも早く、ライカン達でさえ追うのがやっとだった。

 

「何とか足止めしないと追い付けない!」

 

パエトーンがそう言った時、狩人が獣狩りの短銃を取り出して発砲。

 

パエトーン達が驚いて狩人の見た時、逃走するボンプの目の前に吊るされていた大きな箱が落ちてきた。

 

「これで良いか?」

 

「十分だよ!」

 

狩人の突発的な足止めにパエトーンが褒めた所にリナが逃走していたボンプを両手で抱えて戻った事で何とか逃走劇を終わらせれた。

 

「これで話を聞く事が出来ますね」

 

「ボス……疲れた……眠い……」

 

「え、エレンさん!此処で寝たら駄目ですよ!?」

 

ライカンは少し疲れた様子を見せつつも仕事を続行出来ると考えるもエレンは眠そうにしており、倒れそうになった。

 

それをカリンが慌てて支えたがエレンが眠るのも時間の問題だった。

 

エレンは体質的に予定以上の激しい運動をすると気絶する様に眠ってしまう。

 

今回の仕事で狩人との予想だにしなかった戦闘とボンプの追跡による激しい運動によってエレンは限界を迎えかけていたのだ。

 

「困りました……エレンは一度眠ってしまえばすぐには起きません……無論、このまま続行し、我々の求めるボンプを見つけ出して帰れば問題はありませんが……」

 

「肝心のそのボンプの居場所を話してくれるのか?」

 

ライカンの説明を聞き、狩人は捕まえたボンプの方を見ると。

 

「あら……気絶してますわ」

 

リナの腕の中で完全に気絶していた……余程怖かったのだろう……恐怖で逃げたら目の前から大きな箱が落ちてきた、下手したら潰れていたと思えばこのボンプが気絶するのも無理はない。

 

「……詰んだな」

 

狩人のその一言に周りは何も言わなかった。

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