少し設定話をば。
職場体験では鹿目まどか……ではなく美樹さやか編を予定しています。で、その美樹さやかの能力に関してなのですが、「魔法により他者の外傷を治癒できる」とします。もともと他者の治癒を願って生まれた魔法少女なのに、自分の治癒能力だけ優れるっていうのは違和感あるしね。
このことは前にもどこかで書いた気がしますがここに齟齬があると「アレッ?それいいの?」ってなりそうなので、ここにデカデカと書かせていただきます。
つまりこれでオールマイトやインゲニウム治せるぜ!ヒーローサイドは勝ったな!ガハハ!
最近のほむらちゃんは見ていてとっても不安になります。
「ねえ暁美さん……私何かした?」
「何もしていないわ。どうしたのかしら。」
「い、いやなんでもないわ、はは……」
これはある日のクラスの人との会話です。ほむらちゃんは「あなたは何も悪いことをしてないわ」っていうそのままの意味だと思うのだけれど、その人はやっぱり怒っていると思って行っちゃいました。
こんな感じの会話がとても増えました。ほむらちゃん、最近ずっと怖い顔をしていて、とても近寄りがたい空気を出しています。
原因はハッキリしていて、AFOというとても危険な
でも、もしワガママを言わせてもらえるなら、もっとほむらちゃんに自分の時間を大事にしてもらいたい。今のほむらちゃん、ずっと働き詰めです。できることがなくなって流石にちょっと落ち着いてくれると思ったら、そんなことは無くて逆に焦り出しちゃったみたいで……。そのせいで、一見するとすごい機嫌が悪くなっちゃってます。
さらに悪いのが、ほむらちゃん体育祭の最中に心操君にビンタしたみたいなんです。気持ちは痛いほどわかります。本人は善意だったとはいえ、今まで苦労して隠してた魔法少女の姿が表に出ちゃったのは事実です。でもその場面が他の人にも見られていたみたいで、何日かするとほむらちゃんの評判が「情緒不安定な子」みたいになっちゃいました。
ほむらちゃん本人は「害が無ければOK」とどこ吹く風ですけれど、友達としては余りにも心配です。将来、私たち以外に友達作れなくなっちゃうんじゃないかって。私達からすると私たち以外にも友達を作れるようになった方が絶対いいと思うんです。
でも……わたしとさやかちゃんとマミさんが言葉を尽くしても、ほむらちゃんは納得してくれません。いつも決まって「あなた達がいるのにどうして友達をこれ以上増やす必要があるの?」って返されます。それはとっても嬉しいんですけれど、それだけで満足しちゃっているのが今のほむらちゃん。余計なおせっかいなのかもしれないですけれど、私たち以外に無関心なほむらちゃんの将来が本当に不安なんです。
◇
私とさやかちゃんは、ある日のお昼休みにA組の教室に向かっていました。
最近私たちは放課後、個性のことを調べる目的でヒーロー科のA組の人たちと簡単な模擬戦闘をする、ということをしています。その合間にお喋りすることもあって、すぐに仲良くなれました。
A組の人たちはすごい人ばっかりです。お茶子ちゃん達と話していた時から、この人話が上手いなあとか思っていました。それで、その模擬戦闘の合間に他のA組の人たちともお話ししたんですけれど、みんなお話ししてて楽しい人たちばっかりでした。本当に友達が100人いそうな人たちです。
こんな人たちなら、ほむらちゃんの現状をどうにかしてくれるかもしれない……そう思って、相談しようと思いました。ほむらちゃんは今、マミさんにお願いして呼び出してもらって、別のところにいます。
「失礼しま~す。あの、鹿目まどかですけど……」
「ん?あれ、まどかちゃんとさやかちゃん?どうしたん?」
「あ、例の普通科の魔法少女じゃん。」
「テメエ!!!今日こそ俺と」
「はいはい、落ち着こうな爆豪。」
お茶子ちゃんが出迎えてくれて、他のA組の人たちも視線をこちらに向けています。……爆豪君、いつも私に突っかかろうとして来て止められてるなあ……。
「ええと、ちょっと相談があって、すこしいいかな?」
「悩み事?うん、勿論聞くよ!」
そうしてお茶子ちゃんは私とさやかちゃんを教室へ入れてくれました。当然のように相談に乗ってくれるなんて、やっぱりお茶子ちゃん達は優しいです。
……A組の教室、普通科のと違って壁とかにすごそうな機械が埋め込まれています。やっぱりお金かけられてるんですね……。
「それで、どうしたん?」
「ええと、私じゃなくて、ほむらちゃんのことなんだけど……」
「うん、ほむらのコミュ障を改善するにはどうすればいいのかって聞きに来たの。もう私達にはあの子手に負えないんだよ……」
さやかちゃんが頭に手を当ててまさに困ったという感じのジェスチャーをします。私たちの中では一番人づきあいが上手いさやかちゃんですけれど、そんなさやかちゃんですら最近ほむらちゃんをどうにかするのを諦め始めています。
「え、暁美さんがどうかしたの?」
緑谷君が興味をひかれた風にやってきました。……緑谷君、ほむらちゃんが近くにいると時々視線がそっちに行くんだよね。何か気になってるのかなあ……?
「ほむらちゃん?って、誰だっけ……あ、思い出した、戦闘訓練でいたなあ!黒髪の。大人しめの感じの人だっけ?」
確か、切島君だっけ?個性が「硬化」の、熱い感じの人です。
……というか、私達の周りにどんどん人が集まっています。ど、どうしたんだろう?
「う、うん。ええと、鹿目さんの中学からの友達の女子らしいんだ。」
「…………そういえば、私ほむらちゃんのことあんまり知らないんよね。一緒に居る機会は多かったのに。」
「ぼ、僕も気になるよ。暁美さんってどんな人なの?」
そういえば、ほむらちゃんは私たち以外とあんまり喋らないから、知らないのも当然だよね。私たち以外だとお茶子ちゃんが一番一緒に居る時間が長いけれど、それでも仲良くなったと言えるほどはお話ししていないと思います。
……それにしても、緑谷君が結構ぐいぐい聞いてきます。何かあったのかなあ……
「えーと、ほむらはね。初めて会ったのは中学二年の時。見滝原中学校に転校してきたんだ。」
さやかちゃんは、魔法少女の事に触れないように説明を始めました。
「その時……まあ、ちょっと喧嘩したときもあったんだけど、色々あって私たち5、あいや4人は仲良くなったの。」
「ん?仲良くなれてんじゃん?コミュ障じゃねーのかよ?」
「うーん……説明がちょっと難しいんだけど、別にほむらのコミュ能力が改善したっていうんじゃなくて、私たちがほむらの事を良く知ったから話せてる、みたいな?」
「そうなん?私が話したときは人当たりが悪い子には見えんかったんやけど……飯田君、轟君、どう感じた?」
「……ああ。そうだな。決して悪い人には見えなかったぞ。口数は少ないが、自分の意見をしっかり表明するタイプだ。」
今の飯田君、少し覇気が無いように感じました。体調悪いのかな?
……あ、そうだった。飯田君のお兄さんの「インゲニウム」、
「ほむら……前にUSJの脳無の話をしてた暁美ほむらで合ってるよな?」
次に来たのは轟君。体育祭で大けがして病院に運ばれたのを見たときは罪悪感と心配があったけれど、こっちはこうして元気になっていて本当に良かったです。
「うん、そうだよ。」
「まあ……そうだな。悪い奴には見えなかった。USJのときに襲撃してきた
「ああ、僕もその場にいたが、爆豪君のように口が悪いようには感じなかった。」
「テメエなんだと事実並べんなクソが!」
「お前それどういうキレ方だよ!?」
じ、自覚はあるんだ爆豪君。もしかして、個性のせいで口が悪くならざるを得ないタイプなのかな?個性障害でそんな風に苦しむ人の話を聞いたことがあります。だとしたらちょっとは爆豪君に寛容になってあげないとね。
「うーん、まあ口が悪いっていうわけじゃないんだけど……ちょっと付き合いが長くなると関係保つのが難しくなっちゃうタイプ?」
「どういうこと?」
「そうだなあ……例えば前あったのは、相手の言いたいことが分からなかったときに『あなたは何を言っているのかしら』って言っちゃったり?」
「あー、言葉選びがちょっと下手なタイプかあ。」
お茶子ちゃんがそう言うと、周りにいた人たちが共感したみたいに喋りだします。
「確かに、言葉って難しいよね。悪口のつもりで言ったんじゃないのに悪く受け取られたり。僕も何度か経験あるよ。」
「……ウム。正しい言葉遣いも、僕たちがヒーローとなるために求められるのだろう。」
「うーん……まあつったって普段の態度とかも重要じゃねーの?普段から悪口言ってるやつは普段の発言を悪く取られるし、逆にいつも楽しいこと言う奴は悪口と思われない、って感じでな!」
「言葉のテンションも大切だよ!自分の心が明るいとそういうのが相手に伝わるんじゃないかな?オールマイトとかのヒーローも笑顔でしょ?そういうのも大事だってわかるよね!」
「あ、芦戸の説得力すげえ……!」
「オイラも経験あるぜ。中学の頃女子に『女子は教室の中で着替えろってよ』って伝言したら『ひっ!?中でって、何する気!?近寄らないで!』って言われたんだ……!」
「つまり切島の言う通り、普段の態度が重要ってことだな峰田!」
「おいどーいう意味だそれ!?」
す、すごい……人付き合いの改善案がドンドン出てきます。やっぱりみんな頭いいんだなあ……。
「……てゆーか、そのほむらちゃんの事もっとよく知らないと、突っ込んだこと言えないんじゃない?私とかちょっとしか喋ってないからねー……」
雰囲気からして友達を作ることが特に得意そうな芦戸さんがそう言います。まあ確かに、今のさやかちゃんの話だけじゃよく分からないよね。
……でも、そう言われると何からいえばいいんだろう……。
「うーんと……こういう時何から言えばいいんだろ?」
「例えば、暁美さん特有の事情とかはどうかな。言葉選びで失敗しちゃうなんてこと、誰にだって経験あるだろ?つまり、友達が一杯いる人でも後で仲直りしてる人も多いと思うんだよ。でも話を聞く限り、暁美さんは特に失敗しちゃうんだろ?多分他に原因があるんじゃないか?」
「というか、さっきも言ってたけど君たちもう友達なんでしょ?何を気にしてるんだ?」
「なんてゆーか、私たち以外マジでどうでもいいって感じなんだよね……ほむらの将来が不安なんだよ……」
「んんん?どういうこと?」
「えーっと……その、なんていうか……」
せ、説明が難しいです……魔法少女のことを出さないようにしなきゃいけないことも相まって、曖昧な言葉しか出てきません……。さやかちゃんも説明に苦慮しています。
「言いたいことが言いにくい時は、まず深呼吸をして、それから思ったことを一つ一つゆっくり言っていくのよ。根気強く話していけば、言いたいことは必ず伝わるわ、ケロ。」
すごい安心できるお姉さんの雰囲気がある梅雨ちゃんがそう言ってくれて、すこし焦っていた気持ちが落ち着きました。
「思ったこと……ええと私は、ほむらちゃんを見ているととっても不安になっちゃって……」
「どういう光景を見て不安になったのかしら?」
「うーんと、クラスの皆にちょっとずつ嫌われてるのになんとも思ってないみたいで、もう私たち以外と関わるのを諦めてるみたいで……」
「……ん?ちょっとまって鹿目さん。クラスの皆に嫌われてるって、何があったの?」
A組の人たちの顔がちょっと曇りました。……あ、そうか、私ほむらちゃんが嫌われ始めてるってことを言ってなかったんだった。やっぱり私説明が下手だなあ……
「あ、ごめん言ってなかったね。実はええと、最近のほむら、特に不安定でさ。」
「何かあったのか?」
「あんま詳しいことは本人が嫌がるだろうから言えないんだけど、自分の使命が果たせなくなってイライラしている、っていうのかな。ヒーローが目の前の困ってる人を助けたいのに助けられない、って感じ?うーん、ちょっとちがうかなあ?いやそうかも……とにかく、私から見て幼稚じゃあ決してない悩みがあって、それのせいで今ほむらはストレスがすごく溜まっている状態なの。」
「……よく分かんないけど、その悩みは解決できないの?」
「私達も解決できるんならすぐにでもしたいよ。でもできないから困ってるの。……ごめん、これ勝手に言っちゃいけないことが色々絡まってて、ホントに内容は言えないの。相談を切り出したのはこっちなのにごめんね。」
「気にすんなって。誰にでも秘密の一つや二つはあんだろ!」
「ありがと、切島君。」
「なるほどねえ。それで、ほむらちゃんは人に当たってしまって、それを後悔していて、どうしたら人付き合いが上手くなるか悩んでる、ってことなんだね?」
「いや……もっと悪い方向に行ってる……」
「え?」
「『あなた達が友達なんだからこれ以上友達いらないわ。』ってなっちゃってるの。ほむらちゃんって中学の頃は私たち以外とお話したことあんまりないの。しかも人付き合いが苦手なせいで中学でも避けられ気味で、多分そんな風に接されるのが普通って感じてるんじゃないかなあ……だから、今の状態が悲しいって認識できていないんだと思うの。」
これは言えないことだけれど、ほむらちゃん中学のあの頃を何度もループしていて、年単位であの状況を経験しているって聞いています。あの辛い時間がそんなに長く続いていたなんて思うだけで私まで悲しくなってきます。
なんとかして、あんな風に嫌われるのが普通じゃないって教えてあげたいです……。
「い、いや待ってよ。確か中学の頃に転校してきたんだよね?その前はどうだったの?」
芦戸さんがものすごく不安そうな表情で聞いてきました。ほんの少しだけど、ほむらちゃんの抱えている辛さが伝わっているようです。
「ほむらちゃん、生まれつき心臓が弱くてずっと病院暮らしだったの。やっと治ったのが中学の頃で、だから多分同じ年の子と付き合った経験がとっても少ないんだと思う。いろいろあって私たちはほむらちゃんが決して悪い子じゃないって理解できたけど、逆に私たちに入れ込むようになっちゃって、他の友達を作る気が無くなっちゃったみたいなの。」
「な……なんだって!?」
「最近は心操君とも喧嘩しちゃったみたいで、それでますます評判が悪くなっちゃって……。このままだとほむらちゃんが人と付き合えなくなっちゃうんじゃないかって心配で心配で……でも、同時にほむらちゃんが私達を大事にしてくれるのもわかるからあんまり強く言えないし、どうしたらいいか分かんなくって……」
そこまで言うと、A組の人たちの目がやる気に満ちたものになりました。
「その想い……しかと受け取ったぁ!」
肩に手をがしっと置かれました。目にすごく熱いものが宿っていて、私は少し圧倒されてしまいました。
「安心しろ!俺たちが必ず友達になってやる!」
「私たちに任せてまどかちゃん!たった一人とすら友達になれないなんてヒーロー科のプライドに関わる話だからね!絶対いい方向に行かせてみせるよ!」
「そうと決まれば作戦会議だ!鹿目さん、暁美さんが好きなものを教えてくれ!」
A組のみんなは、ほむらちゃんの趣味や好きなものを調べ始めました。それをもとに、何かすごく熱心に計画を始めて、電話やら何やらが忙しく始まりました。
こうして、A組の「ほむらちゃんの友達作るぞ大作戦!」が始まりました。
なんだか、とっても心強いです!
◇
それでまた模擬戦闘訓練があった日、終わった後に私たちはほむらちゃんをA組に任せてマミさんとさやかちゃんと一緒に帰る……フリをして遠くからほむらちゃんの様子を窺います。なんでもA組の人たちによると、特に元気のいい三奈ちゃんが
「私たちに任せて!ヒーロー科としてのプライドにかけてほむらちゃんと友達になってみせるから!」
って、勝負するみたいな空気になってしまいました。
別れた直後、最初に三奈ちゃんと葉隠透ちゃんがほむらちゃんの横に来てがしっと腕を組みます。ほむらちゃんはひたすら困惑していますが、今のところ嫌がっているようには見えません。
「私は葉隠透よろしくねほむらちゃん!」
「私、芦戸三奈!よろしくほむほむ!!!」
「あ、暁美ほむら……いや、え、ほむほむ?」
「ほむらだから、ほむほむ!こっちの方が可愛くない!?」
み、三奈ちゃん早速ほむほむ呼びをするの!?距離の詰め方が尋常じゃないよ!?私だってちょっと勇気がいる呼び方なのに……!?
「あれ、ほむほむ呼びは嫌?カアイイと思ったんだけど……」
「い、嫌では……ないけれど……」
「っし!第一関門突破ァ!!!」
「ええ……?」
「あだ名は親しみやすさの第一歩だからなー、ヤオモモとか。」
「なあほむほむ、個性はなんなんだ?」
「男子にそう呼ばれる日が来るなんて思わなかったわ……」
「あー、まあ上鳴はこの中でも特別チャラいからね。嫌なら遠慮なく言っていいからね、ほむほむ。あ、ウチは耳郎響香。個性は『イヤホンジャック』。ウチ含めてA組のみんなのことは好きに呼んでいいからね。例えば上鳴は『ジャミングウェイ』とか。」
「耳郎お前またかよお!?」
そういう耳郎さんもちょっとニヤつきながら言っています。間違いなく確信犯……でも「ジャミングウェイ」は悪くないあだ名だと思います。何かあったかなあ?
「……わ、私の個性は」
「うんうん!!!!!!ほむほむの個性は!?!?!?」
三奈ちゃんがすごくずいってほむらちゃんに迫っています。確かにほむらちゃんが自分のことを話す貴重な機会だけど、そこまでやるなんてすごいなあ……。
「…………私の個性は『所持物移動』。片方の手に持っている物をもう片方の手に一瞬で移動させられる個性です。」
「ほむほむちゃあん……」
「……な、なにかしら……?」
透ちゃんが低く悲しそうな声で声を出しました。「ほむほむちゃん」は初めて聞く呼び方です。
「お願い、敬語はやめでええ!!!」
「……」
ほむらちゃんが少しあきれた表情で透ちゃん(がいるところ)を見ました。確かに敬語って壁を感じさせるけれど、そこまで嫌がるなんて……いや、もしかしてわざとやってるのかな……?
「わ、分かったわよ、えーと……『透』。」
「っしゃあ!第二関門突破だね!なんか新妻みたいな呼び方だったよ!」
「何言ってるのよ、葉隠さん。」
「軽口!これは第三関門突破!!!」
「……ええ……」
手袋がすごいガッツポーズをしています。大げさでも、すごく喜んでいるのが伝わってきます。
「じゃあ、行こうか!」
「ど、どこへよ?」
「調理実習室!」
「……??」
「ほむほむ、お菓子作りが好きなんだってね!材料は私たちが用意したから、あとはいっしょに作るだけになってるんよ!」
お茶子ちゃんがすごい自信満々に、そして今まで見たことが無いくらいに強引に提案してきました。
お菓子作り……ほむらちゃんが私達と一緒にいるときになにしてるかなって考えたときに思い浮かんだものですけれど、ほむらちゃんが本心でも楽しんでくれるものかは分かりません。少なくとも、嫌ではないと思うんですけれど……
……でも、多分ほむらちゃんの趣味って本物の爆弾や銃のお話なんだよね。流石にそれは言えないし、次点の趣味ではあると思います。
「まどかに聞いたのね……」
「あ、もし作りたい菓子とかあるなら俺に言ってくれよ?俺の個性柄、そういうのには詳しいからな。」
「砂藤のこの意外な趣味、今回の件が無ければかなり長い間バレなかったんだろうなあ。」
「いや別に隠してねえよ?」
ほむらちゃんは脇を固められたまま、校舎の中へ連行されていきました。遠目からでも怒涛の勢いでほむらちゃんが話しかけられているのが分かります。
「……熱量すごすぎないかしら?」
「まさかあんなんなるなんて……いや、確かにすごい忙しそうにしていたのは見てたけどさ。」
さやかちゃんとマミさんも圧倒されたようにそう言いました。ずっと口を開けて呆然としていましたからね。
ともかく、ほむらちゃんの様子は気になるので私達も後を追います。
◇
私たちは調理実習室に入って行ったほむらちゃんたちの後を付いて行き、ドアからコッソリ中を覗きます。
……す、すごいことになっています。お菓子を作るための小麦粉、牛乳、バターをはじめとして、いちごやオレンジといった果物、それからえーと……馴染みが無い材料が入っている箱が見えます。例えば「カカオマス」……?チョコレートの材料だっけ?それに「ペクチン」?ええと、マミさんの口から聞いたことがあるけれど、何のために使うのかよく分かりません。……それにその隣にあるの金粉じゃない……?え、や、八百万さん自分の個性で金粉出してない?食べて大丈夫なの……?
そんな感じで、私たちは圧倒されながら中の様子を見ていました。普通この距離ならほむらちゃんは、特に私がいることに気付くと思います。でも、今は気付いている様子がありません。なんせ……
「ほむほむ!牛乳パック一つと小麦粉追加でお願い!砂藤、これで足りる!?」
「ああ、大丈夫だ!緑谷、頑張ってるとこ悪いけど追加でこっちも混ぜてくれ!」
「ちょ、ちょっと待って!流石に腕が疲れてきて効率が……」
「うおおおおお!たかが生地を混ぜるのにへばるなんて漢らしくねええええええ!!!」
「生地はとにかく混ぜる回数が必要なんだ!増強系は俺とお前しかいない、頼む!てか、個性使って上手く出来ねえか!?」
「ご、ごめん調節が出来ないから今は無理なんだ!僕の個性いまだ100%か0%だけで!」
「……よく分かんねえけど、お前の個性なんでそんな風な発動方法になるんだ?俺とかの普通の増強系は日常生活で個性使うか使わないかが曖昧になるくらいに制御できるもんなんだが……」
「日常……?使うか使わないかが曖昧……?そ、そうか!!!OFAを『使う』って認識がおかしいんだ!常に、1%でいいから全身で使っている状態で慣れさせていけば、いやそれが普通の」
「み、緑谷突然どうしたんだ……?とりあえず生地を混ぜて欲しいんだが……」
「あ、ご、ごめん!今は個性無しで普通に手伝うね!というか、もっとゆっくりやっちゃいけないの砂藤君!?」
「緑谷、思っていたより工程が多くて調理室借りられる時間がギリギリなんだよ!見積り甘くてごめん、あっと麗日これは多分OKだから小麦粉混ぜといて!で、ほむほむはこっちの盛り付けお願い!」
「ちょちょ、ちょっと待ってて私そんなに要領よくないのよそんないっぺんに言われても」
「ごめん!でも、まどかにケーキ作ってあげるんでしょ!?なら、全力で良いもの作ろうよほむほむ!」
「…………何をして欲しいのかしら。」
「ありがとー!じゃあ次にこれ!」
まさにお菓子作りの戦場です。
確かに、ほむらちゃんの趣味はお菓子作りって話から、じゃあみんなでお菓子作りをしようって話になりましたけど、でもこんな規模になるなんて思ってなかったです。普通に男子も沢山参加していて、私たちが普段やっているほんわかしたお菓子作りの会とはかけ離れた光景です。
私だったらもうついていけないだろう速度で調理が進んでいます。どうも借りる時間を短くしちゃったせいで忙しいみたい。三奈ちゃんと、お菓子作りに詳しいらしい砂藤君が中心となって進めています。何を作っているかは分からないけれど、開いている本のページに「セレモニーケーキ」とか書いてあります。……ま、まさか学生の私たちがそんな大仰なもの作る訳ないよね?
ほむらちゃん最初は戸惑っていたけれど、忙しくなっていくうちに周囲を気にする余力が無くなっていったみたい。今では割り振られた仕事を全力で消化しているように見えます。時々忙しすぎて文句を言うけれど、「まどかに食べさせるんでしょ?」って言われたら仕事を再開するのが恒例の流れ。なんだか気恥ずかしいよお……
……こ、これ私達も手伝った方がいいんじゃないかな?このままだと私、すごく苦労して作ったものを食べるだけって、流石に気まずいよ。A組の人たちの言うことに反しちゃうけど、手伝いに行っていいかなあ……?
その時、私の持っていたスマホからメッセージが来た時の振動を感じました。内容は、えーと透ちゃんからで……
『まどかちゃん、私たちのことは心配しないで!任せて!今ほむほむがすごい頑張ってるの!ほむほむの事をどうか見守ってあげて!』
教室を見ると、三奈ちゃんと透ちゃんがほむらちゃんにバレないように私に向かってサムズアップしているのが見えました。わ、私達が来てたことバレてたんだ……。
……そういわれたら、見守るしかないよね。私も、頑張っているほむらちゃんを見ると応援したくなります。バレないようにコッソリ写真を撮ったりしながら、私たちはひたすら見守り続けました。……量からして、これまともに食べたら夜ご飯お腹に入らないよ。ママに連絡を入れないと……。
◇
「ママ、やっぱりさっき言った通り今日の夜ご飯要らない、できれば今からでも雄英に来て食べて……っと。」
「「「モグモグモグモグモグモグ!!!」」」
「さ、さやかちゃん甘いものよくそんなに沢山食べられるね……太らないかなあ……」
「よく食う奴は良く育つってな!良いことだぜ!」
切島君がフォローしてくれます。女子の悩みとかはあんまり分かっていなそうな感じだけど、それでも「女子の苦労も知らないで勝手なことを」みたいな風に感じさせない言い方がすごいです。
「おいしい!マジでおいしいモグモグモグ!せっかく食べてるのにそんなこと言わないでまどか!!!」
「ま、まさか私が趣味のお菓子作りで負けるなんて……」
マミさんはA組のみんなと顔を合わせるのは今回が初めてです。事前に私達からは説明しておきましたから驚かれはしませんでしたけどね。
「本場の女子に認められるなんて、砂藤の女子力の高さはすごいね!」
「女子は関係ないと思うけどな……ま、まあ認めてくれたのは素直に礼を言うぜ。ありがとうございますマミ先輩。」
結局時間ギリギリまでA組の人たちとほむらちゃんはお菓子作りと格闘して、午後六時ぐらいになったら完成したお菓子だけ外に持ち出すことになりました。それと同時に私たち、私とさやかちゃんとマミさんが呼ばれ、みんなで食べることになりました。結局、途中からほむらちゃんにもA組の人たちにも私たちが覗いてたことはバレていたみたいです。
それで、完成した物なんですけれど……色々とおかしいです。悪い意味じゃなくて、すごくいい意味。
品目だけで言うと、式典に出てきそうな大きなケーキが3つくらい。でも単純に大きいだけじゃなくて、フルーツをはじめ、チョコレートの飾りとか、アクセントのゼリーがちりばめられていて、当然のように中身はクリームとスポンジが交互になった層状になっています。本当に式典に出しても全然恥ずかしくないクオリティです。
「こ、こんなクオリティのものが食べきれない程……これ、企画したの昨日だよね?なんで一日の準備でここまでできるの……?」
「うーんと、頑張った!!!」
三奈ちゃんやお茶子ちゃんに満面の笑みでそう言われ、私は深く考えることを止めました。今はこの努力の結晶を全力で味わうことにします。いつか私も何かの形でお返ししないと、だよね。
……というか、本当に食べきれないよ。あ、ママからメッセージが……『今から雄英はちょっと無理だ、ごめんな。余るならタッパーとかに入れられないかい?』かあ。うーん、都合よくそんなものないよ。
「うーん、大きめのタッパーとか無いかなあ。」
「ん?鹿目さん、どうしてタッパーを?」
「緑谷君、ええと、余らせるのはもったいないから家に持って帰れないかなあって。」
「一番食ってるのは……峰田か。結構意外だな。」
「なんでこの人セクハラで退学してないのかしら。」
「し、辛辣!まあそれが普通の反応かなあ。あ、ちなみにちょうど今日から学校来てるんだよ!」
「……チッ。」
そう言えば、昨日峰田君が朝のHRの時に来てみんなの前で頭を下げていました。自業自得だけれど、「オイラはヒーロー科であるにもかかわらずふしだらな行為をし……」みたいなことを延々みんなの前で言わせられていたのは見ていてちょっと可哀そうになっちゃったなあ。
「あ、鹿目さん。タッパー程度なら私がお作り致しますわ。」
「え?わ、すごいちょうどいいサイズのタッパー!ありがとう百ちゃん!」
「うわすっご、ほむら並に便利な個性だ、いいなー!」
さやかちゃん、ほむらちゃんが時間停止隠してることを忘れてるよ……。ほむらちゃんが一気に厳しい顔になってしまいました。
「え、ほむほむの個性ってそこまで使えるの?確か『所持物移動』って」
「え?あ、いやほら!ほむら、いやほむほむの個性はその、一発芸に最適なんだよ!便利だよねほむほむ!」
「……個性柄、昔からよくそういう役割を押し付けられますね。」
「ごめんってほむほむ!」
……さやかちゃん、多分今ほむらちゃんにテレパスで必死に謝っていると思います。ほむらちゃんの顔はずっと渋いままですけど……。
でもある程度は誤魔化せたみたいで、それ以上は深く聞かれませんでした。
「さて!今日のお菓子作り作戦は大成功じゃないかなあ!?」
企画担当の芦戸さんが、場を〆るようにそう切り出します。
「ほむほむほむ!今日はどうだった?楽しかったかな!?友達って認めてくれる!?」
「芦戸、『ほむ』は2回だぜ!」
「多い方がいいじゃん切島!」
「そういうもんか……?」
さて、期待をこめられながら芦戸さんにそう言われたほむらちゃん。
私が見てきた限りでは、少なくとも嫌そうには見えませんでした。戸惑うことも多かったけれど、いつものムスッとした感じが消えていたように見えました。
特にすごいと思うのは、ほむらちゃんこの場で私以外の人とおしゃべりしていることです。まあ、三奈ちゃんとかお茶子ちゃんとか透ちゃんがものすごく話しかけていることもありますけれど……それでも、彼女たちを邪険にせずにほむらちゃんはお話ししています。ここまで私以外とおしゃべりしているところ、見たことないよ。
これなら、色よいお返事が……!
「そうね。友達かもしれないけれど、でも一緒にはいられないわよ。」
えっ……!?な、何それ……!?
……あ、多分これ「友達と認めているけれど、ヒーロー科と普通科は接点が少ないから一緒に居られる機会は少ないわ」って感じの意味です。ほむらちゃんの表情が悪くないから、多分そういう感じ。言わなくても良いことを言っちゃってます。
私たちは付き合いが長いから意味が取れます。でも、一緒に居る時間が短いA組の人たちには、残念ながら伝わりません。ほむらちゃんの発言を聞いた瞬間、俄に顔が曇りだします。
「え……一緒なのが嫌だって!?」
「こ、この空気でまだ友達じゃないってか!?」
「いやでも、『友達かもしれないけれど』って……」
「ま、まさか作戦失敗……!?強引すぎたかな……?」
あああ……一気に空気が悪くなっちゃった。こ、ここは私がちゃんと説明してあげないと……!
「待ってみんな。いったん落ち着くべきだわ。」
そこで声を上げたのは梅雨ちゃん。その声で場は静まり、彼女はほむらちゃんの目を見て質問を始めました。
「ほむらちゃん。いくつか聞かせて欲しいわ。」
「何かしら?」
「ケロ。まず、あなたは私たちのことが嫌いかしら?」
「……ここにいる人は別に嫌いじゃないわ。一人を除いて。」
「おい、オイラを見て言うなよ!」
「そうなのね。次に、あなたは私たちのことを友達だと思っているのかしら?」
「友達の定義がイマイチはっきりしないわね……」
「あら。じゃあちょっと言い方を変えるわ。今日みたいなのがあったら、また参加してくれるかしら?」
「時間があったら参加してもいいわよ。」
それを聞いて、一部の人たちの顔がすこし晴れました。
「嬉しいわ。じゃあ、さっき『一緒にはいられない』って言ったけれど、でも一緒いるのが嫌という意味ではないのかしら?」
「まあ、嫌じゃないわよ。……あ、もしかして、その点で誤解を与えてしまったのかしら?」
「そうね、ちょっと意味が取れなかったわ。」
「ええと、ヒーロー科と普通科はカリキュラム上一緒に居る時間が取りにくいから、友達になったとしても時間が取れないと思ったのよ。」
それを聞いた皆は、「なんだ、そういう意味だったのか!」と安心した表情になりました。
「ケロケロ。みんな、言ったでしょう?根気強くお話しすれば、きっと分かり合えるって。」
「すごいね梅雨ちゃん!私一瞬ビックリしちゃって言葉が出なかったよ!」
お茶子ちゃんが手放しに梅雨ちゃんを褒めています。私もすごいと思います。同じ状況だったら、多分私が誤解をしてるっていう発想にすらならないかも……
「私の家、兄弟が多くて、時々弟たちが喧嘩を起こすの。でも、話を聞いてみると大抵言葉のすれ違いっていうのが多くて、説明を重ねれば大体は仲直りできるわ。」
「おおお、これが長女の力ってか、すげえな梅雨ちゃん!」
「ほむらちゃん。言葉には気を付けないと、今みたいに無用のすれ違いを起こしてしまうわ。今の場合だと、言葉の上ではそうでなくても、否定的な表現が出たり、関係のない話が出てきて意味が分からなくなってしまったの。『本当に友達で良いのかな』とか、『ヒーロー科と一緒に居られる時間は少ないわよね』って、その時考えていたからつい言っちゃったのよね。でも、あなたはそれを一番に言いたかったわけではないでしょう?」
「……そうね。余計なことを言ったみたいね、ごめんなさい。」
「謝る必要は無いのよ。これから沢山おしゃべりして、経験を積めばきっと上達するわ。頑張りましょうね。」
おおおおお!と拍手と歓声が梅雨ちゃんに注がれます。まさかあの発言があっても諦めないなんて、本当にすごいです!
◇
その後、ほむらちゃんはまた芦戸さんに絡まれてなにかお喋りしています。マミさんとさやかちゃんも交じってミニ女子会みたいな感じです。
私たち以外とあんなにお喋りするほむらちゃんは初めて見ました。本当にA組のみんなに相談して良かったです。あとでほむらちゃんにどう思ったか聞いてみるのがとっても楽しみ!
「ほむらちゃん……本当によかったなあ……。」
「うん、暁美さんが楽しそうで本当に良かったよ。」
たまたま隣にいた緑谷君がしみじみとそう言いました。
「はじめて会ったときはちょっと威圧的だったから、怖い人なのかもって思ってたんだ。でもそうじゃなくて、ちょっと人付き合いが苦手なだけだったんだね。僕たちのことを嫌っていなくて本当に良かったよ。」
緑谷くんの持つイメージも良くなったみたいでよかった。そう思っていたんだ……やっぱり初対面だと付き合いやすいイメージが無いんだよね……。でも、そこを乗り越えてくれたらきっとほむらちゃんの良さも伝わってくれると、私は信じています。
……あ、そう言えば。
「緑谷君、ヒーローが大好きなんだっけ?」
お茶子ちゃんは、緑谷君の事をオールマイトオタクとかヒーローオタクと形容していました。そんな彼なら、きっと職場体験先についていいアドバイスを貰えるかもと思ったのです。
「え?まあ、人より多少は……くらいは?」
「その、これを見て欲しいんだけど……」
私は、スマホに入れていた職場体験のリストを緑谷君に送信しました。それを受け取った彼は目の色を変えます。
「これは、ヒーロー事務所が沢山……え、これってもしかして!?」
「うん、職場体験。私普通科なんだけどダメ元で送ってきたところが沢山あったみたいで。それで先生がもし私が希望するなら行ってもいいって言ってるの。でも、どれにするべきか分からなくて……」
1000件もあるヒーロー事務所、本当にどうやって選べばいいのか見当もつきません。ヒーロー科のみんなにはもっと沢山の指名が来ているだろうけれど、どうやって捌いているんだろう……?
「す、すごい流石体育祭3位の鹿目さんだ!こんなに沢山の指名があるなんて!あ、マホウヒーローマジェスティックの事務所だ!個性に興味を持たれたのかな?……こ、これはファイバーヒーローベストジーニスト!言わずと知れたビルボートチャート4位のトップヒーローだよ!本当に羨ましいなあ鹿目さん!」
「すごいね流石緑谷君……」
緑谷君、目と指がすごいスピードで動いてるよ……いわゆる流し見っていう感じかな?
……でもあのリスト、細かい文字でひたすら事務所の名前がびっしり並んでいるんだよね。その中からヒーロー名を言い当てるなんて、もしかして本当に全部に目を通してるの……?
「そ、それでどこに行くか迷っているんだよね?」
緑谷君は目と指を動かすのを止めずに聞きました。
「うん。私にはヒーローの知識全然無いから……」
「安直な判断だけど、第一候補はベストジーニストの事務所だよ!普通こういうのは活動の系統とか個性の相性が大事だけど、彼はプロヒーローとしてすごいからそれを度外視できるレベルでお勧めできる!なんたって彼は教育にも秀でていて、彼の下で鍛えられたサイドキックはヒーローとして……あ。」
緑谷君は、相談しようにも行き詰まってしまうポイントに辿りつきました。
「そうか、鹿目さん普通科だから……」
「うん。周りに相談しても、ヒーローっていうキャリアの目線での答えが多くて、ちょっと困ってたんだ……あんまりヒーローとして活動したいって気持ちは無いの。」
「その……鹿目さん、ヒーローになりたいとは思わないの?確かヒーロー科の入試を受けてたけど……」
うーん……やっぱり、私の状況でヒーローを目指さないのって不自然なんでしょうか?普通科のみんなにも、時々私がヒーロー志望に転向するつもりが無いのを不思議がられます。
「ああ……あれ、ママと先生にすごくおすすめされて受けたの。先生がおすすめしてきた理由は、私の中学校が行事の関係でヒーロー科の受験者が最低一人欲しかったから。ママがおすすめしてきた理由は、私元々は結構引っ込み思案なところがあって、それで『人生は挑戦だぞ~?』みたいな感じだったの。なんかごめんね、周りの人たちすごい真剣だったのに、私は軽い気持ちで……」
「鹿目さんが謝ることじゃないよ、そもそも受けるだけなら自由だからね。……でも、今はどうなの?」
「うーん……お仕事としてすごい大変そうで、私には無理かなって。私の個性でみんなを元気づけられるのは嬉しいけれど、その他にやらなきゃいけないことが多すぎるよ……。そもそもヒーローになりたい人って他に一杯いるんでしょ?人が足りてるのに、ヒーローになりたい人が一杯いるのに私がなってもなって……」
「そうなんだ……」
緑谷君がちょっと残念そうにしています。……ちょっと無遠慮だったかも?緑谷君は私とは対極で、すごくヒーローになりたがっているもの。入試や体育祭で腕をボロボロにするくらいに……。
「ご、ごめんね。ヒーロー志望にこんなこと言っちゃって……」
「いやいや、そんな、気にしないで!……あ、だから職場体験に迷っているのか……そうだなあ、となるとベストジーニストは除外になっちゃうのか。成長したい人には最高の環境だけれど、ゆっくりしたい人にはちょっと窮屈かもしれないな。」
「やっぱり、そんな感じだよね、ヒーロー事務所の体験先って……でも私の周りの友達は当然行くよね!って感じで、どうすればいいのかなって。」
「うーん、職場体験先、厳しさはほどほどで、でも人生の糧にはしたいよなあ。となるとここは除外、ここもチャートランクは高いけれど除外、ここは緩いって話を聞くけど個性の相性が最悪、ブツブツブツブツ……」
……緑谷君、前々から思ってたけれど、考え事をしている時にすごく早い独り言みたいなのを口に出すんだよね。私の為に考えてくれるのは嬉しいけれど、ちょっと不気味さもあるなあ……
「……あ、ここなんかどうかな!?僕のおすすめ!鹿目さんを呼んだ理由も予測できるんだ!」
緑谷君はそう言って、あるヒーロー事務所を提案してきました。
……うーん、名前は聞いたことあるけど、良し悪しはよく分かりません。ただそんなに厳しいイメージはないのです。
「私より詳しそうな緑谷君のおすすめだし、それで良いかな……」
またしても軽い理由で私は職場体験先を決めてしまいました。
・A組とほむら
まどか達以外に友達が要らないとは思っているけれど、友達になりたくないというわけではないのでそこまで拒絶はしない。あとはA組の光ぱぅわーによるバフ。
・根気強くお話すれば、きっと分かり合える
なお流石にトガのような異常者は受け入れるのに時間がかかる模様。まあ立派な傷害行為だし仕方ないね。
・ 職場体験先コンサル緑谷
書いててマジでコイツが相談役として最適だからヒロアカ二次で良く見るんだなって思った
・ベストジーニスト
勿論杏子関連の話を聞きたくてダメ元で呼んでいる。もともと爆豪一人しか呼んでなかったしまどかのせいで呼ばれなくなった職場体験の子とかおらんやろ多分。