個性『魔法少女』   作:Assassss

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高評価、誤字報告、感想ありがとうございます。

資格試験があったので遅れました。


考察: 佐倉杏子

(はぁぁぁぁ……どうしてこんなことに。)

(ア、アタシに言われても困るぜ……)

 

ちょっと久しぶりの、佐倉杏子が入れられている施設の近く。私とマミさんはそこに来て、杏子と久しぶりに話して、そして頭を抱えることになる。

 

もうちょっと来る頻度を上げて欲しいだの、最近は勉強にやっと耐性がついて来ただのと言った話を交えつつ、私はいつ頃ここを出られるのかを杏子に聞いた。

 

(ごめんなさい、もう一度聞いてもいいかしら。いつ、あなたはここを出られそうなの?)

(だーかーら、八月の……)

 

そうして再び告げられた日時は、私が先ほど聞いた日と無情にも同じだった。私はショックのせいで、思わずその場にしゃがみ込み顔を覆ってしまう。隣にいるマミさんが困ったように私の肩に手を置いてくれた。

 

その日は、よりにもよってAFOが指定した期間とほとんど被っていたのだ。正確な日時は決まっておらず、情報漏洩対策とか何とかで直前まで具体的にどの日時というのは伝えられないらしいのだが、その可能性のある日時は思いっきり件の日に被っている。

 

(……そ、そんなに困るのか?)

(困るわよ……どうやって自然な形であなたと合流しようか考えていたのに。)

 

もう雄英にうっすら知られてしまっているためにあまり効果は無いかもしれないけれど、それでも体裁は保っておきたい。私たちはもともとただの一般市民なのだと。一応今の杏子は人殺し扱いを受けているのだ。そんな彼女と堂々と「友達です!」と言ったら根掘り葉掘り関係を聞かれるに決まっている。

 

(マミさんと自然な形で再会して……みたいな感じに、するしかないのではないかしら?)

(そうなるとマミはその戦いに行けなくなるってことになるな。)

(その通りよ……戦力が大幅に削られてしまうわ。)

 

ヒーローと協力するにしても、最低でもマミさんには一緒に来てもらおうと思っていた。協力相手がどんな個性を持っているかにもよるけれど、そういうのは多分マミさんの方が上手い気がするし、リボンを隠してマスケット銃を使って戦っているところを見せれば雄英のマミさんと結びつける人は多分いないだろう。

 

……そんなふうに計画を立てていたのに、杏子の出所の時期がモロにかぶっているせいでそれはご破算になってしまった。けれど、AFOに指定された場所はここからかなり離れているから前日に移動しなければならないし、その前の日は準備でバタバタするに決まっている。ヒーローと合流する必要もあるだろう。そう考えると、杏子を迎えに行ってから共闘に、なんてどうやっても無理だ。

 

マミさんはしばらく思案していたが、やがてすこし残念そうに妥協案を出した。

 

(うーん……仕方ないわねえ。AFOのことは諦めましょう。みんなで佐倉さんを迎えに行くしかないわ。)

 

私には受け入れがたい案だった。奴を倒せるのは今しかないのに、杏子の命の危機でもないのだから諦められない、と私は考えている。

 

(で、でもそうしたらAFOを殺すのは……)

(場所だけ話してヒーローや警察に任せましょう。流石にもう相当ダメージを負っていると思うのよ。オールマイトやエンデヴァーが出れば何とかなってくれるのではないかしら……?)

(相手はそのオールマイトでも倒しきれなかったんですよ。それに、向こうはいつでもワープで逃げられるんです。私たちのどちらも来なかったら、すぐに逃げてしまうんじゃないですか?)

(…………うーん……そうね、そうかもしれないけれど……)

(というより、杏子。その日時だけじゃダメなの?)

(ダメって、どういうことだ?)

(その日以降外出許可がまたしばらくでない、なんてことはないでしょう?迎えるのは別の日でも……)

(悪ぃ、できれば初日に迎えに来て欲しいんだ……)

(……どうしてかしら?)

(それは……)

 

杏子の声は心なしか震えていた。何かまずいことがあるようだ。

 

(だってその日、ヒーローが迎えに来るってことになってるんだよ……!)

 

つまりその日に私たちが接触してその「迎え」を阻止しないと、杏子は私たちの手の届かないところへ行ってしまう、ということなのか。

 

それは確かに困る。AFO討伐とどちらが優先するべきか迷ってしまう程度には。

 

(ええと、もしかして里親が決められたの?)

(確定じゃない。けど、盗み聞きした限りだと公安になるべく近い所に置こうとしてるって話なんだ。)

 

杏子には、私たちになるべく近いところに居て欲しい。魔法少女仲間なのだから。一年以上経過しても私たち以外の魔法少女は見つけられていないのだから、これからもおそらく見つからないだろう。たった五人の、前の世界の記憶を持った友達と離れることはできない。

 

(しかも最有力候補がよりにもよってあのうっっっっざいホークスぅぅぅぅぅ……!!!)

 

物凄く恨みがましい声だった。メディアを通した印象だと、確かに彼は飄々として万人受けというような感じでもないけれど、ここまで嫌われるほどのクズではないと思う。

 

なぜ杏子がここまで彼を嫌っているかというと、笑顔の裏に何を隠しているか分からないから、らしい。しかも彼は杏子にウザ絡みするらしく、それで印象が悪化しているそうだ。さらに加えて、ホークス相手に何度か模擬戦闘訓練をさせられることがあったらしい。戦闘自体は嫌いではないけれど、勝率が悪いのだという。

 

そもそも杏子は人の庇護下に入るということ自体に抵抗があるのだと思う。表向き優しくしてくれているようだけれど、公安の過去が過去だ。彼らからは離れたいというのが一番の本音ではあるのだろう。

 

(……それによう、ホークスって確か地元九州なんだっけ?アタシ絶対引っ越しさせられるじゃんその日に!)

(あー……それは困るわね……)

 

ホークスは、その実力から活動範囲は広く日本全国で活動している。しかし本拠地は九州。彼に養子として引き取られるならば、地理的に遠い関東地方に置いておく理由は無い。

 

(となるとやっぱり偶然を装って迎えに行くしかないのかしら……。取り返しがつかないというほどでもないけれど、何とかして割り込みたいものね。)

 

それからまた3人は黙り込む。

私も頭の中で整理する。選択肢は3つ。AFOを見逃して杏子を迎えに行くか、あとで探して見つけられると信じてその日は杏子を迎えに行かないか、それとも1人でAFOを倒しに行くか。

1つ目……考えただけで今後が不安になる。私たちのことをどの程度知られているかは分からないけれど、例えばあの黒霧の能力で突然背後から攻撃されて死亡、なんてことは十分あり得る。私達以外でも大量の被害者が予想されることだろう。理屈で考えても、感情で考えても、とても取れる選択肢じゃない。

2つ目……これも不安だ。例えば九州という範囲だけでも、杏子一人を探すのは相当骨が折れるだろう。いや、それ以前に海外に連れていかれる可能性もある。杏子の方から私たちに接触することはできるだろうけれど、それはそれで接触の方法をうまく考えないといけない。1つ目よりはまだマシだけど、これも微妙だと思う。

 

3つ目……は、まだ何とかなりそうな気がする。とりあえず最低でも時間停止を持っている私は戦わないとダメ。マミさんが単身でAFOと戦う場合、トリッキーな能力が無いために純粋な力比べや技量比べになって押し負けるのでは、というのが私達で話し合った結果だ。それに私と比べてマミさんの方が杏子と過去に接点があるのだから、そこでも誤魔化しが利くだろう。ついでに言うと、さやかはもう監視されているような状態なので協力は無理だろう。まどかは言わずもがな。

最大の問題は、私一人ではAFOを殺しきる確実な手段が無いこと。でも、あの地下であれだけ派手に攻撃して死ななかったんだから、多分無理なのだと思う。

ただし、それは私一人で戦う場合。無論それを回避する選択肢もあるのだけれど……仕方ない、か。結局は私が「嫌」という問題なのであって、命の危険と比べれば何を優先するべきなのかは明らかなのだから。

 

(……AFOと戦うのは私一人で十分です。)

(あ、暁美さん!?いくら何でも)

(ヒーローとは……何とか協力します。)

 

マミさんが驚きの表情を見せた。「協力」の言葉で顔が変わったので、やっぱり私はチームで戦う人間ではないと評価されているのだな、と改めて実感する。

 

正直抵抗はあるけれど、いつかやらなければいけないとは薄々思っていたことだ。

 

(オールマイトを支援することに関して、そして怪しまれたときに逃げられるのは私です。)

(そうだけど……暁美さん一人なんて。せめて他に誰か魔法少女仲間がいた方が……)

(心配しないでください。私は身の安全を第一に立ちまわりますから。ヒーローなら喜んで前に立ってくれるでしょう?)

 

他者を盾にする言い草にマミさんは怒るかと思ったけれど、意外にもそうはならなかった。

 

(わ、私が言いたいのはそういうことじゃなくて……)

(何かしら。)

(あ、アタシわかった。ほむらがちゃんと共闘して戦えるのかって心配してるんだろ?)

(えっ)

(そう、その通りよ。ごめんなさい暁美さん、こんなことを言って。)

 

…………流石に戦える、と思う。

共闘経験は、私たち5人で今まで何回も戦ってきたのだし。ただヒーローと共闘した経験はないけれど。

 

(うーん、まー時間停止でちょっと手助けするだけでもだいぶ違うよな。そう考えれば結構いけそうじゃねえか?オールマイトと協力できれば……)

(そもそも協力してくれるか分からないわよ。取らぬ狸の皮算用ね。身元を明かせないのに、どうやって協力してもらえばいいのか分からないわ。私、何回かオールマイトと接触経験があるのよ。)

(はー、めんどくせえなあ。)

(……そうね、変装でもすれば暁美さんだってバレないかもしれないけれど……もしこちらが(ヴィラン)だと思われたら協力してくれないかもしれないわ。だから、その、ますます暁美さんだと……)

 

とても申し訳なさそうなマミさんの声。

 

いくら何でも信用が無さすぎじゃないかと思う。私だって、ヒーローは好きじゃないけど今まで敵対的な行動はなるべくしてこなかった。嫌いだからって当たり散らさない程度の感情制御能力はある。

 

(流石に必要最低限の協力はできますよ、マミさん。)

(そ……そうよね。暁美さん、私たち以外にも友達を作れたものね。暁美さん、高校生になって成長しているもの!)

(えぇ……?)

 

それが判断基準になるなんて思わなかった。つい間の抜けたようなため息が出る。

 

(え、あのほむらが、一般人と友達を!?マジか!)

 

続いて杏子がものすごく意外そうな声を出した。残念な子扱いには流石にムッとしてしまう。

 

(ちょっと、それどういう意味よ杏子。)

(なあマミ、何人くらい友達ができたんだ?)

(5人くらいかしら?ほら、時々私が話していたA組の……)

(え、そいつらヒーロー科だっただろ?ほむらのクラスは普通科だったよな。その中には?)

(いないわね。彼ら以上に話す人は。)

(マジか!?ほ、ほむらヒーローと仲がいいのか……?)

(偶然よ。あの人たちが積極的に私に話しかけて来るってだけ。)

(そうなのよ杏子。あの人たち、さすがヒーロー科って言うだけあって優しくて、壁を作りがちな暁美さんを心配して友達になろうとしてくれるの!おかげで最近は暁美さんの態度も少しずつ柔らかくなっていっているし、あの人たちには私も感謝しているのよ!)

(人に恵まれてるんだなぁほむら。ま、ここは素直に良かったなって言っておくぜ。にしし。)

(ちょっと、どういうことよ。)

 

私を置いてきぼりにマミさんと杏子が盛り上がっている。目の前に私がいるのに電話で盛り上がられたような気分だ。

 

彼らは別に……確かに友達かも知れないけれど、私達と比べると優先順位が下がる相手。そんなにどうこう思っているってことは無い。

 

(あ、友達と言えば、佐倉さん、美樹さんともとっても仲良しだったわよね。)

(え?さやか?な、仲良しっていうか、まあ仲が悪くないって感じか?)

 

突然友達との関係性について聞かれた杏子は、戸惑いつつもまんざらでもなさそうだった。

 

(よかったわ!佐倉さんなら安心して美樹さんを預けられるわ!出られたなら、何とかして美樹さんの近くに居られるようにしないと。)

(あなたならうまくやれそうな気がしているの、杏子。さやかはあなたに預けたいわ。)

(お、おいおい。さやかがどうかしたのかよ。)

(……ああ、そういえば。)

 

まだ杏子には、さやかの治癒の力がバレてしまったことを言っていなかった。最近忙しかったから、ついおろそかになってしまっていた。

 

(そうなの。さやかさんは最近本当に大変で。)

(な、何があったんだよ?)

(実は……)

 

マミさんは、さやかに起こったことを説明した。

 

杏子は黙って聞いていた。公安の施設にいるのだからちょっとくらいは聞いているのかと思っていたが、全くそんなことは無かったようで、ステインと戦ったときのことは「うぇえ!?」なんて感じの間の抜けた声を出してしまっていた。

 

一通り話し終わった後、杏子はしばらく沈黙した。姿は見えないけれど、多分頭を抱えているのだろう。監視の目とかがあるから本当に頭を抱えているわけじゃないだろうけれど、それでも絶望とは別ベクトルで負の感情が伝わってくる。

 

(……はぁー。まったくあのバカ、何やってんだか。)

(正直、私たちにはどうすればいいのか分からないのよ。一応ヒーローはちゃんと動いてくれているけれど、それでも万全ではないし……)

(そーいう迷惑な奴らには「帰れ!」ってバシって言ってやらねえとダメなんだよ!あー、もう、奇跡を大安売りするからそうなるんだ!魔法少女は自分の為に力を使えってあれほど言ったのに、ほんとしょうがない奴。)

(でも、そういう人たちを断るって言うのもなかなか心苦しいわよ?身の上話を聞くと胸が締め付けられるような経験が出て来るもの。特に美樹さんの場合は……)

(あー、恭介か。そういうことか……)

(それで、あなたにお願いしたいの。今、美樹さやかの傍に居られるのは私とマミさんとまどか。でも、まどかは優しいから強く言えない。マミさんもそうだし、そもそも学年が違うからそこまでずっと一緒に居られるわけじゃないわ。私は「帰れ」と言ってもいいけれど、他に優先順位が高い事柄がある。だから杏子、あなたがさやかの傍にいてあげれば、心強いと思うのだけれど、どうかしら。)

(うーん……その、なぁ。)

(佐倉さん、私からもお願いしたいの。今の美樹さんは本当に大変で)

(別に嫌ってわけじゃねーんだ。だけどさ、私ってそもそもが犯罪者扱いだからこっちにも監視の目とかつくんじゃねーの?)

(あ……そういえば……)

 

ナチュラルに会話していたから忘れていたけれど、そういえば杏子って人殺しだった。まあ、私達だって元人間の魔女をたくさん殺していたし、今更だけど。

ちなみにこういう話が出ると、マミさんはいちいち沈んだ表情をする。今も一気に負の感情を感じるようになった。

 

(そういえば人殺し扱いされていたわね。言葉にしてみると結構インパクトがあるわ。)

(あ、暁美さんそんな風に言わなくても……)

(もー、いちいち気にすんなよマミ。そういうのは腹くくれって。悪い奴に絞ってんだから別にいいだろ?)

(え、ええ……でも……)

(いーのいーの。気にしてたらこっちが持たねえ。)

 

杏子はゴリ押しとも取れる説得で納得させようとする。もう何度も話し合ったことだ。特に私と杏子はこの世界になってから明確に「人」扱いされる存在を自分の意思を持って殺害しているので、そのことで色々と心配される。杏子は心の中でどう思っているのか知らないけれど、この話題で気を悪くする様子は見られなかった。

まどかとさやかに平気な姿を見せれば、2人は飲み込んでくれる。けれどマミさんは最後まで迷う様子が見られるのだ。マミさんが私と杏子の行いをどう思っているのか、はっきりしたことは分からない。マミさん自身もどう消化していいのか分からないのだと私は思う。

 

でも、今その話をしても仕方がない。私はマミさんからこの黒い事実を忘れさせるべく、話を強引に進めさせてもらう。

 

(……ともかく、必要なのは杏子がさやかの傍に居られる名目よ。二人は何か案はあるかしら?)

 

しかし、返ってきたのは沈黙、もしくは唸り声だった。

冷静に考えてみれば、「出所明けの人殺しが普通の女子高生と一緒に居るにはどうすればいいか?」であり、無理難題であることに違いない。過去のことはなるべく明かしたくないので、マミさん以外とはしばらく赤の他人扱いをするしかない。何とか接点を作ったとしても、さやかが仲良くしていると「なんでこの子は人殺しと簡単に仲良くなっているんだ……?」となりかねない。

心配なことはまだある。そもそも杏子が日中さやかと一緒に居られるかどうかさえ不明だ。一応保護扱いなのだから、一日中遊び惚けていたら流石に何か言われるのではないかと思う。

高校に通わされるのだろうか?でもそれで、雄英に通えるなんて話はあり得ない。ヒーローの闇の情報を持っている彼女をヒーローの卵に近づけさせたくはないだろう。おそらくなるべく雄英から遠い所に通わされるに違いない。そうなったら、さやかと一緒に登下校なんて無理。

 

(……ともかく、まずホークスが引き取る場面に出くわす計画を立てないと始まらないわ。佐倉さん。私、そのためにいろいろと作り話を考えてきたの。例えば……)

 

その後は、どうやって自然とマミさんを杏子に引き合わせるかの作戦会議になった。昔のことを引き合いに出して、実は親の都合で離れていただのといった言い訳を3人でひねり出していく。違和感は持たれるだろうけれど、間違っていることを証明できないであろう作り話が出来上がっていった。

 

……ただ、杏子が出所するまでの間はさやかが無防備である問題は、結局残ったままだった。

 

 

そこは表向きヒーロー向け訓練施設という名目だが、地下に秘匿された空間が建設されている。防音性、耐久性、訓練施設として必要なものはどれをとっても日本随一である。公安所属のヒーローは、ここで「ヒーローらしからぬ技術」を習得するために訓練を受ける。

そんな中で、佐倉杏子は時々戦闘訓練を受ける。訓練を受ける年齢としては最年少……というわけでもなく、例えば過去ホークスが受けたように、公安直属のヒーローとなるために幼少期から英才教育を受ける若き未来のヒーローがいた。ただ、そう言った人々と彼女は交流が禁じられている。何かおかしなことを彼女に吹き込まれ、義憤に駆られて騒ぎを起こすのでは、という恐れが上層部の人間にはあった。

 

そもそも、公安上層部にとっては佐倉杏子とは目の上のたん瘤であり、消してしまえるなら消してしまいたい存在だった。そうするべきと堂々と主張する人間も少なくない。現在の彼女の保護方針は、現公安委員会会長の決定である。

 

この疑似訓練は、その上の人間にとっても快諾できるものではなく、こうしてヒーローが相手になることも何かしらの思惑があるのだろう。佐倉杏子はなんとなくそれを感じ取っていた。が、彼女に追及する気はない。勉強漬けの毎日からの解放という意味で非常に貴重だったし、相手になるヒーローが自分の強さに驚く様を見るのは悪い気分ではない。

 

しかし、ホークス相手は別だった。

 

「ほおぉぉぉくすうううぅぅぅ!!!」

「いやー、今回も悪いね。個性の相性ってやつかな?」

「くっそおおおおぉぉぉ……!!!」

 

柔和な笑顔で杏子をなだめようとするホークスだったが、彼女のイライラは収まらない。普段の挑発的な部分のある言動をなるべく抑えたつもりであり、自分でも知らない内にそんな言動をしていたかと後で映像記録を見返そうとひそかに決意した。

 

訓練と言っても、そこまで真剣になされるものではない。怪我でもしてしまったら面倒であるし、体を動かすという目的ならそもそも戦闘に限定する必要すらない。それでもやることは戦闘を模したものが多く、これは杏子の意思によるものだ。

ルールは「相手を倒す」ではなく「動けなくする」が目的。過度な威力の攻撃はご法度だと杏子は何度も何度も言い聞かされた。

 

そのルール下では、ホークスに利があった。羽の繊細なコントロールは彼の得意分野であるし、普段のヒーロー活動で良く鍛えられる部分。対して杏子は、今まで全力の魔女退治しか経験してこなかったためにあまり慣れておらず、その点でどうしても行動速度が劣ってしまう。

 

今回も、彼をひき肉にしないように手加減を心がけつつ多節棍を振り回していたら、彼に苦も無く避けられ羽によって縫い付けられてしまい勝負を付けられてしまった。

 

「まーまー、俺、一応ビルボードに載ってるヒーローだから。負けても全然恥ずかしくないって。それに君くらいの年齢の俺より全然強いから!」

「うっるせえ!今度は自慢かよおおぉぉぉ!!!」

「おっと、負けた方は言うこと聞くって話だったから、君がどうやって俺に迫るまで強くなったか聞かせてくれるかな?」

「言うわけねーだろ!ていうか約束してねえよ!アタシもう帰る!」

 

羽の縫い付けから解放された杏子は、肩を怒らせながら扉へ向かう。ホークスに負けたことが相当悔しいためか、肩を怒らせどすどすと足を鳴らしながら特別訓練場を出て行った。彼女がここまで怒っているのは、元々持っていたヒーローへの悪印象に加え、解釈によっては煽っているようにも聞こえてしまうホークスの歯に衣着せぬ言い方のせいで良い印象を与えていないせいだろう。

 

ホークスは肩をすくめつつ、ため息を一つ。彼女が扉へ近づくと、特殊訓練場の重厚な扉がスッと開き、その重さに似合わない静かさで閉じられた。

それを見届けると、ホークスの顔からは柔らかさが抜け落ち、くたびれた労働者のようになる。職員に預けていた缶コーヒーを開けズズズと啜りつつ、壁に背を預けた。

 

少し後、入れ替わりで入ってくる人影があった。同じ女性だが、品のあるスーツに身を包み、見る者に冷たさを感じさせる目を持っている。

 

ヒーロー公安委員会会長だった。

 

「順調かしら?ホークス。」

「いやー、むずいっスね。俺、今はモテますけど、恋愛経験は意外とないんスよ?年齢的にも、下手したらスキャンダルになっちゃいますって。まあ知ってると思いますけど。」

 

思春期をヒーローとなるための訓練に捧げてきたホークスは、公安外部の人間と接触する機会は少ない。あったとしても大抵は任務や訓練目的で、深い関係など築けるものではなかった。

 

今でこそヒーローとして目覚ましく活動する彼が手を振れば若い女性の黄色い声が響くが、彼に恋愛絡みのスクープが少ないのはそのような事情がある。

 

「深い関係になれなんて言わないわ。信頼関係を構築してほしいだけなのよ。」

「絶対俺より適任がいますって。いきなり女子高生相当の子と家族になれだなんて……そもそも俺、普段家に帰ることなんて何週間に一回だと思ってるんスか。」

「無理を言っているのは承知しているわ。でも、戦闘能力的側面では……今のところあなたしかいないのよ。あなたしか、彼女を確実に抑え込めない。」

「そもそもファーストコンタクトでミスっちゃいましたからね……」

 

致命的なレベルではないが、ホークスは彼女にうっすら嫌われている、というのが彼自身の自覚である。

 

ファーストコンタクトにおいては、彼は初対面の相手ということで、警戒されないための「親しみのあるヒーロー」の顔を以て彼女に接しようとした。彼は公安委員会から「可能な限り彼女との心理的距離を縮め、過去や個性に関する情報を引き出せ」という指令を受けていた。

それはホークスが公安に幼少期から叩きこまれた演技技術であり、犯罪組織の人間に接触する際に強力な武器として使われるものだ。それがどんなに胡散臭かろうが、笑顔の持つ心理的効果は侮れない。意図的にIQを落としたような会話を続ければ、相手が綻びを見せないということは今までなかった。

 

だが、彼が佐倉杏子と出会ったときに真っ先に言われたことはこれだ。

 

「ハン!アンタみたいな腹に一物抱えてそうな奴と話すことなんか無いね!」

 

最初、彼は単に口が悪いのだと思った。しかし、彼女は確かな意思を持って「話すことが無い」と言っているのだと直に理解した。以降も、ホークスへの当たりはやたらと強いものだった。何か気に障ったことがあったかと聞いても具体的な回答は返ってこず、ただ不可解な敵意だけが返ってくる。聞けば、彼女と接触したヒーローはかなりがそのような対応をされたという。

 

しかしながら、ホークスとしてもこれで引き下がるようなことはせず、何とか会話を試みようと積極的に話しかけると次第に態度が多少軟化していった。初期は全くと言っていい程口を利いてもらえないレベルだったが、現在ではひとまず会話が成立する程度にはなっている。

 

この態度は彼女のヒーロー嫌いに由来するものでは、というのが関係者間での共通認識だ。親を公安ヒーローに殺されたのだから当然の判断ではある。しかしホークスとしてはそれ以上の原因があるのではと考えている。

 

「委員長さん、もっと人を雇いましょうよ。前喧嘩気味になっちゃったっていうジーニストさんはともかく、エッジショットさんやクラストさんならいい感じにやってくれそうじゃないスか?俺みたいな皮肉屋じゃないですし。あ、ほらリューキュウさんとかどうっすか?同じ女性だし、絶対あっちの方が懐きますって。」

「前にも説明したはずよ。彼らは公安委員会所属ではなく、そして彼女の件も知らないはず。」

「まあまあ、ちゃんと説明して組織としてやることやれば、彼らも認めてくれますって。いい機会ですよ、過去の膿を掃除する、ね。いつまでもあんなのを抱えてちゃどんどんここの歯車が錆びちゃいますよ?」

「残念ながら、ここはあなたが思っているほど身の軽い場所ではないわ。」

「ハァ……せめてもう少し何とか……ならないっすね、今の公安の状況じゃあ。」

 

ほぼ表情を変えずに答え続ける委員長に対し、ホークスはそこまで言って口を休めるために再びコーヒーを流し込む。苦みと共に、自らの組織が置かれている嫌な状況も飲み込もうとしていた。

 

現在の公安の状況は、忠実で信頼できるホークスからしても良いものではない。組織として、負債が大きすぎるのだ。腐敗しているのではない。レディ・ナガンの件で組織人事の大々的改革が行われ、裏で(ヴィラン)とつながっていたり、横領などをしている人間は大部分が消えた。現在の公安委員長が秘密裏に行ったもので、表には全く出ていない話だ。

こう述べるとクリーンな組織に生まれ変わったようだが、裏で不正を働くヒーローを表に出さずに始末しているのは相変わらず。公安内部の人間からしても眉を顰める行いは続いており、特にレディ・ナガンに罪を着せタルタロスに入れた件は嬉々として語られることは少ない。

 

そのような表に出さない仕事というのは、世間一般のヒーローがこなすものよりも難易度が高い。ホークスのような「秘密を守る」有能なプロヒーローの手が必要であり、その水準を満たす人材を育てるコストは少なくない。そしてヒーローの数は年々増加の一途であり、それに比例して悪事を働くヒーローは増え、公安委員会の財務の重しになっている。

 

ならば、そのようなヒーロー社会の在り方を変え、ヒーローの神聖視を市民に止めさせようか、という方針も内部ではたびたび出る。若い精神を持つ公安の人間もいるのだ。その人々が、「少しずつでもオールマイトへの依存を止め、ヒーローを舞台上の存在から降ろさせないか?そして自分たちがヒーローを殺していたことも表に出すべきだ。そうしなければヒーロー達に私たちは失望されるだろう」と提言する。その提案は荒唐無稽なものとして扱われない程度のまともさが、公安委員会には残っていた。

 

だが、ある問題を前にその挑戦はいつも諦められてしまう。

 

「……本当に、前の公安委員長は呪っても呪い足りないわ。腐敗の山を置いて逃げ死ぬなんて。」

「全くですよ。やっぱり、ヒーローの不正を隠すのは止めません?ちょっとは混乱が起きるでしょうけれど、直慣れますって。」

 

前公安委員会会長の方針下の行いは、表に出すにはあまりにも数が多く、そしてショッキング過ぎた。情報工作などとても不可能なほどに。

 

佐倉杏子の件に代表されるように、前会長の方針下では人々を守るために社会の秩序を守るのではなく、社会の秩序を守るよう人々を強制するものだった。例えば違法薬物取引に手を染める人気ヒーローがいれば、現会長は「まずは可能な限り関係者を捕縛しろ。ヒーローが違法取引していた事実には報道規制をかける。」と言うところを、前会長は「そのヒーローと関係者を全員殺して口封じしろ!」と言ってしまう。

 

そのような前会長の行いを何の用意も無しに表に出すべきではない。これが現在の公安委員会としての見解だ。もし表に出てしまえば、市民は怒りに沸き立ち「ヒーロー公安委員会などいない方がマシ」と結論づけられ、現代のヒーローの大半を占める「真面目な」ヒーローにも石が投げられるだろう。そうなってしまえばまさに暗黒期の再来になるだろうし、AFOは大喜びで再び勢力を伸ばし始める。だからこそ、公表するならせめてAFOを撃破してから、という方針となっている。

 

ちなみにだが、現会長はその反省から、特にヒーローに対しては精神面に相当に配慮した指示を出している。汚いことには変わりが無い。レディ・ナガンに罪を擦り付け牢獄に入れた件は、ホークスを始めとした公安内部の人間も快く思っていない。それでも、前会長に比べればすぐに殺害を実行しないなど比較的柔らかい指示を出しており、非合法な指令であったとしても「社会の安寧の為に仕方ない」程度には納得されている。

 

「……それはせめて、AFOを打倒するまで、よ。奴は確実に追い詰められている。地下研究所の捜査を進めれば、残りの潜伏箇所も割り出せるかもしれないわ。」

「見つかったんスね、奴の体組織。」

「ええ。数日前、警察からDNA検査の結果が出たわ。こちらが極秘で採取している奴の体組織サンプルと一致した。間違いなく、あの爆発で相当な痛手を負っているはずよ。」

「楽観、と警告したい所っスけど、さすがにアレを無傷とは俺も思えませんねえ。」

 

油断しないよう自戒させるための言葉とは裏腹に、ホークスの口角はわずかに吊り上がった。ホークスとしてもAFOは一刻も早く打倒すべき(ヴィラン)である。

 

「それで、なんで来たんですか。まさかそんな単純な話をするためだけに来たわけじゃないですよね。」

 

今の雑談のような情報伝達がまさか本題ではなかろうと、ホークスは改めて問いかけた。

 

委員長は周囲の職員に目配せをし、外へ出す。だだっ広い訓練場に誰もいなくなったことを確認してから、委員長は話を始めた。

 

「もうすぐ彼女はここを出る。彼女が個性を振るっているところを堂々と観察できる機会もこれが最後ということね。それで改めてあなたの考えを聞きたいの。佐倉杏子に関しての過去、個性の推察を。」

「やっぱり彼女はなんも喋らないんですか。」

「ええ。少しでも自身の話題になると、舌を出して『しらねー!』『教えねー!』だもの。」

 

冷徹な委員長がヤンキーじみた発言の真似をするおかしさを、ホークスは努めて顔に出さないようにした。

 

「はは、元気があるやんちゃっ娘でいいじゃないすか。」

 

そこで彼は再びコーヒー缶に口を付ける。口に含んだ後もしばらく上を向き、思考をまとめる時間を作る。

 

「そうすね……まず、個性についてっすけど。まあ確かに特別な感じはあります。」

「彼女に関わったヒーローは皆そう言うわね。類似した個性が発見されていることも知っているわよね。それを踏まえて、あの個性の性質や起源を考察してほしいの。」

「もちろん。雄英体育祭なんて普段あんまり見ないんすけど、あの時だけはテレビにくぎ付けになっちゃいましたね。」

「ええ。鹿目まどか、それと美樹さやか。似ているという印象をあなたも抱いているのね。何者かの手が加えられている可能性は高い。でもそれ以上のことが分からないの。」

「俺もそう思います。……でも、それに付け加えるなら、そうですね……」

 

ホークスは不意にジロリと部屋の一面に目をやった。委員長も目をやるが、無人に見えた。

 

この訓練場には、ある一面に強化ガラスによる窓のような部分がある。そこはこの部屋の出入りの際に必ず通る通路と面しており、訓練場の内部を外から確認できる唯一の場所だった。

 

「あの子たち、多分人間の感情をある程度感じ取れるんじゃないすか?」

 

この言葉を受け、委員長は即座に思い至る数十の情報漏洩の可能性に恐怖し、それを表に出さないよう気を引き締める。恐れる前に、まずは正確な情報を頭に入れなければ、と。

 

「…………読心ということかしら?」

「そんなに強力なものじゃないと思いますけど。なんとなく相手の感情に敏感な感じがするんスよね。そもそも五感が研ぎ澄まされていそうというのもありますけど。戦闘中にやけに勘が良い時があるというか。俺が彼女と話をしている時にそれとなく情報を聞き出そうとしたときも、決まってなーんか当たりが強くなるんすよね。まあ俺の思い込みかもしれないっすけど、そういう動物的な勘やセンスはあると思ってます。それに、俺の羽だったから気が付けたことですけど、彼女の近くでヒソヒソ話するのやめた方がいいっスよ。遠くの方で『なんであんなガキを匿わなきゃいけないんだ』って本音出ちゃった人がいたんすけど、その時一瞬彼女ジロってその方を睨んでましたから。」

「……こちらの情報が抜かれているということかしら。はぁ……部下には言っておかないと。……待って、もしかして今も?」

「ええ。絶賛聞き耳立ててますね!」

 

ホークスが親指を立てる。委員長が再びガラスの向こうを見ると、舌を出しながら逃げ去る杏子の姿があった。

 

どうして先ほどは見えなかったのかと委員長はため息をつくが、瞬時に精神を落ち着け話を続ける。想定よりも軽い程度の能力だったので、冷静さを保つ努力は少なくて済んだ。

 

「……はあ、まあいいわ。そこまで秘密の話はしていない。」

「ええ。特別訓練室『程度』の情報遮断で話せることしか言う気はありませんよね、あなたも俺も。ここって公安の持つ施設で上から何番目くらいのセキュリティがあるんすかね?」

「さあ?私にもこの大組織で知らないところはあるもの。」

 

ホークスの子供っぽい好奇心を乗せた質問を、会長はのらりと躱した。

トップに立つ人間が施設の情報を知らないなどは考えにくいが、もしかしたら公安委員長は情報漏洩対策として必要以上のことを知らないように努めているのかもしれない、とホークスは考えた。

 

「じゃあもう一つ。過去についてですが……」

「起源、については何かないのかしら。」

「AFO以外となると、さっぱりっスね!」

 

お手上げのジェスチャーをするホークス。ヘラヘラ笑う彼だが、いわゆるダメ元であったために彼の評価が下がることは無い。

 

「……分かったわ。続けて。」

「はい。こちらも確かなことは言えませんが、戦闘経験があるのは確実でしょう。それもそこらのヒーローを大きく上回るほどに。まあこれはそちらもとっくに推測していたことですけどね。」

「ええ。その通り。問題は、彼女が戦闘をしていた痕跡が殆ど見つからないこと。ある時期からの活動記録は残っているけれど、それ以前がからっきし。その時点ではすでに(ヴィラン)を『狩る』ほどの戦闘能力を付けていた。それが不可解なの。」

「彼女が接触した(ヴィラン)組織の人間に聞き取りとかはしてるんですよね?まったくヒットしないんですか?」

「ええ、全く。これは本当に『全く』よ。今のところ考えられるのは、あの鹿目まどかと美樹さやかと一緒に個性の訓練をしている可能性。だけれど、個人的にはこれも納得できるものではないわね。」

「俺もそう思います。あの子、殺気に対して全然動じないんですよ。俺結構本気で睨んだつもりなんですけどね。訓練だけじゃああはなりません。ましてやその二人、彼女と違って全然血の気が無いんでしょ?」

「そうよ。まったく、仮説すら満足に立てられないなんてね。ここに入ってから直面した最も大きな謎よ。本当にあの娘は私達を振り回すものだわ。」

「うーん……すいません。過去についても、有用な話はこのぐらいっすね。」

 

ホークスは軽く頭を下げる。こちらは比較的情報が期待されていた部分。ホークスはここに関しては成果が出なかったことを素直に詫びていたのだが、委員長は特に気に留めることは無い。

 

「気にしないで。有能なあなたならば、と期待はしていたけれど、無いものは仕方が無いわ。公安全体で調査しても分からないんだもの。」

「そう言っていただけると助かります。」

「今回も時間を取らせて悪かったわ。でもおかげで、あなたは彼女に対する十分な抑止力に成り得ることを確認できた。彼女の件での仕事はひとまず終わりになると思うわ。養子の件はまだ検討中だけれど、声がかかる可能性があることは覚えておいて。」

 

会長は部屋を出ようと一瞬足を踏み出すが、ホークスの表情を一見して、その足を止める。

 

奇妙な沈黙が流れた。ホークスの視線は少しばかり鋭く、彼の様な実力者のそれは人を怯えさせるものだった。一瞬、会長は何かおかしなことを言ったか、と思案した。しかしすぐに、彼の目線はこの場にいない何者かに向けられていることを悟る。

その視線を感じ取った委員長は、特に感情を見せるでもなく続きを促した。

 

「……もう話は終わったものかと思ったけれど。」

「ええ。俺は『有用な話』は終わったと言いました。でも話が全部終わりってわけじゃないです。結論から言うと、もう少し俺に仕事を振ってほしいんすよ。」

「無用な話、ね。頼もしい部下の話は聞いてあげたいけれど、私も忙しい身。手短にお願いしたいわ。」

「ありがとうございます。……さて、さっき彼女は明らかに何者かから個性を与えられた可能性が高いって話しましたね。つまりそれ、彼女くらい強い子供が今後出て来るかもしれない、ってことですよね。仮に彼女の個性が人為的に与えられたものであるなら、それを与えた存在は(ヴィラン)Xって呼称しましょうか。」

「おおよそは道理ね。そして付け加えるなら、(ヴィラン)XはおそらくAFOよ。ただ、そう考えると不自然な部分もあるから断定まではできないけれどね。それで、その(ヴィラン)Xが?」

「俺、その(ヴィラン)Xが嫌いっす。そいつを潰す仕事をさせていただきたいんですよ。」

 

好き嫌いというのは彼のユーモアであろうと会長は感じた。

 

「……なるほど、確かに有用ではない話ね。」

「ええ、すいませんね、貴重な時間を奪っちゃって。」

「そうね。でも続けてみなさい。(ヴィラン)Xを捜索すること自体は賛成よ。でもあなたである必要は無い、というのが今の公安の方針。つながりが無いという意味で『クリーン』な組織には出来たから、表のヒーローに比較的楽に指示を出せるからね。」

「ありがとうございます。なんで嫌いかって言うと、俺の商売敵っスから。民間企業とかだとライバルを潰すためにいろいろと汚いこともするでしょ?まさにそういう仕事をやらせていただきたいってことです。」

「ライバル?」

「だってそうでしょう。ヒーローが表立って捕まえられないような奴を、倒すのではなく、消す。そういう汚れ仕事って俺達公安直属の人間の役目っすよね。」

「……汚れ仕事ね。」

 

自分の仕事を悪く言われても全く感情を動かさない委員長。こんな組織はおそらくまともではないのだろう、とホークスは感じた。

 

「おっと、勘違いしないでくださいよ。正義じゃないからやめろとか言うつもりはありません。今更この立場を降りるつもりは無いです。ただまァ、俺とて何も感じてないわけじゃないんですよ。ヒーロー活動するとき、みんなは俺がそんなことをしているだなんて一ミリも疑わずに接してくれる。そう人たちに、俺は胸を張ってニコニコしているわけじゃない。自分の罪悪感を覆い隠せても、自分に嘘はつけません。昔は訓練してそういうのを感じないようにできないかな~って思ってましたけど、俺を見てくれる人間が増えていくにつれてどうも難しくなってしまいました。」

 

話しながら、自分は公安委員長に対して怒っているのだな、という自覚をホークスは感じた。果たしてこれは言っても信頼関係に傷がつかないかと一瞬感じたが、この程度は表に出してもさして自身の評価に影響は無かろうと判断し、素直に委員長にぶつけた。

 

「それでも引き受けているからこそ、私たちはあなたに価値を見出している。」

「そりゃどうも。で、ですね。なんでこんな嫌な仕事、俺は続けてると思います?いやそれ以前に、委員長、あなたはどうなんですか?殺しの命令を下すことが嫌になったりしないんですか?」

「……さて。私はそういう善悪の判断をすることを諦めたもの。私にとって大事なことは、法律や倫理よりも、このヒーロー社会を……人々の安寧を守ること。何も感じないわけではないけれど、それよりも大事な仕事が沢山ある。それだけよ。……あなたは違うのかしら。」

 

多少は精神に変化がみられる質問だろうとホークスは予測したが、ここでもやはり淡々とした回答だった。多少後悔が混じっているともとれる答えだったが、それ以上に彼女は善悪に無関心だから殺しの命令を下せるのでは、という邪推もしてしまう。

 

「俺はですね。みんなの笑顔になれるなら、って思ってやってるんですよ。どうすか?これヒーローポイント高くないっすか?」

「……」

 

ホークスは、ここで模範的なヒーローとしての笑顔を作ることに抵抗を強く感じてしまう。しかしそれすら委員長は無表情で受け取る。それは若干ホークスを苛つかせた。

 

「確かに、現代のヒーロー社会は歪です。人々の理想を体現するためにネットのニュースからヒーローの不祥事は不自然なほど取り除かれ、それを見てヒーローを志す人間がそのヒーロー業の現実の過酷さに打ちのめされる事例なんて俺も多々見てきました。リアルでのヒーロー活動、委員長はどのくらい見てるんですかね。みなヒーローを滅茶苦茶キラキラした目で見てるんすよ!いい年した大人まで!ということはですよ?俺はますます貴重な人材になるってことっすね!」

「貴重?」

「ほら、最近はネットとかでよくあるでしょ?ヒーローのアイドル化が問題だのなんだの。最近はステインなんて原理主義者まで出て来る程っスからね。そんな世界に住む人間が、俺のやってるいや~な仕事、できないっすよ。」

「正義だけを行えるヒーロー達への嫉妬……と言いたいわけではないようね。」

「まさか!そこで、俺がこの仕事を止めない理由が繋がるんです。ズバリ、汚れ仕事は俺に任せて欲しい!こんないや~な仕事をする人間は、なるべく少ないほうがいいに決まってます。俺一人が泥をかぶるだけで、社会の安寧が保たれる。不特定多数を説得するよりもコスパ断然いいっスよね。俺はそういうキャリアの予定なんです。そっちもそのつもりでしょ?」

「……」

「で、そんな俺の商売敵が、ヴィジランテ。あいつらも非合法に人々を守ろうとしますから。まあ、俺はそれなりに有能なんで、そんじょそこらのヴィジランテには仕事は取られない自信がある。でも最近、才能ある若い子が頭角を現してきちゃったんす。」

「それが、佐倉杏子。」

「そうそう。いやー、あの子まだ高校生程度の年齢なのに俺のデビュー時よりは確実に強いっスよ?最近の若い子って怖いっスね。彼女があのまま捕まらずにヴィジランテ活動してたらって思うと背筋が凍るってもんです。」

「彼女はヴィジランテ活動はしないと、そう言っているわよ。」

「ええ。その言葉を守ってくれることを祈ってます。……おっと、ちょっと脱線してしまいましたかね。まあともかく。俺のキャリアパス的に、俺以外の人間が泥をかぶるなんて冗談じゃない。ましてや、それを子供に強制させている可能性さえある?自分の手も汚さずに?まったく反吐が出ますね。」

 

ここまで言って、ホークスは自分が表の仕事で人に見せられないほどに顔をしかめていることに、大声を出していることに気が付いた。慌てて普段のおちゃらけたような表情に戻すが、傍から見ればとても不自然な表情変化だっただろう。

 

「……何度も言うけれど、いまだその(ヴィラン)Xは推測の域を出ないのよ。話しぶりからして、あなたはAFO以外にも(ヴィラン)Xがいると?」

「ええ、俺の勘ですけどね。AFOは違うんじゃないかなと思ってます。だってあんな強い子を逃がしたままにします?絶対血眼で探しに来ると思うんですよ。」

「それは分かる理屈だけれど、他に候補が無いの。」

「確実な推測の範囲だけで動くのも愚かでしょ?つまり人生には時に博打も必要、って感じです。むしろそれこそが人生を楽しむ本質なんじゃないですかね。その博打を、俺に打たせてほしい。というわけでお願いしますよ、会長。ほら、会長の「ヒーローの精神面に配慮する」って方針があるでしょ?それでどうか、ね!」

 

最後は気安く手を合わせ、苦労する日本のサラリーマンのように頭を下げるホークス。

 

委員長はしばらく考え込む。おそらく自分が動くことのメリットデメリットを、その優秀な頭脳で大量に処理しているのだろう。

次に質問が来るとすれば、ホークスが動くことによる公安への不利益の対処だとかの話だとホークスは構えていた。

 

「……まさか、あなたがヒーローらしい意志を見せるなんてね。」

 

しかし、全く別方向からの言葉に、ホークスは面食らってしまう。損得以上の何かを冷徹な彼女が口にする場面をホークスは数える程度にしか見たことが無い。

 

「えーっと……?なんかおかしいですか?」

「まあいいわ。もしAFO以外でその仮想(ヴィラン)Xらしき痕跡が見つかったなら、あなたに伝える。そろそろ時間だから、私はこれで。」

「え、ええ、ぜひ。ありがとうございます。」

 

ホークスは執事のような礼を返した。それは忠実な部下であることを示す行為。しかしこの場でこれが最適な礼儀なのかという疑問を感じてしまう。

 

早足に去っていく委員長を見ながら、存外、自分には公安の手足としての役割以外に期待されていることがあるのだろうかとホークスは考えた。

 

 

美樹さやかの個性の件は、正式に公表された。

 

公表と言っても、テレビのニュースで流れるような大々的なものではない。ヒーロー公安委員会や警察のHPにひっそりと「多くのお問い合わせをいただいている少女の対応に関して」という文章が掲載された。

 

Web上のニュースのリンクを開くと、公的機関らしく、堅く遊びの無い文章で以下の内容が出る。

 

・雄英高校の一生徒が治癒の個性を持っていることは事実

・しかし、本人に直接治癒の依頼をすることは厳禁。本人は未成年であること、個性を行使するに値する責任能力が無いこと等から、本人が治癒の個性を行使する権限は緊急時以外認められない。

・仮に直接治癒を依頼した場合、個性違法行使の幇助と見なされる。特に本人の個性には未解明な部分が多く、場合によっては殺人幇助が適用され得る。

・どうしても治癒の依頼をしたい場合、まずは設置された専用の連絡先に相談すること。

 

などと、必要以上の情報は出さないことを徹底した文章で述べられた。さやか個人のことは、最低限同定可能なレベルでしか書かれていない。

 

公表されたのは平日の朝。美樹さやかが学校に行く為に家を出たという時刻だった。

そのまままどかとほむらとマミと共に登校。朝のHRまでに、嫌なことを忘れるために努めて明るく挨拶しながら仲のいいクラスメイトと雑談をする。

学校内でのこのような時間は最近のさやかにとって貴重な癒しの時間であり、最近はこの時間の為に自分は頑張っているのではとさえさやかは感じている。

 

が、もう少しでHRが始まろうとした頃。

 

「あ、あのー、さやかちゃん?」

「ん?何?」

 

話しかけてきたのは、クラスの女子だった。仲は悪くないが、さやかの属するクラスのグループには入らない女子、程度の立ち位置。

 

「これ……もしかして、さやかさん?」

「え?……あ。」

 

彼女は、今朝さやかの件が発表された警察のニュースのページ。

それを見て、さやかのテンションは一気に下がる。今までこの件で楽しく話せた試しはない。

 

その女子生徒の妙に慎重な行動は他クラスメイトの興味を引く。

 

「え、どうしたの?何書いてあるの?」

「え……ち、治癒個性持ちがこの雄英にいるのかよ!?」

 

その声を皮切りに、クラスの半分がその話題に食いついた。

周囲に人だかりが出来、まどかとほむらは物理的に近づきづらくなる。

 

「レアってレベルじゃねえよ!一生勝ち組確定じゃん!美樹さんマジなの!?」

「……で、でも雄英生としか書かれてないよ?美樹さんとは分からないんじゃ……?」

「そうだけど、ほら、最近さやかさん事件に巻き込まれたって聞いたから、もしかしてこれ絡みかと思って……」

「あーそっかあ。美樹さん……これ、マジなの?」

 

軽く聞くなあ、とさやかは感じた。

今までこの話をする大人たちは皆重々しかった。内容からして当然のことだとさやかは納得している。しかし一方、その話をするときは常に苦痛を感じていた。自身の将来という、現実を見据える人間にとっては常に頭の痛くなる話など、社会人としての夢がほぼないさやかにとってはそもそも好きではない。さらに加え、先の事件のような重苦しい身の上話に、まるで自分が悪いことをしていているかのようにさえ感じてしまう物々しい警戒態勢。

本音を言えば、「へー治癒ができるんだ、すごいね!」程度で終わらせて、もっと楽しいこと、例えば友人とのおしゃべりなどに時間を使いたいのだった。

 

「あ……うん、ぶっちゃけるとそれ私なんだ。」

「へー、すげー!」

 

だからこそ、浅慮に感じられるクラスメイトの反応は彼女にとってありがたかった。彼女の個性が彼女の人生にどう影響を及ぼしているかなど、彼らはまだ想像できていない。単なる強個性持ちへの羨望程度しか感じていない状態だった。

 

「えーいいなーめっちゃヒーロー向きじゃん!ヒーロー目指したりしないの?」

「無理!」

「即答!?」

「だってめちゃくちゃ大変そうじゃん……心操君とか毎日が勉強漬けで遊んでるところ見たこと無いし。ああいうの私絶対むりー!」

 

心操は現在、ヒーローとしての勉強や訓練に加え、医学系の勉強もしなければならず非常に忙しい。リカバリーガールを始めとした医療系ヒーローの協力の下、本業の医者となるのに必要な分量からなるべく落としてはいるが、それでも彼の目指すヒーローのための知識は膨大だ。特に彼の場合、今までの遅れを取り返さなければとヒーロー科と対等になるために追いつこうという心持から、A組の八百万でもここまでやらないのではと思われるほどに本に齧りついている。

 

今の会話を振られたときも、別途に課された医療系の試験の為にノートにペンを走らせており、名を呼ばれ初めて顔を上げた。

本当に集中しているために仕方が無いが、少々不愛想で申し訳ない状況だと心操自身は感じている。

 

「……ん?すまん。聞いてなかった。なんだ?」

「心操君よくいつも勉強漬けですごせるよね。遊びたくならないの?」

「まあ慣れれば意外となんとかな。それに俺は色々遅れをとっているから、遊ぶ暇がマジで無いんだ。明日も試験あるし。」

「そこじゃないだろ美樹さん!心操、こいつ実は治癒個性持ちなんだってよ!」

「治癒……ん?え、おい、治癒って言ったか!?」

「あはは……隠してたんだけど、実はそうなんだ。」

 

イタズラがバレたように笑うさやかだが、心操はさやかの様子より遥かに重く驚き、口をパクパクさせることしかできない。

彼自身、さやかに対して特別興味がある訳ではないが、そのような個性を持っているとなれば聞きたいことは沢山ある。なまじ医療に関して知識をつけているが為に、彼女がどれほど貴重な存在かを認識できていた。

衝撃で何も言うことができず、その間に他のクラスメイトがさやかに話しかけた。

 

「えーじゃあどのくらいの傷までいけるの?私昨日ささくれ作っちゃってさー。」

「あー、ごめん。警察の人に勝手に治すなって言われててさ。」

「いや何やってんねん!さやかじゃなくても個性無断使用はアカンやろ!」

「あはははは、いやなんかノリで行けると思って!」

 

何か言いたげな心操をよそにさやかが雑談に興じていると。ドアが勢いよく開ける音とともに、「はいみなさん、HRを始めます。」という担任の声が響く。

いつものルーチンで全員席に着く。普段なら連絡事項がある程度で終わるのだが。

 

「さて、今日は皆さんにとても大事なお話があります。美樹さんの個性に関してです。実は最近……」

 

この担任の教師は、さやかの個性に関して説明を始める。今までの雑談の様にはいかない、緊張感のある話し方だった。

 

おおよそ、内容は以下の通りだった。

 

・とある事件により美樹さやかは人前で治癒の個性を使ってしまい、警察やヒーローに知られることになった。

・彼女の個性は非常に強力であり、現在大抵の外傷は治せるのではと考察されている。現在細かい性質を調べている最中である。

・もともとは個性のことを秘密にする予定だったが、どこからか情報が漏れてしまい、必死の思いで彼女に助けを求める人間が増えている。最近の彼女に起こった事件はその絡み。

・情報を抑え込むことは不可能と判断し、今朝情報を正式に公開した扱いとなった。

・しかし公開されているからと言って、無闇に周囲に言いふらさないこと。特に彼女に治癒を頼むのは、警察やヒーローの許可を得ない限り厳禁。

 

このような話が、一時間目の授業に割り込むほどに長く続いた。さやかが嫌う、治癒個性の深刻さの話だった。

C組の生徒たちは、話を聞いていくうちに事の重大性を理解していく。説明が終わった後、さやかに向けられた目は羨望と同情と好奇だった。

 

(……いや、みんな。そんな目しないでよ、普通で良いんだからさ……。)

 

先ほどの気楽さは消え失せ、今回の件の「正しい重さ」を理解したクラスメイト達にむずがゆい思いを、このような状況にしてしまった担任の教師に恨みの念を抱く。

話が終わり休み時間となったとき、さやかに振られる話は心配から来るものだった。登下校時に付き纏われているのか、家に変な電話が来ていないか、自分たちに手伝ってほしいことはあるか、治癒個性を使って疲れないか。

 

心配自体は嬉しい。しかし、心配される空気は好まない。

しばらく真面目に答えていたさやかだが、ついに空気に耐えられなくなった。

 

「あー!もう、みんな心配しすぎだって!」

「そうか……ならいいんだけど……」

「あのね、悪いことばっかりじゃないよ!なんたってさやかちゃんは、もう少ししたらここの誰よりもお金持ちになっちゃうんだからね!」

 

あえて下世話なことを言ったがために、心配の感情は驚きや嫉妬に少しだけ変化する。行儀のよい発言ではなかったが、空気は少し軽くなった。

 

「お金?治したお代に……てか?」

「そう!なんか警察の人の話だと、ガッポリもらえるんだって!実際に、明日その第一弾をするってことになってるんだ!」

「そうか……医療費って、怪我によってはすごい高額になるよね……それを個性で治せるんだったら、すごいことになるかぁ……」

「そのとーり!だからね。嫌なこともあるけど、私はそういうことを止めるつもりは……無いの!」

 

さやかは、自分で言っていてこれが自分の本心なのかと疑問に感じた。ハッキリとやりたい、やりたくないの意思を持っているわけではない。ただ自身に「やめるつもりはない」と言い聞かせようとしても、どこか納得しきれないのだった。

 

「いーなー羨ましい……」

「なあなあ!給料入ったら奢ってくれよ!」

「えー?どーしよっかなー!」

「お願いしますさやか様ー!どうかお慈悲をー!」

 

先ほどの軽さが戻り、さやかは露悪的に自慢する。実際お金が入ってくることが楽しみであることに変わりは無いし、警察からそのような話が舞い込んでいるのも嘘ではない。

予定されていた個性の安全性の検証時期を大幅に短縮しての話だった。それでいいのかとさやかは聞いた当時疑問を感じたが、明確な答えは返ってこなかった。結局、さやかは警察が良いと言っているのだからよいだろうと納得した。

 

将来お金持ちになれることを自慢し、嫉妬の感情を稼ぐことに多少の不安を覚えつつも。さやかは将来何億円稼ぎたいかだの、どこのブランドの服を何着買ってやるだのという話で友人たちと盛り上がった。

 

 

 

さやかが治癒の依頼を受け付ける期間が七日となることを、この時は誰も予想していなかった。




タイトル我ながらあんまり内容にあって無くて笑う。けど今回3つの話出したから何つけてもピッタリいかないだろうね…… (思考放棄)

・公安
内部は割と綺麗っぽく見える。中での会話が漏れているとかは無かったし、情報統制がかなり上手くいっていそう。

・ファーストコンタクト
どんな感じだったかというと、(ヴィラン)連合に潜入際に最初から裏がバレてしまっていた際にどんな対応をされるかを考えると大体わかる。
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