女子バナのところは地の文が少なくなっちゃった。JKの恋バナなんて男に分かる訳がありません。違和感あっても許して。
合宿所の女子部屋。
入浴も終わり、就寝までのひと時の自由時間が訪れる。
就寝には少し早い時間だったので、A組女子の面々は各々必要な雑務やお喋りをする形となっていた。疲れた体ではあるが、それでも必要なことはテキパキとこなしている。
しかしその中で、彼女たちと比べ明らかにエネルギーが切れてしまっている二人がいる。
「か、体は動かなくとも、女子会はできる……!」
「さやかにとって女子会重要過ぎない?」
「修学旅行といえば夜の女子バナァ……!」
さやかの声は恨みがましいが、しかし口と体を動かす元気は殆ど無い。日中の訓練が、二人の身体から気力を根こそぎと言っていい程奪ってしまったのだ。
未練たらしく持ってきた菓子が開封されていたが、中身はほとんど減っていない。
隣にはまどかもいるが、「うう……」とうめくばかりだ。
「ねえまどか、い、一緒に女子会を……」
「ごめんさやかちゃん、私今日はもう寝るね。疲れちゃって……」
「普段運動しないんだったらキツイよね。明日もあるから、無理しないで寝なよ。おしゃべりは合宿から帰ってからも十分できるしさ。」
「ありがとう響香ちゃん。おやすみぃ……」
「まどか、私を置いて寝ないでよ!まどかがいなかったら、私この疲れに耐えられない!!!」
さやかはまどかの肩を揺するが、まどかは小さな唸り声をあげるのみ。瞼もほとんど閉じており、今まさに夢の世界へ旅立とうとしていた。
「いや寝なって……その女子会への執念はどこから出て来るんだっての。」
「日常への渇望……!最近は日常成分がマジで少なかったの!」
さやかは睡魔に対抗するべく、疲れに満ちた足をバタバタと動かしたかった。しかし出来た動きはもぞもぞと形容するほかない緩慢さだった。
「あ、あはは。まあ最近のあれこれを考えるとね……」
「あー……あれ、さっき先生からまた話があって、何とかなりそうなの。」
「へー?どういうことなの?」
さやかの治癒関連の事情は、A組の彼女たちが今強く関心を向ける事柄だった。
おのずとさやかの周りに集合しだす。
「詳しいことは私もよく分かんないんだけど、法律の解釈をイイ感じに適用して、私に無理矢理迫ったら殺人罪!みたいにするんだって。」
「え!?な、なにそれ!?」
物騒な単語に、集まった顔が一斉にぎょっとしたものになる。
「えーっと、ほら。私の「ソウルジェム」関係で、個性を無理に使ったら命の危険があるかもって話をしたでしょ?」
「ああ、朝のね。ホントビックリしたよあの話。」
「そうそれ。だから、「個性を無理やり使わせて間接的に殺すつもりだったな!?」っていうことにするつもりらしいよ。」
「そ、そんなことが可能なのでしょうか?法律解釈の範疇を超えている気がするのですが……」
八百万は納得できないという表情だった。
法律に詳しそうな彼女の不穏な発言にさやかは不安に襲われるが、それを振り払うように言葉を続ける。
「偉い人たちが言っているんだからそうなんじゃない?はぁ……これで色々落ち着いてくれたらいいんだけどなぁ。」
「さすがにそこまで言われれば強引な人は減ると思う、かな?」
「まあ、多分……?」
煮え切らない態度を見せるA組女子たち。
また面白くなさそうな話になりそうだという予感をさやかは感じ取った。
「……うん!みんな、私から言い出したかもしれないけどこの話はやっぱりナシ!女子会らしい話をしようよみんな!」
「あ、うん!そうだね、そうしよう!」
さやかの顔が曇っていたことを察知した他の女子たちも、どうやってこの話題を終わらせるかに意識を向けていたので、これ幸いと切り替えに乗る。
「女子会といえば~?」
「恋バナ!恋バナ一択~!」
芦戸が布団の上で飛び跳ねて宣言する。日中に真面目に訓練したのかと疑いたくなるエネルギッシュな動きだ。
「実は私、女子会は初めてなんですけど……恋の話をするものなのでしょうか?まだ結婚前ですのに!?」
「そうだよヤオモモ!こうやって恥ずかしくもキュンキュンする体験をみんなで深掘ってくんだよ!!!」
他の女子たちのテンションも上がり、最初の生贄が探られ始める。
しかしそれは、探り合いと呼べるような状態にはならなかった。ここは女子会を渇望していたさやかが適任だろうと皆がうすうす感じていた。
「トップバッターはさやかちゃん!恋愛経験はいかほどでしょうか!?」
葉隠の袖先がさやかに向けられる。さやかはその先にマイクがあることを想像で補うのに数秒かかった。
「え?わ、私?」
「言い出しっぺの法則!あれだけ女子会を渇望していたんだから、責任とってよね!」
「責任って……もー……」
とはいいつつも、明確に拒否の姿勢は見せないさやか。
その受容の態度を彼女たちは目ざとく感じ取り、期待を込めてさやかににじり寄る。
「おっなになに?なんかまんざらでもなくない?」
「いやまあ、その……」
一斉にごくりと唾をのむ音が響いた。
もう吹っ切れた過去のこととはいえ、話すことに気恥ずかしさはある。しかし、あれだけ女子会女子会と騒いでおきながら拒否することへの抵抗感の方が大きかった。
「中学二年の頃に、ちょっとだけ……」
「きゃああああ!!!ピュアピュアな恋だ!すごーい!」
黄色い声につられて、彼女たちの目は一気に見開かれる。
「あばば、ちょ、ちょっと待って。」
興奮した芦戸と葉隠に肩を揺さぶられるさやか。幸いといえるかは微妙だが、黄色い歓声も相まって眠気は吹っ飛んだ。
寝転がりながらも話すさやかに、今やA組女子の視線の全てが注がれている。
「い、今も続いてんの?」
「続いてないよ。っていうか、そもそも付き合ってすらなかった。」
「え?……つまり、片思い!?」
「ま、まあうん。そんな感じ。」
「そっかー!うわあ残念!その男子とは今どんな感じ!?」
「ほとんど連絡とってない。別の高校行ったし。」
「みんな、すこし落ち着きましょう。あんまり無遠慮に聞くのも良くないわ。」
「まあ、このくらいだったらいいよ梅雨ちゃん。もう正直吹っ切れてるし。言い出したの半分私だもんね。」
「意識したきっかけは?どういう関係だったの?告白はちゃんとしたの!?」
「うわあ、芦戸ちゃんすっごく遠慮がない。」
「わ、分かったよ。えーっと……」
元々自分から情報を開示するつもりはなかったが、この様子では何もかも根掘り葉掘り聞かれてしまうだろうと判断し、自分から一通り話すことを決意した。腕の怪我の話をすると治癒関係で話がややこしくなるので、それを抜くことを意識しつつだが。
「まあ、意識したきっかけはあんまり覚えてない。顔が好みだったかなあ。でも今になってみるとなんで好きだったんだろって思ってる。優しい人だったとは思うけどね。もともと幼馴染で、同い年だった。まあ中学二年三年で別のクラスだったけど。告白は……その、してない。」
「やっぱり、勇気が出なかったから?」
「それもあるんだけど……その、私が色々モタモタしてたら別の女子と付き合いだして。」
「えっ?つまり恋敵!?」
予想していたよりもドラマチックな展開に女子たちは色めき立つ。
芦戸や葉隠は話に食い入るばかりだった。
「てか普通にキツイ展開じゃん。もたもたしてたら先を越されたってことでしょ。すごいな、現実でこんなことあるんだ……」
「……メンタル大丈夫だった?私だったらちょっと落ち込んじゃうよ。」
「実際……まあ、その。ちょっとヤバかった。その子とは仲良くしたかったんだよ。でも、敵になっちゃって……」
「うわ、めちゃくちゃ生々しい。知ってる人とそんな関係になるなんてめっちゃキツイ。」
「ていうか、仲良くしたかったって……もしかしてもともと友達?」
「その子も私の幼馴染。」
「な、なんだってぇええええ!?!?」
男子の部屋にも響きそうな声が響く。
「さやかちゃん!これは映画になるよ!雄英にお金出させて作らせよう!」
「友情と恋愛のはざまで揺れ動く人間ドラマ!大ヒット大傑作間違いなし!」
「すごい話ね。さやかちゃん、大変な経験をしていたのね。本当にすごいわ。」
「マジでこんな話あるんやなぁ……」
「わ、私。さきほどから美樹さんのお話に胸が苦しくなってしまって……!」
「そ、そこまで反応しなくても……」
「いーや!これでキュンキュンしないなんて女の子じゃない! いや、キュンキュンというより、胸が締め付けられる感じ!」
当のさやかは、想定の倍の興奮に直面し逆に冷静になってしまっている。芦戸などは胸を押さえてゴロゴロと転がりだし、敷布団の並びをグチャグチャにしていた。
「……実際その子と直接喧嘩はしなかったんだけど、やっぱり壁が出来ちゃって。ほとんど話さなくなっちゃったんだ。アレは確かにキツかったなあ……。その子は何も悪いことしてないのに、なんかこう、暗い思いだけが募って……」
「うわ……うわぁ……」
「話聞いてるとこっちがキツくなってくる……。生々しさがフィクションと段違い。現実なのが……」
「結局私、最後まで勇気が出なくて、その二人に対してなんにもできなかった。その子との壁は今もあんまり取り払えてないって言うか。」
「それで今に至る、かあ。オチが無いのもすごく現実っぽい……」
「あ、オチはあるよ。」
興奮が冷め、怪訝な表情が一斉に浮かぶ。
「え?そのまま疎遠になって終わりじゃないの?」
「中学の三年の頃だったかな。その二人別れたんだって。」
「え?別れた?なんで?」
この時点で、彼女たちの中にその理由を正確に予測できたものはいなかった。
「その男の子、すごい音楽が好きで。四六時中バイオリンを弾いている人だったの。聞いた話だけど、デートの日もバイオリンの練習があるとかでドタキャンすることがあったんだって。」
「なにそれ?ひどくない!?」
「簡単に言うと、『私とバイオリン、どっちが大切なの!?』状態だったみたい。プロを目指してるくらいバイオリンにのめりこんでる人だったからね。それで熱が冷めて、結局別れたんだって。」
「サイテー!さやかちゃんの苦悩と葛藤の責任くらい取って真剣に恋をしろってーの!」
「向こうはさやかの悩みを認知してないんだろうね……でなきゃそんな不誠実な対応しないでしょ。」
「あはは……まあそうなんだろうね。実際私、なんにも言ってないもん。」
口々にその男子への批判が起きる。論理的に考えればこれは恭介と仁美の問題だが、さやかを通して聞いた彼女たちにとっては知ったこっちゃない話だった。
自分の経験が辛いものだという肯定を貰え、さやかの胸には温かいものが広がるのを感じた。
(……本当は魔法少女になって腕を治した責任も取ってほしいけど。)
恭介に対して言いたいことがさやかにも湧き起こるがぐっとこらえる。恋の話だけでこの反応。腕関係の話は今後も墓場まで持っていこうとひそかに決意した瞬間だった。
「まあ、そんな感じで私の話は終わり。まあその、どうだった?」
「いやぁすごかった。オチが賛否両論なドラマを一本見た気分。」
「私すっごいモヤモヤする!その男の子にガツンと一発言ってあげないと気が済まないよ。どれだけさやかちゃんが悩んだと思ってんだー!って。」
「そう?まあ向こうが恋に向き合ってないのもダメだけど、私がちゃんと言わなかったのも悪かったなあって思ってる。言わなきゃ分かんないって当たり前のことだし。」
「達観してるわね、さやかちゃん。本当に吹っ切れてるって感じだわ。すごいわ。」
「うん……さやかちゃん、ちゃんと立ち直れてて私も嬉しいよ。」
「え?」
しばらく聞いていなかった声がさやかの耳に届いた。まどかが目をこすりながらもさやかを見ていた。
「えっと、みんなの声がすごくて途中で目が覚めちゃった。盗み聞きしたみたいでゴメンね。」
「あー……あんな風に騒いでたらそりゃ起きるよね。起こしてゴメンね、まどかちゃん。」
目が覚めてしまったものは仕方ないと、まどかも話に加わるために姿勢を正す。
というのも、昔の経験を話すさやかを眺めたくなったからだ。
(昔は恭介君のことを話すとき、さやかちゃんはとってもつらそうにしてた。でも、今のさやかちゃんを見てると、大丈夫かなって安心できるなぁ。私だったらずっと引きずっちゃいそうだもん。私の見てないところで気まずいことになっちゃわないか心配だったけれど、これなら大丈夫そうだね。さやかちゃん、本当に良かった。)
まどかはさやかを傷つけずにこの話をできると安心し、会話に加わることにした。
「気にしないで。さやかちゃん、言ってよかったの?中学の時はあんなに大変だったのに。」
「え?あ、えーと……」
まどかの一言に、気づかわしげな視線が一斉にさやかに向けられる。
特に芦戸や葉隠はかなりの焦りを見せていた。
「も、もしかして、言いたくないこと聞いちゃった?」
「あ、ホントに気にしないで。もう過去のことだから。」
「……ごめん、ちょっと興奮しすぎたかも。この話、もうやめとく?」
「だーかーら、そんなに気にしないでってば。って言うか、責任感じてるならさあ……」
さやかが悪戯するような笑みを浮かべた。
「みんなの中学の恋の話を教えてよ!私は言ったんだから、みんなもとっとと暴露して!」
「な、なるほど。確かにここは責任をもってキュンキュン経験を言わないと。」
「じゃあ、この中で恋の経験ある人、挙手!!!」
芦戸が勢いよく全員に問いかけた。
しかし、誰も手を挙げない。10秒ほどしんとした空気となってしまった。
「……あれ?え?誰も手を挙げない?」
「三奈ちゃん。さっき言っていたでしょう。言いたくない経験をした人も、きっといるわ。」
「あー……確かに、そうかも。で、でも、一人くらいいても良くない!?」
「そういう三奈ちゃんはどうなの?」
芦戸はうーんとしばらく記憶を掘り返す。
だが、自分でも驚くほどに該当経験がなかった。
「うーん……言われてみると、友達と遊ぶことが殆どで恋とかはあんまり……な気がする。授業とか勉強の時間を外すと、ヒーロー科受けるために走り回ったり家で個性の練習ばっかりしてた記憶が……。あ、ダンスはすごい好きだったよ!」
「まあウチも……実際あんまり恋には興味なかったかな。音楽はめちゃくちゃやってた。あとはヒーロー科受験のためのアレコレが記憶にある。」
「私も、弟や妹の世話もあって恋のことは頭になかったわ。」
「私は事業を興していまして……」
「ヤオモモ、ちょっとそれはおかしいからいったん横において、ね?」
「はて?」
首をこてんとかしげる八百万をよそに話は進む。
「……もしかしてここにいるみんなって受験関係が忙しくて恋をする暇がなかった感じ?ヒーロー科女子って全員そうなの?」
「全員かな?あ、でも!二年の先輩に恋をしていた人がいるって噂を聞いたことがある!」
「……それだけ?つまりレアケースなんだ。」
「ちなみに高校に入ってからはどうなの?みんな。」
「無理無理、彼氏作る暇があったらヒーロー科の課題とかやんないとヤんバい。」
さやかとまどかは、それを全く嘘と疑わなかった。常に課題やトレーニングにせわしなく奔走する彼女たちをいつも見ていたからだ。
「っていうか、そもそも彼氏作る気が起きないよね。それよりもヒーローになるために頑張んないとって気持ちだよ。」
さやかとまどかの表情に尊敬が浮かぶ。自分たち俗物とは違う人々なのだと。
「み、みんなすごいね。なんでそこまで頑張れるの?」
「そりゃ、せっかく憧れの雄英ヒーロー科に入れたんだしね。夢に向かって頑張るのは当然でしょ。」
「……それもそうだけど、なんでそこまでヒーローになりたいの?」
さやかは重い体を起こして姿勢を正す。正座ではないが、ある程度ちゃんと話したいという意思表示だ。
(……みんなどう考えてるのかは、私もちょっとだけ想像がつく。でも、あんなことがあって、私たちはヒーローを見ても「すごい!かっこいい!」よりも「大変そうだなあ」って感じるようになっちゃった。
でも……初めて魔法少女を見たとき、ドキドキしたのも事実だもん。否定ばっかりするのもいけないよね。)
魔法少女を経験してしまった自分は、もう夢は見れないだろうという諦めがまどかとさやかにはあった。
ヒーローに黄色い声を出すこの世界の住人に対して、なんとなくかわいいものを見る親のような感覚が彼女たちにはあった。
「おっ、さやかにしては深い話を欲しがってるね。」
「私にしてはって何よ!」
「うーん……私も不思議だなあ。なんでみんなそんなに頑張ってヒーローになろうとするのかなって。」
「まどかちゃんも不思議なの?私は普通に頑張ってるだけのつもりなんやけど……」
「いやあ、だってさぁ……」
さやかは最近のあれやこれやの辟易とした経験を頭に浮かべた。
「必死にやってるのにヤジとか飛ばしてる人いるでしょ?なんかミスしたら「ヒーローなのにしっかりしろ!」みたいなの。私、ああいうの見てヒーロー絶対に無理だって思っちゃった。」
「ああー……ああいうのはよく問題になってるよね。」
「そりゃそうでしょ!それに、いつもヒーローはニコニコするべきとか、勝手に入ってくる野次馬のことも傷つけないようにしろとか、悪い奴にさえ無駄な傷は与えるなとか……注文多すぎじゃない?ああいうの見ていると、こっちまで苛々しちゃうよ。あれで絶対ヒーローやりたくないって思っちゃう、私。」
確かに、という空気が広がる。さやかとまどかはこの否定的な話をこの世界の住人がどう受け取るのか少し不安だったが、思っていたよりも同意が得られたと感じることができた。
「……確かに、そういうのは見てて嫌になるよ。でも、それでもみんなの為に頑張るヒーローってすごいって思ってる。嫌なことも多いけど、それを乗り越えてでもヒーローにはなりたい、って感じかな。私の場合はね。」
普段の軽い調子からは想像できないほど、芦戸の言葉には決意があった。
他のA組の彼女たちも、硬い意思を感じさせる説明を始める。
「ウチは……まあ、特別なことがあったってわけじゃないけどさ。父さん母さんに恥ずかしくないように、って思ってるよ。二人はミュージシャンで、ずっと私をミュージシャンにするようにいろいろしてくれてた。ウチも音楽は好きだからしばらくミュージシャンになるためにしばらく頑張っていたんだけど、色々あってヒーローの方がいいなって思ってさ。でも二人の今までの努力が無駄になるのが申し訳なくて……それでも、ウチがヒーローの方がやりたいって言ったら、応援してくれるって言ってくれたんだ。だから、その気持ちを無駄にはできない、かな。」
「……何その主人公みたいな動機。」
「そんなんじゃないって……もう。」
尊敬のまなざしに耐え切れず、耳郎がそっぽを向いて頬を掻く。
「人それぞれ理由があるんだと思うけど、私の場合はみんなみたいに立派な理由じゃないよ。ほら、前も言ったかもだけど、家が素寒貧で……その、お金的に、ね?」
「……あんまりその辺の感覚は分かんないけど、それでもそんなに頑張れるなんてすごいを通り越して不思議だよ。私にとっては。」
「そう?でも……うーん、家族のこととか考えると、恩返しに頑張ろうって気にならない?あと、自分がヒーローになって誰かを助けた時の笑顔とかを想像すると、がんばるぞ!って気になれたなぁ。」
「それで中学2年から遊ぶ時間ゼロで毎日8時間勉強プラス個性の練習とかしてたんでしょ?私じゃ絶対無理無理。」
「8時間は結構キツいでしょ。睡眠食事風呂トイレ登下校以外の時間を無駄なく当てたら、一日それくらい勉強の時間はギリギリ作れる……かな?通学時間によって結構差が出てきそうだね。」
「睡眠系の個性持ってた友達が一日10時間くらい授業外の時間を確保してたのを思い出したわ。ちょっとずるいって思っちゃったものね。」
「通学時間、無視はできませんわ。次の誕生日プレゼントには、お父様にお願いして送迎用の車両を低振動のものにしていただいていただく予定ですの。これで勉強時間が稼げますわ。」
「ず、ずっっっっっる!!!ヤオモモ私達もそれ乗せて!」
「ええ、もちろん!お父様に同じくお願いしてみますわ!」
「…………授業時間入れて8時間のつもりで言ったこと、私どのタイミングで言い出せばいい?」
さやかは自分が周りに比べ何もかもが小さく感じてしまっていた。
布団にもぐりだすさやかに慌てて彼女たちはリカバリを始める。
「え?……ご、ごめんねさやかちゃん!勝手に話進めて!」
「うう……人間力の差が恥ずかしい、何もしてない私が恥ずかしい……」
「……今からでも部活とか始めた方がいいのかな?個性のことバレちゃったし……」
まどかが零した言葉に、さやかは「そういえばそんな問題もあったな」と、週に一回程度しか感じない危機感を思い出した。
「そういえば二人とも部活とか入んないの?普通科の子は大体入ってるって聞くよ。」
「えーと。いろいろごめんって感じの話なんだけど……個性でちょっといろいろ隠してたことあるじゃん?それで私達、放課後集まって、その……いろいろやってたんだ。中学の時もそうだった。」
「私、手芸部と園芸部を掛け持ちしてたんだけど、途中からほとんど幽霊になっちゃってたなあ……」
「そういう感じかぁ。あ、でもさ。もうバレちゃったんだし、これからは堂々とやれるじゃん。」
「そうだね。コソコソする必要がなくなったのは嬉しいよ。」
「せっかく高校生なんだから、部活とか入ってみない?」
確かにアリだと、さやかとまどかは真面目に考える。
(……そういえば、魔法少女としてバリバリ戦っていた頃は「部活いいなぁ~」ってずっと感じてたなぁ。クラスのみんな部活の話するから仲間外れ感あったよ。よくクラスの皆に「さやかって部活やりそうな性格なのに帰宅部なの意外だよね~って言われてたっけ。)
(そんなこともあったね。私も手芸部には復帰しようかなってちょっと思ったけど、一年以上行かなかった人たちのところに顔を出すのがハードルを感じちゃって……)
(あ、そっか。グループがあるのもちょっと怖いよねえ。でも、せっかく高校生だしなぁー。)
「うーん……部活自体悪くないって思ってるけど、もう今の時期だとグループできてそうでちょっと抵抗あるなあ。」
「あー……それは確かにあるかもね。でも物は試しで入ってみたら?うまくなじめなかったら抜ければいいんだし。」
「確かに体力はつけたいなぁ。今日で、ほ、本当に痛感したよ……」
「……今日のこと思い出してたらまた体がだるくなってきた。」
「思ったんだけどさ。二人の個性って元の体力はどのくらい反映されるの?」
「え?……わかんない。まあ強くはなるんじゃない?」
「今のままでも、個性使ったら増強系くらい強くなるんだからさ。鍛えたらすごくヤバいことになるんじゃない!?」
「……言われてみれば、そうなのかな?でも、今でも個性関係で放課後に何も予定が入らないわけじゃないし……」
「じゃあじゃあ!二人とも!放課後が無理なら、私たちの朝練に参加しない!?」
「朝練?」
「うん!ヒーロー科の子って、大体7時にはもう学校に来てトレーニングしてるの。内容は個性によってバラバラだけど、みんなランニングはしてるよ。朝に10kmくらいね。」
「……距離長っ。」
「そう?ともかくさ、それに参加してみない?朝にみんなでランニングってすごく部活っぽいじゃん!そんでさ、気に入ったら放課後も一緒にやろうよ!」
「お、おー……?いいかも?体は鍛えといた方がお得だよね。」
美樹さやかは、いいかもと口にしつつも、その理由がフワフワしすぎることを自覚していた。
この時、その違和感はなんとなくのクエスチョンマークでしかさやかは表現できなかった。しかしその理由を言葉にして整理することにさやかはさほど時間がかからなかった。
身体を鍛えたい、という動機は嘘ではない。だがさやかに陸上部の入部届を書かせるほどの強さではないのだ。
美樹さやかは、何もしていない自分が嫌なだけだった。周囲は目標に向かってひた走っているのに、自分は何もしていない。努力が当然の集団の中で自分だけがだらけていることへの、小さな恐れだ。
部活に入っていないのは、確かに個性関係でのゴタゴタのせいではあった。しかし彼女たちのように一日一秒を無駄にすまいと切羽詰まったものではない。まどかやほむら、先輩の巴マミがそうしていないために、自分もなんとなく入る気が起きなかっただけ。
「そうだよね!私もさやかちゃんの個性のことは気になるし。まどかちゃんもどう!?」
「え、私!?えーっと……せっかくだし、入れてもらおうかな?」
「よっしゃあ!二人の可愛い個性をA組で独り占めだよー!」
「そ、そんなに喜ばなくても……まあ見せるだけならいいけどさ。」
「あ、それならほむらちゃんも誘おうかな。体を鍛えるの、興味ないわけじゃないみたいだから。」
「いいねいいね!あの子最近忙しいって言って全然捕まんないんだもん!コミュ力をモリモリ鍛えさせちゃうよ!」
この集団に付いて行けるのかという恐怖はありつつも。
A組女子たちにつられる形で朝練に参加決定したことに対し、美樹さやかはほんのりとした劣等感を伴う安心を感じていた。
◇
この林間合宿に関する情報は、雄英高校のみならず警察、ヒーロー公安委員会までもが協力して情報を秘匿して行っている。
だがその努力の結果は空しいものだった。居てはならない者達が夜の森に潜み蠢いていた。
「死柄木、俺達はいつから土木業者になったんだ?」
「くどくどうるさい。俺もやってんだから黙って手伝え。」
死柄木、荼毘と呼ばれる男、そのほか数人の悪意を持った者達。
「……眠いのです。弔君、もう帰っていいですか?」
「お前は気配察知が上手いから見張りに一番向いてる。我慢しろ。」
「むー……早くチウチウしたいのです。」
「明日になればいくらでもできるさ。」
彼らは億劫そうに死柄木の指示に従っていた。見張りを始めとした雑用。我慢など人生の信条から抜いてしまった彼らにとって、爆発するのは時間の問題にすら思える。
「……OKだ。荼毘、用意しろ。」
「順番考えてよ、今度からお前は雑用係になってくれるのか?例えばお茶くみ。」
「なる訳ねえだろ。いいからよこせ。」
「ったく、こんな作業するなんて聞いてねえっての。」
死柄木は個性の『崩壊』を使って、地面に穴をあける。彼が着けているヘッドライトでも底が見えないほどには深い穴だ。
そこに、荼毘から渡されたものを投げ入れた。直径約1mほどの金属製の箱だ。向きがあるのか、回転しないよう慎重に穴に落としていた。
「ふぅ、終わったな。これで最後だ。あとは適当に塞いどけ。」
「無理よ。結構大きいじゃない、この穴。黒霧さんに頼んで、土でも運んでもらったら?」
「そんな都合よく用意してるとは思えねえな。」
「……待て!俺に名案があるぜ!」
白黒模様のタイツを着た、
「なんだ?」
「俺の個性『二倍』で生み出した分身は、消滅すると泥のようなものが少し残る。おいおい、まさかお前ら、俺にそんなひでえことを!?そう、すなわち俺の個性は泥を生み出せる個性と見なせる!つまり俺が個性を使いまくればこの穴を埋めることができる!俺を生き埋めにするつもりか!?最低だな!」
「……一体の分身から出る泥ってそんな多かったか?雀の涙じゃねえの。」
「物は試し、やってみようぜ死柄木!こんなブラック労働ごめんだ、転職、いや転連合希望するね。うおおおお個性の限界に挑戦だ!」
賛成なのか反対なのか分からないことを口走りながら、トゥワイスは個性を使って分身を生み出し始める。そして投身自殺でもするかのように延々と穴に入りだす。
その傍ら、死柄木と呼ばれた男はこの場にいる全員に語りだす。
「まあ、想定外の雑務が出たことは詫びる。まさか佐倉杏子が乗ってこないとは思わなかった。」
「その戦力分の埋め合わせがこの退屈な作業か。……いや、ステインの裏での途方もない努力を鑑みれば、俺達もこの程度は耐えるべき、か。ヒーローの欺瞞を世に知らしめるために。」
「しょうがないわねえ。まあ話を聞く限り無理筋な説得じゃなかったってのは認めるけど、それでもアンタの埋め合わせをさせられるのは釈然としないわ。」
「ならさあ。このプランが上手くいく保証はあるわけ?正直信用が無いんだけどなあ?」
「いくさ。今回のプランは
「……はあ、分かったよもう。従えばいいんでしょ従えば。」
ガスマスクをつける中学生程度の
「確かにお前らが危惧していた通り、佐倉杏子を迎えた時と比べて、俺達の社会的影響力に多少不安が残るのは分かる。だが、俺も色々考えたのさ。どうやったらこの世間のヘラヘラしている連中に冷や水を浴びせかけて、ヒーロー社会に失望させられるか。USJの頃の俺とは断じて違う。」
「……お前らの一大アジトの蛇腔が爆破された頃か。確かにお前は変わったよ。クソマセガキからまともな
「余計な形容詞を付けるな、荼毘。いちいち俺を苛つかせるな。……ともかく、この作戦は手札を削られた俺たちが、最大打撃を最大効率で連中に与えられるもんだ。」
「そこには一応同意するわ。内容は正直地味だけど。爆弾でもないし。」
「いちいち茶々を入れるな。そこよりもプッシーキャッツがどんな評判になるか楽しみにしてろ。決行は明日。ヒーローというものが如何に脆く、夢のねえもんかを思い知らせる。」
死柄木の目にある憎悪は、USJの頃と変わらずぐつぐつとしている。しかし、明らかに研ぎ澄まされた。
死柄木は思い出していた。USJからここに至る過程を。だんだんと自分たちの持つリソースが削られ、追い詰められてきた過程を。
(……俺は、先生に守られていた。先生なら安泰だと。先生の言うことに従っていれば、嫌いなもんは全部壊せるようになるって。だけど、俺が居るところは安心できるところじゃなかった。ヒーローの卵連中が雄英で守られているのとは違う。何の予兆もなしに突然襲撃され、手間暇かけて用意した手駒を奪われる。先生だって、最強でも無敵じゃねえんだ。
そんなことも分からなかったUSJの時の甘すぎる俺自身をぶっ壊したい気分だぜ。俺が、成長する必要があったんだ。俺達の居場所が壊される前に、俺が成長しなきゃ、俺達は終わる。
そして、鳥かごの中でヌクヌク育ってやがる連中に恐怖を教え込んでやるのさ。平穏ってもんが、いつ壊されてもおかしくねえ恐怖をな……!)
そこまで考え、憎悪をしっかりと胸に刻み込む。日の下で恐れを知らずに生きているであろう者達の笑顔を思い浮かべ、それが恐怖に変わり、
そこで死柄木はトゥワイスの声で意識を現実に引き戻されることになる。
「……おい死柄木!何とか終わったぜ!ぱっと見は分かんねえようになった。」
「結局泥は足りたのか?」
「全然。しょうがねえから板敷いてその上に泥被せていい感じにした。どうだ?プロの犯罪行為だろ?速攻で警察にバレて終わりだな!」
「明日までにバレなきゃいい。よし、お前ら帰るぞ。」
黒霧の靄が出現し、彼らはそこに続々と入り込む。
最後の一人が入ったことを確認し、死柄木はその場を後にする。
(……佐倉杏子。俺は諦めねえぞ。ヒーロー、この社会が嫌いなのは間違いねえんだ。この襲撃で、俺達の側に付くメリットを見せつければ乗って来るはずだ。アイツは、俺たちにまさに必要な駒。俺は諦めねえぞ。)
後に遺された金属製の箱が、時限爆弾のように合宿所に居る者達を壊そうと待っている。
~~ おまけ ~~
多分合宿のどこかでなされるであろう会話。
さやかさん、まどかさん。A組男子達は彼氏としてアリですか?
・青山優雅
「しょっぱなから性格が尖りすぎてる人だね……。悪い人じゃないんだろうけれど……」
「うーん……ちゃんとお話ししてみないと何考えてるか分からないよ。」
「センスもすごい独特だよね、あの人。彼氏以前に友達になることすら壁を感じるよ……。」
・飯田天哉
「ザ・真面目。委員長の化身。私にとっては自分から絶対近付かない人種。彼氏どころか友達になるところからハードルって感じ。」
「規律や規則をすごい大切にする人だよね。ああいう人がいるから雰囲気がだらけなくてすむって私は思うよ。」
「いやー、保須とか治癒関係のアレコレで話する機会がないと会話する機会が殆ど生まれなかっただろうなあ。」
「でも、飯田君のお兄さんが治って元気になった飯田君はすごく元気そうで、胸が温かくなったよね。」
「……そうだね。こう言っちゃ失礼だけど、友達の為に必死に動いたり、涙を流してるところを見てやっとひとりの人間として親近感が湧いたって感じなんだ。」
・砂藤力道・尾白猿夫・瀬呂範太
「……とりあえずお話ししてみようって感じの人たち?他の男子達に比べて、一緒に居てエネルギーを使わなくて済みそうだなあ。」
「えっと、この3人は性格の癖が強くないって言う感じかな?親しみやすいよね。」
「あ、まどか。尾白君にはそれ言わないであげて。『普通』って言われて落ち込んでいるのを見たことがあるよ。」
「そうなの?私は尾白君の個性は全然目立つと思うけれど……わかった。尾白君には言わないように気を付けるね。」
「砂藤君はお菓子作り好きだし、そこから仲良くなれそうだって思えるよね。でも顔はすごいゴツゴツしてて、彼氏としてだと悪いけどそこまで好みじゃないかなあ。」
「瀬呂君は一緒に居て楽しくなれる人、かな。クラスにいると雰囲気を明るくしてる感じだと思う。」
「……話してて思ったんだけどさ。砂藤君の個性って緑谷君とめっちゃ被ってない?」
「さやかちゃん、それは砂藤君に言わないであげてね……」
・上鳴電気
「ザ・チャラ男。みんなに言ってないだけでもう裏で彼女いたりするんじゃないの?でも話した感じ嫌いではない、かな。話しやすいと感じているよ。」
「そうかな……?私は『チャラい』いうのはマイナスじゃないよ。」
「ファッションやメイク系の話も結構通じるのはプラス評価。」
・切島鋭児郎
「ザ・熱い男。女子とは分かり合えないロマンを持つ存在。」
「さやかちゃん、『ザ』ってつけるの多いね。」
「みんな性格が濃いんだもん。でもノリは良いし、傍にいると楽しいのは他の人と同じだよ。」
「でも、ああいう真っすぐさみたいなのは良いなあ、って思うよ。」
「あ、そうだ。あの爆豪君と仲良くできてるのはマジで尊敬しているよ。私にはとても真似できないよ……」
・口田甲司
「動物趣味がホント可愛い!一番仲良くなれそう!モフモフ最高!」
「お話しするときにジェスチャーを使うのが独特だけど、一番話が合いそうかも!」
「雄英、動物持ってくるの許可してくれないかなあ!可愛いは全てに優先する!」
「口田君が一緒に居れば、かわいい兎や猫を簡単に撫でられるから本当に助かるもんね!」
・障子目蔵
「無口でよく分かんない。ちょっと話した感じだと結構落ち着いた性格だと思う。周りに真面目さを求めない寡黙な飯田君みたいな感じ?とりあえずもっとお話ししてほしいなあ。」
「なんていえばいいんだろう?……何にも流されずに真面目に努力してる人。仙人みたいな雰囲気があるようね。」
「あー!仙人!それだ!そういう感じ!そして絶対恋愛に興味なさそう!」
「あはは……そんな感じはするかも。」
・常闇踏陰
「青山君と性格の方向性がすごい似てる人。こっちも何考えてるのか分かりづらい。悪い人じゃないんだろうけど、って感じ。」
「常闇君の個性だと、日の光が苦手そうに見えるんだけれど、見てるとそう言うわけでもないみたいなんだよね。」
「個性のダークシャドウの方はそうらしいよ。暗い所だと強くなるんだって。」
「そうなんだ!……どっちかって言うと、ダークシャドウの方とお友達になることに興味があるかも?」
「うわ、本人が聞いたら落ち込みそ……」
・轟焦凍
「イケメン、頭いい、運動できる、性格優しい。モテる要素勢ぞろい!って感じだけど……だけど……!」
「さやかちゃん?」
「なんか恭介と雰囲気が似てる気がする!恭介の影がチラついて恋愛対象として見れない!!!」
「確かに、言われてみれば顔が似ているかも……?」
「性格も絶対似てるって!女の勘!アレは絶対女の子の心の機微に疎い顔だよ!」
「そこまで決めつけなくても良いんじゃないかな……」
・爆豪勝己
「わかり切ってるだろうけれど論外。死ね死ね言う人と彼氏になれる女子っているの……?」
「あの人の怒りのエネルギー、どこから出て来るんだろうね。……あ、でもヤンキーみたいな人に好かれる人っているって聞くし、案外ああいう強い感じに惹かれる女の子っているのかも……?」
「それは『悪い男に引っかかった』っていうんだよまどか!あの暴力性が彼女に向かない保証なんて、どこにも無いんだから!」
「あ、あはは。でも、爆豪君とすら仲良くできるんだから、A組の皆って本当にすごいよね。」
「それはマジでそうだと思う。人間的に出来た人ばかりで逆に肩身の狭さを感じちゃう……」
・緑谷出久
「彼氏としてもアリだと思う。優しいし。恭介とは顔が似てるけど、なんか性格の方向性が違う感じがするから気にならない。ヒーローの話ばっかりするのはちょっと気になるけれど、他の人たちもみんな性格濃いから私は目を瞑る。ただ……」
「私はとってもいい人だって思うけれど、さやかちゃんは気になるの?」
「いやなんか、ステインとの時とか、体育祭の時とか、修羅場で凄い行動するんだよね、緑谷君。」
「……そうかな?大事な場面だから、誰だって必死になると思うけれど……」
「体育祭の時のアレ、私結構怖かったよ?」
「そう?私は誰かの為に頑張れる人なんだなって、すごいなあって思ったよ。詳しいことは分からないけれど、轟君が大変そうだから頑張ってあげたんだな、って。」
「まどか……なんか緑谷君のこと理解していない?」
・峰田実
「峰田が彼氏ぃ?世界が書き変わって個性がこの世から消えるくらいあり得ないよ。」
「その、ああいう人は、私はちょっと……」
(峰田君、まどかに近付こうとするとなぜかバランス崩したり痛がったりするんだよね。)
(…………………………ほむらちゃん、守ってくれるのは嬉しいけどちょっとやりすぎじゃないかなあ?)
(あ、でもここにほむら居ないじゃん。その結果があの銭湯の覗きじゃない?)
(……やっぱりほむらちゃんは私たちにとって大事な存在だったんだね。)
・死柄木
ほむら達のあれやこれやのせいで危機感が原作比強い。脳無も手元にあまり残ってないし。