六美の居場所がわかったということで早速救出に向かう僕たちなのだが
「おいおい、こんなんで本当に人を運べるのか?どうみてもただのドローンにしか見えないんだが・・・・・・」
移動手段はドローンによる宙吊りとか何とも馬鹿げてる。ドローンの重量制限は10kgかそこらだった気がするぞ。
「あたしが開発した特別性だ。簡単に壊れることはないから心配するな」
「九裂の言ってることもわかるよ、俺は今でも怖いから」
「いい加減慣れろよな。風が気持ちいいから九裂もきっと好きになると思うぜ」
「・・・・・・一応聞くが落ちないよな?」
「それはお前次第だ。死にたくなければ絶対に落ちるんじゃねぇぞ」
ドローンで人を運ぶだけでも異常なのに落ちたら死とかふざけてんのか?僕も死因がドローンからの落下死なんて恥以外の何でもないだろ。
「今回だけ特別に床付きで連れてってやるからさっさと乗れ」
「床があるとかの問題じゃないんだよ・・・・・・」
「時間がないんだ、早くしな。九裂もいい加減、腹括ったらどうだい」
「わかったよ!乗ればいいんだろ」
「タ、タス・・・・・・タスケテ」
「あちゃー、やっぱいきなりは無理だったか。大丈夫かー」
「大丈夫なわけないだろ・・・・・・」
やっぱこの家族に常識なんか通じないわ。安全装置もなしに高速道路の上を飛行するドローンとか訳わかんねぇよ。嫌五に至ってはドローンに直接乗ってるし、あれでどうやって飛んでるんだ・・・
「二刃さん、手・・・・・・落ちたくない」
「これから花輪と再戦するっていうのに情けない子だねぇ」
「夜桜と一緒にするな。普通の人間はこの高さから落ちたら確実に死ぬんだぞ。死地に飛び込みたがる奴がどこにいるってんだよ」
「文句なら後で聞いてやる。そろそろ向こうの回線に入る、準備しろ」
屋敷にいる時から感じていたが、四怨さんは機会周りに強いようだ。今回の花輪の輸送ルートの解析もメインでやっていたし、このドローンを制御しているのも彼女だ。ハッキング自体は仕事をしていた頃は何度かやったが、協力者に手伝ってもらうことがほとんどでパソコンからアクセスしていたのに対し、四怨さんはスマホ一つでそれをやっている。
「よくも私の家族にて出したね」
「姉ちゃん、近い近い。顔くっついてる」
もしかして二刃さんはビデオ通話をしたことがないのか?そんなに顔を近くにしたら逆に見えないだろうに。
『二刃姉ちゃん、四怨姉ちゃん!?』
『よくこの端末を特定できたな』
「いくらあたし達でもフラワー便全輸送網の解析には時間がかかる。だが運よく六美が車両輸送されてる情報が入ってね。おかげで移動距離や車種など一気に絞れたよ」
太陽が助けた少女がいなければこんなに早く特定することはできなかった。目的よりも情を優先したことについては問題があるが結果オーライってやつか。
『花輪社長!我々以外の車が消えました・・・!』
「四怨が信号やカーナビにアクセスして一般車を排除したのさ。理由は明快だろう?心おきなくあんた達をぶちのめす為さ」
「護衛は4隊か、僕はここで待ってるから夜桜の力を見せてくれ!」
「1人だけサボろうったってそうはいかないよ。九裂は私と一緒に来てもらう」
「護衛は私達がやる。1人1隊片付けるぞー」
「ええ⁉︎たった1人で⁉︎や、やだムリ怖い・・・‼︎」
辛三さんはガタイがいいのにすごいビビりなのが玉に瑕。外でもゴミ箱に入ってるのもなんとも言えない。僕としてはこの状況における仲間意識みたいなものを感じていいけど。
「今ので仕事前の泣き言5千回突破だ、おめでとう」
そんなの数えてやるなよ・・・二刃さんが僕に向かって手を伸ばしているが嫌な予感しかない。
「手、繋いで欲しいんだろ?」
「違う、それはさっきまでの話だ。どうせここから飛び降りるつもりなんだろ。そんなの真っ平御免だ」
「つべこべ言わない!さっさと行くよ」
二刃さんに無理やり手を掴まれる。純粋な力勝負で勝てるはずもない僕はそのまま体勢を崩してしまった。
「あ、ちょ、手を離せ」
「今離したら本当に死んじまうけどいいのかい?」
「絶対離さないでくれ!死にたくなぁい‼︎」
『全小隊、「夜桜」が来たぞ。心してかかれ』
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
愛用のゴミ箱戦車ごと落とされた辛三はトラックの荷台の天井を突き破り侵入した。当然だが周りにはフラワー便の構成員が待ち構えており皆が武器を構え辛三を狙っていた。
「夜桜家次男確認、排除する」
ここで彼らはすぐにでも辛三に攻撃を仕掛けるべきだったのだ。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
自分の置かれた状況を理解した辛三はテンパりながらゴミ箱戦車をものすごい勢いで操作している。側から見ればパニックに陥りヤケクソになっているようにしか見えないが
ジャコッ・・・
ゴミ箱戦車から出てきたのはハンマー、ドリル、スタンガンに火炎放射器などなどありとあらゆる武器が展開された。
「「「「「「え」」」」」」
突然の殺意に溢れた武器の展開に構成員たちは驚きを隠すことができず
ボォン! バギッ ドッ!
「「「「「「ぎゃああああああ」」」」」」
そのまま為すすべもなく全滅したのだった。攻撃をした張本人はというと
「ああああああああ・・・・・・あ?」
自分がテンパっている間に壊滅していたことに疑問を持っていたのだった。
「第四小隊やられました!」
「動揺するな。隊列を維持し・・・!?」
部下からの報告に対し冷静に対処しようと指示を出そうとした直後
「何だ⁉︎傾いて・・・」
事故や余程の悪路でもない限り車体が傾くなど普通は起こらない。原因は左後輪を夜桜家四男、七悪が持ち上げていたのだ。
「よっこいしょ」
そのまま車体を横にされ無力化されることになった。
「争わないのが一番!」
「小隊が2つも・・・⁉︎おい第2隊、応答しろ!」
立て続けに二つの小隊がやられたことに焦り、すぐさま第2隊の安否を確認するが・・・
『やめろ、俺は隊長だァ!』
「お前本物だろ!」
「お前こそ!」
「こちら第2隊、誰が標的は判別できず大混乱だ!!」
そこは嫌五が嫌五を殴り合う、地獄絵図のような状況だった。変装が得意な嫌五にとって密集地帯は得意分野であると言えるだろう。
「くそっ、まとめて吹き飛ばしてやる・・・」
「おいバカやめろ!」
ボォォン!
我慢の限界がきた構成員によってトラックごと全員を巻き込んだ攻撃が行われたが、その結果は虚しく
「いえーい」
と嫌五の陽気な声がしたのだった。
『エンジンを停止します』
「クソッ、走行ナビが勝手に・・・」
「全小隊引きはがした。これで残るは本丸だ」
花輪と六美が乗っている本隊。二刃は静かに花輪を睨みつけている。対する花輪は非常に落ち着いておりこん状況が当たり前であるかのような態度だ。
「二刃お姉ちゃん!」
「やれ」
花輪に指示され、彼の部下が二刃に攻撃を仕掛ける。が、それよりも早く二刃がトラックの外に投げ飛ばした。そのまま花輪に向かおうとしたが
(はやい・・・)
それよりも速く花輪が接近し攻撃を仕掛けた。けれど花輪の攻撃は二刃に届くことはなかった。
「なっ・・・⁉︎」
「探し物は、これだろ?ハサミなんてまた変わった得物を使うんだな」
「悪くない動きだ。ここからは九裂、あんたがやりな」
「こいつは驚いたな。一体いつからいたんだ?」
「さぁな。そこらへんに咲いてるタンポポだからと気にも止めなかっただけじゃないのか」
「なるほど、少し評価を改める必要があるみたいだ。だが武器を取った程度では状況は変わらんぞ」
「そうでもないさ。相手の手札が一つなくなるだけで多少なりとも楽に戦えるだろう?」
「随分と自信があるみたいだが、この短時間で技術を少しでも向上させてきたのか試してやろう」
瞬間、花輪が目の前に迫って拳を腹目掛けて振るってきた。
「グッ・・・⁉︎」
間一髪でそれを防御することには成功したが大きくのけ反ってしまう。当然花輪がそれを見逃すはずもなく2撃、3撃と一方的に攻撃を続けてくる。
「どうした、まさか武器を取って終わりなのか。だとしたらお前は『夜桜』の名に泥を塗るだけの弱者のままだ」
・・・・・・・・・そうだな。兄弟は超人的な力を持ち、太陽みたいな家族に対する底なしの感情も持っていない僕は恥晒しもいいとこだろう。そもそも、追いつけるなんて今は思ってない。それでもただ一つだけ、自分の中に確かにあるそれを信じて・・・・・・
「ただの盗人がいきなりこんな世界に巻き込まれて、実力がないことなんて百も承知だよ。けど悪いな、僕は仕事に対しては成功率100%でやってきたんだ。依頼人の手前、こんなところで失態を犯すわけにはいかないんだよ」
花輪が振るった拳を左手で受け流して回避する。
「何っ!?」
その隙を見逃さず腹を一発殴り、そのまま横から足払いで体制を崩して床に組み伏せる。とはいえ、元の体格差が激しい上に一方的にやられた分消耗が大きい、長くは持たないだろう。
「ハァ、ハァ・・・これで昨日の借りは返したぞ。お前のことだから大したダメージになっていないだろうしこれ以上やったら間違いなく僕は負ける。だから一言だけ言って僕はリタイアさせてもらう。お前は朝野太陽という男に負ける」
花輪に完全勝利とまではいかないがそれでもやり返したことに体が満足したのか体の力が一気に抜ける感覚がした。当然、花輪がその隙を見逃してくれるはずもなく
「確かに一矢報われたがそれでもまだまだだな。とはいえこれ以上成長する前に仕留めさせてもらおう」
花輪の鋏が僕に襲いかかる。もう避ける気力もないな・・・・・・
「させないよ」
二刃さんが間に入って僕を守ってくれた。
「こんな役立たずよりも当主を守れよ・・・」
「あの子のことは太陽が必ずやってくれるから心配ないよ。とりあえず今は自分のことだけに集中しな」
「ハァ・・・・・・情けねぇな」
「そういうわけだ、凶一郎、太陽、あとは頼んだよ」
『了解』
『使えん男だな。いっそのこと死んでしまえ』
「凶一郎!後で覚えてな!」
「いいよ、結局今回は何も成果がなかったわけだしな・・・・・・・・・これは一回あいつに相談するか」
結局六美は太陽が花輪を討ち、助けた。どんどん太陽が強くなっていくのを感じるとともに、自分の無力感が際だっていくのを感じるな・・・
しばらく九裂はよわっちいです。そして、次回は新オリキャラを出す予定です。次はなるべくはやく投稿できるようにします・・・・・・