最凶家族の盗人   作:さかなヒロシ

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夜桜の命1

「フフフ、六美は可愛いな・・・ほーら次はお兄ちゃんとブランコで遊ぼう・・・」

 

「駄目だ、完全に灰になってる」

 

夜桜六美と朝野太陽の結婚が受け入れられない変態シスコン長男、凶一郎は灰になり四男、七悪に運ばれながら頭の中の夜桜六美と会話をしている。こんなのが最強なのか非常に疑わしいが先ほどの騒動で凶一郎の、夜桜の強さは身に沁みた。

 

「後であたしが現実叩き込んどくから放っときな。今日はもう遅いし日を改めよう。六美、太陽を送ってやんな」

 

「うん」

 

「朝野太陽が帰るなら僕もそろそろ帰るとするか」

 

「事務所は危険だから九裂はうちに住むといい。部屋も余ってるしね」

 

「いや、遠慮させてもらうよ。こんな豪邸じゃ落ち着いて寝られる気がしないし事務所とは別に寝食をするための場所はある、もちろん誰には知られてないから見つかる心配はない。何より・・・凶一郎(あれ)と同じ家で寝るとかちょっと無理」

 

「それもそうだね。気をつけて帰るんだよ」

 

「わかってるよ、それじゃあまた明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ピピピピッ ピピピピッ

 

「あ〜もう朝か。痛っ」

 

家に帰ってから疲れと痛みですぐにベッドに横になったのに全然疲れがとれなかった・・・怪我は昨日帰る前に七悪に見てもらい骨は折れていなかった。が、常人からすれば相当な威力で叩きつけられたせいで今も痛みが続いている。それを我慢して起き上がり居間に向かった。

 

「ふぁ〜」

 

「おはよう。六美を見習って起こしに来たけどその必要はなかったみたいだね」

 

「おはよ・・・う」

 

待て、僕は今誰に挨拶された?家の場所は誰にも知られてないはずだ。僕が今住んでいるのは誰も寄りつかない山奥の空き家だ。事務所からそこそこ離れているがそれ故に電波の届かないこの山に入ってしまえば足が着くこともない、はずだった。

 

「そんなに驚くことじゃないよ。四怨に指輪の位置を特定してもらっただけさね」

 

「だからってわざわざこんな山奥まで来なくても・・・」

 

「もちろんただ起こしに来ただけじゃないよ。九裂に夜桜のことを話さなきゃならないからね。ここなら人に聞かれる心配もないだろ?」

 

「そりゃそうだけど」

 

「九裂が夜桜(うち)のことをどれくらい知ってるか話してくれるかい」

 

「どれくらいって言われてもな・・・・・・依頼を受けた時に聞いたのは夜桜六美が唯一の常人で当主。長男の凶一郎が当主じゃないってことは考えられる可能性は2つ。常人なのを憂いて当主という役割を与えたか、常人であることが当主の条件であるか」

 

「その通り、夜桜は江戸の忍を起源とし、超人的な人材を輩出してきた。そしてどの代でも六美のような常人が生まれ、当主と呼ばれる。当主は超人的な力は持たない代わりに子どもは夜桜らしい超人として生まれる。つまり当主だけが夜桜の血筋を完全に受け継ぐことができる」

 

「つまり血を絶やさないためにみんなで夜桜六美を守ろうって話か」

 

「理解が早くて助かるよ」

 

「それこそ家から出さなければ安全じゃないのか?あの家なら命を狙われる心配はないだろ」

 

「そう簡単な話でもなくてね、いずれ六美は夜桜のトップとして裏社会に出なくちゃならない。その為に今は表社会での研鑽を積むために一般生活をする必要がある。だけどそれはあらゆる悪意にさらされる。常に死と隣り合わせの六美を守ることがあたしたちの使命というわけさ」

 

「なんか大変そうだな」

 

「何人ごとのように言ってるんだい。九裂もあたしたちと一緒に六美を守るんだよ」

 

「興味ない、夜桜六美を守るのは朝野太陽がやればそれで済む話だ。それにその夜桜の為っていうのが気に入らん。正直に言わせてもらうが俺はこの家の歯車になるつもりはないぞ」

 

「歯車とは言い得て妙だね。確かにあたしたち兄妹はそれが当たり前だったから気にもしなかったよ」

 

「『夜桜家』じゃなく『夜桜二刃』はどうしたいんだ?それを聞かせてくれ」

 

「・・・・・・あたしは六美には幸せになってほしい。だからあの子たちの義兄としてあたしと一緒に守ってくれるかい?」

 

「ま、それならいいかな。つっても僕は何をすればいいんだ?まさかいきなり敵対組織を潰せ、なんて言うつもりじゃないんだろ」

 

「まだ訓練も初めてないのにそんな危険なことさせられないよ。実はさっき凶一郎から連絡があってね、九裂の初任務はシンプルな内容だ。太陽と一緒に今日一日六美を暗殺者から守るだけでいい」

 

「どこがシンプルなんだよ。下手したら僕の方が先に死ぬぞ」

 

「そうならないように頑張んな」

 

「やっぱやめていい?」

 

「男が一度決めたことを簡単に取り消すんじゃないよ。あたしにかっこいいところを見せておくれ」

 

「そうは言ってもさー」

 

今まで盗みしかしてこなかった僕がどうやって守ればいいんだ。毒で暗殺されようものなら不可能に近いぞ。

 

「一つアドバイスをするなら、自分を信じすぎないことさね。世界一の自尊心が時に失敗を招くこともある」

 

「今まで失敗したことないんでね。昨日までは・・・」

 

「ほう、あたしと結婚したことは失敗だったと言いたいのかい?」

 

「誰もそんなこと言ってないだろ・・・それより時間だから学校行ってくる、じゃあな」

 

「待って」

 

「なんだ?」

 

「いってらっしゃい、九裂」

 

いってらっしゃい、か・・・・・・初めて言われたな。こういう時はなんて返すんだっけ。

 

「どうかしたのかい?」

 

「いや、家出る時に誰かが居たことないからどうすればいいかわかんなくて」

 

「そういうことか。普通に『行ってきます』って返すだけでいいんだよ」

 

「・・・・・・・・・行ってきます」




2話で原作1話分を投稿できるようにする予定です
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