最凶家族の盗人   作:さかなヒロシ

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ちょっと時間がかかっちゃた・・・なんかこういう感じにしたいってのが文章にできないんですよね
アンケートの結果、今まで通りの形態で投稿します


夜桜の命2

教室に入ると一人だけ明らかにおかしい奴がいた。当然僕だけでもクラスメイトもそいつに注目するわけで・・・

 

「ねえ、朝野くんどうしたんだろ・・・」

 

「さあ・・・」

 

僕の義妹である夜桜六美の夫、朝野太陽が機嫌が悪い時の犬みたいな唸り声を出しながら周囲に対して威嚇している。どうせみんな暗殺者の可能性があると考えてんだろうな・・・本当に暗殺者がいたらとっくに夜桜六美は死んでるだろうが。

 

「朝野ォ〜、チョコ食うか?」

 

いかにもムードメーカーな見た目のクラスメイトがチョコをあげに行ったぞ。

 

「ん、サンキュ」

 

朝野太陽はチョコを受け取ったようだがそれがクラスメイトには意外だったらしく大層驚いた顔をしている。

 

「!・・・どした?」

 

「え!?いや・・・なんか珍しいなって・・・」

 

「?」

 

「ほら、いつも声かけただけで冷や汗出たり気絶したりしてたから」

 

人と話すだけで気絶ってどれだけだよ・・・とはいえ僕は朝野太陽のことを何も知らないからあれが先天的なものか後天的なものかはわからないがスパイになるなら致命的じゃないのか?指摘されて気づいたのか途端に顔色が悪くなり震えている。

 

「保健室行く?」

 

「いや待て、今日確か先生休みで閉まって・・・」

 

「だ、大丈夫だ。嫁の為にも倒れるわけにはいかないっ・・・!!」

 

こいつバカじゃねぇの!?スパイ活動はおろか、結婚してること自体機密事項だぞ。

 

「朝野が壊れたあああ!!」

 

とはいえクラスメイトはそんなこと知るはずがないわけで朝野太陽がおかしなやつという認識になった。そして朝野太陽は限界を迎えたのか夜桜六美に連れられて教室を出て行った。僕も夜桜六美を守らなければならないため二人についていくことにした。もちろん他の生徒には見つからないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の後をついていくと教頭室に着いた。凶一郎(変態)の部屋ということで昨日の件を思い出すし正直入りたくない。しかし他の生徒が来ない場所もここしかないし仕方がないか。

 

「入るぞ」

 

「夕凪くん、来てくれたんだ」

 

「僕が来るのがそんなにおかしなことか?」

 

「うん、なんていうか、夕凪くんと私たちって同じクラスなのに壁があるなって感じてたから」

 

「そりゃ壁はあるだろ。僕たちはまともに会話したことすらないんだから」

 

「それでも来てくれたのはやっぱり二刃姉ちゃんが関係してる?今日の朝任務でもないのに早く家を出て行ったからもしかしたら夕凪くんの家に行ったんじゃないかって思ったんだけど」

 

「よくわかったな。朝野太陽とともに今日一日夜桜六美を守れだとさ」

 

「うちの事情に巻き込んでごめんね」

 

「気にすんな、元々裏の人間だったんだ。それに、これは僕が自分で決めたことで夜桜六美に謝られても困る。だからこれ以上は何も言うな。それよりも今はそこに寝転がってる朝野太陽をなんとかしろ」

 

「あはは・・・これでも前より良くなってるんだけどね」

 

「死ぬかと思った・・・」

 

「ねえ太陽、気づいてる?昨日から人と話せるようになってるの。普段だったら一対一でもきついのに、お兄ちゃん達と一緒でも平気だった」

 

朝野太陽も言われて気づいたのか少し驚いている。それも一瞬ですぐに思い詰めた表情になってしまった。

 

「でも・・・単にあの状況がそれどころじゃなかったつーか・・・さっきも元に戻っちゃったし・・・」

 

「さっきだって耐えれたしすごいよ!ここ数年じゃありえなかったもん!」

 

「ここ数年?ってことは朝野太陽のそれは生まれつきってことじゃないのか」

 

「うん・・・昔、ちょっとね」

 

「朝野太陽、お前に何があったのか聞かせろ。もし話せないって言うなら僕はお前を、そして夜桜六美を信用しない」

 

「夕凪くん⁉︎それはいくらなんでも・・・」

 

「少なくとも同じ任務をやるってんなら僕には知る権利があるはずだ。それに僕は信用できないやつに命を預けるなんてことは絶対にしない。それで夜桜六美の身に何かあっても責任は取らないからな」

 

「・・・わかった」

 

「太陽・・・本当にいいの?」

 

「それが六美を守るためになるなら・・・」

 

朝野太陽の家族が崖からの転落事故に遭ったこと、自分だけが生き残り他の家族はすでにこの世にいないこと、大事な人を作っても失う恐怖で人とうまく話せないことを聞いた。

 

「天涯孤独なのは一緒だな」

 

「夕凪くんも?」

 

「ああ、朝野太陽にだけ話させて僕は話さないのはフェアじゃないな。話すと少しかかるから詳しくはまた今度話す」

 

「・・・なあ六美、俺なんかで本当に良かったのか?」

 

過去の話をしてネガティブになったのか朝野太陽が突然夜桜六美に問いかけた。

 

「幼なじみのクセにお前の大変さにちっとも気付けなかったし、こうやって自分の世話すら満足にできない。この結婚だって俺がお前を守りたいっていう俺のワガママだ。お前の気持ちなんか全然考えないで俺は・・・」

 

「暗い」

 

「いだーっ⁉︎」

 

突如、夜桜六美が朝野太陽の額にチョップをかました。意外とすぐに手が出るタイプなのか・・・

 

「逆だよ。太陽が私を選んだんじゃなくて、私が太陽がいいの。こんな稼業がスパイとかいうめちゃくちゃな家に婿入りして、おまけにいつ死ぬかわからないような嫁もらっちゃって、そんな中でもまっ先に私のことを考えてくれる。そんな奴だって昔から知ってるからこそ、太陽だったらいいなってずっと思ってた。太陽、私と結婚してくれてありがとう」

 

「六美・・・」

 

「悪いがイチャイチャ(そういうのは)後にしてくれ」

 

夜桜六美が話をしてる最中、部屋を見渡した時に見つけた異物、おそらく爆弾を発見した。天井に張り付いてるし取り外すことはできないだろう。となるとできることは一つ。

 

「朝野太陽!上だ!」

 

朝野太陽も理解したのか、夜桜六美を庇う体制をとる。僕も自分の身を守るべく爆弾から大きく距離をとった。

 

 

 

 

 

 

 

ピー・・・ボッ・・・

 

「大丈夫か六美ッ・・・」

 

「うん・・・二人こそケガは・・・⁉︎」

 

「俺は平気だ」

 

「僕もなんとかな」

 

くっそ、降ってきた瓦礫が多すぎる・・・なんとか隙間ができたから助かったが外の様子も分からん。これじゃあ動けるまで時間がかかるぞ・・・まぁこれだけの威力の爆弾が複数あるなんてことは流石にないだろうからこれでとりあえずは依頼達成かな・・・・・・

 

「太陽!⁉︎」

 

・・・・・・ッ!? 何が起きた⁉︎クソッ、まだ終わってなかったのかよ!

 

 

 

 

 

 

 

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☀️

 

六美が俺の家に来ることも、俺の人見知りを知っていてここに来ることも、全部最初から仕組まれてたんだ。

 

━━信じられるのは自分だけだが、時にはその自分さえ・・・

 

制服のボタンを外し前を開けると、シャツに爆弾が付けられていた。そうか、俺自身が六美を殺す爆弾だったんだ・・・

 

残り5秒

 

夕凪は今動けない。出口が塞がれてるなら・・・・・・こっちしかない‼︎俺は勢いよく窓から飛び出した。少しでも六美から離れるんだ・・・!

 

「太陽‼︎?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー仕事が早く片付いて良かったな」

 

爆弾は爆発することなく体が宙に浮いてる⁉︎こんなことができるのは俺の知る限り一人しかいない。

 

たま屋の小型爆弾『線香花火』は極小傾聴で超高威力。だがそのコスパの良さゆえの弱点が二つある。標的の体温で充電するため起動に時間がかかるのと、糸一本で一時停止できる構造のシンプルさ。よく気づけた、上出来だ。夕凪(あの男)も一切の情報がない中では及第点といったところか。任務達成の褒美に一つ教えてやろう。自分さえも疑うべきこの世界で唯一信じられるものがある。それが俺達家族だ。俺はお前を殺したいがこの身に代えても決して死なせない。だからこそ心置きなく死ぬ気で努力しろ。俺たちの愛する六美のために」

 

「お兄ちゃん・・・!」

 

この人はめちゃくちゃなようで意外とスジが通ってるのかもしれない。

 

「じゃあ引き上げるけどついうっかり落として死んじゃってもワザとじゃないからな」

 

それ何の前フリ⁉︎

 

 

 

 

 

 

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「それぇ!・・・・・・ハァ、ハァ。重すぎだろ・・・・・・」

 

何とか力を振り絞り瓦礫の山から脱出を果たしたはいいものの、元からない体力では歩くこともままならない僕はその場に座り込んだ。

 

「脱出するのに随分と時間がかかったな」

 

夜桜長男、凶一郎が爆弾を糸でぶら下げながら話しかけてきた。

 

「うっせぇ、僕をあんたらと一緒にするな。それよりも、今回の一件は全てあんたが仕組んだことか?色々とタイミングが良すぎると思うんだが」

 

「気のせいだ」

 

「・・・・・・そういうことにしといてやる」

 

どうせ今の僕じゃ、何もできないしな。

 

「二刃とお前の間に何があったかは聞かん。だがあいつの夫をならお前も朝野太陽同様、死ぬ気で努力しろ」

 

「はいはい、わかってるよ」

 

「さて・・・」

 

「その爆弾はどうするの?」

 

先ほどから夜桜凶一郎が持っている爆弾、あれ何かの間違いで爆発するとかないよな?

 

「もちろん拾ったものは持ち主に返さないとな」

 

そう言って勢いよく爆弾を投擲した凶一郎、ここから遠く離れたビルに向かって投げてるしそこに暗殺者がいるんだろうな。こうして僕たちの初任務は一応達成された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おかえり」

 

「まだ居たのか。流石に帰ってると思ったぞ」

 

「初めて任務をやった感想を聞きたくてね。ご飯でも食べながら聞かせておくれ」

 

テーブルの上には二刃さんが作ったのか味噌汁や焼き魚、肉じゃがが並べられていた。僕は料理をしないからこの家にまともな食材はなかったはずなんだけどな・・・・・・

 

「・・・いただきます」

 

「たんとお食べ」

 

とりあえず肉じゃがを一口。

 

「・・・美味しい」

 

「お口に合ったなら良かったよ」

 

今まで食事は生きてくために必要なこととしか認識してこなかったからなんか新鮮だ。箸が進むのが自分でもわかる。

 

「食べるのは結構だが、本題を忘れちゃいけないよ」

 

今日の感想か・・・

 

「・・・・・・僕の中の常識が通用しなかった。暗殺は一発で仕留めることが普通だと思ってたから二個目の爆弾があることなんて想像すらしてなかった。物を盗む時はさ、同じターゲットに連続で仕掛けないようにするんだ。相手も警戒してくるからね。だからあの爆発を防いで終わりだと思ってた、だけど朝野太陽は次の爆弾に気付いて対処してみせた。その話を聞いた時、自分は無力なんだと思い知らされたような気がしてさ。世界一と呼ばれて自分はすごいやつだと思い込んでたんだろう、井のなかの蛙とはまさに僕のことだ」

 

スパイの世界において、僕は全くと言っていいほど無力な存在だと照明されただけだった・・・

 

「あたしからすれば予想通りの結果と言ったところかな」

 

「始めから期待してなかったってことか?」

 

「いいや、あくまで今回は盗みとスパイの違いを実感してもらいたかっただけさね。盗みでは考えられない常識、必要な技術や思考力、あげたらキリがないほどに。だからこれから頑張んな、九裂ならできるって信じてるから」

 

「・・・・・・まぁ、やるだけやってみるよ。依頼人が信じてくれる限り」

 

「いい顔になったね。さて、あたしの料理を食べて元気だしな」

 

二刃さんの料理を食べて少し気分が晴れた気がした。




二刃に料理作ってもらいたいな・・・
九裂の住んでる家は盗んだお金で山奥というのもあり偽名を使って格安で買ったもの。料理はできないので弁当や惣菜を買ったり、時には盗んだものを食べて生活している。
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