その間にお気に入りが200件超えてて自分でもえ?ってなりました。呼んでくれてる人がいるっていいですね。
爆弾事件から数日、二刃さんから呼び出しを受け夜桜屋敷を訪れた。
「今日は何の用で呼び出したんだ?」
「太陽がこの屋敷に住むからついでにあんたも一緒にどうだい?毎回あの家からここに来るのも面倒だろう」
「そうでもないさ。むしろ事務所からの距離よりも近くなったくらいだしいいかな」
それに朝野太陽と同じタイミングってのも何か裏を感じるんだよなぁ。まぁ、予想はできるが・・・・・・。
「どうせスパイの訓練とか言うんだろ?」
「何だい、気付いてたのか」
「バレバレだ、そもそも訓練だけなら別にここで住む必要はなくないか?」
そうだ、別に訓練をするだけなら今みたいに通ってでもできる。
「もちろん訓練の為ってだけじゃないよ。一緒に生活していく中で九裂がどんな人間か知りたいってのもある。そして、九裂にもあたしの家族のことを知ってもらいたい。六美以外の兄妹ときちんと話したこともないだろ?」
「と言ってもな・・・どんなこと話せばいいかわからん。僕は世間の流行とかこれっぽっちも興味ないしスパイ関連は無知に等しい、これでどうしろと?」
「そこはあたしが何とかする。まずは家族と関わろうとする姿勢が大事だよ」
「・・・・・・どうせ嫌だって言っても意味ないんだろ。、荷物を持ってくるから明日からでもいいか?」
「荷物なら辛三に頼んで持ってきてもらったから今日からだ」
「おい、最初から僕に拒否権なかったじゃないか。今の時間完全に無駄だったろ」
「あたしはそうは思わないよ。九裂のことを一つ知ることができた、それだけでも意味のある時間だった」
「僕はそうは思わないって話をしてんの。ハァ、もう行ってもいいか」
これ以上話すことはないと思い部屋から出た。
「やっぱり衣擦れの音すらしない、ここら辺は流石と言えるね」
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夜桜家での生活が始まった朝、食卓に着くと、焦げた姿になった朝野太陽を夜桜六美がハンカチで拭いていた。
「うちの目覚ましは10秒放置で爆発する。どんな時も迅速に起きれるようにね。よく目が覚めるだろう?」
「二度と覚めなくなるところだった・・・」
「太陽大丈夫?」
「高校生にもなって自分で起きれないとは情けないな」
「そういうあんたの部屋も爆発してたのに人のこと言えるのかい?」
「あぁ、あれはわざとだ。この屋敷について情報を集めようと思って部屋にいなかっただけだ。その証拠に僕は朝野太陽みたく焦げてない」
確かに僕の部屋も朝爆発した。しかし、訓練のためと何かしらの仕掛けがあることは予想できるし対策も容易だ。部屋にいなければ爆発に巻き込まれることはない。
「ここで暮らすなんて無茶だよ。心配だな・・・」
確かにこんな出鱈目な家に一般人の朝野太陽が暮らすなんて無謀もいいとこだ。
「葬儀の準備しとく〜?」
「嫌五?」
「ごめんなさい」
「夜桜嫌五、今の一瞬でよく着替えられるな。どうやってんだ?」
「それはないしょ〜」
「ま、そりゃそうか」
「六美はよくここで暮らせるな」
「ああ、この家のトラップは私には作動しないの」
「当主にも作動するトラップなんてあったら欠陥住宅もいいとこだぞ。少し考えればわかるだろ。朝野太陽、才能のないお前が夜桜六美を守るつもりなら頭を使え」
「そこまで強く言わなくても本人もわかってる、自分から強くなりたいってあたしに言ってきたんだ。トラップに関しては六美でなくとも作動しなくすることはできるよ、この家に認められればね」
「家に認められる?」
「この家のトラップはコンピュータが一括管理しててね。全てのトラップをクリアすると夜桜の一員としてインプットされ、トラップのON・OFFを制御できるようになる」
「全クリすると無敵ボーナスが出るゲームと同じだ。あたしらも怪我とかメンドーな時はOFFにするんだ。常人でも2年あればクリアできるし頑張ってみな」
2年もこんなとこで住んでたらクリアする前に死ぬだろ、何でも夜桜基準で考えんな。
ぐぎゅるる・・・
朝野太陽の同胞音がなったかと思えば突然腹を抑え出し蹲り出した
「・・・ッ⁉︎は、腹がっ・・・」
やっぱりか・・・
「油断禁物、食事も訓練のうちだよ。耐性をつけるために六美以外の食事には少量の毒が入ってる。せいぜい腹を下す程度だから安心していい」
太陽は脱兎の如く駆け出した
「トイレは食堂を出てすぐだよ。ただし・・・入室には錠のピッキングとパスコード解析が必要だ。ちなみにコードは毎分更新される」
ピッキングって・・・つい数日前まで一般人だった朝野太陽にできるわけないだろ。嫌がらせでもしてんのか?
「九裂もさっさと食べな」
「あんなの見て食べようと思うか?」
「いいから食え。姉ちゃんに逆らうと腹下す程度じゃすまないかもしれないぞー」
「・・・・・・・・・いただきます」
僕は渋々食事に手を伸ばす。しかしその手は弾かれた。
「痛っ・・・」
「その皿に乗ってるのは六美のだ。あんたのはこっちだよ」
チッ、バレたか。
「ハァ、覚悟を決めるしかないか」
恐る恐る毒入りの料理を口に運ぶ。味は意外と普通に美味しいと言えるだろう。だが・・・・・・
ぎゅるるる・・・・・・
「ヤベェ・・・」
僕も朝野太陽と同様にトイレに駆け出したのだが朝野太陽が先にいる。あいつを待ってもどうせ意味がないだろう。
「朝野太陽、どうせお前じゃできないんだ。代われ!」
「ホギャァ⁉︎」
朝野太陽を突き飛ばし錠の解錠に取り組む。日常的に使うドアなんだ、そこまで難しい工程もないだろう。ピッキングに関しては鍵の形を正確に認識することができればそれに合わせて作業すればいい。ちなみにピッキング用の工具を一般人が持つと犯罪らしい。
「さてと・・・パスワード解析か」
僕は懐から解析用のツールを取り出す。いつだったかとあるハッカー組織から依頼ついでに盗んだ代物だ。詳しい仕組みは僕にはわからないから壊れたら二度と使うことができない。これのおかげで達成できた依頼もいくつかあると言ってもいいだろう。
━━━━━ピピッ
「よし、それじゃあ僕が解錠したし先に入るわ」
「ちょっと⁉︎嘘だろぉぉぉ!」
「ふぅ、何とかなった・・・」
「夕凪・・・頼む、ドア開けといてくれ」
「断る、お前のせいで僕もこの家に住むことになったんだ。少しくらい仕返しさせろ」
トイレのドアを閉め悠々と食堂に戻る。後ろから朝野太陽の悲痛な叫びを無視し食堂に戻る。
「誰か朝野太陽を助けなくていいのか?」
「四怨、頼んだよ」
「へーい」
こうして僕の夜桜家での生活が始まった。本当にこの家にはありとあらゆるトラップが仕掛けられていた。冷蔵庫の赤外線センサーに触れてみれば中から銃が出てきて蜂の巣に、思いっきり蛇口をひねればシャワーから普通は出ない量で水が放出される。トラップならすぐにクリアできた。だが問題なのは・・・・・・
パシュッ!
「当たらん・・・」
どうも僕は銃の扱いが絶望的に下手みたいだ。一度試しで実銃を使ってみた時も・・・
「それじゃあそこから撃ってみてくれ」
「あぁ」
バンッ!
「ヒィッ⁉︎」
一応真剣に狙いを定めたはずなのだが弾は夜桜辛三の頬を掠めた。それを見た夜桜嫌五は大笑いをしているが笑い事じゃないだろ・・・。
「悪い、決してわざとじゃない」
それに反動に体が耐えきれず後ろに倒れた。銃は想像以上に反動があるのがわかっただけ収穫だったか。もちろん、屋敷以外でも訓練と称される生活は続く。
「重い・・・・・・」
見た目は普通の服なのに重量50kgとかわけのわからん服を着せられている。基礎体力を高めるためなのだとか、先に体力尽きて死ぬわ・・・。
そんな夜桜家での生活が2週間ほど続いた。
パシュッ!
「チッ!」
「相変わらず的に当たる気配はないみたいだね。辛三に教えてもらってるはずだろ?」
「いや、最近はずっと朝野太陽に付きっきりみたいでな。あいつそろそろぶっ倒れるんじゃないか?」
「そういうあんたもこのままだと間違いなく倒れるよ。ずっと寝れてないみたいだね、目の下にクマができてるよ」
「この家のベッドになかなか慣れなくてな」
「それだけじゃないはずだよ。眠気覚まし用の薬、七悪に貰ってるのをさっき見た。それも明らかに適量以上飲んでるね?」
「どうやら僕にスパイの才能はないみたいだからな。今までも眠れないことはあった、それが薬のおかげで楽になったくらいだ」
「こりゃ重症だね・・・・・・いいからさっさと寝な、疲れた体でやっても意味ないよ」
「別にこれくらい何とも・・・っと」
「そら見たことか。休むのも訓練だ」
「二刃さんは僕に期待してくれてるんだろ?ならそれに応えないと」
依頼人の期待に応えられなければプロ失格、どの世界にも言えることのはずだ。
「・・・・・・いいかい九裂、あたしの期待に応えようとしてくれるのは素直に嬉しい。だけどね、自分の体を大切にできなければ約束を守ることなんてできやしないよ。あたしの期待に応えたいっていうなら今は休みな。何だったら子守唄でも歌ってあげようか?」
「いらんわ!・・・・・・ってあれ?」
二刃さんが腕を優しく円を描くように動かすと途端に眠気が襲ってきた。
「今はゆっくり休みな」
このままだと床に倒れるんじゃね?とは思ったが体が眠気に耐えられず意識を手放した。
それから1週間が経過する頃には僕の射撃力もギリギリ的に当たるくらいには成長している。それでも何回かに一度は大きく外してしまうがいつかは何とかなるだろう。50kgの服も慣れれば日常生活に影響がないくらいには動けるようになった。人間、慣れてしまえば苦じゃなくなるらしい。
「今日はもうお終いにしようか。これ以上やっちゃうと姉ちゃんに怒られちゃうから」
「まだそんなにやってないだろ?」
僕が訓練する時に二刃さんに決められたことがある。兄妹の誰かが見ているところで訓練することと一回の訓練に時間制限が設けられた。当然、僕は反対したが却下された。
「そんなにってもう2時間は経ってるんだけど・・・九裂の集中力は眼を見張るものがあるよ」
「その成果が出てるかと言われれば些か疑問が残るけどな」
「九裂は銃を撃つ瞬間に力が入りすぎてるんだと思う。だから狙いを定めても外すことが多いんだ。もう少し気楽にやってみたらいいと思う」
「わかった」
もう一度狙いを定める。
パシュッ!
僕が撃った弾は的のど真ん中に命中した。
「言われてすぐできるなんて九裂はセンスあるよ」
「夜桜辛三、あんたのアドバイスはわかりやすいな。この感覚を忘れないうちに━━━」
「あんたたち、いい加減にしな!」
「痛って!何すんだよ!」
突然後ろから頭を叩かれ、後ろを見ると二刃さんがいた
「もうとっくに時間は過ぎてるんだ。また明日にしな」
「えー。夜桜辛三、あんたからも言ってくれよ」
「俺⁉︎いや、でも・・・・・・」
「辛三」
「・・・・・・今日は終わりにしよう。九裂が気づいてないだけで疲れも溜まってると思うから」
「僕は別に疲れてないぞ」
「腕が震えてるよ」
言われてすぐに腕を後ろに隠すも時すでに遅し。二刃さんに服の襟を捕まれそのまま引きずられる。
「はーなーせー!」
「いいから休む!全く・・・太陽も九裂ももっと自分の大切にすることを覚えて欲しいものだよ」
昨日の朝、相変わらずトイレのドアを攻略できない朝野太陽を助けようとした夜桜嫌五が熱でダウンしてるところを発見した。当然二刃さんに怒られたのだがその時に見た傷を見て僕は驚愕を隠せなかった。
「夜桜六美を守るために限界以上の訓練なんて正気じゃない」
「あんたも似たようなものだろ」
「あれと一緒にするな。僕はあそこまで体がボロボロになる前に死ぬ自信があるからな」
「自信持っていうことじゃないよ。そもそも怪我をしないようにしな」
「それもそうだな・・・・・・」
━━━━ガチャン
「やった、とうとうトイレのドアもクリアだ!」
屋敷に来て三週間、長い時間がかかったが遂に朝野太陽が屋敷のトラップを全てクリアした。夜桜凶一郎、二刃さん以外の兄妹が朝野太陽を胴上げしている。すると、朝野太陽の指輪が光り出した。
「安心しな、この家の電磁波に反応してるだけさね。おめでとう、これで立派な夜桜の一員だ」
「ちょっと待て。僕は朝野太陽よりも先にトラップは制覇してるぞ。なんで指輪が光らないんだ」
「九裂がいつまでも俺らのこと名前で呼ばないからじゃねー?ていうか姉ちゃんだけさん付なのは理由でもあんの?」
「依頼人だから」
「「「「「「依頼人?」」」」」」
「あぁ、僕の人生を懸けた━━」
「九裂」
「おっと、守秘義務だった。そんなに知りたいなら二刃さんに許可をもらってからじゃないとな」
「嫌五の言ってることもわかるよ。九裂、みんなとの距離を縮める一歩として名前で呼んでみるのは悪くない」
「二刃さんがそうして欲しいっていうなら・・・・・・」
「試しに呼んでみたらどう?」
「よざ・・・六美」
「うんうん、そのままみんなのことも呼んでみよう!」
「辛三さん、四怨さん、嫌五さん、太陽、七悪。あぁ、凶一郎もいたか。あのシスコンストーカーは別に呼び捨てでいいよな?」
「俺も別に一個しか違わねーしさん付だとムズムズするから呼び捨てな、もちろん太陽も」
「わかったよ、嫌五」
「さて、ひとまず話がまとまったことだし太陽、これからは本格的に夜桜の訓練を開始させるよ」
「はい!」
「それじゃあまずはこの100kg Tシャツに着替えてもらおうか」
「トラップの難易度もベリーハードに変更な」
「え゙っ!?」
クリアで終わりなんてことはなかったみたいだ。ま、みんなとの距離が近くなったってことでいいのかな?
遂にというか名前呼びになりました。作者も毎回フルネームだと字数稼ぎっぽくならないかな?って思ってたので早めに解消しときたかったっていうのもありますね。
この小説は漫画メインでいくのでフラワー便も出てきます。次はなんとか3、4日で出すように頑張ります