ある朝、太陽とともに学校に向かっていたのだが、
「危なーい!」
朝練をしていた野球部の方からボールが飛んできた。今更だがうちの学校、安全用ネットとかないのかよ・・・。まぁ、こちらに向かってボールが飛んできたのだがそれが太陽に直撃するかもと思ったのも束の間、太陽がボールの方を一切見ずにキャッチしてみせた。そしてそのまま
「ナイスホームラン」
ボールを取りに来た野手にものすごい勢いで返球。教室に向かう階段の途中でも、前を歩いていた重量のある生徒が階段から落ちそうになってきたところを片手で受け止めたのだ。
「足元見た方がいいぞ」
じゃねーよ!爆弾事件の時も思ったがこいつはスパイであることを隠す気がないのかもしれない。もしくは自分の今の能力を正しく認識できていないバカということもある。
「ちょっと太陽」
「六美、朝の生徒会終わったのか」
「いいから早く」
当然、それを見兼ねた六美に呼ばれる。しかしここは学校、この状況を周りにいる生徒に見られていることになる。今も廊下の影に3人いるな。
「・・・朝野人見知りなくなったし、あの二人前より距離近くなってね?」
「朝野今日はつけてないけどお揃いの指輪のウワサも・・・」
「ウワサだけじゃねぇぞ・・・!夜桜宅から朝野が出てきたって目撃情報が・・・しかも朝に」
「まさかの同棲⁉︎」
もうしらね・・・・・・
「気づいてなさそうだけど訓練でどんどん人間離れしてるから、気をつけないとバレるよ?」
「え⁉︎」
ちなみに僕は太陽がバレても一切助けない、余計なリスクを負うことになるからな。それに、そんな事態になっても凶一郎がなんとかするだろう。なんだかんだ六美のためと言って太陽のこと助けそうだし。
「最近朝野君、気配と足音がないってんで影でみんな『忍者』って呼んでる」
忍者って、まぁ訓練もそれっぽいとこあるけども。なんて思ってると二人に人が近づくのが見えた。
「男女で人目を忍び密談、不健全極まりない。まるで盛りのついた犬ね」
なんか大量の荷物を持った女教師が六美から指輪を取り上げた。あの荷物は全部生徒から没収したものか?
学生の身分で装飾品なんて堕落への第一歩。私の方で処分してあげます」
「なっ」
六美もただの教師に指輪を取られて想定外だったのか驚きを隠せないでいるな。
「返してください!そもそも校則で禁止されてないのに・・・」
「世の中には
流石に指輪が取られるのはまずいと思い3人の前に姿を現す。
「先生、確かにマナーは大事だ。だがマナー違反に明確な罰はないと思うんだがな。少なくとも今までは許可されてたんだ、それを一教師が勝手に判断して取り上げてもいいのか?」
「これまで何も言われてないから問題ないというわけではないわ。今までが緩すぎたのよ。申し遅れました、私は堅井律。不在がちの昼川先生の代理できました」
おい、ってことは半分くらい
「悲しいほどに不道徳で無教養なあなた方を真人間に矯正することが私の勤めです。その頭髪の白いポイントカラーも至急染め直してください。とても下品で非常に不愉快です」
「おい!」
六美に対して言ったのに六美ではなく太陽が反論しようとした。太陽が人に向かって敵意剥き出しになるなんて珍しいな。
「六美!六美もやられたの⁉︎」
「リサも⁉︎」
「何なんだあの新しい先生‼︎」
どうやらみんなさっきの教師に何か取られたみたいだ。
「ママがくれたピアス取り上げられちゃった・・・!」
「あの時計バイト頑張って買ったのに・・・」
「俺の限定版グラビア雑誌が・・・‼︎」
「なんで学校に持ってきたの?」
そんなに大事なものなら学校につけて来なければいいのに。それに最後のやつはどの学校でもダメだからな?没収されて当然だ。
「前の学校もあの厳しさが原因で辞めさせられたらしい・・・」
「何であんなの採用したんだ⁉︎」
「あんなのでも採用しないといけないくらい教員が人不足ってことなんだろうな。それに教頭の代理ってことは教頭が学校にきちんといればすぐにいなくなるだろ」
「でも昼川先生って結構忙しい人なんだろ?」
「まぁ、そうだろうな・・・」
「そういえば二人の指輪は・・・⁉︎」
「男の指輪は目立つからチェーンで首に・・・」
「僕は取られてないぞ。あの人の視界に入らないように隠してたからな。それで、これからどうするんだ?」
「どうしよう、処分するって・・・⁉︎あの指輪には大事な情報がいっぱいだし何より・・・」
「大丈夫だ六美。俺が必ず取り戻す」
「太陽・・・!」
どうやら僕の出番はなさそうだな。今の太陽なら学校のセキュリティくらい簡単に突破できるだろう。
「━━━━あぁ、あんたの依頼は辞めさせてもらう」
『なっ⁉︎貴様、それが何を意味するかわかっているのか!こんなことしてただで済むと━━━』
『ボス!侵入者です!』
『何⁉︎今すぐに殺せ!』
「こんな時に侵入者とは大変だな。その侵入者は夜桜か?」
『なぜそれを知って・・・俺たちを売ったのか!』
「依頼の結果に関係なく僕を殺すつもりだったくせによく言うよ。僕は自分が生き残る道を選んだだけだ」
『いつか絶対に貴様を殺してやる!』
「そんな日が来るといいな」
電話越しにものすごい勢いの風音が聞こえた。ほんと、なぜあの体格であれができるのか不思議だ。一通り音が聞こえなくなった後、電話越しに話しかけられた。
『こっちは片付いたよ』
「ありがとな。ずっと放ったらかしにしてたからそろそろ何とかしないとと思ってたんだ」
『大したことない奴ばかりだったよ。それより、九裂』
「ん?」
『あんた今学校じゃないのか?』
「学校なら早退した』
『・・・ふーん」
あ、怒ってるな。こりゃいつも以上に訓練で扱かれるかもな・・・。
「そんなことより、学校で六美の指輪を取られた。回収は太陽が何とかするだろうが、近いうちに一悶着ありそうだぞ」
『そうかい、あたしたちも少し警戒しとく』
「要件は伝えたし切るぞ」
面倒なことにならなければいいけどな・・・・・・。
数日後、僕は太陽と共に誘拐された。
1話の依頼を今後に出そうと思ったけど別に出したい存在がいるので早期退場です