最凶家族の盗人   作:さかなヒロシ

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大体の書きたいことに肉付けをするって難しい・・・・・・0から考えて作品をつくる人たちってやっぱすごいんだなと身をもって実感します


稽古1

「おいおい、部屋から直通の道場なんて聞いたことないぞ・・・」

 

二刃さんに強制的に連れられてきたのは武道場だった。夜桜屋敷は洋風なため非常にミスマッチ感が否めないのもあるし、こういったものは別館とかじゃないのか?

 

「私しか使う人がいないし少しばかり改築させてもらってね。強度は辛三の折り紙付きだから全力で動いても問題ないよ。それじゃあ早速稽古をしようか」

 

「はっはー・・・・・・僕に死ねと言っているのか?夜桜相手に戦えるわけないだろう」

 

「できないことに自信を持っていうもんじゃないよ。私も九裂に合わせて手加減するし怪我をしたら七悪に診て貰えばいい」

 

「そう言う問題じゃなくて・・・」

 

「・・・・・・・・・九裂は戦いが好きじゃないのかもしれない。でも、だからこそ強くなってほしい。スパイは基本隠密だから九裂の得意分野とも言える、だけど今回みたいにどうしても戦いを避けられない状況は訪れる。最低限、自衛の手段を持っておくに越したことはないよ」

 

「そうは言っても・・・・・・理由もなく強くなれなんて無理だ。目的もなくただこなすなんてロボットと同じだ」

 

「強くなる理由は単純だよ。大切な人を守りたい、それだけで十分さね。いつか、九裂にも家族を守れるようになって欲しいっていう私の我儘もあるけどね」

 

「夜桜を助けるなんてこと、あると思わないけどな」

 

そんなことが起きたらこの家は壊滅間近になるだろうな。そんな存在相手に僕如きがどうこうできると本当に思っているのかも怪しい。

 

「この世界は何が起こるか予測不可能なところも多い。いつ九裂の力が必要になるかわからないけどその時は必ずくる。とはいえ、そんな大雑把な理由じゃイメージできないなら今は花輪に勝つためと思っておけばいい。ざっくりとしたものが立てられないならその時その時に思いついたものを理由にしていけばやる気も出るものだろ?」

 

「・・・なんかそれっぽい話でまとめて納得すると思ってないか?」

 

「いや、私の本音だよ。太陽みたいになれとは言わない。だけど、盗人じゃない、スパイとしての九裂の在り方を考える上で大事なことの一つだからね」

 

「自分の在り方、か・・・・・・」

 

スパイとしてか・・・・・・今まで盗人に拘ってたけどもうそんなこと言ってられないのかもしれない。スパイとして僕は何を為す?世界平和?六美(当主)を守る?どっちもしっくりこないな。何のためにスパイをやるか・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━九裂ならできるって信じてるから

 

「・・・・・・・・・そうか」

 

多分僕の原動力はこれだろうな。依頼人の信頼に応える、こんな簡単なことを忘れてた。難しく考えるよりも、答えはきっとシンプルな方がいい。

 

「僕は強くなれると思う?」

 

「それは今後の訓練次第さね」

 

「そうだな」

 

「いい顔になった、何か掴めたみたいだね」

 

「ああ、待たせて悪かった」

 

「それじゃあ改めて、稽古をしよう。自由にかかってきな」

 

相手は夜桜、勝てるなんて思わない方がいいだろう。・・・・・・そんなこと考えてるうちは一生勝つことはできないか。とにかく回数をこなしていくしか道はないみたいだしやってみるか。

 

「はぁっ!」

 

まずは正面から、まっすぐ駆け出し首を目掛けて蹴りを入れる。が、当然と言うべきか簡単に止められた。

 

「やっぱり無理か。ならこれはどうだ!」

 

間、髪を容れず攻撃を繰り返すが二刃さんに余裕の表情で全て捌かれる。一体この小さな体のどこにそんな力があると言うのだ。

 

「指輪を盗った時のあれは使わないのかい?」

 

「一対一の状況で相手の意識から逃げるなんてのは流石に無理だ」

 

一応、他にも考えてはいるがどれも没案ばかり。実際に戦闘をしながらだと策がまとまらない。絶えず変化する状況に対して常に最適解を考えるのはエネルギーを使うし、僕の場合は情報が渋滞して脳が処理しきれない可能性がある。どうしたものか・・・

 

「戦闘中に考え事とは随分余裕があるみたいだね。今度はこっちから行かせてもらおうか」

 

「ちょ、待って!」

 

「戦場で相手は待ってくれないよ」

 

突然始まった二刃さんの攻撃、当然の如く見切れるわけもなくボッコボコにやられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「普通あんなに痛めつけるか?」

 

「あれでも結構手加減した方だよ。九裂の攻撃もわかりやすいから見てからでも反応できたしね」

 

「まじか・・・」

 

「何回か九裂に仕掛けさせたけど、どれも最初は右から大振りの蹴りからだった。凶一郎の時も、おそらく花輪にも同じようにやったんだろ?」

 

「足の方が一撃の威力が高いし・・・」

 

「格上の相手にそんなわかりやすい挙動の攻撃をしても無駄、むしろ簡単に反撃されるだけ。辛三みたいに力があるわけじゃないんだから、力任せに戦うのはお勧めしないよ。もちろん、状況によってはそうした方がいい時もあるけど」

 

「でも軽い攻撃じゃ意味ないだろ?」

 

「勢いをつければいいってわけじゃないよ。素早く相手に攻撃を当てるだけでも十分威力はあるし攻撃する場所や当て方を工夫すればダメージを与えることもできる。」

 

そう言うと二刃さんは僕の前に立った

 

「しっかり防御しな。じゃないと怪我するよ」

 

「え?・・・・・・グァッ⁉︎」

 

二刃さんが突如放った正拳突きを咄嗟に防御することはできたが威力の高さに体がよろけてそのまま尻餅をついてしまった。

 

「もろに喰らってたらやばかった・・・・・・というか、いきなりすぎだろ!」

 

「実際に受けてみた方が早いと思っただけさね。それで、どうだった?」

 

「まぁ、いきなりだったのもあるけどタイミングが読みづらかった。正直、攻撃されるってわからなかったら間に合わなかったと思う」

 

「それがわかれば合格だ。っと、向こうも準備ができたみたいだね」

 

「準備って、六美の場所がわかったのか?」

 

「ああ、今から六美のところに向かうよ」




1ってことは2があるってことです(いつかは未定・・・)
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