マシュちゃんは戦いがあまり好きではないようです
なんたってマシュちゃんは「他人が傷つく事を嫌う優しい性格」ですからね
何が起きたのか訳が分からなかった
俺は防御もできないまま地面に打ち付けられる
「がはっ!」
俺はマリスビリーを見る
「何の...つもりですか」
「実験体の戦闘データを取りたいと思ってね、人間に攻撃した際の威力を測りたかったんだ。実験体には君が戦闘用のロボットに見える暗示がかけられている。無論融合した英霊にもそのように見えていると思ってくれていいよ。」
「...いつから企んでいたんですか」
「最初からさ。そのためには君の信頼を稼ぐ必要があった。だから私は君にこの計画を教えたのさ。これも『人類の未来のため』さ。共犯者くん」
「...」
「では、実験体の融合術式を起動してくれ」
マシュの足元に青白い陣が形成され、上昇していく
陣がすり抜けていくとマシュの姿は検診衣からシールダーの、おなじみの服装へ変わっていく
もうすぐ、ギャラハッドとの融合が完了するのだろう
全く、人間とは愚かな生き物だ
しかし...好都合だ
「...マリスビリーさん、賭けをしませんか」
「賭け?」
「はい、もしも僕が実験体の攻撃で生き残ったら、僕をカルデアのスタッフとして雇ってください」
「君が死んだら?」
「そうなれば貴方の勝ち、この神殺しの毒にさえ耐える肉体をどうぞ好きなように使ってください」
「分かった。その賭けに乗ろう。」
「...案外、簡単に乗ってくれるんですね」
「君との会話は私にとっていい刺激になったからね。そのお礼さ」
「...言質は取りましたからね」
「...あぁ」
マシュの姿が完全に変わった
研究者共は「成功した!」と口々に言っている。
あの様子から察するに俺をサンドバッグにすることは事前に聞かされていたのだろう
マシュは眠りから覚め周囲を見渡す。
こちらに気が付くと彼女の目は
憤怒をおびた金色へと豹変した
「「「!!!!!!!!!!!」」」
その場の空気が一瞬にして凍った
「マシュ?」は拘束をブチ、ブチブチと引きちぎっていく
そして完全に拘束が破壊された瞬間
弾丸のような速度で俺に向かっていく
瞬間、俺は宙を舞っていた
「マシュ?」は止まらない。空中にいる俺を召喚した盾でボールとバットの要領で壁へとぶっ飛ばした
「がはっ!」
俺が当たった壁は俺を中心に陥没していた
「マシュ?」は俺を壁から引きずりだすと反対方向へ蹴り飛ばした
<ドゴーン!!!!!!>
壁が崩壊する威力で
俺の体は原型を保っているのが奇跡といえるほど全身を血で染めていた
「ごほっ!ごほっ!..」
口からは赤黒い液体がごぼっと吐き出される
周りの研究者はあまりの惨劇に言葉をだせない
「ふむ、毒性に耐えるだけの体であったとしても、デミ・サーヴァントの攻撃には耐えられないようだ。すこし頑丈と言ったところだね」
マリスビリーは目の前で起きていることを顔色変えず、考察している
その最中も
俺は無理やり立たせられ、「マシュ?」に殴られ続ける。
その度に骨の折れる感覚が全身を駆け回る
その後、小さな手からは考えられない握力で頭を掴まれ投げ捨てられる
血まみれの体はボールのようにバウンドし、停止した
「これ以上の戦闘データは意味がないな」
後ろからマリスビリーの声が聞こえる
「マシュ?」はゆっくりとぼろ雑巾となった俺の方へと歩き出し
首を掴みミシリミシリと握力を込めていく
「..................」
そして...首を
<ゴキャリ>
折った
マネキンのように俺の体は崩れ落ちる
「マシュ?」は動かなくなった俺をひたすらに殴り続ける
「あ、あぁ...」
研究者たちからうめき声にも聞こえる悲鳴が上がる
ピタリと拳が止まった
「マシュ?」は右手を左手で止めていた
本人も何が起こったのか分からないと驚愕していたがなにかを察し目を閉じた
体の限界が来たのか、息が上がっている
目には紫が戻り
「マシュ」は倒れ込んだ
「...じ、実験体の意識が喪失、か、回収作業に移ります」
そう研究員の一人が言うと
マシュをストレッチャーに乗せ移動し始めた
場の雰囲気はいまだに治らない
「賭けなんて言うからなにか策があるのかと思っていたが、見当違いだったようだ」
マリスビリーは指令席を降り、そう言いながらこちらに近づいてくる
「私の勝利だ...彼方君」
マリスビリーはそれだけを言うと出口に向かって歩き出した
「いえ、僕の勝利です。マリスビリーさん」