「虚数元素」って四次元ポケットみたいな使い方もできるから特撮あるある「そのアイテムどこに入ってたの」を解決できるんですよね
では本編です
「ふむ、この映像はなかなかショッキングだね」
ダヴィンチちゃんが画面を見ながらそう呟く
「これをマシュが見なくて本当に良かった」
ロマニが俺を見ながら言った
「なんか僕が悪者みたいな言い方になってません?」
俺、ロマニ、ダヴィンチちゃんが見ているのは俺がベリルを説得している映像だ
マシュには俺が記憶を改ざんしたのでベリルの件も曖昧にしか覚えていない
「やはり、君は力を隠していたね?」
ダヴィンチちゃんが眼鏡をクイッと上げ、こちらに話しかけてきた
ガワが美人なので少しドキッとする
「そんなことないですよー」
「とぼけても無駄だよ。『君がマシュ君に行使した治癒魔術』『ベリル君をシュミレーションルームに転移させた魔術』、そして『彼をサンドバッグにするために手足を固定した「影」』どれを取ってもデータ上の君の実力ではおこなえないレベルの魔術だ」
「治癒魔術に関してはドクターの僕から見ても完璧なものだった。しかも君はそれを一瞬にしてやってのけたらしいじゃないか」
「それは...」
イケメンと美女に詰められるというのはこんなにも圧があるのだろうか
「あれですよ。マシュを傷つけられた怒りで覚醒みたいな。」
「え⁈あの顔で怒っていたのかい!!!!!」
「ロマンさんあの顔って失礼ですね。確かに顔に自信はないですけど」
「いや、ロマニはそういう意味で言った訳ではないと思うのだが」
何故かダヴィンチちゃんがあきれている
「いいじゃないですか、ベリルさんはマシュにちょっかいをかけることがなくなったんですから」
「話をそらさないでくれるかな?それに、カルデア職員やマシュ、所長の記憶がきれいさっぱり消えているのも、君がやったとしか思えないのだけど?」
俺をダヴィンチちゃんが睨む
「...ハァ、確かに記憶の改ざん、記録の消去はやりましたよ」
「な、なんだって!!!!」
ロマニが驚く、ダヴィンチはやっぱり、といった顔だった
「どうしてそんなことしたんだい?」
「僕は誰も信用していないからですよ」
俺は二人の方を見る
「...信用していないって?」
ロマニが聞いてくる。アンタが聞くんかい
「だって裏で人体実験してるような輩の巣窟ですよ?Aチームの一人を半殺しにできる
力があるとか、知られたら大変じゃないですか」
「それはそうだけど...」
「ま、今回の件で僕がAチームの一人をボコボコにできる力があるってことがあなた達にはバレちゃいましたけど」
俺は立ち上がり
「それじゃっ、僕は帰りますねー、僕はこれからも助手として働くんでー」
「あっちょっと!!!」
ダヴィンチちゃんに止められるが俺は無視して工房を出る
「おや、彼方君じゃないか」
「...レフさん」
もっとも会いたくない相手に話しかけられてしまった。
レフ・ライノール、カルデアの技師だが、正体は魔神柱。
原作開始直後にカルデアを爆破する張本人
「どうしたんですか?」
「いやなに、君を見かけてね話しかけようとしたんだ」
「そうですかでは僕はこれで」
俺はレフの横を通り過ぎる
「君はマスター候補になる気はないかい?」
「はい?」
しかしレフに止められてしまった
「君にはマスター適性がわずかにだがある、人類の未来のために貢献したいとは思わないのかい」
なるほどコイツは爆弾で俺を殺したいんだろう
マスター適性を低めに改ざんしておいて正解だった
まぁ爆弾で死ぬか分からんが
「レフさん、俺はロマンさんの助手です。裏からマスターたちを支えますよ」
俺はレフを睨む
「っっっ!そうか...残念だ。では私はこれで」
レフはなにかに怯えたように消えていった。
舌打ちは聞かなかったことにしよう
俺は自分の部屋に着き、ドアを開ける
「フォウ!!」
俺はドアを閉めた。
もう一度ドアを開けると
「フォーーーウ!!」
「ごはっ!!」
白い小動物が俺にジャンピング鳩尾を決めてきた。
「フォウフォウ!クーフォーウ!」
「なに勝ち誇った顔してんだよ。白モップ」
この白モップの正体は皆さんお馴染み「フォウくん」
またの名を「比較」を司る獣、ビーストⅣ。
あの「この世全ての悪」よりも早く人類を滅亡させることができる。
「霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)」の異名を持つ文字通りの「災厄の獣」
ある日、自分の部屋のドアを開けたらコイツがいてこのように突撃された
俺が撫でてあげるとフォウは仰向けになって腹を見せる
「ここも撫でろってか」
「フォウフォウ!」
「はいはいお気に召したようでなによりです」
コイツには俺が人間ではないことがバレている
以前確認したが間違いないだろう
あと俺には何故かこいつが何を言っているのかが分かる
「フォウクーフォーウ!!!」
「お前ってほんとうに白モップだよな。」
そういうとフォウは俺の指にかみついてきた
「別に俺がお前のことをどう呼ぼうが関係ないだろ」
「フォウ!フォウフォウフォウ」
「その呼び方やめてほしいって?」
「フォウ」
「断る!!!!」
「フォウ!!!」
「ぐは!!!!」
このように気に食わないことがあるとかみついたり、体当たりしてくる
甘噛みなのが可愛くて許している
「そういえば、お前って俺の近くいてもいいの?マイナスな感情で成長するんだろ?」
「フォウ」
「人外はセーフなんだ。もしも俺が人間だったら?」
「フォウフォウフォウ」
「え?安全性で言えばマシュと同じくらい?そんな馬鹿な」
『コンコン』
「はーい」
「私よ」
オフェリアが立っていた
フォウは既に消えていた。
「僕の部屋をカフェかなんかと勘違いしてません?」
「勘違いしないで、たまたま通りかかったのよ」
ずかずかと俺の部屋に入ってくる
「飲み物は?」
「コーヒーで」
俺はオフェリアに飲み物を準備する
「お待たせしました」
「...私はコーヒーを頼んだのだけれど、どうしてココアなのかしら?」
「自販機でココアを選ぼうとして、かっこつけてコーヒーを選んだ挙句それが
苦くて後悔した経験がなければコーヒーに替えますが?」
「っ!!!何で知っているのよ...」
そう言いながらオフェリアはココアを飲む
鉄仮面が笑顔で歪んでいることは言った方がいいのだろうか?
「...何見てるのよ。」
「こう見ると普通の女の子なんだなぁって」
「ど、どういう意味よ」
「周りの人たちはオフェリアをなんて言っているのか知っていますか?」
「...いいえ」
「『現代の戦乙女』ですって。冷静沈着でカッコイイんだと」
「...そう」
オフェリアは悲しそうな表情をする
「本当は友達の事になるとポンコツになるのにおかしい話ですよねぇ」
「ちょっと!!ポンコツって何よ」
「今日、マシュと話しました?」
「きょ、今日は、は、話したわよ」
「あ、ちなみに挨拶はノーカンですよ」
「う、...」
「マジすか...」
「う、うるさいわね!」
顔を真っ赤にしながらこちらを睨んでくる
「というか気になったんですけど?」
「な、なによ」
「どうして僕が二つ名を教えたときに落ち込んだんですか?」
「っっっっ!」
「あ、無意識だったんだ」
「別に何でもないわよ」
そう言うと彼女の目に陰りができる
「いいじゃないですか『現代の戦乙女』、僕がみんなになんて言われているのか知ってます?」
「『死んだ目をした雑用係』でしょ」
「そうですよ。死んだ目なんてひどすぎる」
「貴方の場合は仕方がないと思うのだけれど」
「心外ですよ。あーあ、僕もオフェリアさんみたいな目だったらなぁ」
「やめて!!!!!!!!」
オフェリアが突然叫ぶ
「貴方までこの目のことを羨むの?」
今にも泣きそうな様子で俺に問いかける
「何か勘違いしていません?僕は別に『遷延の魔眼』を羨んだわけじゃありませんよ」
「え?」
「オフェリアさんのする優しい瞳が綺麗だと思ったから僕は羨ましいと思ったんです」
「!!!!!!!!」
オフェリアは俺の発言に目を見開いた
「まぁさっきの言い方は僕にも非があったかもしれませんね」
「私は優しい人間じゃない」
「ん?」
オフェリアがつぶやく
「私は自分より可哀そうな女の子を見て安心するような最低な人間よ。私がマシュに声をかけたのだって彼女が私と同じように鳥かごの中で苦しんでいるように見えたから。
彼女は私の気持ちが分かると思ったから。」
俺はため息を吐きながら
「本当にポンコツですね、あなたは」
「な?!」
「いいですか?まず、あなたが最低な人間だったらベリルさんがマシュの骨折ったときに号泣しながら彼女に謝ったりしません。
むしろ喜ぶところでしょう?彼女が泣き叫びながら苦しんで可哀そうな目に遭ってるんですから。」
「そ、それは」
「最低な人間だったら、マシュと話せたことを毎回僕に笑顔で話しません。
マシュのためにお菓子を作ろうなんて思いません。同情はしても友達になろうだなんて
考えません。」
俺はオフェリアの目を見る
「貴女はマシュを傷つけようとしましたか?孤独にしてやろうと考えたことがありますか?苦しめたいと思いましたか?」
「そんなこと一度もない!!!」
オフェリアが強い眼差しで俺を見る
「その目ですよ。僕が綺麗だと思ったのは」
俺は続ける
「最低な人間?それこそ寝言は寝て言ってください。
あなたは人の痛みを自分のことのように悲しみ涙を流せる人間だ。
これは『魔眼』の能力なんかじゃない
「オフェリア・ファムルソローネ」という人間が持つ美点だ。」
「あ、あぁ」
オフェリアは手で顔を覆い崩れ落ちる
「そんな素敵な人間のことを悪く言わないでください。そんな優しくて素敵な人間を嫌わないであげてくださいよ」
俺は彼女の震える背中をさすりながらそう言った
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「見苦しい姿を見せたわね」
「いえいえ、それより好きになれそうですか自分を」
「誰かさんに泣かされるくらい教えられたら好きになるしかないじゃない」
「おっと泣かせる気はなかったのですが」
「ありがとう。彼方」
彼女は満面の笑みを浮かべ
「貴方のおかげで日曜日が好きになったわ」
そう言った
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彼女は二杯目のココアを飲み終わると俺の部屋から去っていった
『貴方のおかげで日曜日が好きになったわ』
俺は
「すまない、オフェリア、これが俺の手が届く範囲の限界だ」
一人になった部屋でそう、呟いた
「手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する」
私の好きな名言の一つです
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