ブラッド族に努力とかってあるんですかね?
戦えば戦うほど強くなるみたいな特性なんで、戦うことが努力になるんですかね?
「こんな忙しいときに何の用かしら?」
いかにも苛立っていますというオーラを出しながらオルガマリーが問う
「僕が作ったケーキを所長に食べてもらおうとしたのですが、お邪魔でしたね。
では、このケーキはロマンさんに「待ちなさい」...」
俺が帰ろうとすると呼び止められた
「別に帰れとは言っていないわ。ケーキは頂きます。」
オルガマリーが俺からケーキをぶん取り、イスに座ってケーキを食べ始めた
「いかかですか?甘さは控えめにしていると思うのですが」
「美味しいわ、この緊急事態でケーキを持ってくる精神には呆れるけど」
「僕だって
俺とベリルが戦って一か月が経とうとしたとき、カルデアスが変色し未来の観測が困難
になった。
もうそろそろ、「原作」がスタートするのだろう。
「分かりやすい嘘はやめなさい彼方」
オルガマリーはケーキを食べ終え、紅茶を啜りながら俺を睨んだ
「プレッシャーで所長が倒れることの方が僕には重大な問題だったのでね。余計なお世話でしたか?」
「随分私のことを低く見ているのね。私はカルデアの所長よ?雑用と一緒にしないで」
「爪を噛む頻度が多くなったなぁと思いましてね。あと、口に生クリーム付いてますよ」
「な!!!早く言いなさいよ!!!」
俺の指摘に顔を赤くしながらオルガマリーは生クリームを取る。
「無意識に心がSOSを出しているんですよ、ちゃんと寝ているんですか?」
「うるさいわね!貴方の立場でとやかく言われたくないのだけど!」
「一応、ドクターの助手ですからね、健康でいて欲しいんですよ」
俺はオルガマリーの目を見ながら言った
「...あなたが気にかけるのも私が所長だからでしょう?」
オルガマリーが悲しい目をしながら言った
「そんなわけないでしょう?マリスビリーさんにはこんなことしていませんでしたよ」
「え?」
彼女はキョトンとした顔で俺を見る
「彼にはケーキを食べてもらいたいと思わせるような人間ではなかったのでね」
「なによ...それ」
「いかにも頑張っているなと分かる貴女だからこそ、僕はケーキを作ったんです」
俺は食べ終わったケーキの皿を回収しながらそう言った
「意外と多いんですよ?貴女を所長と認めている人間は」
「っっっっ!」
オルガマリーは、はっとしたような顔で俺を見る
「では、僕はこれで。お邪魔しました」
「......」
固まったままのオルガマリーを背に俺は所長室を退出する
「本当にお邪魔だったわ...まったく」
少女はどこか嬉しそうにそう呟いた
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「頑張り屋さんにはご褒美をあげないとねー、どうせ死ぬけど」
俺はオルガマリーにケーキを渡したあと、廊下を歩いていた
「お疲れ様です。彼方さん!」
職員が挨拶をしてきたので俺も挨拶を返す
最近は職員達との関係も悪くない、積極的の交流を重ねた結果だろう
というかここの職員達はチョロすぎる
俺がちょっと仕事を手伝ったり、飲み物をおごったり、相談に乗ってあげると
「実は彼方さんって優しい人だったんですね!」とか「こんなに話しかけやすい人とは思いませんでした!」とか、コロッと俺を信用するようになった。
まぁ、これは計画の一部に過ぎないのだが
「うわっ…カルデアの善き人々チョロすぎ…?」
「なにを言っているんだ。お前は」
「おや?」
声のする方を向く
「これはこれはAチームのカドック君じゃないですか」
「...なんでAチームのところを強調したんだ」
「あれ?好きでしょ?この肩書」
「...本当にお前は人を煽るのに長けているよな」
カドックが俺を睨む
「あら?てっきり胸ぐらでも掴んでくると思ったんですが、成長しましたね」
「...それは」
「あっ、もしや好きな人ができたとk「違う!!!」おっと」
顔を真っ赤にしてカドックは叫ぶ
「それで?なんで僕に話しかけてきたんですか?ただ声をかけたわけじゃないでしょ?」
俺が話を逸らすように問う
「...話がある。ついてこい」
「話?」
「いいから!ついてこい!!」
「はいはい、分かりましたよ」
俺はカドックに連れられ、カドックの自室に来た
「本、本、本、そして資料、ベットにも本の山、頭おかしいんじゃないっすか?」
「うるさい!自室をカフェに改造したお前の方が狂っているだろ!!」
そう、俺の部屋の内装は仮面ライダービルドのカフェ「nascita」と同じになっている
ダヴィンチちゃんにお願いしたらあっという間にできてしまった。
まぁ、部屋の大きさを広くするために虚数魔術を使ったら異空間になってしまったのだが...
「座れ、飲み物を出してやる」
「じゃあ、イチゴミルクで」
「あるわけないだろ!そんなもの!」
「え?キリシュタリアさんの部屋に遊びに来たときには出てきましたよ?」
「マジかよ...」
「甘党なんですねあの人。この前デイビッドさんも含めて三人でケーキを作りましたよ」
「お前は何をしているんだ...」
「いやー、お二人が魔術を使い始めたときはどうなるかと思いましたよ」
「は?」
カドックは開いた口が塞がらないといったような様子だ
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「おぉ、コーヒーですか」
「文句は受け付けないからな」
「いえいえ、そこまで失礼な奴じゃないですよ僕は」
「どの口が言っているんだよ」
カドックは呆れながら席に着く
俺はコーヒーを啜る
「美味しいと思いますよ、多分」
「なんでお前は鼻につくような言い方しかできないんだ...」
「そんなつもりじゃないんですが...それで話とは?」
「...」
俺が聞くとカドックは黙り込んだ
「悪かった」
「はい?」
「っ!今までお前にバカにした態度を取って悪かった!」
カドックは顔を真っ赤にして叫んだ
「...これはまた唐突ですね。どうしてそのように?」
思わずそんな言葉が俺から出る
「...僕はお前のことを魔術の才能のない人間だと見下した態度を取っていた。」
カドックは震え声で話始めた
「だけど、お前がベリルと戦っているのを見て思ったんだ。僕なんかがお前を見下す資格なんてないんだって」
「はぁ」
「考えてみれば分かることだったんだ。マリスビリーに直接スカウトされるような人間がただの人間なんかじゃないって」
「なんか失礼なこと言ってません?」
「とにかく!僕が今までお前にしてきた態度は間違っていることに気が付いたんだ」
「だから謝った、と」
「...悪かった」
青年は頭を下げる
なるほど、俺はカドックをわからせてしまったらしい
自分で言葉にしてみたがなかなか気持ち悪いな
「まず、僕はそんなに気にしてませんでしたよ?」
「は?」
カドックが俺の目を見た
「でも、お前が僕に対して当たりが強いのは、僕がそんな態度を取っていたからなんだろ?」
カドックが俺に問う
「違いますよ、カドック君の顔が整っているのが気に食わなかったからですよ」
「...はぁぁぁぁぁぁぁぁ⁈そ、そんな理由で⁈!!!!!!!!」
カドックは目を見開き、イスを吹っ飛ばして立ち上がった
「ぼ、僕はお前にどうやって謝るか考えるのに三日かかったんだぞ!!!!」
「知りませんよそんなこと、恨むならイケメンに生まれたことを恨んでください」
「そんな無茶苦茶な!!!」
大体、Aチームの輩は顔が整いすぎなのだ。
その中でもカドック、キリシュタリア、デイビッドは裏でファンクラブができるほどの
人気がある。
「な、なら、どうしてキリシュタリアやデイビッドには普通の対応をしてるんだよ。
アイツらだって顔が整っているじゃないか!!!」
カドックが反論する
「何言っているんですか。噛みついてこない人間にそんなことしたら周りから『うわっ、アイツ嫉妬かよ』って思われちゃうじゃないですか」
「なっっっ!!!!!!」
カドックは俺の発言にドン引きした様子である
「というか最近あなたが噛みついてこないせいで、僕が嫌味を言えなくなってきたじゃないですか。どうしてくれるんですか」
「し、知るか!!!!」
さっきまでの重い空気はどこかに吹き飛んでしまった
「というか、お前だって顔が整っているじゃないか!!!」
何を言っとるんだこの銀髪イケメン野郎は
「そんなわけないでしょ!じゃあなんで僕と目が合うたびにみんな顔を逸らすんですか!キリシュタリアさんなんてキャーキャー言われているのに!僕の顔がブサイクだからでしょうが!」
「コイツ、本気で自覚してないのか...」
「自覚ってなんですか!してますよ自覚!僕がブサイクでモテないという自覚をねぇ!」
俺がそう言うとカドックはため息を吐き、イスに座った
「僕はこんな奴のことを悩んでいたのか...」
カドックは落ち着きを取り戻すためにコーヒーを啜る
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「仲直りしたついでで聞きたいことがあるんですけど」
「これを仲直りというのか...なんだよ」
「カドック君ってなんでそんなにネガティブなんですか?」
「は?」
「だって貴方、Aチームじゃないですか。そこまで悲観的になる必要なくないですか?」
「...お前に何が分かるんだよ」
カドックは俺を睨む
「僕はみんなみたいに才能があるわけじゃないんだ、だから人の何倍も努力しないといけないんだ」
「何のためにですか?」
「...Aチームの皆に認めてもらうためだ」
「...ん?」
俺は首を傾げる
「...なんだよ」
「それってもう叶ってません?」
「は?」
カドックは口を開けたまま固まった
「ペペ姐さんやベリルさんには可愛がられて、ヒナコさんやオフェリアさんには拒絶されてないし、デイビッドさんやキリシュタリアさんはカドック君の努力を褒めてたし
マシュも尊敬してたし」」
「そ、そんなわけないだろ!僕なんかが認められるなんて」
「さっき話しましたよねキリシュタリアさんとデイビッドさんと三人でケーキを作ったって」
「...あぁ」
「そのときに聞いたんですよ、カドック君をどう思っているのかって」
「え?」
「そしたらお二人ともカドック君のことをべた褒めしだしたんですよ」
「っっっっ!!!!!」
「『彼の努力する姿は尊敬に値する』って」
「ど、どうせお世辞なんだろ...」
「あの天然コンビがお世辞なんて言えるわけないでしょ」
「...」
カドックは黙り込んでしまった
正直俺もあんなにカドックのことを二人がべた褒めするとは考えていなかった
「彼方」
「なんですか?」
黙り込んでいたカドックが俺の名前を呼ぶ
「僕もお前に聞きたいことがある」
「...答えられる範囲ならなんでも」
荒んだ金色の目が俺を見る
「お前のあの強さはなんなんだ?」
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カドックside
「お前のあの強さはなんなんだ?」
僕は目の前の死んだ目をした男に話しかける
僕はAチームのみんなに認めてもらうために努力をしていた
しかし、その目標は既に達成しているとコイツは言った
コイツの話を聞くと本当に僕はAチームの皆に認めてもらっているのだろう、多分
まだ、完全に信じたわけではないが...
そこでふと気になった
Aチームの一員であるベリルが手も足も出ないほどの力を持っている目の前の男は
どうやってそこまでの力を得たのだろうか
一体コイツには何が見えているのだろうか
「強さ、ですかぁ...」
男はうーん、うーんと唸った
「まさかお前は何の努力もなしにあそこまでの力を...」
そうなればコイツは正真正銘の化け物である
「いや、そんなことはないんですけど...目標でいいですか?」
「あぁ、構わない」
もしかすれば僕の新しい目標のヒントになるかもしれない
「大切な人を守るためですかね」
「は?」
男が口を開く
「僕には死んでも守りたい人がいるんですよ」
意外すぎる、まさかこの男からそんな言葉が出て来るとは
瞬間、男の目に灯がともったように見えた
「でも、ただ単に守るだけじゃダメなんです」
「どういうことだ?」
「僕はその人にはずっと笑顔でいて欲しいんです」
「笑顔...」
男は苦笑いを浮かべ話し始めた
「これがまた大変なんですよね、笑顔も守ろうとしたらその人を『守る盾』も壊れない
ようにしないといけないんですよ」
「待て、盾っていうのはなんなんだ?」
「かっこつけて言うと『穢れを知らない純白の盾』、ですかね」
「穢れを知らない...」
僕はその言葉を聞いて何故かAチームに新しく入ってきた人物が頭によぎった
男は続ける
「いやー、大変ですよ。盾を守るだなんて。無理ゲーにも程がある」
男は僕を見る
「だから僕も、今の君みたいに死に物狂いで力を身に着けたんです」
「え?」
男はまた苦笑いをして
「まぁ、僕の場合はトライアンドエラーの連続でしたがね」
「それってどういう...」
僕が疑問言い終わる前に男は立ち上がった
「さて、気づけばこんなに時間が経ってたんですね」
時計を見ると話し始めて一時間が経とうとしていた
「はぐらかされた気もするが、ここでお開きだな」
部屋の扉を開き、退出しようとしていた
「待ってくれ、か、彼方」
「はい?」
男はきょとんした顔で僕を見る
「最後に一つだけ、僕はまだ強くなれると思うか?」
なぜ、コイツに聞きたかったのかはわからない、でも聞いておきたかった
男は僕の目を見て
「なれますよ。自分が何を願うのか、何を叶えたいのか、それを曲げなければ、ね」
そういうと男...彼方は帰っていった
「...何を願うのか、何を叶えたいのか...」
アイツがそう話すとき、いつも感じる胡散臭さは微塵も感じなかった
「僕にもなにかを成し遂げたいと思える何かが訪れるのか?」
僕のこの問いに対するアンサーが帰ってきたのは、『極寒の地』でのことだった。
かなり日が開いてしまいましたね...
これからもマイペースに投稿していきたいと思うので、よろしくお願いします。
感想、誤字脱字報告、アドバイス等お待ちしております!