いよいよ原作スタートです
追記:2024/11/07 内容を一部変更しました
ゲームスタート / 変わらない気持ち
891:転生系名無し
イッチが去ってからかなりのレスが付いたと思うんやけど今どんな状況なんやろな?
892:転生系名無し
>>891
あー、確かに
893:転生系名無し
ナビちゃんも応答せんしなぁ
894:転生系名無し
イッチは原作が始まるときに浮上する言うとったな
895:星喰いの転生者
ということで浮上したで
896:転生系名無し
うおっ
897:転生系名無し
イッチ!
898:転生系名無し
久しぶりやで
899:転生系名無し
始まるんやな
900:星喰いの転生者
>>899
せやで、今日が運命の日や
901:転生系名無し
ついにか...
902:転生系名無し
イッチ準備はできてるんか?
903:星喰いの転生者
>>902
あぁ、できてるで。ちゃんとカルデア職員の好感度下げまくったで
904:転生系名無し
ん?
905:転生系名無し
>>903
ど、どうしてそんなことしたんや?
906:星喰いの転生者
ワイが好感度稼ぎまくると、ぐだ子が人類最後のマスターにならないからや
907:転生系名無し
え?
908:転生系名無し
分かりやすく教えてくれイッチ
909:星喰いの転生者
「魔術の基礎も分からないクソ雑魚魔術回路の一般人」と「虚数元素使えるAチームボコれる魔術師」だったら
絶対後者を選ぶやんけ
910:転生系名無し
確かに、それはそうやな
911:転生系名無し
でもイッチが力を見せつけなければ良くないか?
912:星喰いの転生者
>>911
それが、マシュに乱暴したベリルを半殺しにしたときにバレてしまったんよ
記録は全部消せたんやけど、記憶を消せたのはカルデア職員、マシュ、オルガマリーだけなんや
913:転生系名無し
914:転生系名無し
915:転生系名無し
916:転生系名無し
とんでもないことしてて草
917:星喰いの転生者
腐ってもAチームのベリルを半殺しって...
918:転生系名無し
何気に記憶消したりもしてるし
919:星喰いの転生者
せやから、好感度を下げてぐだ子をマスターにさせることにしたんや、ぐだ子のパーフェクトコミュニケーションがないと人理修復詰むからな、ワイはあくまでサブなんや
920:転生系名無し
>>919
確かに、イッチの性格についてくるサーヴァント少なそうやからなぁ
921:転生系名無し
せやけど、イッチが嫌われる必要はないんやないか?
922:星喰いの転生者
>>921
大ありやで、ワイが嫌われるメリットはそれだけやない、フォウの覚醒を抑えられるんや
923:転生系名無し
!!!!!!!!!
924:転生系名無し
な、なんでや?
925:星喰いの転生者
フォウの覚醒はバットエンド
そして覚醒には『人類が人類に向ける悪感情』がトリガーなんや
926:転生系名無し
『比較』の獣やからな
927:転生系名無し
ま、まさか!
928:転生系名無し
イッチは人外やから...
929:星喰いの転生者
>>928
そう、人類に向けられる悪感情を人外に向けてしまえばいい
『人類→人類』から『人類→地球外生命体』にするんや
930:転生系名無し
あーなるほど
931:転生系名無し
ヘイトを自分に向けるってことか...
932:転生系名無し
カルデアって極限空間やからストレスもたまりやすくなるか
933:転生系名無し
でも、それってイッチは平気なんか?
934:星喰いの転生者
>>933
?
935:転生系名無し
>>933
イッチ、お前が負の感情を向けられ続けて大丈夫なのかって意味やで
936:転生系名無し
そうやで、イッチもキツイんちゃうんか?
937:星喰いの転生者
>>935
これのどこがつらいんや?
938:転生系名無し
え?
939:転生系名無し
イッチ、みんなから嫌われるんやぞ?
味方がいなくなるんやぞ?
940:星喰いの転生者
>>939
だからそれのどこがつらいんや?
これで人理修復がグッと楽になるんやぞ?
メリットしかないやんけ!
941:転生系名無し
>>940
これは...
942:転生系名無し
>>940
メンタルが強いどころの話やないな...
943:星喰いの転生者
あ、そろそろ時間や!実況モードにするで!
944:転生系名無し
イッチ!ちょっと待ってくれ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『報:実況モードに移行しました』
何やらスレ民たちが引いていたが何のことだろうか
俺は自分の部屋のドアを開く
『959:転生系名無し ここは まさか...』
『961:転生系名無し カフェ「nascita」やんけ!!!』
『963:星喰いの転生者 せやで、ダヴィンチにお願いしたら改造してくれたんや』
「あ、そうだ。今からレスを返すの難しくなると思うから、よろしく」
『966:転生系名無し 了解やで』
『967:転生系名無し ポップコーン片手に見とくやで!!!』
ここのスレ民たちはみんな物分かりがいいらしい
一回死ぬと人にやさしくできるのだろうか
「♪~♪~」
ビルドフォンの着信音が鳴る
「もしもし、どうしたんですか?ロマンさん」
『やー!!彼方君!!!!今日の調子はどうだ』ブチッ!
「あっ」
テンションがウザかったので電話を切ってしまった
「♪~♪~」
またビルドフォンが鳴りだした、正直出たくない
「はい...なんですか?」
『いきなり切るだなんて、ひどいじゃないか~(´;ω;`)』
電話から涙声が聞こえてくる
「そのテンション、朝からキツイです。また寝てませんね?」
『うぐっ、そ、そんなことないヨ~』
「声のトーンから推測して3日ですかね?死にたいんですか?」
『うわーん!最近言葉のナイフが鋭いよー、まさかマシュにもこんな感じなのかい?』
「なんでアイツが出てくるんですか?もっとオブラートに包んでいますよ。多分」
『本当なんだろうね?最近マシュの顔が暗いような気がするけど』
「急に保護者にならないでください、そんなことより、本題はなんですか?」
『僕としてはそんなことじゃないんだけど「切りますよー」あぁ!分かった!分かったから!』
ロマニはコホンと咳をして
『今日は最後のマスター候補が来る日だ、その対応を君に任せたいんだ』
「嫌です」
『うんうん、君なら快く返事をしてくれると...え?!嫌!!!』
「嫌ですよ、ファーストオーダー当日に来る一般人の対応なんて、拷問ですか?」
『...彼方君、本当に君に何があったんだい?前は一般人を嫌う素振りなんかなかったじゃないか。』
ロマニの声のトーンが真剣なものに変わる
「...こんなに魔術師がうじゃうじゃしている空間にいたら、考えなんて変わりますって、僕も魔術師になったってことですよ」
『...そうか、...でも、今回は所長命令なんだ』
「所長命令?あの人絶対嫌がらせでしょ」
『うーん、これに関しては彼方君にも非があると思うよ?だって君、彼女こと煽りまくるし』
そう、所長の好感度を下げるための一環として彼女のことを事あるごとに煽っているのだ
『正直、平気で職員の首を切る彼女が君をカルデアから追い出さないのが不思議なレベルだ』
「その件に関してはノーコメントとさせていただきましょうか」
『なんか君、マリスビリーに似てきていないかい?』
「侮辱罪で訴えましょうか?...はぁ、分かりました。ただし、どうなっても知りませんからね?」
『あれ?これもしかして僕脅されてる?問題があって怒られるの僕なんだけど!』
「あっ、そうだ。ロマンさん、朝から所長に呼び出されていませんでしたか?」
『え?』
俺がロマニに伝えると素っ頓狂な返事が返ってきた
『...ま、ま、ま、マズイ!!すっかり忘れてしまっていた!どうしてもっと早く教えてくれなかったんだい⁈」
「今日のアニムスフィアさんはピリピリレベルMaxですからね、ヤバいんじゃないですか?」
『あわわわわわ!と、とにかく、対応頼んだからね!』
「もしも追い出された時のためのとっておきのサボり場送っておきますね」
『うん!ありがたくないけど、ありがとう!それじゃ!』
電話が切れる
俺が送ったサボり場は48番目のマスター候補の部屋である
「じゃあ、廊下でぐっすりの幼馴染に会いに行くとしますか」
『4:転生系名無し 今から立香ちゃんに会いに行くんやな!』
何時の間にかスレが更新されていたようだ、大変便利である
『6:転生系名無し イッチはぐだ子にも嫌われムーブかますんか?』
『7:星喰いの転生者 >>6 せやで、ワイがぐだ子に辛く当たることで、ぐだ子をみんなが味方するように誘導するんや』
『8:転生系名無し ここまでするって、イッチ覚悟ガンギマリやんけ...』
『9:転生系名無し こんなに覚悟決まってる奴は久しぶりやな...』
スレ民たちと会話をしていると、橙色の少女と白のリスのような生物を肩に乗せた藤色の少女が楽しく談笑しているのが見えてきた
『19:転生系名無し イッチの演技力がどれほどなのかこれで分かるな』
『20:転生系名無し 大根役者かもしれんぞw』
ヤジが少々うるさいが、まぁいい
演じるとしようか『最低な魔術師』を
「おや、おやAチームのお前がこんなところで呑気に話していていいのかい?」
「__っ!彼方さん...」
マシュはそれまでの楽しそうな表情を引っ込め、苦々しい目でこちらを見てくる
「カナ、くん?」
橙色の少女は、信じられないといった様子だ
「カナくん...カナ君!こんなところで会えるなんて!」
彼女が俺に抱き着こうとした...が
「キャッ!」
「_ッ!先輩!」
俺は彼女を突き飛ばした
彼女は勢いを抑えきれず、尻餅をつく
「か、カナくん? ど、どう、して?」
彼女の目は驚愕と恐れに揺れている
俺はぐだ子が触った部分を手で払う
「近づかないでもらえるかな?48番」
マシュは彼女を支えながらゆっくりと起こす
「はぁ、ただでさえ、一般人の相手なんて拷問に近しいのに馴れ馴れしく触れてくるだなんて」
俺は幼馴染を睨む
「全く、反吐が「イイカゲンニシロフォーーーウ!!!」ぶべら!」
我慢の限界がきたフォウのきりもみ回転蹴りを見事に顔面に食らってしまった
「「フォウくん(さん)?!」」
フォウは俺の顔面にしがみついて離れない
「お前、離れろ!もふもふで殺す気かこの白モップ!」
「フォウ!キュー、キャーウ」(覚醒はしないけどそれとは別でやりすぎだ!)
マシュと立香は、開いた口が塞がらない様子
「ど、どうやらフォウさんは彼方さんの言動に怒ってくれているようです」
「そ、そうなんだ。ありがとね、フォウ君!」
「フォウ、キュー!」(ロクデナシ、ヒトデナシの制裁は任せろ!)
「誰がろくでなしだ!こんの白モップ!」
フォウは俺をこれでもかと肉球でビンタする
『報:お楽しみ中のなか申し訳ございません。「レフ・ライノール」が接近中です』
楽しんでるわけじゃないだが、悪役ムーブ邪魔されたんやが
ナビから伝えられた瞬間、フォウも感じ取ったのか俺に右フックをかますと「グホッ!」、どこかへ消えて行った
「おや?そこに寝っ転がっているのは彼方君かい?なにがあったのかね?」
レフは顎に手を当てながら、そう尋ねて来る
「いえいえ、モップに窒息死にされそうになっていただけですよ、気になさらず」
俺はフォウの毛を払いながら立ち上がる、あの獣、覚えてろ
「そうかい? それはそうとマシュ、だめだぞ、断りもなしで移動するのは良くないと...」
レフはそのまま、立香を見る
「おっと、君は...そうか、今日から配属された新人さんだね?」
「私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ」
「君の名前は...?」
レフがそう言うと、立香は
「藤丸立香です!よろしくお願いします!」
元気いっぱいに自己紹介をした
立ち直りが早すぎではないだろうか?
「ふむ、立香君と。 招集された48人の適性者、その最後の一人というワケか」
「ようこそカルデアへ。歓迎するよ」
「歓迎なんてしなくていいですよ、レフさん」
俺はレフに視線を向けながら話す
「この一般人は、数合わせで呼んだ枠です、僕だったら雪山に放り込んでますよ」
背後のため、顔は視れないが、彼女の顔はムスッとしているだろう
「そんなこと言ってはダメだよ、彼方君」
レフは俺の肩をポンと叩く
不意打ちを疑ったが、どうやら魔術はかけられていないらしい
「立香君、彼はこう言ってるけど悲観しないでほしい、今回のミッションには君たち全員が必要なんだ」
そらお前の計画には必要だわな
「魔術の名門から38人、才能ある一般人から10人...なんとか48人のマスター候補を集められた」
爆破のためにな
「これは喜ばしい事だ。この2015年において霊子ダイブが可能な適性者すべてをカルデアに集められたのだから」
お前にとってわな
「分からないことがあったら私やマシュ、彼方君...はやめておいた方がいいだろうね」
(フォウ!)
どこからともなく白モップの声が聞こえた気がするが気のせいだろう
「そういえば、彼女と何を話していたんだいマシュ?らしくないじゃないか。以前から面識があったとか?」
レフがマシュに尋ねる
「いえ、この区画で熟睡していらしたので、つい。面識であるならば彼方さんとあるようです」
「彼方君とかい?」
驚いたように目を見開く
「はい、カナくんとは小さなころからの幼馴染で、カナくんがここに留学するまでは仲良しでした。今は...嫌われているようですけど」
立香は飼い主に怒られた犬のようにしおれている
待ってくれ、そこまで落ち込むのか?
俺の考えていた悪役ムーブをしていたら、どうなっていたのだろう...
「まさか彼方君に幼馴染がいるとは驚いた。ん?待てよ、熟睡していた?立香君が、ここで?」
レフは思いついたとばかりに帽子を触る
「あぁ、さては入館時にシミュレートを受けたね?慣れてないと霊子ダイブは脳にくる」
「一種の夢遊状態だ、立香君が倒れたところでちょうどマシュが声をかけたのさ」
マシュはなるほどと相槌を打つ
「見たところ異常はないが、万が一ということもある。医務室まで...」
ちらりとこちらを見てきたので、首を横に振った
「すまないね、もう少し我慢してくれ。じき所長の説明会がはじまる、急いで出席しないとね」
「説明会?」
立香が首をかしげる
「はい。立香さんと同じく、本日付で配属されたマスター適性者の方たちへのご挨拶です」
「ようは組織のボスから、浮ついた新人たちへのはじめの挨拶ってヤツさ、しつけとも言うね」
「ちなみに、所長は些細なミスでも根に持つタイプだ、それは彼方君が実証済みだよ」
レフは俺をからかった
「僕のことは結構です。それより、5分後に中央管制室で説明会がはじまる、急げ」
俺は流れを断ち切り、立香に冷たく教えた
「わ、分かった」
立香はぎこちなく頷く
「レフ教授。わたしも説明会への参加が許されるのでしょうか?」
マシュがレフに聞く
「まぁ、隅っこで立っているくらいならいいだろうけど、なんでなんだい?」
「先輩を管制室まで案内するべきだと思ったのです。途中でまた熟睡される可能性があります」
マシュは淡々と理由を述べた
レフは軽く悩み
「君をひとりにすると所長に叱られるからなぁ、結果的に私も同席する、ということか」
いかにも嫌そうな顔をするレフ
「まぁ、マシュがそうしたいなら好きにしなさい、立香君、彼方君もそれでいいかい?」
「はい!」
「僕は所長命令なので何も言いませんよ」
レフは二人の返事にうなずいた
「よし、他に訊いておく事はある?」
レフが立香に問いかけると立香は思い出したかのように訊いた
「あっ、そういえばなんで私の事 先輩 と呼ぶんですか、この子」
するとマシュの頬が微かに赤く染まる
「あぁ、気にしないで。彼女にとって、君ぐらいの年頃の人間はみんな先輩なんだ」
「でも、はっきりと口にするのは...もしかして初めてかな?」
「私も不思議になってきたな、ねぇマシュ。何だって彼女が先輩なんだい?」
レフは興味深々と言った様子だ
マシュは考えながら話す
「理由...ですか?立香さんは、今まで出会ってきた人の中でいちばん人間らしいです。」
『41:転生系名無し 言われてるでイッチ」
『42:転生系名無し イッチは論外の域やもんな』
スレでは散々な言われようである
「ふむ、それは、つまり?」
「まったくの脅威を感じません。ですので、敵対する理由が皆無です」
俺を見ながら言うのはどうかと思うぞ、マシュ
「なるほど、それは重要だ!カルデアにいる人間は一癖も二癖もあるからね!」
「私もマシュの意見には賛成だな、立香君とはいい関係が築けそうだ!」
俺を見ながら言うのは誠に遺憾だぞ、レフ
「レフ教授が気に入るということは、所長がいちばん嫌うタイプの人間ということですね」
マシュが苦笑いを浮かべる
「僕は、トイレにこもってボイコットするのが妥当だと思うよ」
バカにしているという感じで立香に言った
「君はロマニに似てきたね...ここは運を天に任せて出たとこ勝負だ」
こうして俺たちは中央管制室へと入っていった
「ここが中央管制室です。先輩の番号は...一桁台、最前列ですね」
マシュが案内するが、立香の顔色が悪い
「先輩? 顔の色が優れていないようですが?」
「ごめん、まだ頭がぼうっと」
「ごちゃごちゃ言わずに、座りなさいっと」
「押さないでよ、カナくん」
立香が抵抗する
「カナくんって呼ぶな48番」
俺がそう言うと立香は頬をぷくっと膨らませた
半ば強引に立香を並ばせる
なにか視線を感じるので、正面を向くとオルガマリーがこちらを睨んでいた
「......」
アレはストレス限界値を超えているな、爪を噛まないように必死に抑えてる
でも、面白くないものを見てるような目で見るのはおかしくないか?
「彼方さん、医務室に先輩を運んだ方が...」
「黙れ、余計なことを言うな」
俺がマシュを睨みながら黙らせる
「__っ!は、はい。すみません」
マシュはビクッと肩を震わせた
『53:転生系名無し イッチ!マシュちゃんになんてことを!』
『54:転生系名無し 絶許!絶許!絶許!』
スレではマシュ推しがブチギレている
「彼方君、それくらいにしなさい、すでに始まっているからね」
レフが俺を宥め、俺とマシュを下がらせる
いつの間にか説明会が始まってしまったようだ
オルガマリーがしかめっ面で話始める
「時間通りとはいきませんでしたが、全員そろったようですね」
こくり、こくりと橙色の頭が揺れているのが見える
はは、終わったわアイツ
「特務機関カルデアにようこそ。所長のオルガマリー・アニムスフィアです」
:
:
:
:
:
:
:
:
「...まったく。こんな初歩的な時空論も知らない人間をよこすなんて、協会は何を考えているのかしら。」
立香の素朴な疑問にオルガマリーは軽蔑混じりのため息を吐く
クスクスと周りの新入員が立花を嗤う
当の本人はまったく気が付いていないようだが...
「君はどこのチームなの?ちょっとID見せて」
オルガマリーが立香のIDを確認し、目を見開く
「なにこれ、配属が違うじゃない!一般協力者の、しかも実戦経験も仮想訓練もなし!?」
オルガマリーの叫びに周りの魔術師が反応する
「聞いたか?一般人だってよ」「有り得ないよなぁ」
「私、一般人と一緒に働きたくなーい」 「考えられないわーw」
コソコソと喋っているが十分聞こえる
立香はまた、こくりとこくりとしていて周りの声が聞こえていないようだ
マジかよアイツ
『63:転生系名無し うわぁ』
『65:転生系名無し イッチの演技やりすぎって思ってたけどそんなことないわ』
『66:転生系名無し 立香ちゃんには聞こえてないようだけど』
「わたしのカルデアを馬鹿にしないで!あなたのような素人いらないわ!!!」
どうやらこれまで説明会で溜まっていたストレスが爆発しているようだ
「ちょっと、レフ!レフ・ライノール!!」
オルガマリーが叫ぶ
「レフさん?お呼びですよ?」
俺がレフに言うと、レフは深いため息を吐きながらオルガマリーのもとにいく
『71:転生系名無し レフ、ドンマイ』
『72:転生系名無し この所長の相手するのキツそーw』
スレの中にはレフに同情する者も見受けられる
「ここにいますよ所長。どうしました、そんな声高に。何か問題でも?」
うん、アイツは分かって言っているな
火に油を注ぐのが上手い
「問題だらけよ!いいからこの新人を私の前からたたき出して!」
オルガマリーがそう言うとレフは困った顔をする
「なるほど、そういうコトですか。お言葉ですが所長、彼女も選ばれたマスター候補です
そこまで邪険に扱うこと自体が問題というか...」
レフの言い分にオルガマリーが反論する
「何の経験もない素人を投入するコト自体が問題よ!わたしのカルデアスに何かあったらどうするの!?」
そう言うとオルガマリーはあたりを見まわし、こちらを見る
「あら?ちょうどそこに雑用係がいるじゃない、彼方!連れて行きなさい!」
見下しながら彼女は俺を呼ぶ
「おやおや、これは彼方君くらい嫌われているね、とりあえず命令には従おうか」
「一言余計です、レフさん。マシュ、手伝え」
「は、はい!」
俺はマシュを呼び、寝坊助を立たせる
「では僕はマシュとこの寝坊助を個室に案内すればいいんですね?」
レフに問う
「すまないね。私はレイシフトの準備があって同行できないんだ。
実験が終わったあとに部屋を訪ねさせてもらうよ。」
「ありがとうございます。レフさん」
顔色の悪い立香が申し訳なさそうに感謝を述べる
「なーに。礼には及ばないさ、君は本当に運がいいからね」
うわー、悪い顔、これ見る人がみたらバレるだろ
「それでは先輩。こちらへ。先輩専用の先輩ルームにご案内しますので」
マシュの天然ボケが発動したところで...
<パシッ!>
「っ!何のつもり?彼方?」
立香に向けられた所長の平手打ちを受け止める
「いえ、平手打ちよりも寝坊助に効くツボがありましてね。掌のここをグッと押すと...」
立香の片手を取り、眠気覚ましのツボを押す
「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
到底女の子から出てはいけない声が立香からでる
オルガマリーとレフは顔が引きつっている
「さ、流石医療班の助手ね「所長も...」け、結構よ!いいから早く出て行きなさい!!!」
俺たちは痛みに悶絶する立香を運びながら部屋をでる
「う、うぅ。私、もしかしなくても寝てた?」
まだ痛みが残っているのかヨロヨロと歩きながら立香がマシュに問う
「はい。眠っていたかどうかで言えば、どことなくレム睡眠だったよな...
ともあれ、彼方さんのツボ押しで完全に覚醒したようで何よりです」
「まだジンジンしているよぉ、カナくーん」
恨めしそうにこちらを見る
「だから、カナくんじゃなくて彼方さんだ。ファーストミッションを外されたお前は
自分の部屋でその愚かさを嘆い「フォーーウ!」ブフォ!」
俺が悪役ムーブをかまそうとしたところでフォウの蹴りが顔面にヒットした
『83:転生系名無し フォウ君ナイスやで!』
『84:転生系名無し いい飛び蹴りやなぁ』
なぜかスレではフォウを称える奴しかいなかった
その後、何事もなかったようにマシュの肩に乗るフォウ
「カナ...彼方さん!」
立香が言い直しながら俺に駆け寄る
「余計なお世話だ...近づくな」
「ご、ごめん」
立香はしょぼーんとした顔でマシュの隣へ移動した
「フォウ」(仲良くしなよ!)
直接脳内に話しかけるな白モップ
「マシュ、いつもフォウ君ってこうなの?」
立香がマシュに問う
「いいえ、先輩。フォウさんはいつもわたしの顔に奇襲をかけ、そのまま背中にまわりこみ、
最終的に肩へ落ち着きたいらしいのです」
「そ、そうなんだ。名付け親ってマシュなの?」
マシュはコクッと頷く
「その通りです。特に理由はないのですが、直感でフォウという単語が浮かんだのです」
「白モップで十分だそんなヤツ」
俺がそう言うとフォウが唸る
「ですが、それを見抜くとは流石先輩。先輩もかなりの直感持ちと見ました」
マシュが褒めると立香はふふーんと胸を張る
「クー、フォウフォウ、フォーーウ!」(こんなにいい娘がお前の幼馴染とかもったいないぞ!)
「ふむふむ、どうやらフォウさんは先輩を同類として歓迎しているようですね...」
違うぞー、盛大に俺を煽っているだけだぞー
同類にするなー、ビーストとか洒落にならないぞー
「しかし、人間をライバル視するリスのような生き物は有りなのでしょうか」
捕食者って意味のライバルだぞー
「うーん、こっちに訊かれてもなー」
立香は困り眉を作る
「まぁ、フォウさんのことですから明日には忘れているでしょう、それはそれとして、です」
マシュに下に見られてるぞーwビーストⅣ
「フォウ」(まぁ、仕方ない)
なんで俺のときは蹴り入れられるんだよ...
「着きました、こちらが先輩用の個室となります」
「ありがとう!あっ、そういえばマシュって何チームなの?」
「Aチームだ、もうそろそろ時間だろ。早く行け」
俺が話を遮り、マシュを急かす
「す、すみません。彼方さん。先輩をよろしくお願いいたします」
「雪山に叩き込まないように気を付けるとするよ」
「ははは、それでは私はこれで。運が良ければまたお会いできると思います」
マシュはペコリと一礼して、管制室の方へ向かっていった
まぁ、数分後にショッキングな再会を果たすのだが
「カナ...彼方さんっていつもマシュにあんな態度なの?」
立香がフォウに訊く
「フォーウ」
フォウがやや低い声で答える
「聞こえてるぞ、ほら早く中に入れ」
俺がドンと立香を押す
納得していない顔で立香がドアを開く
「はーい、入ってまー...って、うぇぇぇぇ⁉誰だ君は⁉」
中からマヌケな男の声が聞こえる
どうやら作戦は成功したようだ
「ここは僕のサボり場だぞ⁉誰のことわりがあって入ってくるんだい⁉」
「え!私ここが部屋だと案内されたんですけど...」
立香が申し訳なさそうに答える
「君の部屋?ここが?おかしいなー僕、彼方君にここ教えてもらったんだけど」
「え?」
立香が後ろを振り返る
「あーすみませんロマンさん。てっきり来ないと思って部屋教えちゃってました」
ひょこっと体を出しそのまま部屋に入る
「えぇ、それは彼女に失礼すぎないかい?」
ロマニと立香がジト目で俺をみてくる
「まぁいいじゃないですか、せっかくですし自己紹介とかどうですか?」
「彼方君、流すのが上手くなったね...」
コホンとロマニは一呼吸を置く
「いやぁ、はじめまして立香ちゃん。予期せぬ出会いだったけど、改めて自己紹介しよう
僕は医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。
なぜかみんなから『Dr.ロマン』と略されていてね
君も呼んでくれて構わないよ」
「改めて聞くと、甘くていいかげんな感じ半端ないですね」
「そこがいいんだよ、彼方君」
俺のイジリにロマニはのほほんと返した
「はじめまして、ドクター!
私の名前は藤丸立香です!よろしくお願いします。」
ペコリと立香は自己紹介する
「うん、はじめまして。今後ともよろしく」
ロマニは立香から視線をずらし、フォウを見る
「あれ?彼方君を往復ビンタしているのって、もしかして噂の怪生物?
うわぁ、見るのは初めてだよ!」
止めてくれてもいいんじゃないかいロマニ?
ビーストの往復ビンタ、かなり痛いんだよ?
ロマニがフォウを手懐けようとするが、帰ってきたのは残念なものを見る目だった
「...フウ」(はぁーーーー)
「なんかすごい目でシカトされたんだけど...」
ドンマイ、ドクターロマン
「ま、まぁ大体話は見えてきた。君は今日ここに来たんだけど、所長のカミナリを受けたんだろう?」
「は、はい。」
立香が気まずそうに答える
「なら僕と同類だ。だって、僕も彼女に叱られて待機中だったからね!」
「そんなハキハキ言わないでくださいよ、恥ずかしいです」
俺がため息を吐く
「あ、あの...カナく...彼方さんとは仲が良いんですか?」
立香がしどろもどろにロマニに質問した
「うん、何と言っても彼方君は僕の助手だからね
仲はいいと思うよ...言葉は鋭いけどね」
ロマニは俺を見ながらそう答えた
「それは、ロマンさんが頼りないからですよ、もっとしゃきっとしてください」
俺がやれやれと両手を上げる
「あははー、あっ、そういえば。彼方君と立香ちゃんは仲が良いのかい?」
「は?」
「え?」
俺と立香は目を見合わせすぐに反対を向く
「あれ?そうでもない?立香ちゃんが愛称で呼ぼうとしてたと思うんだけど」
あれれ?とロマニは首をかしげる
「そこの一般人とはたまたま幼馴染で勝手に昔の呼び方をしてくるだけですよ」
俺が訂正を入れる
「あ、あぁ。そ、そうなんだね」
立香はプクーと頬を膨らませる
「以前は優しかったんです、カナ...カナくんは」
言い切ったぞ、たくましいなオイ
「だから、その呼び方はやめろと言ったはずだ。大体「まぁまぁ」」
ロマニが仲裁に入る
「いいじゃないか、彼方君。こんなに可愛い幼馴染にここで会えるなんて
これは運命だと思って、仲良くしたほうがいいよ!」
俺はロマニに置かれた手を強く振り払った
「すみませんロマニさん。僕はコイツと仲良くする気はないです。
魔術もろくに使えない奴なんて、いるだけ無駄ですよ」
「___っ!」
冷たく俺は言い放った
「彼方君!!そんな言い方はダメだよ!...ごめんね。立香ちゃん、前はもっと優しかったんだけど
突然こんな性格になってしまってね。」
ロマニが俺の発言を注意しながら、親のように立香に謝った
「そ、そうなんですね!大丈夫ですよ!全然気にしていないんで!」
立香は頬をかき、笑いながらロマニに返す
「フォウ...」
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:
「と、まぁこれがカルデアの基本的な情報かな?」
「地下6000mなんて想像がつかないです...」
ロマニに立香はカルデアについて教えてもらっていた
俺はというと
「フォウ!フォウ!キュー」(そこは、やめてぇ!)
モフモフとフォウのお腹をもみ続けていた
「フフフ、ここがええのだろうー」
「キュー、フォウー!」(お代官様ー!!!)
誰だ、コイツに時代劇みせたやつ
『♪♪! ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないかい?
Aチームの状態は万全だが、Bチーム_______』
レフのお呼び出しが来たということはもうそろそろなのだろう
『110:転生系名無し いよいよやな...』
『111:転生系名無し にしても立香チャン可愛いな』
『112:転生系名無し こんなかわいい子に冷たくできるとかイッチは鬼畜や!』
なんかスレでは物凄く好き放題言われている
「ここ、医務室じゃないですよね?」
立香のツッコミが入る
「マズイ、ここからだと五分はかかるぞ!ってあぁ、今のはレフ・ライノールといって
簡単に言うとあのカルデアスを見るための装置『シバ』を作った魔術師だ。
シバはカルデアスの観測だけじゃなく、この施設内のほぼ全域を監視し、写し出すモニターでもあるんだ」
まぁ、ベリル半殺しにしたときはハッキングして、レフには見えないようにしたんだけど
『報:ハッキングをしたのはマスターではなく、この私です』
はいはい、助かってますよ
ナビゲーションの域を逸脱していると思うのだが...まぁいいか
「他にもレイシフトの中枢システムを構築したのは前所長、その理論を実現させるためのスパコンは
アトラス院が「ロマンさん」なんだい?彼方君」
俺はロマ二の説明を止めさせる
「おそらくですけど、この一般人頭に入ってないですよ」
立香を指さす
「そ、そんなことないよ!ちゃんとドクターの説明は頭に入ってる!」
「じゃあ、この施設を監視しているのは?」
俺は立香に問う
「え、えーと...ユバ?」
「美味しく頂いてどうするんだよ、『シバ』だろ」
「い、いやいや。今のはジョークだよジョーク。あははは」
立香は必死に自分の間違いをごまかす
「あ、あはは。まぁ...いろんな才能が集結して今回のミッションが行われるってだけ
分かればいいかなぁー」
愛想笑いをしながらロマニは言った
「ホントに、僕みたいな平凡な医者が立ち会ってもしょうがないけど、お呼びとあらば行かないとね」
...平凡な医者ねぇ
「お喋り付き合ってくれてありがとう。立香さん、それに彼方君
落ち着いたら医務室に来てくれ、ケーキを御馳走しよう」
「それって僕が作<ブツン!>...った」
突然、部屋の照明が消える
そして
「なんだ?明かりが消えるなんて、何か___」
爆音が世界を支配した
『緊急事態発生。緊急事態発生。 中央発電所、及び___』
けたたましいサイレントと場違いなほど冷静なアナウンスが鳴り響く
「今のは爆発音⁉ 一体何が起こっている...⁉」
「な、なに、これ」
二人は必死に状況を理解しようとしている
「モニター、管制室を映してくれ! みんなは無事なのか!」
ロマニがそう叫ぶと、一面真っ赤の管制室が映る
「こ、これは...」
ロマニの顔は真っ青を通り越して真っ白になっていた
「か、管制室って...ま、マシュは...?」
震えた手をもう片方の手で必死に抑え、少女が呟く
「立香、彼方。すぐに避難してくれ。僕は管制室に行くもうじき隔壁が閉鎖するからね。
その前にキミたちだけでも外に出るんだ!」
ロマニが部屋のドアを急いで出る
フォウと立香は見つめあっている
「っ! そうだね、マシュを助けに行かないと」
「待った」
俺は立香の前に立つ
「助けに行ってどうするんだよ、お前は無力だ。モニターを見ただろ?
どうせお前が助けにいってもアイツは「それでも!!!」...」
立香は俺の目を見る
「私は、マシュを助けに行きたい!だってマシュは...私の大事な後輩だから!」
そう言い放つと立香はフォウを連れ、ドアを飛び出していった
俺はスレをミュートにした
「...分かっていたさ、キミを止めるなんてできないことぐらい」
「そうやってキミはいつも先にいってしまう」
『私の大事な後輩だから!』
「は、はハは、ずるいなぁ...」
『問:...実況を再開しますか?』
...あぁ
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:
:
:
:
:
:
「いや、なにしてるんだキミ⁉ というか、彼方君は⁈」
ロマニが強く問いかける
「止めてくれたんですけど、来ちゃいました。マシュを...後輩を助けたくて」
「っ! あぁもう、言い争ってる時間も惜しい!隔壁が閉鎖する前に戻るんだぞ!」
二人は走る
「...生存者はいない。無事なのはカルデアスだけだ」
「そ、そんな」
立香はへたりと座り込む
「ここが爆発の基点だろう。これは事故じゃない、人為的な破壊工作だ」
確信を持ったようにロマニは呟く
『動力部の停止を確認。 発電量が不足しています_____』
追い打ちをかけるようにアナウンスが鳴った
「僕は地下の発電所に行く。キミは急いで来た道を戻るんだ。
いいな、寄り道はするんじゃないぞ!外部からの救助を待つんだ!」
「...............」
ロマニは言い終えると地下に走っていった
『システム レイシフト最終段階に移行します
座標 西暦 2004年 1月 30日 日本 冬木 』
アナウンスは立香の耳には入らない
立香は後輩を探し続ける
「...っ!」
見つけた
急いで少女に駆け寄るが絶句する
「.........、あ」
「マシュ! 今助けるから!」
しかし、少女一人の力では彼女を押しつぶしている瓦礫を取り払うことはできない
「せん、ぱい。...は、やく にげない、と」
自分の死期を悟ったのか少女は立香に逃げろと言う
「そんなことできるわけない!!マシュを置いていくなんてできない!」
立香の焦りを表すようにカルデアスが真っ赤に燃え上がる
「飛び出した結果はどうだい?」
皮肉交じりの言葉が立香に届く
「カナ、くん どうして」
「かな、たさん」
「オイあまり瓦礫を動かすな、手を離せ」
俺は立香の手を強引に瓦礫から離す
「で、でも。 マシュを助けないと」
立香は俺を責めるように言う
俺は立香の肩をしっかりと持つ
「落ち着け、今コイツの上にある瓦礫を急に撤去したら『クラッシュ症候群』が起きて
助け出したとしても、数時間後には死ぬ可能性が高いんだ」
立香の目を見る
「この規模の爆破だとおそらく医療器具の破損...いや、けが人を運び出すことも困難だ」
「じゃあ、どうすればいいの⁉」
立香は縋りつくように俺に問う
「だから言っただろ、お前が行っても何もできないって」
ハッと少女は目を見開く
『中央隔壁 封鎖します。 館内洗浄開始まで あと 180秒 』
「閉まっちゃい、ました。 もう外...には」
「ごめん、マシュ...私が、なにもできないから」
立香は大粒の涙を目に溜め、マシュに謝る
『コフィン内のマスターのバイタル 基準値に 達していません』
『レイシフト 定員に 達していません。
該当マスターを検索中...発見しました』
『適応番号0 彼方・エイトスターズ 適応番号48 藤丸立香 を マスターとして
再設定 します』
「...マシュ」
「か、なたさん?」
俺は瀕死の少女に問いかけた
「お前は何を望む? 恐怖に耐え 熱さに耐え 助けに来てくれた 先輩に」
「わたし、は」
『アンサモンプログラム スタート 霊子変換を開始 します』
「あの...せん、ぱい」
「グズッ、ごめんなさい マシュ」
立香は己の無力さに打ちひしがれながらも、少女の声は届いていた
「手を、握ってもらって、いいですか?」
マシュは今できる精一杯の力で立香へ手を伸ばす
「___っ! ...うん」
立香は目に涙を浮かべながらも、慈しみを持った笑顔で彼女の手を握る
絶対に離さないという意思を感じた
マシュは握られた手を見ながら、穏やかに笑みを浮かべる
『レイシフトまで 残り3』
「どうして来てくれたの?」
「あのままだと僕が臆病者だと思われるかもしれないからな」
『2』
「嘘つき、私のことが心配になったからでしょ?」
「違う、僕のプライドが許さなかっただけだ」
『1』
「素直じゃないなー、 ...ねぇ、カナくん」
「...なんだよ?」
『全行程 完了 ファーストオーダー 実証を 開始 します』
辺りから轟音が鳴り響き、立香の声が掻き消える
「どんなに君が変わったとしてもやっぱり私は...」
彼女が何を話しているかはわからないが、その顔はとてもきれいだった
「あなたのことが大好き」
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