ハッピーエンドに導く方法   作:ギリギリニート

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嫌な夢

 

これはマシュが彼方の必殺技を防いだ直前の話

 

 

「あ、わたし...宝具を、展開できた...んですか...?」

 

 

マシュは自分の震える両手を見ながら呟く

 

 

「やるねぇお嬢ちゃん、まさかマスターともども無傷とはね 褒めてやれよ、立香」

 

 

キャスターが二人に近づき、立香の肩をボンと叩く

 

 

「先輩...わたし、いま...!」

 

 

「やったね! マシュ!  おめでとう!!!」

 

 

「キャッ!」

 

 

立香はマシュに抱き着きながら彼女を称える

 

 

「フォウ!フォーーーウ!!!」

 

 

フォウもピョンピョンと飛び跳ね喜んでいるようだ

 

 

『驚いたな、こんなに早く宝具を展開できるなんて、マシュのメンタルはこんなに強くなかったのに...』

 

 

「そりゃあアンタのとらえ方の問題だ お嬢ちゃんは守る側の人間だ」

 

 

「しかし、キャスターさん 私は宝具を使えるようになりましたが、まだ宝具の真名も、英霊の真名も分かりません」

 

 

マシュは嬉しさ半分、悔しさ半分といった様子だ

 

 

「未熟でも、仮のサーヴァントでもいい そう願って宝具を開いたのねマシュ

英霊そのものになる欲なんて微塵もなく、ただ立香を守りたかった 

とんだ美談だけど、とっても素敵だわ」

 

 

多少の嫌味が混じっているがオルガマリーはマシュを褒める

 

 

「でも、真名なしで宝具を使うのは不便よね...宝具の疑似展開、ね」

 

 

彼女は目を閉じて考えている そして思いついたとばかりに指をスナップする

 

 

「ロード・カルデアス...ロード・カルデアスと名付けなさい」

 

 

「ロード...カルデアス」

 

 

「そう、カルデアはあなたにも意味のある名前よ。 霊基を起動させるのにピッタリだと思わない?」

 

 

「は、はい! ありがとうございます、所長!」

 

 

マシュは嬉しそうに感謝を述べる

 

 

『ロード・カルデアス...うん。 マシュにピッタリだね! 』

 

 

ロマニがうんうんと頷く

 

 

「それはそうと、アイツ 彼方には言いたいことが山ほどあるわ! もうちょっとで二人が死ぬところだったのよ? 一体何を考えているのかしら」

 

 

オルガマリーが彼方の言動を指摘する

 

 

『そうだね、彼は立香ちゃんが離れられないように魔術で拘束していたし、マシュが防がなければ二人は本当に死んでいたかもしれない。 少し...いいや、しっかりと説教しなくちゃね』

 

 

ロマニも彼の行動に憤慨しているようだ

 

 

「...って、アレ? そういえばカナくんってどこに行ったの?」

 

 

立香がキョロキョロと辺りを見回すが一向に姿が見えない

 

 

「坊主か? 坊主ならお嬢ちゃんの宝具であそこまでぶっ飛ばされていたぜ?」

 

 

キャスターが指さす方向を一同が見る

 

そこには遠くから見ても分かるほどの穴が開いた校舎の一角があった

 

 

「もしかして、彼方さんはあそこまで飛ばされて...」

 

 

「と、とりあえず 行こう!」

 

 

一同は彼方がいるであろう校舎へ急いで向かった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

彼方さん! 危ない!

 

 

『え?』

 

 

突然背中を強く押される

 

俺はその勢いで前へ転んでしまった

 

何が起きたのかが理解できず、背後を振り返る

 

そこには

 

 

『よかっ...た まも、れて』

 

 

『え、ぁ ●●●...?』

 

 

体のほとんどが消滅した少女がいた

 

俺は倒れてしまった少女に駆け寄る

 

 

『なんで...どうして! ●●●は●●●のサーヴァントだろ! なんで俺を庇ったんだよ!』

 

 

『ねぇ、●●●! そんな...嫌 嫌ァァァァァァァァァァ!!!!』

 

 

隣には、少女を見て泣き叫ぶ橙色の少女

 

 

『彼方、さんがいなく、なると●●が悲しみま、すから』 

 

 

『何言ってんだよ!!!』

 

 

俺は少女に治癒魔術をかける

 

しかし、傷は塞がらない

 

無力な自分に怒りがこみ上げてくる

 

 

『あぁ、最後に...●●の大切な人が守れて本当によかったぁ...』

 

 

少女の残っている側の目からは涙が流れていた

 

 

『おい!お前ら!見てないで助けろよ!』

 

 

他のサーヴァントに助けを求めるが誰もが顔を俯かせたまま黙っている

 

 

『何黙ってんだよ!!! キャスター! お前なら治せるよな!』

 

 

彼女の肩を強く掴む

 

しかし、帰ってきた言葉は

 

 

『ごめんなさい、マスター...』

 

 

謝罪の一言だった

 

魔女と呼ばれ恐れられていた彼女は、悲痛な表情をしている

 

 

『なんだよ...それ...』

 

 

キャスターを突き飛ばし、死にかけの少女の元にフラフラと戻る

 

 

『●●●! ●●●! 嫌だ! 死なないで!』

 

 

しかし、橙色の少女の懇願とは裏腹に少女の目は光を失っていく

 

 

『●●、●●。 かなたさ、ん 』

 

 

少女は俺と●●●の名前を呼ぶ

 

 

『今まで、の 旅路は つらかった けれ  ど』

 

 

残った方の手で俺たちの手を握る

 

 

『ここ ま、で いっ しょに いれて し あわせ で、した...』

 

 

瞬間、少女は息絶えた

 

 

『______________っ!!!!!』

 

 

橙色の少女の言葉にならない叫び声が響く

 

 

『そんな...ここまで来たのに、俺はまた...』

 

 

冷たくなってしまった少女を見る

 

藤色の少女の最期は笑顔だった

 

 

 

奪ってしまったのだ彼女の命を

 

青空を見たいという彼女の夢を

 

 

『うぐっ ひっぐ ぐすっ』

 

 

大切な幼馴染の笑顔を

 

 

 

 

 

 

 

...酷い夢を見たようだ

 

シュヴァインの件があってから俺はこのような夢を見るようになった

 

まぁ ある程度肉体が成長し、眠るという行為をする必要がなくなってからはずっと起きているので見ることはなかったのだが...

 

この体にしてくれた女神様には頭が上がらない

 

と、女神様に再び感謝をした後 自身の体を見る

 

475:転生系名無し うわー イッチボロボロやんけ

 

476:転生系名無し 白衣が血だらけになっとるやん...

 

478:転生系名無し 下のパーカーも血まみれやな』 

 

今の俺はビルドの装甲をもってしても、耐久力が低いらしい

 

ハザードレベルが上がっていけば、強化されていくのだろう

 

なんせ、まだレベルは3.2のままである

 

やはり、あの引き金を引く必要があるようだ

 

そんなことを考えていると、複数の足音が聞こえてきた

 

 

「カナ君!大丈、夫...」

 

 

真っ先に教室へ入ってきた立香は俺の姿を見て驚愕する

 

オルガマリーや、マシュも目を見開いている

 

なんだこのSAN値チェックが始まりそうな表情は

 

 

「かな、たさん」

 

 

マシュは悲痛な顔を浮かべている

 

 

「おやおや、大口を叩いて無様に負けた僕を笑いに来たのかな?」

 

 

俺はふらふらと立ち上がる

 

 

「そ、そんなわけないじゃん!」

 

 

立香は必死に否定する

 

 

「こりゃーひどくやられたもんだな坊主」

 

 

キャスニキは俺に向かって回復の魔術をかける

 

 

「坊主のあの動きまるでセイバーの野郎を見ているようだったぜ」

 

 

バシバシと背中を叩いてくる

 

到底血だらけの奴にやる所業ではない

 

 

『彼方君、君に聞きたいことがある』

 

 

ロマニが真剣な声色で話しかける

 

 

『君はどうして、立香ちゃんをあの状況で拘束したんだい? もしものことがあれば二人とも死んでいたんだよ?』

 

 

「敵のサーヴァントがマスターを狙うのは当たり前でしょ? 何を当たり前のこと聞いているんですか?」

 

 

『__っ!』

 

 

淡々と俺は返す

 

 

『これはマシュのための特訓だ! 立香ちゃんを危険にさらすのは間違っている!!』

 

 

「おそらく、キャスターさんも同じようなことをしたと思いますよ?」

 

 

俺はキャスニキの方を向く

 

 

「あぁ、そうだな。 おそらく、俺も お嬢ちゃんたちに宝具をぶっ放していたはずだ」

 

 

「な、なんですって⁉」

 

 

「サーヴァントの問題はマスターの問題だ。運命共同体だって言わなかったか、オレ?」

 

 

『そ、それは...』

 

 

「サーヴァントが倒れたときがマスターの死だ。坊主の言ってることは何も間違ってねぇよ」

 

 

ロマニはキャスニキの言葉に押し黙る

 

 

「ロマニさん、あなたに一つ言っておきます」

 

 

俺はロマニの方を向く

 

 

僕は今後、マシュをサーヴァントとしか扱いません 

 

 

『...何を言っているんだい 君は』

 

 

震えた声でしゃべるロマニ

 

 

「他のサーヴァントと同じく道具としか見ません そう言ったんです」

 

 

そう言ってマシュに近づく

 

 

「これからよろしく、欠陥サーヴァントさん」

 

 

<パチン!>

 

 

乾いた破裂音のようなものが教室に響く

 

 

「せん、ぱい」

 

 

マシュは目の前の少女を見る

 

 

「最低だよ...カナくん」

 

 

そう言って立香はマシュの手を引いてこの教室から出て行った

 

 

「待ちなさい! 藤丸!」

 

 

オルガマリーもそれを追いかける

 

 

「あーあ、完全に嫌われたな アレは」

 

 

ニヤニヤとキャスターは俺の肩に手を乗せる

 

 

「あの女にどう思われようと僕の目的は変わりませんよ」

 

 

「全く、素直じゃねぇなぁ お前さんは」

 

 

「はい?」

 

 

「殺す気なんてさらさらなかったくせに、下手な芝居を打ちやがって」

 

 

キャスニキは俺をじっと見る

 

 

「マスターを拘束したあの魔術、あのまま影のなかに引きずり込むことをできたろ()()()()()()

 

 

「何が言いたいんです?」

 

 

「しらばっくれんじゃねぇよ、今の俺はキャスターだぜ? そんくらいわかるつーの」

 

 

杖で肩を叩きながら、キャスニキは話し続ける

 

 

「極めつけは坊主がマスターに銃口を向けたときだ、お嬢ちゃんが()()()()()()()撃っただろ」

 

 

「...」

 

 

バ、バレてるー

 

もしもマシュが防げなかった場合のこともバレてるー

 

 

「アイツの運が良かっただけですよ、たまたまです」

 

 

そう言うとキャスニキはため息を吐く

 

 

「そうかい、それならそういうことにしておいてやるよ」

 

 

彼は霊体化し、その場から離れていった

 

 

 

 

『最低だよ...カナくん』

 

 

 

 

...そう、それでいいんだ

 

 

 

優しい幼馴染なんてどこにもいないんだ

 

君はカルデアの善良な人々と笑いあえばいい

 

大切な後輩と支え合えばいい

 

 

俺は最低な奴なんだから

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

立香side

 

 

 

 

私はマシュを連れて保健室まで来ていた

 

私たちはベットに腰をかける

 

 

 

「マシュ、ゴメンね。 いきなりこんなことして...」

 

 

「いえ、こちらこそすみません」

 

 

ペコリと頭を下げるマシュ

 

 

「いやいや! 謝らなくていいから! 私が耐えられなくなっただけだし」

 

 

「先輩...」

 

 

「マシュがカナくんにひどいこと言われているのが許せなくて、こんなことしちゃったの」

 

 

「前のカナくんならあんなこと言わなかったのになぁ...」

 

 

「...」

 

 

マシュは悲しそうな顔をして俯く

 

 

「ねぇ、マシュ」

 

 

「はい」

 

 

私は彼女の目を見る

 

知りたいのだ

 

大好きな幼馴染があんな風になってしまった原因を

 

カルデアでなにがあったのかを

 

 

「カナくんってさ、マシュのお世話係? だったんだよね」

 

 

「はい、私は元々体が弱く、Aチームの訓練にもついていけませんでした」

 

 

「すぐに体調が悪くなってしまって、彼方さんが私を医療室に運ぶ係だったんです」

 

 

「だった?」

 

 

「はい...」

 

 

彼女は目を伏せ、辛そうな顔をする

 

 

「彼方さんは、ある日を境に豹変したんです」

 

 

「豹変?」

 

 

「はい、彼方さんがあのような性格になる前はとても優しい方でした」

 

 

「私が罪悪感で体調が悪いことを隠していても、気づいてくださったり Aチームの皆さんやカルデアスタッフの皆さんとの仲も良好でした」

 

 

「そうだったんだね...」

 

 

私はカナくんがカルデアに来たから、あんな性格になったのだと思っていた

 

しかし、カナくんはカルデアでも優しい男の子だったのだ

 

 

「じゃあ、どうしてあんな...」

 

 

心の声が自然と漏れていた

 

マシュは首を横に振る

 

 

それが分からないんです

 

 

「え?」

 

 

私はマシュの返答に驚く

 

 

「彼方さんがなぜあのような性格になったのか誰も知らず、何者かに憑りつかれたという噂さえ出たほどです」

 

 

彼女の話は本当なのだろう、彼女の悲痛な顔を見れば鈍感な私でも分かる

 

 

「それまでは先輩と同じように人間らしい方だったんです...」

 

 

「...」

 

 

おそらく、それまではカナくんがマシュにとっての『先輩』だったのだろう

 

でも、カナくんは変わってしまった

 

カナくんは『先輩』に当てはまらなくなってしまったのだ

 

 

「それから彼方さんは私の担当から離れ、レフさんが私の教育係になったんです」

 

 

「レフさんが?」

 

 

レフさん、説明会まで案内してくれた親切な人だ

 

 

「はい、彼によると彼方さんに頼まれたらしいのです。」 

 

 

「『コイツの面倒を見るのはもうこりごりです、後はレフさんに任せます』とおっしゃっていたそうです」

 

 

「____っ! ひどい...」

 

 

カナくんの口から到底出る言葉ではなかった

 

 

「彼方さんは私に失望したのでしょうか...」

 

 

「マシュ...」

 

 

それは違うわ、マシュ

 

 

突然凛とした声が響く

 

 

「所長!」

 

 

彼女は深いため息を吐きながら、もう一個のベットに腰掛ける

 

 

「全く、急に飛び出したかと思えば何をやっているのよ」

 

 

「うー、すみません」

 

 

ごもっともである

 

 

「それと、マシュ。あなたが言っていたことは間違っているわ」

 

 

「どういうことですか? 所長」

 

 

「あなたは訓練も頑張っていた失望される道理はないはずよ」

 

 

「ですが私はいつも彼方さんに迷惑を...」

 

 

「アイツの頭がおかしくなっただけよそれ以外ありえないわ!」

 

 

きっぱりと所長は言い放った

 

 

『とにかく彼方君の話はここまでにして、君たちは休んだ方がいい。今日はいろいろなことがあったからね』

 

 

ドクターロマニの通信が入る

 

 

「それもそうね...にしても...」

 

 

所長が自分の服や私たちの方を見る

 

 

「この状態で寝るのはかなり抵抗があるわね」

 

 

私たちの肌や服にはススなどの汚れがついていた

 

なにせ町が燃えているのだ

 

 

「汗もかなり搔いちゃったしなぁー」

 

 

「ロマニ、何とかならないの?」

 

 

『む、無茶言わないでくださいよ所長! こっちも通信で精一杯なんですから!』

 

 

「うーん、どうしましょうかねぇ」

 

 

「やはりここは我慢して寝るしか...」

 

 

三人はうーんと唸る

 

緊急時ではあるのだが、乙女として大きな問題であるのだ

 

 

「邪魔するぜ~」

 

 

ガラガラと扉が開かれる

 

 

「キャスター、何かあったの?」

 

 

彼はポンポンと杖で肩を叩く

 

 

「あぁ、坊主が何やらおもしれーことをやっててよ ついてこい」

 

 

そういってキャスターは顎をクイッとして保健室を出る

 

 

「アイツ次は何をやらかしたのよ⁈ 藤丸!マシュ!行くわよ!」

 

 

「「は、はい!!!」」

 

 

こうして私たちはキャスターの後についていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











ということでぐだ子の初ビンタです





感想・アドバイス等お待ちしております。
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