「ハァッ!」
細腕から放たれる剛力によって骸骨兵が砕け散る
俺たちはセイバーを倒すため大聖杯の元へと向かっていた
今はちょうど洞窟の入り口付近まで到達したところだ
「彼方さん!!!」
「坊主!」
突然俺を呼ぶ二人、目の前には骸骨兵が今にも剣を振りかざそうとしている
「フン!」
俺は骸骨兵の攻撃を交わし、胴体を殴る
骸骨兵はバラバラになりながら、ぶっ飛んでいく
「すごい…」
「まるでゴリラみたいだったわね...」
誰がゴリラだよ
確かに殴った右手にはゴリラフルボトル握ってたけど
「全く、僕があんな雑魚の攻撃喰らうわけないじゃないですか」
「た、確かにそうですね」
「オメェがボーっとしてたからこっちは親切に教えてやったんだよ」
キャスニキが俺の頭を小突く
俺たちは洞窟の中へと進んでいく
「大聖杯はこの奥だ。ちっとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな」
「天然の洞窟…のように見えますが、これも元から冬木の街にあったものですか?」
「でしょうね。これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い年月をかけて拡げた地下工房です」
「へぇ、地下工房だなんて夢がありますね!」
立香が目をキラキラさせながら周りを見ている
「そんないい所でもないわよ?魔術師の工房なんて…」
オルガマリーがジト目で立香を見る
「それより、キャスターのサーヴァント。大事なことを確認していなかったのだけれど」
「セイバーのサーヴァントの真名は知っているの?何度か戦っているような口ぶりだったけど。」
彼女は真剣な表情になり、キャスニキに尋ねる
「ああ、知っている。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名…その正体に突き当たるからな」
「他のサーヴァントが倒されたのも、ヤツの宝具があまりにも強力だったからだ。」
「強力な宝具…ですか。それはどういう?」
「王を選定する岩の剣のふた振り目。おまえさんたちの時代においてもっとも有名な聖剣。」
「
あぁ、今分かった。ここに来てからずっと感じていた
それが今になって明らかなものになった
セイバーの宝具をキャスニキが
これはありえない事態である
確かにこの世界は現実で、多少筋書きと違うことも起きている
しかし、ここまで大きくズレるようなことはまずありえない
未だに現れていないのだ
影のアーチャーが
何が起きている、これは想定外だ
彼は必ず、セイバーに遭う前に襲ってくる
高確率で先ほどの宝具の説明に割り込んでくるのだ
それが起きていない
よってそれが意味することは…
「先輩、大丈夫ですか?」
「え?」
「ちょっとあなた、顔色が悪いわよ?ロマニ、バイタルのチェックを」
オルガマリーがロマニに指示をする
『これは...ちょっとまずいね。サーヴァント契約で使われていなかった魔術回路がフル稼働して、脳に負担をかけている。』
「これは、休息が必要ね。マシュ、キャンプの用意をお願い」
「はい!」
魔術回路を開いたことのない人間がいきなり最上級の使い魔であるサーヴァントと契約したのだ
体調を崩してしまうのは仕方ないだろう
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キャンプの用意が終わる
立香は、はちみつ入りの紅茶を飲んでいる
心なしか顔色が良くなっているようだ
「魔術回路を使ったことすらない一般人が生意気に契約するからこうなるんだ。なにが
『私は大丈夫だから!』
だよ、大丈夫じゃないじゃないか」
「うっ、何も言い返せない...」
「どうしてアンタの口からは、慰めの言葉が出ないのかしら」
オルガマリーは懐からドライフルーツを取り出す
「ピクニック気分ですか?アニムスフィアさん?」
「あなたに言われたくないわよ!なによこれ!」
彼女は真ん中に置かれている物を指さす
「こんな非常事態に『スリーティアーズ』なんか出してんじゃないわよ!」
そう俺が用意したのはアフタヌーンティーでお馴染み、「スリーティアーズ」である
三段のタワーになっており、そこに茶菓子を置くインテリアである
ちなみにお菓子は全て、立香の好きなものになっている
「彼方さんが魔術でこれを取り出したときには、驚きのあまり声を失ってしまいました」
マシュは興味津々にスリーティアーズを見る
『あぁ、美味しそうなお菓子が沢山...僕もそっちに行きたくなってきたよ~』
ロマニがうらやましそうな声で嘆く
「おい、マスター。そんなに急いで食べなくてもいいんじゃねぇか?」
キャスニキが立香に声をかける
彼女を見ると、お菓子を一心不乱に食べていた
まるで、ハムスターのようだ
「だって、カナ君が用意したお菓子。全部好きなものなんだもん!」
「だからってそんなに急いで食ってると「ウッ!!」...ほらな」
「ま、マシュ。お、お茶を...死んじゃうぅぅぅぅ」
「せ、先輩⁉ は、はい!どうぞお茶です!」
「あぁ!もう!藤丸も何してるのよ!」
お菓子で喉を詰まらせた立香を介抱するマシュ
さっきの思いつめた表情はどこにいったのだろうか?
「ふぃー、助かったー」
どうやら、お菓子を流し込むことに成功したようだ
「全く、もう少し落ち着いて食べなさいよ」
「...」
「何よ、そんなに私をジッと見て」
「随分と丸くなりましたね」
「なっ! 太ってなんかいないわよ!これでも体重制限はしっかりしてるんだから!」
「僕はみんなへの当たりが丸くなったと言いたかったんですが?」
「そ、それならそうといいなさいよ!」
「気にしてたんですか?」
「うるさい!」
彼女は顔を真っ赤にして反論する
「それに、私は丸くなんてなってない。頑張っている者にはそれ相応の態度で接しているだけです」
「藤丸は三流だけど、しっかりと一人前の役割は果たしているもの」
「所長...」
立香は自分を一人前と認めてくれたことが嬉しかったようだ
『なんと、立香ちゃんを一人前と認めてくれるなんて、本当に丸くなりましたね。所長』
感心、感心といったようにロマニからの通信が入る
「ロマニ、無駄口を叩くくらいなら。補給物資の一つくらい送りなさい」
「本人が頑張っているのに、装備不足で失敗するなんて可哀想じゃない」
「ロマンさん聞きました?可哀想、ですって」
『僕も聞いたよ。ようやく所長にも心の雪解けが訪れたみたいだ』
「バ……!どうしてうちの医療班はこうも人の神経を逆なでにするのかしら!」
「あ、哀れでみじめって意味よ!そんなことも分からないの!?」
もとから赤かった顔がさらに赤くなる、彼女の顔からは火が出そうだ
『いやぁ、いつ見てもいいですね。少年少女の交流というものは、少女と言うには所長はちょっとあれですが』
「そうでしょうか、所長の趣味嗜好には親愛を覚えます」
「何言ってるのアンタ⁉ アンタたちなんてわたしのど、道具だって言ってるでしょう⁉」
「__________」(うんうん)
うんうんと現れた怪物が頷く
「見てくださいアニムスフィアさん。怪物も貴女の言葉に賛同していますよ」
「そうそう、怪物だってこの通り...って___」
オルガマリーと怪物の目が合う
「あひぃぃぃぃぃ!? ちょっと早く排除して!食べられる、食べられる!」
そんな彼女の情けない声で戦闘が始まった
俺はビルドに変身して戦う
すでにこの特異点に出てくる雑魚敵は変身せずとも撃破できるのだが、ハザードレベルを上げるため変身する
今のハザードレベルは3.3
ここまでの戦闘で0.1レベルが上がったようだ
「マシュ!避けて!」
「はい!」
立香も戦闘を重ねるうちに指示が上手くなっている
『710:転生系名無し あれ?立香ちゃんって影鯖使わないの?』
『711:転生系名無し あー、確かに。』
『712:転生系名無し イッチの世界線だと影鯖ないんか?』
スレ民からそんな質問が飛んでくる
『717:星喰いの転生者 みんな落ち着いて考えてくれ、ここは特異点Fやで?』
『718:転生系名無し あ』
『719:星喰いの転生者 爆破されて間もないのにそんなシステム使えるわけないやろ。
大前提そんな魔力喰うこと今したらぐだ子ぶっ倒れるで』
『720:転生系名無し それは...そうやな』
『影鯖』、サーヴァントの簡易召喚なのだが、できないというわけではない
ただ、今のカルデアにはそれをやる余裕がない
何より、立香への負担が半端ない
と、俺がスレ民たちと受け答えをしていると敵が片付いた
「一時はどうなるかと思ったわ...」
「大丈夫ですか?オルガマリー所長」
「えぇ、大丈夫よ藤丸。死ぬかと思ったけど」
「死ぬかと、ねぇ」
俺の横にいたキャスニキが呟く
どうやら彼はオルガマリーの状態に気づいているようだ
「さぁて、お前ら準備はいいか?もうすぐ奴さんのところに着くぜ?」
「先輩、体調は大丈夫ですか?」
「うん!大丈夫!」
「では、まいりましょう」
俺たちは大聖杯の元へと赴くのだった
「...来たか」
彼方君の虚数魔術の一つに虚数空間に物を保管するというものがあります
ビルドドライバーやお菓子などもこの中に入っており
例を挙げるならば青いネコ型ロボットの四次元●ケットのようなものです
食べ物が腐ることもありません
便利ですね
感想・アドバイス等お待ちしております!