ハッピーエンドに導く方法   作:ギリギリニート

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ガンド

 

 

 

「ぐ、あぁあああぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!」

 

 

立香の絶叫が洞窟に響いた

 

 

「先輩⁉」

 

 

「うぁぅぅうぅぅぅ」

 

 

立香は声にもならないうめきを上げ、うずくまる

 

令呪は光を失い、発動することはなかった

 

 

「い、一体なにが起こって...」

 

 

オルガマリーは状況を飲み込めていない

 

 

ロマニの通信が入る

 

 

『...立香ちゃんの魔術回路は、使い込まれたものではありません』

『そこに、大量の魔力が流れ込みました』

 

 

「ッ!」

 

 

どうやら彼女も理解したらしい

 

 

「大、丈夫です。オルガマリー所長」

 

 

立香はフラフラと立ち上がる

 

 

「私はまだやれますッ!」

 

 

「先輩...」

 

 

彼女の目はまだ死んでいない

 

 

『無理はいけない!魔術回路が損傷しては事だ。下手を打てば命に「そんな事より!!!」

 

 

立香は叫ぶ

 

 

「何も出来ずにいる方がずっと苦しいじゃないですか!」

 

「マシュを支えるって決めたんです」

 

「それなのに、ただ危ないからって意味ないからって諦めたら...」

 

 

 

「私は私が許せない...!!!」

 

 

 

「それに...」

 

 

立香は俺を見る

 

 

「私がいなくなっても彼がいます」

 

「カナくんと契約すればマシュが消えてしまうこともないはずです」

 

 

「藤丸...」

 

 

「先輩...」

 

 

二人は俯く

 

ロマニも彼女の覚悟に黙ってしまった

 

 

「カナくん、私聞いちゃったんだ」

 

 

「...」

 

 

「カナくんがホントはすっごい魔術師なんだってこと」

 

 

立香は申し訳なさそうに言った

 

 

「だから、私がいなくなってもきっと大丈夫だよね!」

 

「マシュのこと頼んだよ!」

 

 

彼女はにへらと笑う

 

そして、再び令呪を発動しようとして

 

 

 

 

 

 

「ガンド」

 

 

 

 

 

それは不発に終わった

 

 

 

 

「カナ、くん。何を...」

 

 

立香はその場に固まってしまった

 

令呪を発動することはできない

 

 

「彼方さん⁉ 一体何をしているんですか!!!」

 

 

マシュは俺に掴みかかる

 

 

「このバカの暴走を止めてあげたのさ、感謝してくれていいよ」

 

 

俺はマシュの手を払う

 

 

『彼方くん、説明してくれるね?』

 

 

珍しく、ロマニは俺を睨む

 

 

「こいつはとんだ大馬鹿者ですよ、ロマンさん」

 

 

『なんだって?』

 

 

「本当は生きたくて生きたくて仕方がないのに」

 

「イカレた使命感で自分自身を殺そうとしているんです」

 

 

動けない立香を見る

 

 

()()

 

 

 

「そんなヤツが死ぬほど嫌いなんです」

 

 

 

「ッッッッッ!」

 

 

立香は目を開く

 

 

あぁ、吐き気がする

 

そんなこと?

 

彼女が自分の命を犠牲にすることが「そんなこと」で片づけられるのか

 

 

 

ふざけるな

 

 

 

こんなことになるから俺は「底辺魔術師」を演じたんだ

 

彼女のことを役に立たないと考えるのはカルデアの職員達だけではない

 

立香自身もそう思ってしまうのだ

 

優秀な魔術師とバレた途端にこうだ

 

全く、反吐が出る

 

何より

 

作戦のためとはいえ、立香にここまで言わせてしまう自分が許せない

 

 

『報:ハザードレベルが3.3に上昇しました』

 

 

「君はそのバカの手でも握ってなよ」

 

 

「キャッ!!」

 

 

俺はマシュを立香の方へと突き飛ばす

 

 

「所長、防御の魔術を張って置いてください」

 

 

俺はそう言って彼女たちの前に立つ

 

 

「話は終わったか?」

 

 

セイバーが話しかけてくる

 

 

「えぇ、貴女が待っていてくれたおかげでね、騎士道精神っていうヤツですか?」

 

 

「ほざけ、あのまま片づけてはつまらんと思っただけだ」

 

 

彼女はフンと鼻をならす

 

 

「今のお前に私の一撃が防げるのか?」

 

 

「おや? どこかで会いましたか?初対面のはずですが」

 

 

「ッッ!貴様、記憶が...そうか」

 

 

セイバーは驚き、そしてとても悲しそうに顔を歪ませる

 

そして、魔力が吹き荒れる

 

 

「安心しろ、今度こそ私が貴方を救ってみせる」

 

 

そういって彼女は剣を構える

 

 

『彼方くん!無茶だ!いくらキミが優れた魔術師だろうと英霊の宝具には耐えられない!』

 

 

ロマニが必死に訴える

 

確かに、彼の言うように彼女の宝具を防ぐというのは無茶だ

 

虚数魔術で吸収しようにもあまりの出力にブラッド族の肉体であれど今の俺には耐えられない

 

流石のビルドも一撃には耐えられると思うが後ろの立香たちを守ることはできない

 

 

 

だから、別の力を使う

 

 

 

魔術回路を起動する

 

衛宮士郎は「銃の撃鉄」、遠坂凛は「心臓をナイフで刺す」イメージだが

 

俺の場合は「本を開く」であった

 

 

『問:魔術回路の起動を確認。最適化をおこないますか?』

 

 

いや、そのままでいい

 

 

これは、作戦でもある

 

 

立香を「替えのきく存在」から「かけがえのない存在」に変えるための

 

もう一度俺が「底辺魔術師」になるための

 

そのために目の前の脅威(騎士王)を利用する

 

 

さぁ、ショータイムだ

 

 

 

悔恨に綴りし円環の書(ウロボロス)、起動

 

 

 

瞬間、俺を中心に魔術陣が展開される

 

陣の淵を沿うように己を噛み続ける大蛇が描かれていた

 

脳内には巨大な本棚が現れ、俺は検索を始める

 

すると、次第に本が消えていき一冊の本だけが本棚に残る

 

本の表紙には()()()()の姿があった

 

 

「本?」

 

 

突然、俺の右手に現れた本に疑問を漏らすオルガマリー

 

 

「くっ!エクスカリバー...」

 

 

セイバーは右手の本を憎々しげに見ると、剣を振り上げた

 

 

「モルガァーーン!!!!!」

 

 

 

本の題名は...

 

 

 

熾天覆う七つの円環 (ロー・アイアス)

 

 

 

本は光りを放ち、形を変える

 

やがて本は、花弁のような盾となり七つの層になる

 

とてつもない衝撃が俺を襲う

 

 

バリンッ!バリンッ!バリンッ!

 

 

次々とアイアスを反転された極光が破壊していく

 

 

「...」

 

 

目からツーっと血が流れる

 

 

これこそ俺の望んでいたものである

 

あまりの魔力出力に肉体が追いついていない

 

すると魔術回路は限界に達し、焼き切れる

 

俺の身体は己の魔力で内側から破壊されているのだ

 

問題はない、絵面がグロテスクになるだけだ

 

だが、このままならばアイアスは完全に破られるだろう

 

それは良くない

 

さらに魔力の出力を上げる

 

 

「ッ!彼方さん!!」

 

 

今度は全身から血が噴き出すが気にしない

 

この肉体はそう簡単に壊れない

 

 

バリンッ

 

 

残り二枚

 

盾が割られるたびに衝撃で腕が吹き飛びそうになるが耐える

 

徐々にエクスカリバーの出力が落ちていっているのが分かる

 

 

バリンッ!

 

 

残り一枚

 

ここが正念場だ

 

魔力最大出力

 

最も大きかった花弁が更に巨大で頑強なものになる

 

 

 

 

そして...

 

 

 

「ほう、まさか耐えきるとは...だが」

 

 

セイバーはどこか誇らしそうだったが、俺を見ると顔を歪ませる

 

 

「ごぼっ、こひゅー、こひゅー」

 

 

ガクンと膝をつく

 

カルデアの礼装は真っ赤に染まり、右手はだらりと垂れている

 

お世辞にも、無事とは言えない状態だ

 

後ろを見る

 

良かった、俺は守ることができたらしい

 

全員血の気が引いた顔をしているが

 

立香も土埃で汚れているが外傷は見当たらない

 

彼女は涙を目に浮かべ、こちらを見ている

 

先ほどの令呪の痛みがまだ続いているのだろう

 

そうに違いない

 

 

「その体ではもはや、息をすることすら困難だろう」

 

 

セイバーは俺を悲哀の目で見てくる

 

 

「貴様はもう十分頑張った。諦めろ、大馬鹿者」

 

 

剣を構える騎士王

 

 

 

ハハ

 

 

 

 

俺はスクリと立ち上がった

 

 

 

 

まるで、なにもなかったかのように

 

 

 

 

「____ッ!」

 

 

彼女は目を見開く

 

 

「貴様...何をした」

 

 

「何をした、とは?」

 

 

「しらばっくれるな!何故貴様は立ち上がることができたのだ!」

 

 

セイバーは叫んだ

 

 

「それほどの傷を負えば、常人では立ち上がることすらままならないはずだ!」

 

 

彼女の言っていることはおかしなことではない

 

あんだけ盛大に全身から血を噴き出せば、失血でまともに動けない

 

それが常識である

 

 

 

()()()()()()()

 

 

 

「僕の身体は特別なんですよ、騎士王さん」

 

 

「貴様、とうとう人の身を捨てたのか?」

 

 

セイバーは俺を鋭く睨む

 

 

「どうだっていいでしょう?あなたには」

 

 

そう言ってビルドドライバーを腰に巻く

 

そして、破壊への引き金を取り出す

 

 

「...なんだ、それは」

 

 

「人類の未来のために必要な力ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハザードオン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











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