「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。特に彼方・エイトスターズ。貴様だよ」
奴はため息を吐く
「まあいい、肉体も魔術回路もズタボロのお前など脅威ではない」
靄から完全に男は姿を現した
「レフ教授⁉」
「レフさん⁉」
「レフ⁉」
「...」
三人は有り得ない人物との再会に驚愕している
『レフ____⁉ レフ教授だって⁉ 彼がそこにいるのか⁉』
ロマニの通信が入る
「うん? その声はロマニ君かな? 君も生き残ってしまったのか」
レフはやれやれと頭を押さえる
「すぐに管制室に来てほしいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく...」
奴の雰囲気が豹変する
「どいつもこいつも統率のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな!!」
目をカッ見開き、俺たちを憎々しげに見ている
「人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」
あーあ、魔神柱の魔力が漏れ出ちゃってるよ
「マスター。あの人は危険です...あれは、わたしたちの知っているレフ教授ではありません!」
マシュもレフの魔力を感じ取ったのだろう
そして、オルガマリーがレフに駆け寄り...
「レフ...どうして貴方が...」
あれ?なんでこの人落ち着いてるの?
立香達の静止を振り切って、レフのところに行くんじゃないの?
「やあオルガ。元気そうでなによりだ。君もたいへんだったようだね」
レフはオルガマリーに嫌らしい笑みを浮かべる
死んでいる者に対して、『元気そう』は皮肉以外の何物でもない
「レフ!ど、どうして貴方は生きているの?」
「それはこちらのセリフだよ、オルガ」
「
「_________、え?」
彼女はヒュッと息を吞む
「いや、生きている、というのは違うな。君はもう死んでいる........」
ニヤニヤと奴は話を続けている
『オルガマリー・アニムスフィアの生存』
それは不可能だ
大体、そんなことをしてしまえばシナリオから大幅にそれてしまう
それだけは避けたい
まぁ、俺がいる時点で原作知識なんて当てにならないのだが...
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「............まったく__最期まで耳障りな小娘だったなぁ、君は」
オルガマリーの身体が一瞬光ると、彼女の身体は宙へと浮いた
「なに、これ...体が何かに引っ張られて...!」
「所長!!!」
立香がガシッとオルガマリーの手を掴んだ
...え、何してくれてんの?
バレー部の身体能力ここで発揮しなくていいからさぁ
「手を離したまえ人間。私が彼女の最後の望みを叶えてあげようとしているのだ。カルデアスに触れるということをねぇ!」
レフは嗤う
「誰が...放す、もんか!!」
立香は歯を食いしばり、オルガマリーをその場にとどまらせる
「や、止めて。だってカルデアスよ?高密度の情報体なのよ?」
「ああ、ブラックホールと何も変わらない、人間が触れれば生きたまま無限の死を味わうことになる」
レフは声高々に宣言した
「いや__いや、いや、助けて、誰か助けて!わた、わたし、こんなところで死にたくない!」
うーん、このままだと立香ごとカルデアスに吸い込まれそうなんだよなぁ
ここは、俺がどうにかするしかないかぁ
「何を言っているですか? アニムスフィアさん」
「か、彼方?」
俺はオルガマリーと立香の間に立っていた
「貴方は既に死んでいるんです、レフが設置した爆弾によって」
「そ、そんなの嘘よ! 私は死んでなんかない!」
「はぁ、別に貴女がどう思ってようが勝手ですが...」
「っ! ダメ!カナく...」
バチン!!!
「...ぁ」
俺は立香からオルガマリーの手を放した
「今までありがとうございました。そしてさようなら、
彼女の顔は絶望で支配されていた
オルガマリーの身体はカルデアスへと近づいていき
そして
「ぁあぁぁぁぁぁぁああぁぁアぁぁァぁぁぁァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
彼女の絶叫が洞窟に響く
まったく、潔く消えてくれれば良かったのに
「……!」
立香とマシュは目を見開いたまま硬直している
オルガマリーは完全にカルデアスに取り込まれてしまった
「フハッ、フハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
レフは爆笑する
「まさか!まさかまさか!貴様が引導を渡すとはなぁ!」
「ど、どうしてこんなこと...」
立香が理解できないといった目で見てくるが俺はそれを無視する
「殺したのは貴方でしょ? 人外さん?」
「チッ、やはり貴様は気付いていたか...」
奴は両手を広げる
「改めて、自己紹介しよう」
「私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たちに人類を処理するために遣わされた。2015年担当者だ」
奴はマシュの腕に着いている通信機を見る
「聞いているなドクターロマニ?共に魔道を研究した学友として、最後の忠告をしてやろう」
「カルデアは用済みになった。お前たちの人類は、この時点で滅んでいる」
『...レフ教授、いや、レフ・ライノール』
『それはどういう意味ですか。2017年に見えない事に関係があると?』
「関係ではない。もう終わってしまうという事実だ」
ここからレフは長々とロマニに今回の人理焼却について語っていた
聞き飽きているので、俺は耳にタコができそうだった
立香の様子を見ると...ふむ
状況を必死に理解しようとしているようだ
マシュも同様である
正直、レフをぶん殴ってあげたいのだが
腐っても魔神柱、今のハザードレベルでは返り討ちにあう
あーあ、オルガマリー救いたかったなぁー
でも、フルボトルってそんなに万能じゃないんだよねぇー
『報:空間の崩壊を検知しました、30秒後空間の崩壊が開始します』
そんなのも分かるんだ、お助けスキルにしてはチートすぎるなぁ
あ、そろそろ終わりそう
「もはやだれにもこの結末は変えられない。なぜならこれは人類史による人類の否定だからだ」
「おまえたちは進化の行き止まりで衰弱するのでも、異種族との交戦の末に滅びるのではない」
「自らの無意味さに!自らの無能さ故に!我らが王の寵愛を失ったが故に!」
「何の価値もない紙くずのように、跡形もなく燃え尽きるのさ!」
瞬間、ゴゴゴと地面が、空間が揺れる
「おっと。この特異点もそろそろ限界か」
「では、さらばだロマニ。そしてマシュ、48人目の適性者...規格外の化け物」
「その傷では当分動けまい、殺されないのを感謝するのだな」
奴はそう言って姿を消した
「地下空洞が崩れます...!いえ、それ以前に空間が安定しません!ドクター!至急レイシフトを実行してください!」
「このままではわたしはともかく、先輩や彼方さんまで...!」
『わかってる、もう実行しているとも!でもゴメン、そっちの崩壊の方が早いかもだ!』
『その時は諦めて何とかしてほしい!ほら、宇宙空間でも数十秒なら生身でも平気らしいし!』
ロマニは、パニックになっていた
「すみません、黙ってくださいドクター!怒りで冷静さを失いそうです!」
マシュは珍しく声を荒げる
『とにかく意識だけは強くもってくれ!意味消失さえしなければサルベージは___』
通信がプツンと切れる
「っ、間に合わない!」
「マシュ!こっちに!」
立香は叫ぶ
「先輩、手を...!」
地面が砕け、宙に浮いているなかで彼女たちは手を繋ぐ
「カナくん!っ!カナくん!!!!」
立香が俺の名を呼ぶが、俺は動かない
いや、動けないが正しい
身体がうんともすんとも言う事を聞かないのだ
ブラッド族の肉体だからといって無茶し過ぎたせいだろう
『報:マスターの存在証明率は100%です。消滅の危険性はありません』
『ナビ』の報告を聞いた俺は、完全に意識を手放したのだった
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