俺はジャンヌに焚き火のところまで連れられていた
マシュもおり、焚き火を囲むように三人で座っている
いや、気まず!!
美少女二人に男一人って何かの罰ゲームかなにかですか?
あれ待って、立香も含めると3:1なんだ
ハハハ、顔面偏差値は俺で平均を取ろうとしてるのか
言ってて悲しくなってきた
「立香さんはもう眠られましたか?」
「えぇ、僕の用意したテントでグッスリですよ」
もちろん、悪夢を見ないように細工をしてね
「そう、ですか...」
ジャンヌは心ここにあらずと言った様子だ
「ジャンヌさん、もしかするとですが...まだ何かわたしたちに言っていないことがあるのでは?」
「...」
「戦闘に支障が出る可能性があるので話しておいてください。めんどくさいので」
「彼方さん、そんな言い方は「分かりました」」
ジャンヌは顔を俯かせ話し出す
どのような理由かは分からないが、今の自分は新人サーヴァントのような感覚であること
英霊の座に触れることも不可能で、サーヴァントのように振舞うことができないこと
『救国の聖女』という名を期待されても、自分にはその力がないこと
「ですので、その...私の方こそ、あなたがたの足手まといになるのでは、と」
「ジャンヌさん、それなら大丈夫です」
「え?」
「私も、初陣のようなものですから。私もジャンヌさんと同じです。デミ・サーヴァントですので、英霊としての力をフルに発揮できている訳ではありません」
内側にいる英霊は「それで良い」と言ってくれたのだと
先輩...マスターがそんな自分を信頼してくれていること
「上手く言えませんが、先輩は、“強いから”戦っているのではありません。あの人は当たり前に、当たり前のことをしているんだと思います」
善性の塊だからなあの子
「だから、大丈夫だと思うんです。その、根拠はまったく何もないのですが」
「...ありがとうございます。少し気が楽になりました」
ジャンヌの表情は柔らかいものになる
「あ、そういえば...」
マシュは何かを思い出し、俺の方を見る
え、俺?
「彼方さんは先輩とどのような話をされていたのでしょうか?先輩にお聞きしたんですが濁されてしまって」
あぁ、ワイバーンのやつか
なんで立香は離さなかったんだろ?
口にすら出したくなかったとか?
「あぁ、それ?」
なんでもなさそうに俺は焚き火を眺める
「僕がアイツに砦の人間を見捨てるように言ったんだ」
「「ッ!!!」」
二人は目を見開く
「あの場所で取得できそうな情報はすでに出そろっていた。骸骨兵程度ならいいが相手はワイバーンだった逃げた方が効率がいい」
「ど、どうして?砦の中には武器を持っていない人々もたくさんいたはずです」
立香と同じようなことを聞いてくるなぁ
「特異点で死んでならないのは僕、アイツ、そしてお前だけだ。あとは別にどうなろうが関係ない」
「なっ!」
「...」
マシュは言葉を失い、ジャンヌはジッと俺を見る
「そしてアイツの意見がカルデアの方針になった。僕もそれに従わなければならない」
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マシュside
ワイバーンと戦っている際にふと視界に入りました
彼方さんが先輩の胸ぐらを掴み何かを話している姿が
そのことをドクターや先輩本人にお聞きしても返ってくるのは曖昧な答えでした
私はどうしても何が起こったのかを知りたいと思い、先輩が眠った後お聞きしました
私はこの選択を深く後悔することになります
「僕がアイツに砦の人間を見捨てるように言ったんだ」
「あの場所で取得できそうな情報はすでに出そろっていた。骸骨兵程度ならいいが相手はワイバーンだった逃げた方が効率がいい」
「特異点で死んでならないのは僕、アイツ、そしてお前だけだ。あとは別にどうなろうが関係ない」
私はすぐにおかしいと彼方さんを咎めようとしました
しかし、声を出すことができなかったんです
彼の目には光がありませんでした
お昼から先輩の彼方さんを見る目が変わった理由が分かりました
おそらく、胸ぐらを掴まれたときも同じような目をしていたのでしょう
彼のピタリとも動かない表情はまるでロボットのようでした
私はその時理解してしまったのです
ぶっきらぼうでもどこかに優しさのあった彼はいなくなってしまったのだと
その事実に私は胸の奥がズキリと痛みました
毎日ドクターと共に来てくれていた彼は、映画鑑賞に誘ってくださった彼は、オフェリアさんと親交を深める機会を作ってくださった彼はもういないのだと
私は心にポッカリと穴が開いたような感覚に陥りました
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彼方side
朝が明け、俺たちは召喚サークルを展開した
エミヤ、槍ニキを立香が呼び出し、俺はオルタを呼び出した
「まさか、応じてくださるとは思っていませんでしたよ」
「...」
「そんなに睨まなくてもいいじゃないですかぁ」
「勘違いするな、貴様が呼んだから来たのではない。貴様が愚行を働かないように見張る必要があったからだ」
まぁ、立香のこと魔力タンクにするとか言ったり、フランス市民を見捨てようとしたりしたから妥当ではあるか
「...」
なんかマシュ元気なくね?
いや、俺を見るときだけ顔が暗くなるってのが正しいか
...ようやく、悪役ムーブが結果を出してきたか!
立香も
『待ってくれ、君たちの目的地からサーヴァント反応が出た。あれ、でも...あぁ、ダメだ、ロストした!早すぎるぞ!』
ロマニの通信が入る
「む、マスター。急いだほうがいいだろう」
エミヤがラ・シャリテの方を見ながら立香に話す
「エミヤ。何か見えたの?」
「私たちの目的地に火の手が上がるのが見えた」
彼の言葉に立香は青ざめる
「ッ_____!急ごう!」
俺たちは全速力でラ・シャリテへと向かった
そこは地獄と化していた
人々の生活があったであろうその街は至る所が燃え、人の姿はどこにもなかった
「ロマンさん、生体反応を確認してください」
『...ダメだ。この街に命と呼べるものはどこにもない』
「そ、そんな」
これが竜の魔女の所業である
しかし、俺はどこか違和感を覚えていた
<ガタン>
「待ってください、今、音が!」
一同は身構える
そこから出てきたのはスケルトンの群れであった
「うっ、おえっ」
「ッ!先輩!」
立香はその場で吐いてしまった
彼女はおそらく、
スケルトン共はサーヴァントたちによってなんなく倒された
「Gaaaaaaa!!!!!!!!」
今度はワイバーンが俺たちに襲い掛かる
「なんだコイツら、やけに威勢がいいじゃねぇか!」
クー・フーリンはワイバーンを仕留めながらそんなことを言っている
威勢がいいと彼は言っているが、こいつらは飢えているのである
ロマンは生体反応がないと言っていたのだが、正確に言うと
一つ前の砦でもそうだった、負傷者はいたが死者はいない
こんなこと有り得ないのだ
俺はエンプティフルボトルに倒されたワイバーンたちを回収しながら思考を巡らせる
ワイバーンは人を喰わず、街は人間がいなくなってから火を放つ
スケルトンが出てくることを考えると死者はおそらくゼロ
俺は、竜の魔女が
「___どれほど人を憎めばこの惨劇を起こせるのでしょう。私はそれだけが分からない」
ジャンヌはもう一人の自分である竜の魔女の行動が理解できないようだ
立香たちは竜の魔女の所業に憤りを感じているのだろう
普通に考えたら人が誰も死んでないなんて思わないよね
立香に関しては吐いちゃってるし
『待った!先ほど去ったサーヴァントが反転した!君たちの存在を察知したらしい!』
「ッ!数は!」
『おい、冗談だろ...⁉数は五騎!数は互角だが最大限注意してくれ!』
気配を感じた方向を見るとワイバーンたちが五体、こちらに向かってくる
そして俺たちの前に
「なんて、こと。まさか、まさかこんなことが起こるなんて」
竜の魔女が降り立ったのであった
あとがき
鈍感主人公君ですね、もちろん悪い意味で
異変にはすぐに勘づくんですけどね自分に関すること以外では