ハッピーエンドに導く方法   作:ギリギリニート

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ぐだ男もぐだ子も、メンタルがオバケですよねー


今回のお話は『ほんの少し』シリアスかもしれません









演じる者の覚悟

 

 

 

 

俺は足を止める

 

 

「テメェの動きをずっと見張っていた。隙がないんだよ、全くと言っていいほどにな」

 

「アーチャーさんもそうですよね。僕のことを観察していたのは」

 

「...気づいていたのかね?」

 

 

あぁ、やっぱりかぁ

 

 

「その反応が答えですよ。あの狼が湧いてきたとき妙に視線を感じるなと思ったんです。あれでしょう?拠点に一度集まったのも僕の戦い方を見るため。いや、アイツを守るというのも本命ではあったんですかね?」

 

「ほう、そこまで分かっていたか」

 

 

エミヤは感心する、目は笑っていないが

 

 

「それで僕の何が知りたいんですか?答えますよ。もちろん、言える範囲でね?」

 

 

「俺たちが知りてぇのは、その戦い方をどこで学んだのかって話だ」

 

「あー、もしかして疑われてます?『黒幕が送り込んだ刺客』みたいな?」

 

 

二人は沈黙のまま、気配だけが強くなる

 

気配ではなく殺気といったほうがいいのだが

 

こうなるのも仕方ないか、俺だって彼らのように詰めるだろう

 

怪しすぎるもんな俺の行動

 

 

「残念ながら、僕は黒幕と繋がってはいません」

 

「証拠は?」

 

「ないです」

 

 

俺の喉元に槍が向けられる

 

 

「正直に言った方が身のためだぜ?」

 

「...」

 

 

おぉ、怖いねぇ

 

俺は平然と話す

 

 

「僕の戦闘技術はとある事情で死ぬ気で身に着けたものですし」

 

「理由がないのでは私たちも納得ができん」

 

「別に良くないですか?というか、アイツがまだ生きてることが証拠では?」

 

「...何?」

 

「僕を除いて考えれば、アイツは『人類最後のマスター』。人類の希望ですよ。黒幕と繋がっているなら真っ先に消すでしょう?それに、勘の鋭いセイバーさんから首を刎ねられていない時点で僕は無実ですよ。僕は人類の未来のため、戦っている。この言葉に嘘はありません。信じられないなら、その槍で首を貫いてくれていいですよ?ただ、一つだけ言っておきましょう」

 

 

俺はニヤリと笑う

 

 

「僕は簡単には死にませんよ?」

 

「...チッ」

 

 

クー・フーリンは構えを解く

 

 

「勘違いすんじゃねーぞ。()は白に近いってだけで、疑いが晴れたわけじゃねぇ。黒だと分かったら...わかるよな?」

 

 

より強い殺気が俺にぶつけられる

 

 

「僕は人類の未来のために命をかけて戦っているというのに...ひどいですねぇ」

 

「その言葉が胡散臭いんだがね。カマをかけてしまったことは謝罪しよう」

 

「マスター想いですねぇ。セイバーさんもお二人のことを見習ってほしい限りです」

 

 

ヨヨヨと俺はウソ泣きをする

 

 

「アレはテメェの態度がわりぃだろ」

 

「同感だ。彼女はよく我慢していると思うよ」

 

 

ね、俺もそう思うわ

 

 

 

二人からの尋問を終え、俺たちは見回りを再開した

 

 

 

<ピピー>

 

 

 

ロマニからの通信が入る

 

 

『サーヴァントを探知!更に、複数の生体反応だ!彼方君達は至急見回りから戻ってきてくれ!』

 

 

「了解。お二人は先に拠点に戻っておいてください。流石にサーヴァントの足にはかないませんから」

 

「分かった」

 

「はいよ!」

 

 

二人はものすごいスピードで拠点へ戻った

 

いや、はやー

 

俺も追いつけるようにラビットフルボトルを振り、強化をかけながら走る

 

シュールすぎるなこの絵面

 

 

俺が戻ると、皆はスケルトンや、ウェアウルフ、ワイバーンと戦闘を繰り広げられていた

 

 

ナビ、敵のサーヴァントのクラスは分かるか?

 

 

『是:ライダー、聖女マルタです』

 

 

というか...あれ?

 

 

なんでマルタさん、狂化受けてないのにジャンヌ・オルタの仲間してんだろ?

 

 

 

 

 

「残るはサーヴァントだけです!」

 

 

どうやら雑魚敵は全て倒されたらしい

 

俺は戦わず、落ちている素材の回収にいそしんでいた

 

なにやら白い目で見られていた気もするが気にしない

 

 

「みんな、大丈夫?傷の治療は必要?」

 

 

マリーが皆に声をかける

 

 

「こちらは大丈夫です。マシュは?」

 

「大丈夫です。ドクター、まだですか!?」

 

 

『来るぞ、準備はいいか!』

 

 

現れたのは、ワイバーンを引き連れた一人の女性

 

 

「こんにちは、皆さま。寂しい夜ね」

 

 

「何者ですか、貴女は」

 

 

ジャンヌは問う

 

 

「何者?...どうやら本当に忘れているのね。私の真名はマルタ。ただのマルタです」

 

 

『マルタ...聖女マルタか!?気を付けろ、みんな!彼女はかつて竜種を祈りだけで屈服させた聖女だ!』

 

 

ロマニは焦りを含んだ声で叫んだ

 

 

ドシンドシンと巨大な何かがこちらに近づいてくる

 

一体どこの苦労人...苦労竜なのだろう

 

現れたのは大きな甲羅を持った巨竜

 

 

大鉄甲竜タラスクである

 

 

正直、コイツはオルタの宝具でなんとかなる

 

早速片付けるとしよう

 

 

「セイバーさん、あの無駄にデカい竜に宝具を「待ってください!!」」

 

 

命令しようとする俺をジャンヌが制止する

 

 

「いかがなさいましたか?聖女ジャンヌ。今からあの悪竜を倒そうとしていたところなんですが」

 

 

邪魔をするなと、俺は彼女を睨む

 

 

「一つ彼女に聞きたいことがあるのです。...聖女マルタ、貴女は狂化を受けていないはずです。ならば、何故...もう一人の私(竜の魔女)の味方をしているのですか?」

 

 

ジャンヌはマルタを問いただす

 

聖女としての自信がなくなっている彼女には、聖女を名乗るマルタがどうしてジャンヌ・オルタに従っているのか、知りたいのだろう

 

 

「見極めるためです」

 

「見極めるため?」

 

「えぇ、貴方たちの目の前に立ちはだかるのは竜の魔女。究極の竜種に騎乗する。可哀そうな女の子。私は()の貴方たちが彼女に太刀打ちできるとは思えない。だから...」

 

 

マルタの気配が変わる、覚悟を決めた気配へと

 

 

私を倒しなさい。躊躇なくこの胸に刃を突き立てなさい

 

 

まてまてまて、なんでそうなるんだよ

 

拳と拳で語り合うとかそんなノリか?

 

脳筋すぎんだろこのステゴロ聖女

 

 

「話が跳躍している気がします!確かめるというのなら私たちに協力し、力を確かめるという選択もあるはずです。聖女マルタ、どうか力を貸してくれませんか?」

 

 

マシュは、マルタに共闘を持ち掛ける

 

 

「...それはできません」

 

「ッ!何故です!」

 

「ごめんなさい。理由は言えないのよ。...貴方たちにその気がないなら、こちらから攻めるしかないわね。タラスク!やってしまいなさい!」

 

 

グガァァァ!!!!

 

 

咆哮と共に、タラスクとワイバーン十体が襲い掛かってくる

 

 

タラスクを相手取るのは、クー・フーリンとエミヤ、オルタ

 

ワイバーン共は、ジャンヌ、マリー、アマデウス、マシュが立香の護衛をしながら戦っている

 

 

「チッ、だから言ったのに。不完全なサーヴァントのくせに足を引っ張る。聖女サマもマシュも」

 

 

俺は、恨み節を吐き捨てる

 

 

「荒れてるわね」

 

 

マルタは、俺を憐れむような目で見ている

 

俺たちは立香たちが戦っているところから、少し離れた場所にいる

 

 

「役立たずがうちの陣営には少なくとも三人いますからね、腹が立つのも仕方がないでしょう?」

 

 

俺はヒール的な笑みを浮かべる

 

 

「...本当に変わってしまったのね」

 

「はい?」

 

「いえ、何でもありません。私が見極めたかったのは、貴方です」

 

「はぁ?どうして僕を」

 

「今の貴方が()()を救えるとは思えない。だから、私が今度こそ貴方を正します

 

 

そう言って、マルタは殴りかかってくる

 

いや、杖使えよ

 

怪しまれない程度の身体強化をかけ、ラビットフルボトルを使った高速移動で彼女の一撃を避ける

 

 

ドゴーン!!!

 

 

マルタの拳は地面をえぐる

 

聖女が出していい威力じゃねぇぞ

 

いや、聖人系サーヴァント脳筋多いわ

 

 

「おっしゃっている意味がわかりませんねぇ。僕は正されなければならないことなんて一つもありませんよ?」

 

 

彼女の荒々しい攻撃を避ける

 

 

「その腐った性格を叩きなおすって言ってんの、よ!」

 

「おっと」

 

 

バク宙で蹴りを避ける

 

 

「あなたは何のために戦っているの!あの子を守るためでしょ!」

 

()()()って誰のことですか?」

 

 

どうして生身で敏捷Bの彼女の攻撃が避けられているのか

 

確かに、ハザード3.5の肉体と身体強化の魔術、そしてラビットフルボトルの効果のおかげでもあるが

 

第一の理由は、彼女が手加減をしていることだろう

 

彼女がサーヴァント相手の動きをしていたら、俺はすでにボロ雑巾にされている

 

 

「ッ!貴方の幼馴染のことよ!」

 

「は?どうしてアイツが出てくるんですか?」

 

 

チッ、ジャンヌ・オルタめ

 

これで初めて対峙したときの敵サーヴァント(アイツら)がなんであんな顔をしていたのかに合点がいった

 

おかしいと思ったのだやけに俺を憐れんだ目で見てくることに

 

畜生、ということはこれから戦うサーヴァント共は全員()()()()()()()()になってんのか

 

ハードモードにもほどがあるぞ

 

 

coolなジャンヌ狂信者、クリスティーヌ認定怪人はこの際おいておいて

 

マリー大好きな白百合騎士、真面目すぎる処刑人、刺繡が好きな伯爵、根がエリちゃんの婦人、チート宝具な黒騎士、子供好きの狩人はマズイ

 

アイツら絶対マルタみたいに俺を正そうとしてくるだろ

 

 

「僕は人類の未来のために戦っているんです。アイツを守るなんて反吐がでる」

 

「本当にどうしたの?貴方の心がどんなに擦り切れてもあの子を守ることは諦めなかった!!目を覚ましなさい!!」

 

 

 

自分がどれほど余計なことをしているのかに気が付いていない

 

 

 

 

立香を生かす為には、彼女の心を成長させなければならない

 

 

 

そのためには、汚いものを見せる必要があるのだ

 

 

理不尽に死ぬオルガマリーを見せる必要がある

 

 

ワイバーンに食い殺されるフランスの民を見せる必要がある

 

 

子供の姿をしたリビングデッドを見せる必要がある

 

 

そして、

 

 

 

人間の汚さを見る必要がある

 

 

 

 

 

そんな腐った世界が『藤丸立香』という『星』を作る

 

 

 

 

だから俺は『悪役』の仮面を被る

 

 

 

 

人間の醜さを彼女に伝えるために

 

 

 

 

 

『報:ハザードレベルが3.6に上昇しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア!」

 

 

俺は、()()()マルタの攻撃に当たる

 

 

「ぇ?」

 

 

手加減をした彼女の攻撃でも威力は凄まじい

 

 

木々をなぎ倒しながら俺は後方へ殴り飛ばされる

 

 

「ゴホッ!」

 

 

折れた骨が内臓を傷つけ、血を吐く

 

へぇ、()()()()()()()()()で済むんだ

 

 

俺はドライバーを装着する

 

 

マルタが俺を正そうとする気持ちはありがたい

 

 

「『ハザードオン!!』」

 

 

だが、俺に向ける感情ではない

 

ジャンヌ・オルタのように俺に憎しみをぶつけてくれた方が良い

 

それこそ悪役冥利につくというものだ

 

 

「『ラビット 、タンクスーパーベストマッチ!!!!』」

 

 

だからな、マルタさん

 

 

「『Are you ready?』」

 

 

アンタには消えてもらうよ

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回のお話はいかがだったでしょうか?



ジャンヌ・オルタは彼方君からすると、やりやがったなといった感じです





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