ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

10 / 22

 UA1000超え!ありがとうございます!


10.駅

 

 

 

 13時25分。

 ゴーストタウンの中を全力疾走で移動したレンとフカ次郎、クローバーは、駅のすぐ近くまでやって来ていました。

 曇り空の下、駅からおよそ300m北西の位置に、そこにあった雑貨店の陰に、フカ次郎はしゃがみました。

 この先は、似たような店が数軒並んで、そしえ駅のロータリーです。

 

「クローバー、方向を教えて」

 

『ん、了解』

 

 クローバーは敵チームが見える位置に潜伏し、レンから借りた単眼鏡を除いていました。

 レンは、駅の位置を確かめて、フカ次郎に教えてから、フカ次郎の護衛をしていました。

 

『方角よし。距離は300』

 

「おっけー」

 

 昔は、寂れたこの町に住む人たちの大切な公共機関であっただろうこの駅。

 駅名のある看板は読めず、線路は錆びて、枕木は朽ちています。

 駅舎は、小さな家のように簡素なものが、東側にだけ立っていて。しかし、大黒柱が折れたのか、中央から潰れていました。

 頑強なコンクリート製のホームは、しっかりと残っていました。

 長さが100mほど。二本のホームが、二本の線路を挟んでいます。

 この線路が、敵の陣地になっていました。

 

 全員男で、服装はバラバラ。武器は全て光学銃。

 光学銃というのは、GGOオリジナルの、エネルギーの光を放つSF武器です。

 対人では、対光弾防御フィールドというもので威力を減らされてしまうため、とても不利。

 

 13時28分。

 ぽん。ぽん。

 突然遠くに聞こえた連続の小さな音に、

 

「なんだ、今の?」

 

 訝しんだ男の一人が言うとともに、一発のグレネードが落ちてきました。

 六人のど真ん中に降って来たグレネードは、運が悪く着弾点に近かった二人の男を木っ端微塵にしました。

 

 

 

「命中。北側、手前5mに二人。」

 

 クローバーは、駅から200mほど離れた家の屋上にべったりと伏せて、通信アイテムで指示を出しました。

 彼女は、フカ次郎のグレネードランチャーから出るバレットラインを誘導する事で、相手に遠隔からグレネードを届けることに成功していました。

 

「りょーかい」

 

 フカ次郎の声が戻って来て、数秒後、

 ぽん。

 軽い音が聞こえたかと思うと、追加で2人爆発に巻き込まれました。

 

 

 

 フカ次郎が提案した作戦は、至ってシンプル。

 自分が遠距離から、報告された場所に向かったグレネードを撃ち込むだけ。

 途中には家がたくさんあるので、こっちからも向こうからも一切見えない。

 さっきのやらかした戦闘で活躍のなかったクローバーが観測を行う。

 クローバーは、バレットラインを見て口頭で修正してくれ、と。

 

「それで命中できるの?」

 

 レンが聞くと、

 

「おいおい、VRゲーム廃人舐めるなよ?」

 

「ん、私たち二人ともレンよりVR歴長い」

 

 そう答えられました。

 

「敵の目を見ながら戦うだけがバトルじゃない。この武器なら、この戦法が有利だって分かったから、距離を測って感覚で当てる練習をしたのだ。今なら、距離さえわかれば目をつぶってもグレネードを放り込めるぜ?ただし、正確な誘導があってだけど」

 

「ん、無問題。サービス開始初期からやってる私が的確に誘導してあげる」

 

 とも話していました。

 

 

 

「今の手前18mに、伏せた男」

 

「ほいよ、2発撃つぜ」

 

 数秒後、この男もまたバラバラのポリゴンになりました。

 

「最後、50m線路沿いに戻って。一人走って逃げてる」

 

「オッケー、2発撃つぜ」

 

 こうして、フカ次郎は左手のグレネード・ランチャー6発分のみで、敵チームを完璧に仕留めたのでした。

 

 

 

「すごい、フカ!ほんとに勝てるなんて!」

 

「へへーん、レンさんや、見直したかい?」

 

「うん!素晴らしいよ!」

 

「ん、合流する」

 

 時間は、13時29分。1分にも満たない戦闘でした。

 

 駅に集まった三人は、スキャンを見ていました。新しい全滅チームは、北部に二つ、町東部に三つ、駅に一つとしてありました。

 

 そして、スキャンがPM4を映した時、そこにあったPM4を含む八チームを見て、

 

「げっ」

 

「おっ?」

 

「ん」

 

 レンたちが、

 

「おっ!」

 

「おんやー?」

 

 SHINCのボスとターニャが、

 

「なんとまあ」

 

 MMTMのリーダーが、

 

「む……」

 

 そしてエムが、全く同時に声を出しました。そして、

 

「ピト、寝ていても端末は見られるよな。見てみろ。とても面白いから」

 

 いつも通りの落ち着いた口調で、そうピトフーイに伝えました。

 

 ちなみに、残存チームは十七。

 

「くっそー!行くよ二人とも!」

 

 レンは二人を連れて走り出しました。

 

「りょーかい」

 

「ん」

 

 

 

 ドームまで、レンたちの移動ルート上に邪魔な敵はいませんでした。なので、移動しながらレンはフカ次郎に説明しました。

 

「あのPM4の近くにいた七チーム!結託してる!山籠りのエムさんを、何十人で追い立てる気なんだ!」

 

「ん、落ち着いて、レン。今からじゃもう間に合わない。それに、レンから聞くエムさんのピトさんなら、実力もあるし、引き際も間違えたりしないはず」

 

「そ、そっか……」

 

 レンは、走り出してから焦りっぱなしだった自分の心を沈め、やっと落ち着きを取り戻しました。

 

 走って来たマップ中央。

 目の前には、巨大ドームが見えていました。

 

 

 

 その頃、PM4を倒すために結託した七チーム。

 言い出しっぺの男は、強敵攻略のための作戦も用意していました。

 その名も『リーダー囮作戦』。

 チームリーダー全員を安全な場所に残し、残りの数十人で攻撃に出れば、マップから居場所を悟られることがない、と言う作戦。

 そして、リーダーたちは、状況を確認しながらそれぞれのチームを指揮して相手を追い詰めるのです。

 

 これによって集まった、合計三十六人男たち。これではもう分隊ではなく小隊規模です。

 ゆえにつけられた名前が、小隊作戦(プラトゥーン)

 こうして、リーダーを残した二十九人の男たちが、山に進撃を行い。

 

 

 

 

 

 そして、誰一人帰って来ませんでした。

 

 

 

 

 

地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。