ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

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第12話

 

 男達は静かに待ち伏せしていました。

 ドーム中央で銃を撃ち、発砲音を聞きつけて倒しにやってきた敵を包囲して倒す。それが、今回の作戦でした。

 

 待ち伏せグループの一つ、4人の男達は、運がありませんでした。

 クローバーに見つかってしまったから。

 

「なあ、ほんとに来るのか?」

 

「来るに決まってんだろ、強豪が三チームもいるんだ。どこかは引っかかってくれるはずさ」

 

 そんなことを言いながら、左右を二人組でそれぞれ見張る男たち。

 

 その2人グループの片方、レン達のいる西側を見ていた男たちの()が、()()()()()()()()()()

 

 

 

「うわ……えぐ」

 

 酒場にいる観客は、一部始終を見ていました。

 音もなく()()から近寄ったクローバーが、腰に下げていた42cmもある刃渡りの大型ナイフをつかって、西側にいた男たちのペアの首を刎ねたのです。

 

「こわ……というか苦もなく首落としやがったぞ、ありゃ相当筋力値がなくちゃできないな」

 

「これそういうゲームじゃねえから!」

 

 そう、クローバーはAGI・STR型のアタッカー。今回の秘密兵器を扱うための条件を満たすためのSTR以外は、すべてAGIに振っています。その実数値は、プレイ歴の差によってあのレン以上。

 

「なんであれで気が付かねえんだ……?真ん前から来てただろ?」

 

「体が小さかったから見えなかったとか?」

 

「うーん……音もしてないっぽいんだよな、気がついた様子がなかった」

 

「あの子だけ異質すぎるだろ……」

 

 

 

 ドサドサッ

 

「おい、どうし━━」

 

 二人組が後ろで倒れた事で、振り向こうとした男の首と体が分離します。

 それを見ていた4人グループ最後の男は、

 

「ひっ、なっなんだ!?」

 

 なんで相方の首が落ちたのか理解できず、狼狽えることしかできません。

 

「……」

 

 クローバーはそれに後ろから這い寄り、

 

 ドスっ

 

「カフッ」

 

 喉を一突きして、体力バーを削り取りました。

 それと同時に、死体になった男の体を背負って伏せると、

 

ダダダダン!ダダダダダダン!

 

 先ほどまで自分が立っていたところに銃弾が飛んできました。

 

 待ち伏せグループは事前に位置を決めており、味方の体力ゲージを見てそれが無くなったのを確認した仲間たちがそこら辺に撃ち込み始めたのです。

 

「……」

 

 クローバーはするりと盾にしていた男の下から抜け出し、匍匐前進で一番近い銃声の場所に向かい、その場所にいた二人組を死体に変えました。

 

 

 

「6人目!」

 

「おお!あの白い子すげえぜ!」

 

「スニークスキル高くね?」

 

「銃使ってないから場所を悟られてないんだな。敵は死んだ味方の位置に銃弾を叩き込むしかないけど、それに当たるほどあの子は弱くないさ」

 

 酒場は、突如として頭角を表した白い暗殺者に興奮していました。

 

「次の獲物に這い寄る緑ポンチョのお化け……怪談にできそうだな」

 

「やめろよ、絶対に対処できない系の怪談はガチでこええから!」

 

 

 

「……」

 

「おい!なんなんだ!さっきから味方がどんどんやられてるぞ!そっちはどうだ!」

 

『こっちもだ!どうなってる!』

 

 クローバーは暗殺を続けます。もうすでに10人を倒しているクローバー。

 

「うちはもう半分やられた!」

 

『こっちは1人残して全滅だ!もう無理……ガヒュッ』

 

「おい!どうしたんだ!?」

 

 通信先でも仲間がやられていき、周りは見えない森林の中で、しかも何か恐ろしいものが動き回っている。そんな状況になった時、その男は、

 

「もうわけわかんねえ!どうにでもなれやぁぁぁぁ!!」

 

 ヤケになりました。周りにひたすら弾丸をぶっ放します。

 

「お、おい!やめろ!痛っ」

 

「くそっ銃弾が飛んできた!そっちか!」

 

 そんなことをやれば、三チームが混合となっているこの場所では、同士討ちが始まります。

 

 

 

「あーあ。同志撃ち始めちゃった」

 

「肝心の白い子は銃を撃った瞬間に地面にべったりだからなぁ。完全にこれを狙ってたんだろ」

 

 体力が減った男の元へと匍匐前進で移動し、一瞬飛び上がって首を刎ねるクローバー。

 

「これで13人目……全員首跳ねてるぞあの子」

 

「首狩り族の少女とか怖すぎるだろ」

 

「妖怪首置いてけinジャングル…まさか銃がメインのGGOで見ることになるとはな……」

 

 あまりにもスマートでえげつない殺し方に酒場の雰囲気も完全に興奮から困惑と畏怖に変わってしまいました。

 

 

 

「……」

 

「くっ!どこだ!どこに━━ゴハッ」

 

 また1人首を刎ねたクローバー。これで17人目。立っている人はいません。転がっている体は、すべて【Dead】マーカーがついてます。

 

「…ん、おわり?」

 

 立っている人間も、倒れているけど【Dead】マーカーがついてない人間も存在しなくなりました。

 

 けれど、

 

「……ん……おかしい、18いるはず。ここのチームは結託していたから、全員生き残っていたはず。そして、酒場で見た時こいつらは6人グループのチームだったはず。服が同じだ」

 

「ということは……」

 

 

 

「おいおい、あの子したい物色し始めたぞ」

 

「手癖悪いな……でも手癖悪い女の子もいいよね!」

 

「ああ……いやそんなことないだろ」

 

「あの戦い方といい、物色の手際といい、リアルは一体なんなんだ?盗賊?」

 

「完全にファンタジー系MMOのアサシンの動きだったな。もしかしてそういう系のゲームをやってたのか?」

 

「どっかで見たんだけどなぁあの戦い方……」

 

 酒場では、あまりにあっさりと17人もの人間が個人にやられてしまい、もう考察タイムには入っていました。

 

「なんにしろ、多分今回のベスト・キル賞はあの子だろうな。この先三チームを鏖殺できる個人なんて存在しないだろ」

 

「なあ、一ついいか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「なんで、()()()()()()が一つ紛れてんだ?」

 

「は?」

 

 

 

「ん、やっぱりそうか」

 

 ドスっ

 

「いったぁ!」

 

 クローバーがその死体のケツを刺すと、その死体は突然飛び上がり転げ回りました。

 

「他の死体の上に乗って【Dead】タグを偽装……上手く考えたね。私じゃなかったらバレなかったかも」

 

「そりゃ死体全部首刎ねてるのは君だけでしょ!」

 

 その黒い戦闘服を着たイケメンキャラクター、クラレンスは、至極真っ当な指摘をしましたが、

 

「ん、死体かそうでないかを見分けるなら首を刎ねた方が楽」

 

「いやおかしいって!」

 

 全く取り合ってもらえませんでした。

 

 ギャーギャー騒ぐクラレンスを尻目に、クローバーは耳にある無線機に手を当てて、

 

「レン、終わった。そこの近くにいるのはおそらく後SHINCだけ。気をつけて移動して」

 

『わかった』

 

「おいおい、目の前の敵から目を離してもいいのかい?」

 

 クラレンスが拳銃のホルスターにこっそり手を伸ばしますが、

 

「ん、抜いたら首を刎ねるから問題ない」

 

「ひえぇ……」

 

 一瞬のうちに首に刃を当てられて、辞めるしかありませんでした。

 

 (さて、どうしようかな。今こいつの首を刎ねてもいいし、逃してMMTMに処理させるのもいい。一瞬でも気を引いてくれるなら儲け物だ)

 

 クローバーはそう考えます。そんな時。

 

 ダダダダダダン!

 

 咄嗟の判断で、近くにいた男の死体を被るのと、

 

「えっ?」

 

 クラレンスの全身に、ダメージエフェクトが出たのは、同時でした。

 

「ん…来たか……」

 

『どうしたの、クロ!銃声が聞こえたけど、大丈夫!?』

 

「ん、問題ない。ただ少しだけまずい」

 

『来たかって言ってたけど、なにが!?何がまずいの!?」

 

「ん、北から降りてくるのが想像以上に早かった」

 

 男を盾にしながらチラリと伺ったクローバーが見たのは、6人全員が揃った、優勝候補のMMTMが、自身に銃を向けているところでした。

 

 

地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
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