ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

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 遅れて申し訳ない


第13話

 

「リーダー、黒い方は始末したが緑のポンチョのチビは死体の影に隠れられた。どうする?」

 

「あのチビのチームメイトが見えない。伏兵としているのか、全滅しているか判断がつかないから、警戒しておけ」

 

 MMTMは、冷静に状況を判断していました。現在見えるのは、銃を持っていないチビのみ。囲えば殺すのは簡単ですが、分散した瞬間に仲間を奇襲されれば痛手です。

 

「あれはピンクのチビではないな。だが、酒場で一緒にいたやつかもしれん。つまり、あのピンクがいる可能性がある」

 

 前回優勝者のレンがすでに負けているとは思えません。必ずどこかかに伏兵として潜んでいるはず。ジャングルで視界が悪い中あのピンクのチビに襲われればひとたまりもない。そうリーダーは思いました。

 

 

 

『MMTMが来ちゃったの!?』

 

「うん。でも、こっちでなんとかする。レンたちはこのままPM4に向かって」

 

『無茶だよ、もう見つかってるんでしょ!?勝てるわけないじゃん!』

 

「ん、さっきの戦闘を思い出して?私が1人で17人倒した。追加で6人くらいどうってことない」

 

『でも……置いて行けないよ』

 

『レン、クロはちゃんとやることをやってるんだぜ?私たちもやることやんないと、クロの頑張りが無駄になるぞ』

 

『うう……』

 

(ん、レンの悪い癖。吹っ切れた時は決断も判断も抜群で実力を発揮できるのに、普段は意志薄弱の優柔不断)

 

「ん、早く行く。MMTMはこっちを静観してるから、きっと私以外に伏兵がいると思ってる。今のうちに逃げて」

 

『くっ……ごめん!』

 

 無線越しにレンが謝る声が聞こえ、走り出そうとしたのを感じたその時、

 

『おい、レン。ありゃなんだ?』

 

 フカ次郎が、レンに問いかけをして。

 その直後、ドスの効いた重低音とともに、MMTMのいる付近に沢山の銃弾が降り注いできました。

 

 

 

「ちっ、SHINCか!」

 

 近くにあった木に咄嗟に体を隠していなければ、MMTMは全滅していたでしょう。

 

「全員撤退!援護射撃は要らないからとにかく後退しろ!ライン注意!」

 

 あの重い音は、ロシア製のPKMマシンガン。そして、射手は前回ドーム南にいたSHINC。MMTMのリーダーは、即座にそう結論づけて、撤退を開始しました。緑のポンチョを着たチビから目を逸らして。

 それが、MMTMにさらなる不幸を齎しました。

 

 ダダダバッ

 MMTMのリーダーは、確かにその音を聞きました。そして、咄嗟に首を逸らし、飛んできた小型のナイフを避けました。

 そして振り返って見ました。さっきまで50mほど先にいた、死体を被って銃弾を防いでいた緑のポンチョを着たチビが、すぐ近くの自分の仲間の首を刎ねているところを。

 

「クソっ」

 

 その仲間の近くにいたもう1人が、チビに向かって持っていた銃を撃とうとして、

 

 ドダダダダダン!

 

 重低音とともに飛んできていた弾丸が頭にあたり、【Dead】タグを光らせました。

 

「全員急げ!2人やられた!」

 

 幸い緑のチビは追っては来ず、なんとかドームの外に出ることができたMMTM。

 

「くっ、あのチビがあんな手練れだったとは……仕留めきれなかったことが悔やまれるな」

 

 リーダーは、そう呟いてから自分達が来た方向である、北に戻る選択をしました。

 

 

 

 レンは、スキャンを見ていました。

 

 現在はの生き残りは七チーム。中央のドーム内にいるレン達LFC。

 

 同じく中央のドーム内にいるSHINC。

 

 さっき2人を失い、4人になって北へ移動するMMTM。

 

 北西部の壁とほぼ同じ場所には、T-Sという名前。知らないチームです。

 

 北部にZEMAL、全日本マシンガンブラザーズ。前回SJは序盤で敗退してしまいましたが、今回は生き残って頑張っています。

 

 ドームの東、山に挟まれた谷間にKKHC。こちらも知らないチームです。

 

 そして最後に、南東に、あの七チームの連合を倒したと思われる、ピトさんとエムさん率いるPM4。

 

 レンは、スキャンを見終わると、自分の後ろでスキャンを見ていた巨漢でおさげの女に振り向きました。

 

「別にあの子を助けたわけじゃないよ?ちょうど私たちから見える位置じゃなかったし。MMTMっていう強敵を仕留める最大のチャンスだと思ったから撃ったんだ。あんたのところと協力しても2人しか仕留められなかったが。ま、あんた達とは『一時休戦』ってところかな?今殺すのは簡単だけど、私は真剣勝負がしたいからね」

 

「恩に着るよ。その攻撃がなければクロちゃんはやられてたかも」

 

「いやぁ……マシンガンの弾が飛んできてるところに、注意が逸れた一瞬で切り込んでいく、前回終盤のあんたよりもやばいやつがあの程度でやられるとは思えないけどね」

 

 そう話していると、クローバーを迎えに行っていたフカ次郎が戻ってきて、ボスに話しかけました。

 

「やあ、無駄にでっかい人!あなたがボスね。私はフカ次郎。愛を込めて『フカ』でいいよ。よろしく!」

 

「ん、私はクローバー。さっきのは助かった。あれがなかったら、私は3人ぐらいを道連れにやられるしかなかったと思うから。無傷で1人持っていける状態にしてくれたこと、感謝してる」

 

「これはこれはご挨拶が遅れまして、小生意気そうなゴールドのお嬢様と赤メッシュの映えるプラチナのご令嬢。私のことは、エヴァでもボスでも、お好きな方でお呼びくださいませ。━━そして、ありがとう。詳しくは知らないけど、あなた達がいなければレンはチームを組めなかったし、SJ2に参加できなかった」

 

「ま、礼には及ばんぜよ。詳しい自己紹介は、大会の後にゆっくりとね」

「気難しそうな……わたし、そう見える……?」

 

 

「じゃ、レン。頃合いだし、ガチのタイマン勝負といこうか?ここでもいいし、場所を変えてもいいよ?別チームの邪魔が入らない場所ならどこだって━━」

 

「ごめん……、それはできないー

 

 発言を遮ったレンの言葉に、ボスは目を丸くしました。

 

「はぁ?どして?今度会った時は勝負すると━━」

 

「ごめん……。それは……。理由は……、言えなくて……」

 

 リアル絡みの厄介ごとにアマゾネスのリアル、女子高生を巻き込みたくないからと、辛そうに表情を歪めるレンの脇で、

 

「いやさー、ピトフーイをレンが倒さないと、大変なことになるからさー。ピトフーイさんがSJ2に優勝せず死ぬと、リアルで死んじゃうんだって」

 

「ん、それを唯一止められるのがレン。フカはPM4と戦うためのレンの相棒。私は、道中の雑兵を蹴散らすための傭兵」

 

 フカ次郎とクローバーはあっさりと裏切ってネタバラシをしました。

 

「ちょ、ちょっと2人とも!?」

 

 茹で上がったタコのようになったレンを

 

「ライバルなんだろ?ちぃったー信用してあげようぜ」

 

 フカ次郎はそう諭しました。

 

「んー……」

 

 ボスは唸りました。苦渋の表情を浮かべたかと思うと、数秒瞑想し、そして訪ねてきました。

 

「じゃあ、私達に何かできることはありますか?香蓮さん」

 

 

 

 本当に短い間で、レンとボスは作戦を立てました。

 それは、二チームによる挟み撃ち作戦。

 ボス達は南から、レンたちは東からドームを出て、14時ちょうどのスキャンを待つ。おそらくはドームの南東にいるPM4の位置を確認し、その場所目掛けて挟撃する。

 その際、最初に南方から攻撃するのはSHINC。

 その戦闘に気を取られている隙に、背後からレンたちが襲う。

 あくまでピトフーイを倒すのはレンですが、そのサポートのために、SHINCは PM4の戦力をできる限り削ぐ。

 

「いけるね!私たちは、今回エムの盾対策を仕込んできたからね!それくらいの間なら、PM4を牽制できる!なぁに、それで全滅したって構わないさ!」

 

 そう意気込むボスに、クローバーは

 

「ん、盾対策は一応私も持ってきていたんだけど……任せる。私はMMTMとZEMAL、T-Sを排除して合流するから」

 

 そう伝えました。

 

 レンは、ボスたちが本当は心の底から優勝を狙っていることを、他の誰よりもよく知っているので、ただ素直に小さな頭を深々と垂れると、宣言しました。

 

「今度、食べきれないほどのお菓子をおごる!約束だよ!」

 

地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
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