ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

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お待たせしました


第15話

 13:50分。

 

「レン達は生き残っている。ドームの中だ。周囲に三チーム転がっていて、ドーム外には今も移動中で離れていくMMTM。近くにいるSHINCと共闘でもしたのかもしれん」

 

 エムの報告を、

 

「さっすが!」

 

 ピトフーイは笑顔で聞きました。スキャンが終わると、

 

「残存チームは7。LFP、SHINCがドーム内。MMTMがドーム北。ZEMALが丘陵地帯、T-Sが北西壁沿い。次に近いのは、谷にいるKKHCだ。山を下りて、こいつらを倒しに行く」

 

 真面目な口調のエムと、

 

「りょうかーい。お散歩お散歩っと」

 

 ふざけた口調のピトフーイと、

 

「…………」

 

 黙ったままの残りの覆面男4人が山を下りて行きました。

 

 

 

 しばらくして。

 

「敵だ。5人。距離1000。走ってこちらに接近中」

 

 双眼鏡を覗いていたエムが言って、

 

「KKHCのお出ましね?獲物の得物は?」

 

 飄々としたピトフーイの洒落と同時に、全員スッとしゃがみました。

 

 すでに山は下りて、周囲には平らな畑と林や茂み。遠くに巨大なドームの屋根が見えます。

 

 立ったまま双眼鏡を覗いていたエムはいいました。

 

「何も持っていない」

 

「はぁ?」

 

 その3分後──。

 ほぼ全力疾走してきた5人がピトフーイの前に立ちました。

 ブーツに茶色のパンツ、上半身は木々を描いた迷彩のジャケットで揃えた男4人と、女1人。

 

 

 

 彼らは、7チームを殲滅したピトフーイ達に、共闘を持ちかけてきました。

 

「うーん。共闘は必要ないと思うけれどねぇ。それに、私たちの目指しているのは優勝だけど、仮にあなた達と組んで、最後の二チームになったらどうするおつもり?その瞬間、撃ち合い?」

 

 ピトフーイはKKHCのリーダーに尋ねました。

 

「ハッキリ言えば、そのとき我々は降参で、優勝を譲ってもいいと思っている」

 

「あらま。あなたたちは、優勝狙いでSJ2に参加したのではない、と?」

 

「ああ。正直、腕試しだった。実は俺たちは、リアルでも銃を撃っているハンターばかりのスコードロンなんだ」

 

「へえ、それはおもしろいわね」

 

 その言葉に気をよくしたリーダー。

 

「全員射撃には自信がある。バレットラインなんてものに頼らなくたって、かなりの命中率だ。お嬢さん達は、バレットラインなしでの長距離射撃なんて、想像もつかないだろうね」

 

 なんて、先ほど対物ライフルでバレットライン無しの射撃をしたピトフーイに言ってしまいました。

 

「だから、オレ達はそちらのチームを狙撃でバックアップできる。傭兵でも雇うつもりで、一緒に優勝と準優勝を目指さないか?」

 

 提案を聞いたピトフーイは、

 

「話はよくわかったし、悪い話じゃないんだけど。ごめんなさい、と言うしかないかしらね」

 

「そうか……。残念だが、そういうことなら、強制はできないな。仕切り直しということで、オレ達はあっちにある茂みの向こうに一度消える」

 

 北西70mくらいの場所にある林を指差すリーダー。

 

「その後は、次のスキャンまで接触はしないよ。リアルで銃を打つ人間の誇りにかけて、約束させてもらう」

 

「そう。じゃ、私たちは皆さんが見えなくなるまで、ここにいるわ」

 

 ピトフーイはそう言うと、近くで周囲を、そしてKKHC5人の行動を見張っていたエムと覆面4人に、

 

「あんたたち、聞こえたわね。撃っちゃダメよ。男の約束ってやつ」

 

 そう言いました。

 

「素晴らしい戦士だ。では、お互いの健闘を祈って」

 

 リーダーは最後にそう言って、踵を返して歩き出しました。チームメンバーがそれに続きます。

 

 背中を見ていたピトフーイは、5人が30メートルほど離れたところで、

 

 

 

「もういっかな?」

 

 左手をサッと振り、ウィンドウを操作して、ストレージから《スプリングフィールド XDM》自動式拳銃を取り出しました。

 XDMが空中に浮かび、ピトフーイは右手でグリップを掴んで、腕を前に伸ばしました。

 

 そして次の瞬間──

 

 彼女は猛烈な勢いで、銃を持つ肘と腕を引きました。

 

 残像が残るほど素早い腕の動き、その引かれた勢いの慣性で、XDMのスライドは後ろに下がって、バネの力で前に戻り、40口径拳銃弾を薬室に送り込んでいきました。

 

「じゃ、一番左からいこっか?」

 

 ピトフーイはそう言うと、5人の左端を歩く長身の男の背中を、右手だけで無造作に撃ちました。

 

 

「あちゃ、ちょっと外れた」

 

 男の左肩に当たった拳銃弾を見たピトフーイは、もう少しじっくり狙って、2発目を撃ちました。2発目は、肩の着弾に驚いた男の後頭部に直撃。即死認定をさせました。

 

 続いて黒髪の男の首に一発、それだけでは死ななかったので頰と目と額に一発ずつ。彼はドサっと倒れました。

 

「おおい!何をしやがるっ!約束がっ!」

 

 KKHCのチームリーダーが叫ぶと同時に、叫んでいるその口に銃弾が入り込み、即死認定。

 

「男じゃないからね、わ、た、し!」

 

 ピトフーイはそう言い放ちました。

 

 

 

 残りの2人、残った男女は逃げ出しました。しかし、逃げる男の左足に、的確に被弾させるピトフーイ。

 

「逃げろっ!シャーリー!」

 

 そう呼びかけられた、緑髪の女、シャーリー。しかし、彼女は逃げませんでした。

 

 彼女は、横倒しになった男の前に駆け寄るとしゃがんで、背負いあげました。

 

「あらやだ」

 

 ピトフーイが女を狙って撃った弾は、担いだ男の延髄に当たり、ピコン!という音を立てて【Dead】マーカーをつけました。しかし、シャーリーはそれを背負ったまま、走り続けます。

 

 ピトフーイがいくら撃っても、破壊不可能オブジェクトとなった男の死体にあたるだけ。ついにシャーリーは、茂みの奥に消えて行きました。

 

 

 

「やるじゃない!死体が破壊不可能なのをわかってて背負って逃げたのね!」

 

 そう楽しそうにいうピトフーイ。

 

「逃すのか?」

 

「ええ。面白いじゃない。復讐でもしにきてくれたらうれしいわ」

 

 そうエムに言いながら、左手でウィンドウを操作。一括装備のボタンを押しました。

 

 すると、ピトフーイの目の前の空中に、XDMの予備マガジンが。右手に持ったXDMのマガジンを交換し、再び薬室に弾丸を送り込みました。

 

 そこからは、まるで変身シーンのようでした。

 

 

 

 濃紺のつなぎの腰に、太いベルトが巻かれて。

 そのベルトにぶら下がる形で、右腿の外側にプラスチック製のホルスターが現れ、腿にもサポートベルトが巻きつきました。

 左腿にも同じように、ホルスターとサポートベルトが。ただし、こちらにはすでにXDMが収まっていました。

 ピトフーイは右手のXDMをホルスターに納めました。これで、2丁拳銃の出来上がり。

 

 左右のブーツの外側に、格闘戦用の細身のナイフが実体化してくっ付きました。

 

 その後、上半身が光ります。

 引き締まった体には、胸部の防弾を兼ねた黒い装備ベストが着用されました。腹部には、細いマガジンポーチがびっしり。

 

 背中には、心臓などの急所をカバーする防弾プレート。

 そして、中身は不明の、横に長い大型ポーチが、腰あたりに装着されました。

 

 今度は頭で動きがありました。

 今までピトフーイがポニーテールにしていた黒髪が、一度自然に解けて。まるで生き物のように空中を軽やかに舞って。

 

 邪魔にならないよう移動した次の瞬間、ピトフーイの頭に黒いヘッドギアが装着されました。その後、髪がまとまって、再びポニーテールに。

 

 装備はまだありました。

 ピトフーイの左腰に、全長50cmほど、幅15cmほどの、細長いナイロン製の鞘がつきました。ちょうど、日本刀を装着する位置。

 鞘の中身は、《レミントンM870・プリーチャー》。ショットガンのM870に、短い銃身とピストルグリップを取り付けた、全長50cmほどのモデル。

 短い銃身から放たれる散弾は、猛烈に広がります。近くにいる素早い相手に弾を当てるのには、実にもってこいの武器。

 

 例えば──、レンのような。

 

 胴体の装備ベストのあちこちに、赤や青の散弾を差し込んだホルダーが現れ、装備されました。

 

 最後に、目の前の空中で、一際大きい光の粒子が生まれます。ピトフーイはそれに手を伸ばし、掴み取りました。

 

 ピトフーイが空中で掴んだのは、《KTR-09》。ロシア製AKのカスタムモデル。米国クレブス社の商品です。

 銃の前半分、左右と上部には、光学機器を取り付けるレールが取り付けられています。グリップや安全装置も改良され、ストックはM4A1と同じものが使えるように。

 さらに、マガジンは通常の30発のバナナのような形をしたものではなく、75発入りドラムマガジン。

 

「このカッコするのも、ひっさびさねぇ!うっし、みんな!気を引き締めて!蹂躙するよ!!」

 

 変身を終えたピトフーイは、そう言いました。

 

 

 

地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
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