ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

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第20話

 

 

 

「ピトフーイ、起きろ……」

 

 ベッドに寝かされたピトフーイに声をかけるエム。

 

 先ほどから、建物の北側の一階にはグレネードランチャーの弾頭が撃ち込まれ、爆発を起こしています。

 

「……早く起きなければ、本当に死ぬぞ」

 

 南側からは、 SHINCによるマシンガンなどの弾の雨霰。

 

「気絶しながらトドメを刺されるというつまらない死に方でいいのか?」

 

「……あなたは最後まで戦い抜いて死にたいはずだ」

 

「だから、おきてくれ……」

 

 

 

 

 

 14:20分。戦況は、膠着状態でした。

 

「クロ!まだ!?」

 

『今、向かってる。いいものを拾ったし、お土産もある。楽しみにしてて』

 

「そりゃあいい!私には南国のフルーツで頼むよ!!」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないよー!!」

 

 先ほどから攻撃していますが、一切効果を感じず、むしろ SHINCの方は反撃で少しずつ体力を削られている状態。

 

 ピトフーイが起きれば戦況がどうなるかわからない上、まだエムのライン無し射撃も健在な今は、あまり状況はよくありません。

 

『ん、そろそろ着くよ』

 

「そろそろ!?そろそろっていつ!?」

 

 そうレンが叫ぶと共に、

 

 ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!!

 そんな音と共に、後方から一台の車がやってきました。

 

「お待たせ」

 

「クロ!」

 

 乗っていたのは、クローバー。20分ぶりの合流です。

 

 乗ってきたのは、装甲付きジープ。エンジンが良いようで、最高速度は180kmまで出る良い車体。

 

「ん、お土産も積んできた」

 

「おおっ!それはっ!?」

 

 レンが荷台を覗き込むと、そこには

 

「ん、自転車」

 

「いや、使わないよ!?」

 

 T-Sが使っていた自転車がありました。

 

「そう?使わないなら使わないでいいよ」

 

「それで、どうするの?」

 

 レンは、GGOの大先輩であるクローバーをこの山荘の戦いによって頼りにしていました。

 

「ん、私が突入してピトフーイ以外を殺す。その後、レンはピトフーイを殺す」

 

「の、脳筋!?」

 

「SHINCは、私が山荘に入るまでの時間を稼いでほしい」

 

『いいよ!』

 

「ちょっ!?作戦は!?」

 

「フカも突撃してね」

 

「あいよ!!」

 

「は、はぁ!?」

 

「レンもついて来れるなら突撃してもいいよ?バンザーイって」

 

「ええっ!?」

 

「ま、その足じゃあ無理だろうけど」

 

「なっ!?」

 

 レンが足を見ると、そこにはグレネードランチャーがぐちゃぐちゃの結び目と共にありました。

 

「ふ、フカ!?これなに!?」

 

「"この結び目をほどく者が、この世界の王となるであろう!"ってね!!」

 

「ちょ、ちょっと!おいてかな──ふべっ!?」

 

 転ぶレン。

 

「SHINC、目的はわかってる?」

 

 レンの耳からボスたちと繋がっている通信機を取り外し、自分につける。

 

『ああ。全員突撃して、華々しく散る!イカれたレンはあたしたちもみたいからね!!』

 

「よし、突撃」

 

 

 

 

 

 クローバーは、ピトフーイにレンが勝つためには、SJ1ラストの『イカれたレン』になる必要があると、直感的に理解していました。

 SHINCは、『イカれたレン』が見たかったので、それに協力することにしました。

 フカ次郎は、興味本位です。

 

『南側、SHINCが突貫を始めました』

 

「マシンガンで牽制しろ。北側から来るグレネードランチャーを持った娘は俺が始末する」

 

 PM4は、突貫してくるフカ次郎とSHINCに対応しなくてはなりませんでした。

 

「……」

 

 エムは、わざと撃たずにしばらくフカ次郎を走らせたあと、フカ次郎のヘルメットを撃ちました。

 

 

 

「ぐっ!やるね!ターニャがやられたよ!トーマ、ローザ!しっかり敵を狙いな!!」

 

「あいよ!」

「わかった!!」

 

マシンガンと、スナイパーライフルを持った覆面男たちが、SHINCを追い詰めています。

 

「撃つよ!!」

 

 バゴン、という音と共に、デグチャレフ対戦車ライフルが火を噴き、山荘の一角に穴をあけました。

 

 

 

 その直後、撃った場所とは別の場所から飛んできた弾丸によって頭を撃ち抜かれ、トーマは退場しました。

 

「ぐっ!流石に台座無しじゃむりか!いくよローザ!!」

 

「あいよぉ!!」

 

 銃を撃てる限り撃ちながら突貫する2人。しかし、マシンガンのカーテンと正確な狙撃の前には、無意味でした。

 

 

 

『うひゃあ!右足ないなった!!クロさんや!!まだかい!?』

 

『くっこのっ!!はーずーれーろー!!』

 

「ん、問題ない。入り口に辿り着いた」

 

 

 

 クローバーは、SHINCが全滅したちょうどその時、警戒網を抜けて入り口に辿り着いていました。

 

「ん、あとは生き残って」

 

『簡単にいうよ!!』

 

『クソッ!クソックソー!!』

 

 先ほどからフカ次郎とクローバーの間に混ざっている声は、レンの声。

 

『おいおい、まだやってんのかい?アレキサンダー大王さんよ』

「ん、そんなんじゃ旅の初めで躓くね。オケアノスに辿り着くなんて夢のまた夢」

 

『アレキサンダー大王!?オケアノス!?……そうか!!』

 

『やぁっと気がついたかい』

 

「じゃ、私は突入するから」

 

『ちょ、ちょっと待って──』

 

 クローバーは通信を切り、建物の中に突入しました。

 

 

 

 

 

「……敵は全員2階」

 

 銃声と、音の動きから、即座にクローバーはそうあたりをつけました。

 

「南側に2、北側に1。おそらくピトフーイは気絶中、なら階段に1か」

 

 そういい、迷いなく中央の階段を昇るクローバー。

 

 両手にはそれぞれ、腰から抜いた刃渡り42cmの大型ナイフ。腰には、ベルトの先に繋がった刃を仕舞われたフォトンソードが揺れています。

 

 階段の踊り場に来たところで、クローバーは散弾銃を構えた覆面男がいるのを確認しました。そして、同時に相手も。

 

 ドパンッ!という音を響かせて階段の踊り場に散弾が降り注ぐのと、一瞬で階段を登りきったクローバーが男の腹と首にナイフを貫通させるのは、ほぼ同時でした。

 

 

 

 

 

「は、はえぇ……」

 

「レンちゃんもそうだけどよ……散弾銃でどうにかできないとか、体格の小さいAGI型ってなんであんなに化け物なんだ?」

 

「違うよ。あいつらがおかしいんだよ。普通はあそこまでAGI高めないんだよ」

 

「あ、南側のスカイパーとマシンガナーが気がついた……で、でかいナイフで首が串刺し……」

 

「えげつない殺し方するなぁ……というか、狙いが正確すぎる……リアル暗殺者か何か?」

 

「一瞬で覆面3人がやられて、残りはエムとピトフーイか……」

 

「残念だが、優勝は今回もLFCか。一枚どころか何枚も上手だったな」

 

 

 

 画面の中のクローバーは、殺したのを確認したあと、エムのいる部屋まで真っ直ぐに移動していました。

 

 そして、ドアノブに手をかけようとした瞬間──

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「はぁーい、LFCの大型新人さんっ♪死んだ〜?」

 

「ん、残念。生きてる」

 

 

 

 その場にいたのは、気絶から復活していたピトフーイ。ドアに穴をあけて相手が来るのを待っており、クローバーがきたところにショットガンをぶっ放して右手を千切り飛ばした張本人。

 

「ん、追い詰められた」

 

「あら、演技はいいのよ。あなたがその程度でやられるはずがないっていうのは、BoB見てれば誰でもわかるし」

 

「そう」

 

 クローバーは、左手に持っていたナイフを、()()()()()

 

「あら、なんのつもり?素直に殺されてくれるってわけ?」

 

「ん、残念だけど違う。あなたは、レンと戦いたいはず。『イカれたレン』は仕上げておいたから。存分に楽しんで。それとも、レンと戦えずにここで私に殺される?」

 

「それはゴメンだわ。確かに()()クローバーと戦えるなんて、お金を払ってでもやりたいけど……今日はそれ以上に、レンちゃんと戦いにきてるのよね。レンちゃんを倒した後のデザートに、あなたはとっておくわ」

 

「ん、構わない。じゃあ、最後の仕込みをするね」

 

 そう言って、通信機をオンにするクローバー。

 

『フカっ!?フカッ!?』

 

『ん、どうしたのレン』

 

『クロ!フカが足を両方飛ばされた!今は、頭にバレットラインを当て続けられてる!!』

 

 そう、エムはピトフーイに命令されて、足を撃ち飛ばしたあと、頭にバレットラインを当て続けてフカ次郎を拘束していました。

 

「ん、それは残念。そして、もう一つ残念なお知らせ。私もピトさんに負けた」

 

「あら、そういうことね」

 

 ピトフーイが何かに気がついたように呟きながら、腰につけたショットガンの鞘を床に置く。

 

『ちょ!?な、なにして』

 

「あとは、レンが頑張って〜あ、ピトフーイ、できれば取らないでほしい」

 

 その言葉に、ピトフーイは近寄ってくると、

 

「だーめ!後で殺すデザートにとっておいてあげるだけ、ありがたく思ってね」

 

 そうレンに聞こえるよう通信機に話しかけた後、通信機を窓の外に捨てました。

 

「ん、これで完璧」

 

「ありがとう、クローバーちゃん。レンちゃんと戦う最高のお膳立てってわけ」

 

「そういうこと。エムも連れてっていいよ、私は手を出さないから」

 

「さながらラスボスね!心踊るわ!バイビー!!」

 

 そう言って、エムのところに戻っていくピトフーイ。

 

 クローバーは、空き部屋に座って一息つくと同時に、叫び声が聞こえたような気がしました。

 

 

 

 

 

 ぴとさんぶっころすー!

 

 

 

 

 

「……フフッ」

 

 これにて、クローバーの仕事は終了。あとは、決着を待つだけになりました。

 

 

 

地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
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