ガンゲイル・クローバー   作:めろんムーン

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 GGOの設定不明点多すぎる…少しでも多く情報を得るためにゲームのフェイタルバレット買いました。


4.酒場、敵情視察

 

 

 

 とある男たちが、砂漠を歩きながら話しています。

 

「おい、知ってるか?MurderCloverってやつ」

 

「なんだそれ?新しいアニメかなんか?」

 

「おいおい、GGOやってるのに知らないとかないワ。まぁ教えてやるよ。MurderCloverっていうのはな、高原フィールドの一角に陣取ってる有名なプレイヤーキラーのことだ。そいつは高原フィールドの端、クローバー高原って名前のついた高低差600mはある小さな山の上から狙撃してくる」

 

「おー、こわ。でもなんでそんなに有名なんだ?近づかなきゃいいだけだろうし、第一に高原フィールドって高難易度だろ?あんまり有名にならなそうだが」

 

「そいつの腕が異常なんだよ。そいつのいる山頂から2km離れた場所まではクローバーの草原が広がっていて、そこからは森になってるんだが、クローバーの草原に入ったらもうMurderCloverのキルゾーンらしい」

 

「はぁ!?2kmとかありえないだろ、対物ライフルでも持ってるのか?」

 

「そのまさかだ。しかもそいつは、第一回、第二回、第三回のBoB全てで()()だ。第一回の時は近接戦で他の奴らが一方的に倒された優勝者のサトライザーと互角に戦ったらしいぞ」

 

「イカれてんだろ、なんだよそいつ」

 

「お前も高原フィールド行く時は気をつけろよ」

 

「おう」

 

 

 

 SJ2の大会本部は、SJ1のときと同じ、首都SBCグロッケン内にあるとある大きな酒場です。酒場にいる参加プレイヤーは、12時50分に一斉に待機エリアに飛ばされます。

 武装や装備の実体化をするための、10分の準備時間の後、13時からSJ2がスタート。一斉に、フィールドのどこかに転送されます。

 戦闘の映像は、運営が撮って中継します。空中にカメラ位置を示すマーカーがいくつも飛び、格好いいアングルで捉え続けます。

 生中継を見たい観客は、そして殺され脱落した参加者達は、酒場で飲み食いしながら、好き勝手なことを言いながら楽しみます。

 

 12:20分を過ぎて、酒場にも人がだいぶ増えてきました。出場するプレイヤー達も、三々五々集まってきました。

 そんな中、入口近くに一人しか座っていないソファーと、空いているテーブルがあります。

 そこに座っているのは、灰色のポンチョを着て、ポンチョの合間から、ちらりちらりと白金色の髪が見え隠れする小さい人物。

 彼女こそが、黎葉のGGOでのキャラクターである、()()()()()です。

 クローバーはSJ2出場者を、まるで吟味するかのようにその赤い目で見ていました。

 

 

 

 そんな中──、

 酒場に入ってきたとき、波が伝わるように喧騒が静まったチームが、少しだけありました。

 

 まず、前回三位にしてシード権出場のチーム、〈MMTM〉。正式名称は、〈メメント・モリ〉です。人はどう足掻いても必ず死ぬのだから、今を楽しんで悔いのない人生を送れ、という成句です。

 死をモチーフに、ナイフを咥えたドクロエンブレムと、スウェーデンの軍隊が使っている迷彩服を身につけた六人の男達が、テーブルに座りました。

 

 彼らに少し遅れて入ってきた六人の女達も、再び賑わい始めた酒場を静かにさせました。

 お下げのゴリラ、金髪サングラス美女、ずんぐりむっくりドワーフ、下町のおばさん、銀髪狐目、クールな黒髪と、六人六様のアマゾネス集団。

 彼女達こそ、前回第二位であり、屠ったプレイヤー数がダントツだったチーム、SHINCです。

 

 MMTMのリーダーは、BoB──《バレット・オブ・バレッツ》という、GGO最強を決めるバトルロイヤル大会に出場した腕を持つ、そしてハンサムなキャラクターです。

 彼は、乾杯直前の仲間達からスッと離れて、SHINCのゴリラ女、ボスのもとへと歩み寄りました。

 

「やあ、お嬢さん方。前回は当たらなかったが、今回は、戦場で相見えるのを楽しみにしているよ。それまで、死なないでくれよ?」

 

 彼がそう挑発すると、ボスは

 

「もちろんですわ。あなた様方も、殺される前にちゃんと名乗ってくださいませね。気付かないかもしれませんから」

 挑発以外の何物でもないお言葉を、返しました。

 盛り上がる酒場と、二人のやりとりを、クローバーは冷静に見ていました。

 

(SHINC…SJ1にも出ていた女部隊…何度か私もフィールドで見かけた、なかなか腕の立つ集団。厄介そう。MMTMは、前回映像でレンが倒したチーム。動きがいい。こちらも要警戒)

 

 と、そう評しました。

 

 アマゾネス集団が酒場の個室に消えて、2分ほど経った頃──、

 

「おい、アイツだ……」

 

 山のような巨漢が、ぬうっと、酒場に入ってきました。

 身長は2m近くあり、胸板は防波堤の様に分厚く、腕は土管のように太い、茶髪ウェーブの男です。

 彼こそが、前回ピンクのチビと共にSJを優勝した、エムです。

 彼の7.62mmクラスの弾を弾く盾と、ラインを出さない高精度の狙撃は、今回の参加者達がもっとも警戒しているものの一つです。

 前回エムにやられたMMTMは、

 

「やっぱり出てきたか……。ラインなし男……」

 

「リベンジだ。会敵したら、訓練通りやるぞ」

 

 そんな会話。

 エムの後ろから、チームメンバーの人間が四人、入ってきました。

 全員が同じ迷彩服、頭と顔を隠す迷彩服面、色付きのゴーグルをしていて、体格以外で見分けがつきません。

 同じ見た目の小柄、大柄、細身、太っちょの四人は一言も喋らず、エムについて行きました。

 異様な光景に緊張感が生まれ──

 

「やっほーっ!みなさんお待たせー!」

 

 それを、ある女がぶち壊しました。

 身長は175cmほどの、黒髪を高い位置でポニーテールにした女です。

 肌は褐色。服装は濃紺のつなぎで、体のラインにぴったり。筋肉質な引き締まった体をしていました。

 顔のパーツは鋭く整い、両頬には煉瓦色のタトゥーが刻まれ、かなりの不気味さを醸し出しています。

 

「やーやーやー!お待たせ諸君!今日は私の活躍を見に来たんだね!いいね!楽しみにしててね!」

 

 やたらとハイテンションで周囲に愛嬌を振り撒く彼女に、酒場の男達は、

 

「なんだあ、ありゃ?彼女も、エムのチームメンバーか?」

 

「"オタサーの姫"ってやつか?」

 

 などと、困惑を隠せません。

 クローバーは、彼女を見て、

 

(アレが、ピトフーイ。レンの今回のターゲットで、レン以外に倒されれば自殺するらしい狂人。私は直接戦わないから関係ないけど、動きからしてかなり強いね…)

 

 と、そう思いました。

 遠くのテーブルでも、MMTMがあの女に警戒を高めたのが見えたので、自分の予想は合っているでしょう。

 

(にしてもピトフーイ……世界で初めて毒を持つことが確認された、有毒鳥類の代名詞か……()も物好きだね……)

 

 この他にも様々なプレイヤーが入ってきましたが、クローバーが警戒するほどの人物は入ってきませんでした。

 

 こうして時間は過ぎて行き、第二回スクワッド・ジャム開始まで、あとわずか。自然と緊張感が漂ってきます。

 そんな中、観客であろう者達がざわつき始めました。

 

「まだか?まだ来ないのか?」

 

「前回優勝者の、ピンクのチビは、まだか?」

 

 時間は12時45分。あと5分以内に酒場に入らなければ、遅刻で参加できません。

 

「おいおい、まだかよ……」

 

 個室から顔を覗かせた、SHINCの銀髪狐目、ターニャが心配そうに呟きました。

 やがて、2分が過ぎ、3分が過ぎ──、

 本当に遅刻かと思われた12時48分。

 

 

 

「間に合ったーっ!」

 

「いやー!危なかったーっ!」

 

 甲高い声を上げながら、2人のキャラクターが入ってきました。

 二人とも茶色のローブで姿を隠していますが、その身長と女の声で誰にでも分かります。

 前回優勝者、レン。

 一緒に入ってきたのもなかなかのチビッコキャラクターであり、なおかつ女。

 横に立っている()()()も、同じくらいの身長で、灰色のポンチョから除く白金の髪の長さ的に女。

 この二人が、今回のレンの仲間のようです。

 

「来たぜ!前回王者!レンちゃん!」

 

「今度は三人か?少人数で余裕そうだな……」

 

「無駄な六人より、凄腕三人ってところかな?」

 

「前回以上の殺戮!期待してるぜ!」

 

「あの新しい二人、女の子だな。匂いでわかる」

 

「そうかお前が変態か」

 

 酒場の中で好き勝手に男達が言い合い、盛り上がります。

 当のレン、フカ次郎、クローバーの三人は、気にすることなく、

 

「ん、フカ遅い。体調管理はVRゲーム廃人の基本」

 

「いやぁーすまんすまん!ポンポンペインでさぁ!」

 

「ほんとだよフカ!このおばかぁぁぁぁぁ!!遅刻するとこだったじゃん!!」

 

 元々クローバーが座っていた入り口近くのソファーに腰を下ろし、三人で話していると、

 

「や!レンちゃん!」

 

 聞き覚えのある声が自分を呼んで、

 

「…………」

 

 その声の主へと顔を動かしました。

 久しぶりに見るピトフーイは、相変わらずピトフーイでした。懐かしくもあり、恐ろしくもありました。

 

「前回優勝おめでとう!」

 

 屈託のない、見慣れた笑顔に、

 

「ありがと!」

 

 レンは一瞬だけ全てを忘れて、そう答えました。

 その瞬間、SJ2出場者が待機エリアに転送される30秒前のアナウンスが流れ出して、

 

「あちゃあ、のんびり話す暇もなかったかぁ」

 

 ピトフーイが心底残念そうに目を細めました。

 

「ピトさん──」

 

 レンが立ち上がり、

 

「ん?」

 

「頑張りますから期待していてください。"約束"──、忘れないでくださいね」

 

 啖呵を切りました。

 ピトフーイは目を瞬き、

 

「ん?よく分かんないけど──、まあ分かった。あと、敬語はナシナシ!時間ないけど、他に言いたいことは?」

 

 ピトフーイに尋ねられて、

 

「絶対に、殺す」

 

 レンは即答しました。

 

「あは!」

 

 屈託のない笑顔のピトフーイは、一度だけ白金の髪を覗かせるレンの仲間に少し目をやってから、去っていきました。

 レンは、座ったままのフカ次郎と、クローバーにキッと顔を向けて、

 

「行くぜ、相棒達」

 

「おうよ!」

 

「ん」

 

その瞬間、転送が始まりました。

 

 

 





地の文は

  • です、ます等の敬体のままでも良い
  • 〜である、〜だった等の常体にして欲しい
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