もしくは今回もよろしくお願いします。
タイトルまんまのお話です。
この小説は暇つぶしに利用するものであり、過度な期待をするものではありません。
つまりこの先中身はないぞ。
一時間目。入部
高校への進学。
それは単に中学生から一段上のステージに進んだというだけの話ではないのだ、たぶん。
気持ち的になんかこう…大人になるのだ。
少なくとも、中学生と高校生ではカテゴリーの名前的な分類だけではない見えない違いが存在している。
それがまやかしなのかどうかは僕たちが大人になる頃に知ることになるのだろう。
とはいえおおよそ、薔薇色、大人への準備期間、希望等々綺羅びやかな装飾がされるのだから、さぞ全員が楽しい毎日を過ごしているに違いない。
きっと涼宮ハルヒチックな同級生がいたり、古典部みたいな謎と美少女にまみれた生活が始まるのだ。
───そう思っていた時期が僕にもありました。
そう。
その日僕は思い出した。
何事にも例外はあるのだということを…。
「うわぁ…」
その日、僕は日直として適当に書いた日誌を持って職員室に足を運んでいた。
そしてそこで、『高校生的に先生たちに囲まれる空間には若干ゃ緊張するなぁ』みたいな気持ちが、吹き飛ぶような場面を僕は目撃してしまった。
いわく青春は嘘と欺瞞に溢れ、悪いものだ。
青春を謳歌してるやつらマジうぜーよ。あれこそ粗大ゴミだろ、マジマジ。
みたいな。
厳密にはもうちょっと頭のいい言葉が使われていたけど、中身はひどく頭の悪い作文を読み上げられている先輩がいたのだ。
その人は目がかなり腐っていて、ちょくちょく目の前にいる美人な先生の胸を見ている、ごくありふれては決してない感じの先輩だった。
ついでに思想も腐っていた。
僕はその時、新入生が聞いてはいけないタイプの演説を多少面白がりながらも、特に関わることもなく横を通り抜けたのだけど。
その先輩こそが学校でも一二を争うくらい関わる先輩になるとは、たぶん李白の目を持ってしても無理だった。
嘘みたいだろ?僕にとって涼宮ハルヒの自己紹介は、目の腐った先輩の変な作文だったんだぜ…?
人生の打ちどころを間違えたとしか思えない、ひどいスタートが僕の知らないところで切られていた。
もっとも。
例えどんなにひどいスタートだったとしても、そのゴールまでの道のりが楽しければ、それで僕は全然いいのだけども。
◆
僕は放課後、とある教室の扉をノックしていた。
場所は特別棟。
入り口の見た目はなんの変哲もないが、僕の相談に乗ってくれた平塚先生いわく、ここなら僕の願いは叶うらしい。
まさかそんな、ハリポタの必要の部屋みたいなものが実在するとは。
さすが高校。
ワクワクしてきたな。
「どうぞ」
涼やかな声で許可をもらったので、僕はコント気分で扉を開ける。
まず視界に入ったのは一組の男女…というか、この教室にはそれくらいしか存在していない。
机とかも教室の後ろに無造作に積み上げられていて、とてもこの教室で主役を張れるような状態ではなかった。
目の前の人たちで共通してるのは二人とも読書中ということくらいか。
少なくとも、一緒にいるのが自然な雰囲気の二人組ではない。
片方はやたら美人な先輩で、片方は昨日の放課後見かけた目の腐った先輩だった。
「お邪魔しまーす」
「依頼者かしら。とりあえず座って」
依頼者?
言われたことが理解できずに、座りながら目の腐った先輩の方を見るも、先輩も理解していない感じだった。
なんでだよ。
同じ部活に所属してるんじゃないのか?
「なるほど…依頼者…つまり先輩は探偵なんですね。いいですよね美少女探偵って。とてもいいと思います。悪い事して暴かれたいなって思います」
「違うわ。あと、あなたの特殊性癖についても興味ないの」
違うらしい。
どうしよう…いきなり性癖開示したせいで先輩の目が急激に険しいものになってきている。
冷たい目線だ。
もはや初対面に向ける目線の冷たさじゃない。
このまま先輩の冷たい眼差しにぞくぞくするのも楽しそうだけど、そうすると先輩にとって僕が(視界に)映す価値なしになってしまいそうなので、とりあえず用件だけ伝えることにしよう。
と、その前に。
「すいません、自己紹介まだでした。一年B組。今泉浩平です。趣味は楽しく生きることです」
「…二年J組、雪ノ下雪乃よ」
「ゆきのん先輩」
「やめて、不快だわ」
「はい」
僕に自己紹介を返してくれた先輩の名前を脳内に保存する。
雪ノ下雪乃先輩。
とりあえず美人で、怒ると怖い。
でもその怖さが癖になる。
……。
…………。
あれ。
「あの、そちらの先輩は…?」
雪ノ下先輩と僕の目線が突き刺さったからなのか、先程から手元の本から目を動かしてなかった先輩がようやく顔をあげた。
ちなみに一ページも進んでないのは、確実にこちらの話を聞いてたからだ。
指摘しないけど。
「あ、俺もするの?」
「当たり前でしょう?逆になんでこの流れであなたを無視されるなんて発想が…あ…」
「おいバカやめろ。出来れば関わりたくないからあえて空気に徹してただけなのに、俺がいつも自己紹介タイムにハブられてたから慣れてないみたいな納得するな!いやハブられてたけどね?」
悲しい話だった。
とても悲しい。
なんでこの人はジョークとして消化してるんだろうか。
メンタルがいかれてるとしか思えない。
「二年F組、比企谷八幡だ。えーっと…よろしくな…?」
「はい、よろしくお願いします雪ノ下先輩、ヒキガヤ先輩。…それで、依頼とかよくわからないので用件だけ話しますね。平塚先生に校則の範囲内で何しても許される部活ないですかってきいたらここ教えてもらったんですけど、ここであってますか?」
「違うわ。ここはそんな、遊び目的でやっているような部活ではないの。用がそれだけなら帰ってくれるかしら」
違うらしい。
なんだよもう。
何もかもが違うじゃん。
悲しみと否定しか生まれてないよこの空間。
地獄か?
「なん…だと…?そんなバカな…」
「バカはあなたよ。だいたいどうして部活に入ろうと思ったの?遊ぶだけなら放課後自由にすればいいじゃない」
打ちひしがれる僕に追い討ちをかけるように、雪ノ下先輩が少し楽しげに言葉責めしてくる。
この人はドSの化身かなにかなのだろうか。
「うーん、別に学校の外でやりたいことは大人になってもできますから。BLANCOとか滑り台とか、砂遊びとか…」
「謎の公園縛り…しかもブランコだけなんでネイティブなんだよ」
「すいません、つい知性が溢れちゃって…」
ヒキガヤ先輩の突っ込みにへへ、と照れ笑いする僕を雪ノ下先輩がいよいよもってバカにするように見下して吐き捨てた。
「ブランコは英語でswingよ」
どうやら溢れ出ていたのは恥性だったらしい。
「へー。賢いっすね」
「馬鹿にしてるの?」
僕の適当な返事がお気に召さなかったのか、雪ノ下先輩の頬がひくついてる。
…なんか癖になってきたな雪ノ下先輩に睨まれるの。
怒られたいという僕の欲求がふつふつと沸き上がってきてしまう。
だが、とりあえず我慢だ。
美人な先輩に叱られる遊びはまたの機会にしよう。
じゃないと話が進まない。
「それに面白そうな部活に入りたかったので。最悪名前だけでも面白ければいいかなって。SOS団っていうんですよね?」
「はぁ?」
「今泉、ここに涼宮ハルヒはいないぞ」
なるほど、ヒキガヤ先輩はオタク文化にも造詣が深いらしい。
ちらりと手元を覗けば、いかにもな絵柄の女の子が片側1ページに描かれた本だった。
つまりはラノベ。
「実は姉から部活にはいるように手紙が…」
「それは古典部」
「『キリスト教の精神に則り、同じ学校に通う仲間の善き隣人となり友誼を深めるべく、誠心誠意、臨機応変に切磋琢磨する』部活動をしたくて」
「それは隣人部」
「腹の虫のためにスーパーで戦う同士が欲しくて」
「それはハーフプライサー同好会」
すごいな全問正解だ。
感動したのでいえーい、とヒキガヤ先輩とハイタッチするも、雪ノ下先輩はなんだこいつら気持ち悪!みたいな目で僕らを見ている。
だが、もう慣れた。
慣れたというのは雪ノ下先輩を恐れなくなったという意味ではなく、もっとむしろその目で見てほしいという願望を押さえつけれるようになってきたということだ。
ヒキガヤ先輩はハイタッチに慣れてないのか、それとも雪ノ下先輩が怖いのかすげー挙動不審だけど。
「すいませんふざけすぎました。でも奉仕部にはもう入部届け出して受理されてるので、仲良くしてくださいね!後輩キャラとして清涼剤的なポジションを目指していきます!」
「待ちなさい。じゃあはじめからここがあなたの目的地だったということ?」
「そうですね」
「ここまでの無駄に冗長なやり取りはなに…?」
「奏ですね」
賑やかな会話を奏でる的な。
「どちらかと言えば騒でしょう」
「雪ノ下先輩は賢いなぁ」
そんな感じで、僕は高校生活始まって早々、『奉仕部』という名前だけ見るとすごく卑猥な部活に入部した。
この日から、僕の高校生活は特別色付いていく…ことは別になかったけど、まぁまぁ楽しい毎日が始まるのだった。
たぶん。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
短めです。
次に書く小説を考えるための準備期間兼今書くのを放置してる小説を更新するための準備期間のための時間稼ぎなので、たぶんそんなに長く続けません。
さっぱり完結目指します。
あなたはどっちを女子にした?
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ヒッキー
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今泉