最後までお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。
かつて、祖父の死に立ち会った少年がいた。
原因は流行り病だった。
ありふれた話だ。
幼い頃に、身近な人の死に触れるなんてことは。
ただ、その少年は少し感受性が強く、どうせ人は死ぬ。
人生は無意味という実に過負荷な思想に行き着いた。
あるいは彼は、その人物と出会わなければとんでもない犯罪者になっていたかもしれない。
『あははは!あははははははは!畜生、やってられるか!家具全部持ってきやがって!あのヒモ彼氏ぃ〜!許せーん!でもまだ好きー!くそー!』
『…うわぁ、やべーひとがいる』
振られた腹いせに未来ある少年にアニメの教えを吹き込むまるで駄目な女の人。
略してマダオは、ある意味少年の恩人だった。
『自分を抑えて真面目に生きても頑張らないまま生きても明日は何が起こるか分からない。なら、分からない明日の事より、確かな今を楽に行きなさい』
『汝、何かの事で悩むなら、今を楽しく生きなさい。楽な方へ流されなさい。水のように流されなさい。自分を抑えず、本能のおもむくままに進みなさい』
明日を後悔しないため、死ぬまで楽しく生きることを心に決め、幼馴染みをきっかけに弾けた男…というかまぁ普通に僕は、現在。
「お土産は?」
「や、なーいですね…はい」
「なんで?」
「えー、や、えー…普通に忘れてました。でも僕が幸せだったからオーケーにならない?」
「デート一回かなぁ」
幼馴染みに平謝りしていた。
いやぁ、やっぱりいろはさんはいい。
流れるように土下座した僕を見ても動揺することなく、むしろ靴を脱いで僕の頭を踏んでくれるのほんと最高。
悪女極まっててご馳走様ですって感じ。
ガハマ先輩のペットを躾けるみたいなお叱りも全然好きだけど、このいろはさんの人権を無視してでもこいつを躾けるみたいな独占欲はやっぱ特別というか、なんというか…うん。
超ぞくぞくする。
「ちなみにどこ行きたいの?」
「水族館」
「乙女か?ぐぇー力入れすぎ力入れすぎ…あ、ちなみにさぁ」
「…なに?もっと踏んでほしいの?」
「それはほんとにそう。…なんだけど、これ渡しとくね。お土産」
「………今この状況って浩平君がお土産買ってこなかったから発生してるんだよね…?私の認識あってる?」
「うん、踏まれたかったから嘘ついただけ」
「こいつ…私のこと好きすぎだろ」
はい、と渡されたもみじ饅頭が元になったデザインの変なキャラクターのキーホルダーを受け取ったいろはさんが、疲れたようなため息をつくのを聞いて、僕はようやく千葉に帰ってきた実感を得るのだった。
実家のような安心感、最高です。
◆
さて。
僕の唐突京都旅行。
なぜあんなことをしたかと言えば、ちょっと節目を前に気合を入れたかったのだ。
修学旅行直前、僕は雪ノ下先輩にあるお願い事をされていた。
それは、奉仕部を終わらせる依頼。
それなりに思い入れのある場所が終わるのは少しの寂しさがあるが、そこに執着して変に長編シリアスやるのは僕好みではない。
終わりはさらっと。
うすしお気味に。
それくらいがちょうどいい。
もしかしたらやけにしんみりした感じのヒキガヤ先輩に騙されて、僕が暴走して、それを泣きながらガハマ先輩が調理しておしまい、なんてとんでも結末を予想して不安になった人もいるかも知れないけれど、残念ながらこれは日常系。
終わりも至極あっさりしたものになるのだ。
それにしても僕ってば最近個人的に依頼受け過ぎじゃない?
まぁいいけどさ。
したことなんて多少手続きの代理と宣伝をして回った程度だし。
『私は、その。…生徒会長…やってみたいの』
『学校のため、なんてとても大層な事は言えないけれど』
『やってみたい。だから、その手伝いをして欲しい』
『これは、依頼じゃない。ただのお願いなのだけど、引き受けてくれるかしら』
『奉仕部をこんなワガママで終わらせるのは申し訳ないけれど、それでも』
『名前が変わるだけよ』
『やることは、これまでと変わらないわ』
依頼じゃないとか言いながら、依頼みたいな頼み方しか出来ないのさすが雪ノ下先輩って感じだけど、まぁあの人なりにかなり勇気を振り絞った精一杯なのだ。
僕はその変化を尊重する。
なんなら一周回ってふんぞり返ってたからね。
ジョジョ立ちみたいになってる雪ノ下先輩がとても面白かった。
あとなにより、ヒキガヤ先輩とガハマ先輩がまず間違いなく自分についてきてくれると開き直ってるのも超面白い。
この半年ちょっとで雪ノ下先輩も随分と図太くなったなぁ。
『お前知ってたな?』
『はい』
『知ってたならおしえてよ!びっくりしたじゃん!』
『ああ、私が奉仕部を終わらせるわ、みたいな切り出し方でした?あれ僕の粋なアドバイスです』
『悪質すぎる!』
『炎上しろ!』
僕が帰ったあとの夜…というか帰りの新幹線にて、ドッキリ大成功の看板を掲げる雪ノ下先輩の自撮りが送られてきた直後、先輩方から鬼のような勢いで電話が来て、僕と雪ノ下先輩は死ぬほど説教されたけど、素晴らしい変化だと僕はやっぱり思うのだ。
聞けばあの帰り道で、雪ノ下先輩が『奉仕部は解散するわ』と唐突に言い放ったらしい。
そりゃヒキガヤ先輩もガハマ先輩もびっくりするだろう。
流石だぜ。
そんな感じで、雪ノ下先輩からのお願いを受けて動き出した奉仕部だったが、ぶっちゃけ選挙は余裕だと僕は思っている。
逆に勝てるやついんの?
会長の雪ノ下先輩、副会長のガハマ先輩、会計の僕、書記のいろはさん、庶務のヒキガヤ先輩。
強すぎる…。
最強の生徒会ができちまったぜ。
これには城廻先輩も大喜び。
教師の皆様は、僕の名前を極力見ないようにしていたが、概ね好感触。
いろはさんを無理矢理生徒会長に立候補させてやろうと企んでいた奴らがいたらしいが、残念ながらすでに立候補済みの生徒を別の役職に推薦することはできない。
墓穴をほったな。
あんたらがわざわざ教えてくれた推薦人という名の反逆者リストはありがたく使わせてもらうぜ。
あえて立候補を隠していたのはこのためなんだよなぁ。
僕が京都に行った隙を狙ったんだろうけど読めてんだよ。
甘い甘い。
これからは肩身の狭い学生生活を送ってください。
震えて眠るがいい。
『また助けられちゃったね』
『別に助けてはないけどね。今のいろはさんなら余裕で生徒会長できそうだし』
『それはそう。でも、スカッとした!』
『そりゃよかった』
完全に身内で固められてはいるが、文句あるなら選挙に立候補して勝てばいいのだ。
まぁやっぱり僕らに勝つのは無理だろうけど。
僕は、一つの机を囲んで話し合う先輩方を見て笑った。
ちなみにいろはさんはいない。
サッカー部に顔を出して、好感度稼ぎをしてるらしい。
「とりあえず、2つほど考えてきたのだけど」
「少なくないか?」
「こういうのは数が多ければいいってものじゃないでしょう?それに、これはあくまでたたき台よ」
「ゆきのんゆきのん、見せて!」
・進学研究室の創設。
・部活動部費給付基準の緩和。
雪ノ下先輩が持ってきたのはその2つだ。
難しい言葉を前に、前のめりだったガハマ先輩は固まった。
「進学…研究室…?かつおのたたき…?」
「過去問を提供したり、過去の定期テストをデータベース化することで学業ノウハウを体系化していく、ということよ」
「????」
「まぁテスト勉強が楽になりますよ。その代わり周りの学生の学力も上がりますよって話ですね」
「え、えー!それは困るかも…」
「あなたね…生徒会に入ったからには赤点なんて許されないわよ?」
「ううー、で、でもゆきのんが勉強手伝ってくれるよね?」
「……否定はしないわ」
「お前そろそろ由比ヶ浜甘やかすのやめろ」
上目遣いのガハマ先輩に雪ノ下先輩が思わず目を逸らしながら肯定し、呆れたようにヒキガヤ先輩がたしなめる。
そこにあるのはお互いがいないとやっていけない、みたいな3人組ではない。
信頼はしているが、依存はしていない。
信じて任せることも、信じて単独行動することもできる、そんなただの仲良し集団だった。
───そして、選挙当日。
雪ノ下先輩に向けられるのは、冷めた目線。
興味のなさ。
舞台袖にいるヒキガヤ先輩とガハマ先輩が心配そうな顔をするほど、冷えた空気が演説会場には漂っていた。
立候補が一人しかいないんだから早く終わればいいのに、という心の声しか聞こえないその体育館。
誰もこれが雪ノ下先輩にとって、大きな第一歩だと知らない。
期待されていない。
だからこそ、僕は笑った。
白い歯が見えるほどの満面の笑み。
マイクを引っ掴み、大きく息を吸い込んで。
「お前ら!文化してるかぁー!僕の歌を聞けぇー!」
僕の大好きな先輩たちのための応援演説が始まった。
◆
『ったくさぁ、どいつもこいつもつまんない顔してるなぁ。演奏前よりはマシだけど。じゃがいものほうがまだ面白い顔してるよまじで。弱いって、モテないって。危機感持ったほうがいいって。もうどうなってもいいやとか思ってるわけ?キラキラは二人のものじゃなくて、皆で生み出してるものって自覚を持って欲しい』
『でも、文化祭のときはそうじゃなかったですよね。みんなで一致団結して、全員が楽しそうだったの、僕は覚えてますよ。あの一体感、なんで生まれたと思います?え?僕の放送で炎上した?巨悪がいたから?うるせえなちげえよ』
『ここで文化してるかと叫んだかっこいい人がいたからです』
『その次の生徒会長を決めるイベントですよ?盛り上がっていきましょう。盛り上がらなきゃ失礼ってもんでしょうよ。わかってくれました?はい、みんな顔を上げて。ほらほら』
『では、エントリーナンバー一番!空前絶後の生徒会長候補!先程はかっこよくギターを演奏してくれた、雪ノ下先輩の登場だぁぁぁああああ!』
『どうも、最強の生徒会長になり、全校生徒を私の奴隷にする。雪ノ下雪乃です』
『私のモノマネをするの、やめてくれるかしら』
『───はい、皆さん素晴らしい演説でしたね!役付きの、選挙に関係する全ての候補者の演説は終わりました!』
『僕の演説はほとんど手品ショーと数学オリンピックだった?別にいいだろ、心を掴んだほうが勝ちなんだから!』
『さぁ、最後に選挙はないけど生徒会入りするのはこの男!庶務が似合いすぎる社畜戦士!ヒキガヤ八幡!そう、文化祭で教頭を熱演したあの人だぁぁぁあああ!』
『俺の黒歴史を掘り返すのはマジでやめろ!!』
『いやいや、青春とは嘘である、みたいな文章に比べれば全然学生の思い出の範疇───』
青春とは嘘であり、悪である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺く。 自らを取り巻く環境のすべてを肯定的に捉える。
何か致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、思い出の1ページに刻むのだ。
例を挙げよう。
彼らは万引きや集団暴走という犯罪行為に 手を染めてはそれを「若気の至り」と呼ぶ。
試験で赤点を取れば、学校は勉強をするためだけの 場所ではないと言い出す。
彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。
彼らにかかれば嘘も秘密も、 罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。
そして彼らはその悪に、その失敗に特別性を見出だす。
自分たちの失敗は遍く青春の一部分であるが、他者の失敗は青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。
仮に失敗することが青春の証であるのなら、生徒会選挙時に無意味に恥をかいて失敗した人間もまた青春ど真ん中でなければおかしい ではないか。
しかし、彼らはそれを認めないだろう。
なんのことはない。すべて彼らのご都合主義でしかない。
なら、それは欺瞞だろう。
嘘も欺瞞も秘密も詐術も糾弾されるべきものだ。
彼らは悪だ。
ということは、逆説的に青春を謳歌していない者のほうが正しく真の正義である。
結論を言おう。
今泉爆発しろ。
「……いや、そこまでは思ってねえから。やめてね、人の作文を改変して遊ぶの」
「あ、そうなんですか?まぁとりあえず暇なんですよね。選挙のあと片付けも終わりましたし」
時は少し過ぎて、冬も目前。
僕はヒキガヤ先輩と並んでパイプ椅子に腰掛けて思考を放棄した会話を繰り返していた。
懐かしいなぁあの作文。
僕にとっての涼宮ハルヒの自己紹介。
僕がヒキガヤ先輩をこの学校で初めて認識したあの作文は、ある意味で全ての始まりと言ってもいい。
あれがなかったら、僕は奉仕部に入ることは…なくはなかっただろう。
…普通に雪ノ下先輩だけの奉仕部に入部してた気がするけど、そういうことにしておこう。
ヒキガヤ先輩があんな作文を書いたおかげで今の奉仕部があるのは事実だし。
「選挙…選挙な…」
「圧勝でしたね」
「お前が『僕の歌を聞けー!』とか言って初手ムキムキ米津に変身からの【KICK BACK】熱唱、雪ノ下と由比ヶ浜と一色の演奏とかいう、音で殴りに行くスタイルなせいで変な熱気だったけどな…まぁ、プロモーションとしては百点満点だったとは思うけどよ」
「あの瞬間のヒキガヤ先輩の所在なさ気な顔超面白かったです」
「性格悪いなお前な!」
「やー、それほどでもありますよね。…………はぁー暇。マジ暇。来年度の予算も骨組みできて、あとは細かい調整を予算委員会前にするだけなんですよね…トラブルどころか仕事すらねぇ…生徒会長が優秀すぎる…どっか爆発しないかなぁ」
「お前も雪ノ下もほんと仕事終わらせんの早いよな…」
「そこで日向にまどろんでるガハマ先輩と比べたら誰でもそうですよ」
僕につられてヒキガヤ先輩が目を向けるのは、現在お昼寝中のガハマ先輩である。
よだれを垂らしながら、マフラーに顔を半分埋めて眠る様は大変愛らしく、同時に、出るとこ出たら普通に怒られるレベルで豪快なお昼寝であった。
机につぶされてガハマ先輩の出るとこが形を変えており、それに時折ヒキガヤ先輩の目線が吸い寄せられているのもやむなしと言えるだろう。
たぶん。
知らないけど。
「…はっ!今、なんかバカにされた気がした!」
「あ、ガハマ先輩起きました?今このまま起きなかったらヒキガヤ先輩のキスで起こそうかって話してたんですよ」
「え、ヒッキー…!そんな、やめてよ、もう!」
「やめてよもうは俺のセリフなんだが?暇つぶしに冤罪ふっかけるのやめろ!」
「なんだ、僕とキスしたかったんですか?仕方ないですね、ちょっとマウスウォッシュ探してきます」
「ちげえよ!」
「ヒッキー…」
「由比ヶ浜、毎度毎度今の会話の流れでよく俺に矛先向けれるよな」
「だってヒッキーがいいリアクションしちゃうから今泉君が調子乗るんだよ?あんまり餌与えないでよね、もうっ」
「飼い主の自覚が芽生えすぎている…手遅れだったんだ…」
「ガハマ先輩、ままって呼んでいいですか?それとも御主人様?」
「あんまり調子乗ると手出るよ?」
むしろばっちこいですけど。
やめて。
なんていうお約束のやり取りを挟みつつ、ガハマ先輩とヒキガヤ先輩の仕事を軽く手伝うことしばし、生徒会室の扉が勢いよく開け放たれ、いろはさんが元気よく飛び込んできた。
その後ろから、遅れて雪ノ下先輩も入ってくる。
「こんにちわ〜!」
「あ、いろはさん遅かったね何してたの」
「ちょっと雪ノ下先輩と他校との話し合いに行ってた」
「へー、お疲れ。紅茶いる?それともコーヒー?」
「んー、コーヒーで。雪ノ下先輩の紅茶のほうが美味しいし…」
「それはそう」
「ゆきのんもおつかれ!」
「おう、その、なんだ…雪ノ下もコーヒーいるか?」
「…ありがとう、とりあえず今はいいわ。…ふぅ、全員揃ってるわね。それじゃあ早速始めましょうか。今年のクリスマスのイベント、まだ確定じゃないけど他校との合同ですることになりそうなの───」
そんな感じで騒がしくも退屈しない、もう結構慣れてきた生徒会活動の帰り道、僕の隣を歩くヒキガヤ先輩は空を仰ぎ見ながらぽつりとつぶやいた。
吐き出す息が、白い靄となって夜空に溶ける。
今日は、星がよく見える。
思わず手を伸ばしたくなるほどに。
「俺さ、欲しいものがあるんだ」
「いいですね、聞きたいです」
誰もが言わなきゃわからないと口にする。
それは欺瞞だ。
言うことや伝えることの辛さも、言って伝わらないもどかしさも、理解したい相手のことを理解できない苦しさも知らない人が言う、薄っぺらい言葉だ。
だけど、言うだけ無駄なんて僕は思わない。
思いたくない。
相手を理解したいという傲慢さ。
それを許容できる関係性が存在するのなら。
何も言わなくても通じて、何もしなくても理解できて、何があっても壊れない。
そんなあり得ない理想そのものを本物と呼ぶのではなく、理想に手を伸ばし続ける過酷な道を手を取り合って進める関係を本物と呼べるのなら。
それこそが、きっと。
「俺は、本物が欲しい。だから、もっと。あいつらの話を聞きたい。理解したい。だから、お前も…その、なんだ。…お前の話も聞かせて欲しい」
「話をしよう。あれは今から36万…いや、1万4000年前だったか。まぁいい。私にとってはつい昨日の出来事だが…君達にとっては多分明日の出来事だ…」
「エルシャダイやめろ」
「まぁ別に明日とかでいいですよね。話す機会なんてこれからいくらでもありますから!これからうんざりするほど聞かせてあげますよ。簡単に僕が先輩方と関わるのやめてあげると思ったら大間違いです!」
「ははっ、そりゃ頼もしいな」
「なんせ僕、清涼剤なんで」
「自称じゃなきゃなぁ…」
僕らには、言葉だけじゃきっと足りない。
言葉の意味をそのまま受け取らずに、裏を読んで、間違えることもあるのだろう。
それでも、信じたい。
信じれるようになりたい。
何度も何度も間違えながら、それでも相手を理解したい。
互いの心の内を求めて傷つき合いながら一緒にいてもいいと思える関係。
そんな本物は、案外身近にあるのかもしれなかった。
「そういや僕といろはさん付き合うことになりました」
「………はぁ!?」
「嘘!?おめでとー!」
「うわ、ガハマ先輩居たんですか」
「あはは、なんかヒッキーが深刻そうな顔してたからつい…」
「ついで尾行してんのは今後僕のこと異常者扱いできませんからね」
「私はもちろん知っていたわ」
「お前のその今泉に関するマウント衝動なんなの?恋してるの?」
「どきなさい、私がお姉さんよ」
「お姉ちゃんなら私が居るよ!」
「あ、もしもし平塚先生?不審者からの声掛け事案に巻き込まれてるんですけど。ええ。青春欠乏症の自称魔王な痛々しい女の人です」
明日はどんな楽しいことがあるのだろう。
僕はそんな期待を胸に、思いっきり笑った。
これは、総武高校奉仕部に自称清涼剤の後輩男子が入部する話。
内容はさっぱり。
展開もさっぱり。
少しの塩っ気あり。
そんなうすしお味の日常話。
だから、奉仕部ではなくなった僕らの話はここまでなのだ。
こんなゆるい終わりで申し訳ないけれど、初志貫徹。
雪ノ下先輩にも無駄なトラブルを起こすなと言われてるわけだし。
このままぬるっとうすしお味で終わらせてしまうことにしよう。
それでは皆さん、お達者で。
僕らの物語は、これからだ!みたいな感じで。
しーゆー!
書き直しして思う。
こいつ(作者)この時期色々忙しくて相当限界だったな…言葉足らずすぎる…と。
いや地の文なしにそこ突き進んだら訳分かんねーだろとか、会話普通こうはならんよね?みたいなところを修正して、ついでに好き勝手キャラに喋らせて文章太らせて、ちゃんと納得いく作品にする作業は新鮮で楽しかったです。
ありがとうございました。
ちなみに現在夏にふさわしい激エモ小説(表示法違反)更新中です、お暇でしたらそちらもよろしくお願いします。