第九十九回玄舟学院卒業証書授与式は、まったく滞りなく終了した。
修了して行った三百余名にとっちゃ高校生活の三年間はそりゃもう激動たるものだっただろうけど、しかし終わってみればあっさりしたものだ。きっと彼らの高校時代の思い出に、卒業式は残らないだろう。
それはともかくとして、僕は立場上、生徒に親しまれやすい位置にいる。心理学という教科を担う教師であるけど、同時にスクールカウンセラーなのだ。弦弧ちゃんみたいに怖い先生を演じるわけにもいかない。
だから今日なんか、散々だった。どうにも張り切り過ぎたのか、ほとんどの生徒が別れを言いに来る。或いは涙を流しながら。ありがとうございました、と。
あーあ。
気持ち悪っ。
謝恩会にも呼ばれてしまった。とは言っても延々と生徒と楽しんだわけじゃなくて、前に出て一言贈って、その後少し生徒と会話をしただけで、全部合わせて三十分くらいだ。
その後、三年生の先生方の飲み会に呼ばれ、アルコールを楽しんだ。思い出話なんかだったり苦労話なんかだったり、そっちの方は割かし楽しかった。
二次会には参加せず、十一時ごろにようやく僕は帰宅した。
「ただいま」
扉を開けると。
「おかえりー」
ぱんっ、と。
クラッカーの破裂音に襲われた。
「……マジかよ。すっげえびっくりした。今のでほろ酔いだったの全部醒めたわ」
「私もちょっとびっくりしたわ。まさかこんなに飛び散るとは思わなかったもの」
はーあ、面倒臭い。そう言いながら、翅さんは玄関に散らばったラメ入りテープを緩慢に回収した。何だったのだろう。
「お風呂にする? ご飯にする? それともわ・た・し?」
「それ絶対言いたかっただけだよね。じゃあ翅さん」
「ごめん、私は今切らしてたんだったわ」
「どういう状況だ……」
依然として緩慢な動きで、翅さんは踵を返してキッチンの方向へ歩いて行った。何だかどうしていいか分からず、僕も彼女に続く。
「いや、ちょうどいい時に帰って来たわね」
「何で?」
「ご飯、作ってみたのよ」
「……嘘ぉ?」
二年前、対神機関クロス・プログラムから逃亡した僕を匿ってくれたのは他でもない、胡蝶翅さんだった。どこにかというと、この家にだ。別段、隠れても何ともないような場所だけれど、種をバラすと僕は隠されてなんかいなかったのだ。
胡蝶研究棟、研究所長が長女・胡蝶翅。僕のお嫁さんは実は大した立場の人間なので、つまりXPは僕の居場所は分かっていても、胡蝶翅がいる以上、手が出せなかったのだ。
不覚にも翅さんの凄い話になってしまったけど、何が言いたいかというと、僕は長い間翅さんと一緒に居たが、彼女が自らキッチンに立ち、料理を作ったところを見たことがないということだ。
え、料理出来んの?
「出来るわ。出来まくりよ。一緒に住んでる時から、いつの間にかあっくんが食事をこさえてくれてたから機会が無かったのよね」
「別にあんなん暇潰しで……だって冷蔵庫空っぽだったから『ああこの人ご飯とか自分で作ってないんだろうなあ』って思って」
僕は申し訳程度なら料理を習得しているので、匿われている以上ある程度の家事役を買って出たわけだ。
「ていうかあっくん、学校の先生に就職した今でも家事するじゃない。家にいるのは私の方だから任せてくれたっていいのに」
「いやだって、何やかんやで翅さん忙しいじゃん。研究のオシゴトいっぱいだろう?」
「今日なんて撮り貯めた仮面ライダー観てたわよ」
ずっこけた。
凄く自然に、ずっこけた。
「不思議なもので、あのデザインはツボだわ。変身ベルト買っちゃ駄目かしら」
「あんただったら造れそうなもんだけどな。本当に変身できる、変身ベルト」
翅さんは僕をテーブルに座らせ、自分はキッチンの方へふらふらと歩いて行った。何だ、この人もアルコール入れてるんだろうか。
ていうか、翅さんの手料理か。
結婚して一年。同棲から二年。でも途中で外国に飛んでしまったので実際の共同生活なんて合わせて一年半くらいだろうが、それでも彼女の手料理を食べるのは、これが初めてだ。
何だこれ、すっげえ緊張する。
「はい、お待たせ」
と、緊張している間に、翅さんは例の料理を皿によそって運んできた。皿とお茶の入ったコップとスプーンを、僕と自分の二人分。トレイでから下ろして、そして自分もテーブルに掛ける。
「お、おおおお」
リゾットだった。
海老に角切りベーコン。葱も添えてあり、米の水気も丁度いいくらいで、卵を纏って艶々と黄色に輝いていた。
「召し上がれ」
「は、はい。いただきます……」
恐る恐る、リゾットをスプーンですくって口に運ぶ。
「……あ、美味しい」
「でしょ?」
「うん、マジで美味しいよ。へー、翅さん料理出来たんだ。いや良かった良かった。こういうの、展開的に不味いものかと」
「展開って何よ……。ま、喜んでくれたみたいで何よりだわ。私的には若干ミスったんだけど、まあ失敗しても美味しいというところにまた私の料理の才能がはみ出てるわよね」
才能が『はみ出る』ってなんだよ……。
「でも本当に美味しいね。鉄板的な褒め言葉だけどさ。僕好きだよこのリゾット。また作ってよ」
「……え、リゾット?」
途端に、満足気だった翅さんの表情が一変した。
「何? もしかしてリゾットじゃなかった? あー、じゃあドリアだ。ごめんね、僕、料理の知識自体は乏しくてさ」
「炒飯よ、それ」
「………………」
どうしよう。
ど、どどど、どうしよう。
ていうかどうやったらこんなリゾットに近い炒飯が出来るというんだ。これはこれで、凄まじい才能じゃないか。
「あっくん、炒飯好きだったから」
「……あの、ごめんなさい」
頭を下げた。こんなに本格的に頭を下げたのは、本当に久し振りだった。
「ま、いいわ。美味しかったんなら」
言って、翅さんは自らもスプーンに手を伸ばし、リゾット……じゃない、炒飯を食べ始めた。罪悪感が半端なかった。
「美味しいけど、やっぱり私はあっくんのご飯の方が好きだわ」
「いやここで褒められても怖いだけなんだけど……」
「ううん、これガチね。本当に美味しいわよ、あっくんの料理。あっくんってアレよね。女子力が高いわよね」
「お、それは聞き逃せないな。僕の女子力が高い? 冗談じゃない僕は男の中の男だと有名だよ。女性らしさなんか兼ね備えちゃ、男が廃るってもんだよ」
「よく言うわ。十代前半まで少年か少女かよく分かんないくらい可愛いルックスしてたお兄さんが」
「何で知ってるの!?」
もう僕、この人に隠し事とか無理なんじゃないだろうか。
「……お父さんがさ」
「うん?」
「いや、僕がさ。お父さんって、知らないんだ」
「それは……まあそうよね。あの夢浮橋塵(ちり)でしょう? まともな親子関係じゃないことは予想出来るわよ」
あれ、と大量の疑問符が脳内に浮かんだ。
「……知ってたの?」
「知ってるわよ。逆にあっくんは、私が知ってることを知らなかったの? あのね。研究者業界じゃ夢浮橋塵と言えば伝説のような男よ。むしろ都市伝説のような男よ」
都市伝説って……。それはもう、存在すらあやふやじゃないか。
「人類史上最高の人類。その最高傑作たる息子があっくんなんだもの。もっと誇っていいと思うけどね」
「誇る気にもなんねえよ。あの人は僕を愛してくれなかった。疎んでくれなかったし、嫌ってくれなかった。一緒に生活してる時だって、隣にいたって雲の上の存在みたいな人だったよ。僕を育ててくれたのはお母さんで、愛してくれたのは愛母さんだ。あの人はその手配をしただけ。その他に関しちゃ、関わらなかった」
そりゃ、女子力も高くなるっての。
男性らしさなんて、教えてもらえなかったのだから。
「こんなの、あくまでも私の中での仮定なんだけどさ」
不意に、翅さんは僕をスプーンで指した。
「あっくんの『神の否定』。出自はどこだと思う?」
「……まさか」
思わず僕はにやけた。可笑しくなるくらい、馬鹿らしい話だ。
「夢浮橋塵が、僕に植え付けたものだと?」
「――元を辿ればこの宇宙は神の所有物よ。やがて彼らは地球を創造し、その支配権を人間に委ねた――なんてのは、まあこの業界じゃよく語られている話だけど、宇宙も地球も始まり自体は科学的に説明されている以上、絶対にそれが事実だとは言えないわけよね」
科学者は絶対を求めはしても、絶対を語ってはいけない。翅さんは自嘲するようにそう言った。
「仮に前者の説だとすると、あっくんはあくまでも必然的に誕生した、人類史上では初のスーパーマンということになるけど、後者の説を引用するならば、あっくんの『神の否定』は人為的なものなのかもしれないわね。遺伝子の段階から改造を施されていた――スーパーマンならぬ仮面ライダーというわけ」
「……スーパーマンは奇跡とかじゃなくて、宇宙人だけど」
そう突っ込んでみたものの、実際、僕の心中はそこまで穏やかなものではなかった。
「何を鳩が豆鉄砲喰らった顔してんのよ。この世におぎゃあと産まれて来た時から付き合ってきた特異能力。その原因くらい、考えたことあるでしょ? まさか夢浮橋塵に辿り着かなかったとでも?」
「いや、そういうわけじゃ――だって本人に訊いたことあるけど、違うって」
「それを信じたわけ? あっくんって嘘吐きのくせに他人の嘘には無頓着よね。そもそも実験動物(モルモット)扱いだったんなら何かあるでしょ。まずその辺を疑いなさいよ」
人の悪いお人好しね、と彼女はいやらしく笑った。僕は面白くなかったので笑わなかった。笑える状況じゃなかった。
「そういう意味じゃ、夢浮橋塵はあっくんに教育よりももっと重要な――重大なものを与えてくれたんじゃないの? 感謝する気になんてならないでしょうけど」
それはそうだ。この変な特性のおかげでどれだけの苦労をしたことか。幽霊が、神様が視えるだけとしか認識していなかったけど、それでも僕はこんなになってしまった。人格も肉体も、これ以上ないほど崩壊して。『それ』に関わって、何かを失ってしまった人だって少なからずいるというのに。
「……嫌な気分だよ。まったく反吐が出る。結局僕は、最初から奴の傀儡でしかなかったってことか」
「拗ねないでよ。もう大人なんだから」
「励ましてはくれないんだね……」
そうそう優しい妻ではあってくれない、胡蝶翅であった。まあ、こういうのにももう慣れたけども。
「ま、優しい父親になんかあっくんがなればいいんじゃない? 私のあっくんならば、他人に求めず自らやってのける男よ」
「どんな過大評価だよ……。ていうか父親になるとか想像すらしたこと無いし……」
……ん? ちょっと待てよ?
どうしてここで『父親』というワードが出てくる? いや、確かに夢浮橋塵の話をしていて、つまり僕の父親にあたる人間の話をしていたけれど、何か――何か違和感がある。僕は何かを見落としている。何かが。そう、何かがおかしい――
……「私の料理の才能がはみ出てくるわよね」と、翅さんは言った。にも関わらず、翅さんの食べるペースが遅過ぎる――というかほとんど食べていない。脳にカロリーを回していたがために食欲は旺盛な筈だが――まさか料理の失敗を気にしているのだろうか。
――否。意外と図太い神経の胡蝶翅が、くよくよと自分のミスを気に掛ける筈がない。ならば何故食べない?
「……翅さん」
「なあに?」
彼女はスプーンを握り締めていた。リゾット――じゃない炒飯は半分も減っていない。
「あなたの名前は?」
「夢浮橋翅だよ?」
ついこの間まで、『胡蝶』の姓を名乗っていた筈だ。研究に関してもそうだし、自ら胡蝶を名乗っていた筈だ。何気に僕の携帯のアドレス帳に登録されている名前は、未だに『胡蝶翅』だし。
食欲。父親。苗字。
クラッカーに……ふらふら?
「あのさ」
「うん?」
恐る恐る、口にすることすら恐ろしいその質問を、どうにか言葉にした。
「こ――こども、できた?」
「うん。出来ちゃった。二ヶ月無いくらいかな」
頭の中が、真っ白になった。
「ば……馬鹿な。そんなバナナ。おいおい翅さん下手な冗談はよしてくれよ。だ、だってちゃんとゴム付けてやってるじゃないか」
「だってたまにナマでしたし、その時に着床して――っていうか、会話がシュールで生々しいわね。出来ちゃったものはしょうがないんだから、原因究明はもういいじゃない」
まず落ち着きなさいよ、と翅さんは言うけれど、どうにもまだこの驚愕の事実が処理できない。
「落ち着けねえよ……え、本当に出来たの? どうすればいいの? 僕は一体、何をどうすればいいの?」
「どうすればって――まあ、あっくんは意外とセンスあるし、素敵な名前でも考えてくれたらいいんだけど」
「今はそういう良い感じのムードじゃないよな!」
あとセンスを褒められるのはまんざらでもない! と、突っ込んでみたら次第に頭の中が冷静になってきた。
「……まあ、こうして結婚している以上、いつかは直面しなきゃいけない問題だとは思ってたけどさ」
「いや、今の狼狽え振りじゃあ、あっくん想像すらしてなかったわよね」
「まあ……それはいいとして。――翅さんは、産みたいと思ってるの?」
「そりゃ産むわよ。命はね、尊いのよ」
そう言うと思った。数々の生命を実験の礎として切り捨ててきた翅さんが言うと説得力なんてまるで無いけれど、とりあえず旦那さんとしてその言葉は信じる――と、して。
「仕事の方はどうするの?」
はっきり言って、翅さんの生活習慣は劣悪だ。朝食も昼食も夕食も食べるし、洗顔もシャワーも朝と夜にしっかりしてはいるけど、それ以外に関しちゃほとんどが研究で埋め尽くされている。睡眠だって、一緒に寝る日以外はちゃんと摂っているかも定かではない。
仕事を切り詰めれば済む問題ではない――否。もはや翅さんは、研究を切り詰めることが出来ないのだ。一度始めれば終了するまで没頭し尽くす。人間である前に研究者である彼女が、お腹の子供のことを考えた上で仕事を続けるなど、不可能だ。
「何言ってるの。辞めるに決まっているじゃない」
しかし返ってきた言葉は、意外の一言であった。
「私の不健康生活じゃ『この子』、半年も持たないわ。閻魔大王の件にはまだまだ究明し切れてないことは多いけど、まあ諦めるわ」
いとも簡単に。
研究者であった自分の人生を、棄てるのであった。
「……あんたがそう言うのなら、きっとそう出来るんだろう。でもさ。胡蝶研究棟の方は、黙ってないんじゃないか? あそこは文字通り、本家本元なわけだし」
「ふん、あっくんは私を誰だと思っているの。そんなのもう、どうにかしたに決まってるじゃない」
おお……。頼もしさが止まるところを知らない。
「絶縁してきた」
「……翅さん、それは……」
何の、冗談だ?
それはつまり、本当の意味で人生を棄てたということじゃないだろうか。
「変な顔しないでよ。あっくん、これは正しい選択だと思うのよ」
「何もかも失って……それは正しい選択じゃないだろう」
「『何もかも』じゃない。私には、あっくんがいる」
「………………」
「前に言ったでしょう? たとえあなたが私のことを嫌いだろうと、もう私はあなたに惚れちゃってるの。愛しちゃってるの。胡蝶研究棟なんてもう要らないわ。私は『夢浮橋翅』を選んだから」
まったく、相変わらず強い。どうしようもなく、強い。僕は好きになる女の人は、どうしてこんなにも強い人ばかりなのだろうか。
「はは……凄えな、あんた」
「知ってるわ」
「人生変わってんだぜ?」
「あら、愛は人生を変えるのよ」
僕らはどちらかともなく、キスをした。ゆっくりと唇を付け、互いの吐息を感じる。
「……何かさ。僕は、嬉しいのかもしれない」
「ん、子供が?」
「うん。本当に想像すらしてなかったけどさ。僕にも子供が出来るって――男か女か知らねえけど、僕と翅さんのDNAを持つ人間がこの世界に生まれてくれるなんて、家族がもう一人増えるなんて、すっげえ不思議で、面白くて、嬉しい」
「そう。実はね、私も同じこと考えてるの」
それから僕らは、三十分ほど会話した。子供のこととか将来のこととか、まるで夫婦のように、幸せに会話をした。炒飯風リゾットについては、翅さんは結局完食できなかったので僕が頂いた。やはり美味しかった。
「僕さ」
ふと、立ち上がった。
「今日、行くから」
「……そっか」
時刻は十一時五十六分。日付が変わるまでもうすぐ。玄関の戸を開ける僕を、翅さんはいつもと変わらぬどこか余裕のある表情で見送った。
「具合悪くなければ、私も行きたかったんだけどね」
「いや、調子良くても来ないでほしいんだけど……」
そう言うと、悪戯っぽく彼女は笑った。この人は綺麗だな、と素直に感じた。
「帰りにね。アイス買ってきて頂戴」
「は?」
「カップアイスがいいわ。バニラ味の」
「つむじみたいだな、あんた。まあ、いいよ。とりあえず先に寝てていいから。すぐに済ませれるとは限らないし」
「そうする。寄り道せず、すぐに帰ってくるのよ」
「はいはい」
「……絶対ね」
一瞬。
ほんの一瞬だけだけど、翅さんはどうしようもなく悲しく、痛々しいまでの表情を浮かべた。――本当に一瞬だったので見間違いかもしれないけど、僕の脳裏にはその悲痛な表情が、深く深く刻み込まれてしまった。
「……翅さん」
「なに?」
「愛してる」
「私も」
もう一度、軽く口づけをして。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
――寄り道せず、すぐに帰ってくるのよ。
――絶対ね。
僕は結局、その約束を守ることは出来なかったけど。
三月四日に日付が変わった満月の夜、僕は二代目閻魔大王、松風界隈を倒すべく、玄舟学院へ向かった。
-----三月四日-----
「やあお兄ちゃん」
日付が変わって間もない時間帯。月に照らされた夜道を歩く僕の前に、ある『人影』が現れた。
それは少年なのか少女なのか区別のつかない、深くフードを被った若く小柄な人影であった。僕は少年、もしくは少女とは一度しか会っていない上に名前も知らない者だけど、それでも特にリアクションも無く。
「よう」
と右手を挙げた。
「終わったよ」
少年、もしくは少女は柔らかい口調でそう言った。
「行こう、お兄ちゃん」
フードで隠れている筈の少年、もしくは少女の瞳が一瞬、不自然に光を帯びた。
「『桐壷』が甦る」
そう。
最終決戦にあいつがいないなんて、有り得ないことなのだ。