次に出てきたポケモンはチゴラス、ハクタイの森に住んでいる虫ポケモンを倒していくうちにかなりのレベルアップを果たした。しかし進化に至るにはまだ足りない、ならば出来ることをやろうと自分なりにテンションを上げてモジャンボを見る。
「やる気充分みたいだね!こりゃ油断ならないかな?」
「勿論、取り敢えずはモジャンボを倒させてもらうぜ!」
「そう簡単にはさせないよ!【パワーウィップ】!」
モジャンボはチゴラスに触手を叩きつけようとする。しかし即座に【ロックカット】を発動したチゴラスは上に飛び上がることで【パワーウィップ】を回避する。その触手を【ふみつけ】で地面に食い込ませ固定し【こおりのキバ】で更に固めてモジャンボの片腕を封じ込めた。
「噓でしょ?!あの一瞬で?!」
「驚いている暇はねぇぜ!【ハイパーボイス】に【こおりのキバ】を合わせろ!」
口元に音エネルギーと氷エネルギーをため込む、発動に少し時間がかかるがモジャンボは固定されており動けない。少しでもダメージを抑えようとガードをしようとするが既に遅い。
「必殺!ハイサウンドミキサー!!!」
『チゴラスの ハイサウンドミキサー!』
ハイパーボイスに氷の破片がいくつも交じりモジャンボに傷をつける。コイルの必殺技によるダメージと【どくどく】の状態異常によって体力に限界が来ていたモジャンボはその巨体を地面に倒すことになった。
「マジか~……まさか少しもダメージを与えられずにモジャンボを倒すなんてね」
「あの技は正直賭けでした、これでも結構ギリギリなんですよ?」
「よく言うよ!なら次はこの子だね、出てきてドダイドス!」
「ガァメェ!!!」
【ドダイドス】
《たいりくポケモン》
『特性:しんりょく』
タイプ:くさ・じめん
ナタネが次に繰り出してきたのはドダイドス。これでカケルはシンオウ御三家全員分と戦ったことになる、さて冗談を言っている場合ではない。ドダイドスのタイプにじめんタイプが含まれている、これが指すのはじめんタイプの一致技が飛んでくるという事だ。
「いくよドダイドス!【じしん】!」
「早速かよ!ジャンプして避けろ!」
先ほどモジャンボの攻撃を避けたように今度もジャンプすることで回避する。しかし着地の後隙を狙って飛んでくるのは【エナジーボール】、そのままチゴラスに命中してしまいカケルの方へと吹っ飛んでしまう。だが思ったよりもダメージがないのかすぐに立ち上がりドダイドスを睨みつけていた。
「なるほど、当たる瞬間に後ろに飛んでダメージを抑えたのか。一体そんな技術誰に教えてもらったのかな?」
「あいにくだがうちには受け流しの天才がいるんでね!」
そのまま【りゅうのまい】を積むチゴラス、それを見たナタネはドダイドスに連続で【エナジーボール】を指示するが本当の舞のようにヒラリハラリと器用に避け続ける。すばやさとこうげきを更に上げ【こおりのキバ】で攻撃をするがドダイドスにはほとんど効いてないようだ……
「へへ~ん、私のドダイドス強いでしょ!」
「マジ固すぎだろ、いくら防御の方が高いとは言えそこまで効いていないと自信なくすが?」
チゴラスもずっと動き続けているせいで息が切れてきている、このままでは負けてしまうと悟るが有効打もない。どうするかと考えていたが更なる絶望がカケルとチゴラスを襲う。
「ドダイドス!【こうごうせい】で回復よ!」
「冗談きついぜ……!」
せっかく与えたダメージを【こうごうせい】で帳消しにされてしまう、それを見て愚痴ってしまうほどに驚くがジムリーダーは待ってくれない。
「ちょっと油断しすぎじゃない?【ハードプラント】!!!」
「しまった?!」
少しの油断で究極技が放たれる。チゴラスは避けようとするが……現実は非情である。
「チゴォオオオオオオ?!」
ハードプラントの樹木の津波に攫われてしまうチゴラス。少し時間が経ちフィールドが晴れるがそこにいたのは目を回しながら倒れこむチゴラスであった。
「すまんチゴラス…!俺が油断していたせいだ…」
「あそこで動揺するのは分かるけどそれでポケモンに指示が出せなくなるのはダメだね、交換するとか方法は他にもあったよ?」
更にナタネにダメ出しを喰らう、ここまで言われてしまい腹が立つが事実なので何とか飲み込む。そして次に繰り出すのは相棒の小さな修羅―――
「いくぞリオル、お前が最後だ…!」
「ルォウ!」
「なるほどね!その子が君の相棒なんだ!」
リオルである、そして出てきた瞬間波動を滾らせドダイドスを見る。そしてカケルの方を
ちらりと見てから視線をドダイドスに戻し、指示を聞くことなくいきなり【こうそくいどう】と【かげぶんしん】を使ってドダイドスに向かっていった。
「うぇ?!ちょ、【じしん】!」
「何やってるんだリオル!俺は何も指示してないぞ!」
ナタネの指示に【じしん】を繰り出すドダイドス、そしてカケルのいう事を聞かないリオル。ジャンプをして避け後隙を狩られないように手の波動を爆破させながら立体的にドダイドスへと近づいていく。
「この子やばいな…!【エナジーボール】!!!」
「リオル戻れ!リオル!!!」
カケルの声に全く耳を貸すことなく突撃をするリオル、【エナジーボール】でいくつか【かげぶんしん】は消えてしまったがドダイドスの足元に近づくことが出来た。そして前足にほのお、でんき、みずでコーティングしたエネルギー弾を設置し後ろに飛びのいて【はっけい】で爆破をさせドダイドスをかちあげる、後ろに飛びのいた動きで腹が見えたドダイドスに【でんこうせっか】で勢いをつけたドロップキックを放ち完全にひっくり返してしまった。
「ガメェ?!」
「噓でしょ?!どんな戦闘センスがあったらそんなことできんの!」
ひっくり返ったドダイドスに対して空中からの強襲攻撃【ブレイズキック】を放ちかかと落としの要領で顎に一撃入れる。脳が揺れることによって更に起き上がりの時間を長くするためだ、そして【こおりのパンチ】と【グロウパンチ】を交互に打ち出しあっという間にドダイドスを倒しきってしまった。
「そっか、その子がメガシンカしたバンギラスを倒した子なんだね。コイルやチゴラスに比べて一つも二つも頭抜けている……けどいう事を聞かないような子じゃないように見えるんだけど?」
「いう事を聞かないのはこれが初めてで……なんで指示を聞かないんだ!」
「ルォウ」
リオルはジッとカケルを見る、だがその目は軽蔑しているわけでもなく見下しているような目でもない。どちらかと言えば目を覚ませと言っているような……
「とにかく、今はジム戦の途中だからね、続行はさせてもらうよ。出てきてロズレイド!」
「ロズ~!」
【ロズレイド】
《ブーケポケモン》
『特性:どくのとげ』
タイプ:くさ・どく
ナタネが繰り出したのは相棒でもあるロズレイド、モジャンボやドダイドスよりも強いためかその風格は強者が持っているものだ。リオルはロズレイドを見て手刀のようにして波動を回す、ジュンのポッタイシがしていたようなエネルギーブレードを即興で作り上げた。
「そんなことするリオルは見たことないよ、なんて天才的なバトルセンスなの?!」
「なんだ…?リオルは何を俺に訴えかけている…?」
リオルはもう一度カケルを見る、その目には多少の期待が込められているのを察するが何を期待されているのかが分からない……
「だがこれはジム戦、負けても仕方がない……?俺は今負けても仕方がないって言ったか?」
「っ!ルォウ!」
負けても仕方がない、前までの自分はそんなこと思っていたか?いいや違う、負けてもいい勝負なんてない。なぜこんな簡単なことに気付かなかったのだろうか……
「そうか、そうだよな。負けてもいい勝負なんて1つもない、仕方がない、もう1度挑戦できるなんて甘えだ……ッ!」
そして新たに決意を宿す。相手の方がレベルが高い?手数も上?だから何だ、それが諦める理由になるだろうか?否、それは格下の考えである。
「思い出したよリオル、お前はそれを俺に伝えたかったんだな」
「大丈夫?考えは色々まとまったかな?」
「あぁ、大丈夫だ。むしろ俺のテンションは今最高潮に近い…ッ!!!」
自分はきっと、頭のどこかでゲーム感覚が抜けていなかったのだろう。ゲームではジム戦は負けても挑みなおせるし、悪党に負けてもやり直しが効くのだから。しかしここは現実の世界でありポケモン達も生きている、負ければ終わりの方が圧倒的に多い。ならばその『想い』に応えなければ―――ッ!
「うぐ…ッ?!」
「ちょっと!カケルくん大丈夫?!」
「ルォ……!」
突如激しい頭痛に襲われる両者。カケルの左目に浮き上がる《E》の文字、リオル右目には《S》の文字が浮かび上がる。そして自然と口から出てきた言葉に目の輝きは更に増す。
「リオル!
「ルォウ!!!」
『カケルの想いに リオルが応える―――!』
リオルに収束していくその『想い』は先方で負けてしまったコイルとチゴラスの物、不甲斐ない主人でごめんと思うカケルの物、そして諦めないという両者の心から一致した『想い』が鍵となり新たなステージへと押し上げる―――!
『リオルの 可能性が引き出される!』
「待たせましたねナタネさん、こっからが本当の勝負だ」
【リオル《ES・ルカリオ》タイプ・かくとう_はがね】
【ルカリオ】
《はどうポケモン》
『特性:せいしんりょく』
タイプ:かくとう・はがね
『ルォオオオオオオオッ!!!』
「リオルでもやばかったのにここにきて進化か…!ワクワクさせてくれるじゃん!!!」
カケルもナタネもテンションは最高潮、お互いの一挙一動が敗北に繋がるこの瞬間。
ルカリオとロズレイドは動けずにいた、だがこの場で動き始めたのはルカリオ、【でんこうせっか】を使っていた時よりも圧倒的に速い速度でロズレイドに切り込む。
「【しんそく】か!いいぞルカリオ!手に波動を回してブレードに!」
「舐めて貰っちゃ困るね!【タネマシンガン】で落とせ!」
その【タネマシンガン】さえ波動ブレードで切り払う。両手をブレードにしているために波動爆破での移動は出来ない、しかしルカリオは足からの波動を足場にして空中移動を可能にする。進化したことによるエネルギー操作技術の向上のたまものだった。
左に回していた波動を全て右に、そして右のブレードは一回り大きく、そして固く硬質化していく。空いた左手には【はどうだん】を溜めており、やり返してきたロズレイドを右手のブレードだけで対処する。
「ブレード爆破!【はどうだん】で上にかち上げろ!」
2つの爆破により上空へと放り出されるロズレイド。ナタネもなんとか体勢を立て直そうと指示しようとするが遅い、上に弾いたはずのルカリオがロズレイドよりも更に上で拳を握りしめていたからだ。
「氷纏い【インファイト】!!!」
【こおりのパンチ】と【インファイト】の圧倒的物量でロズレイドを地面に叩きつける。そして油断はしないとばかりにダメ押しの【はどうだん】を叩き込みカケルの元へと着地するルカリオ、その右目にはSの文字が光り輝いていた。
「あちゃ~、負けちゃった」
「噓でしょ?!ナタネさんのエースポケモンがこうも一方的に?!」
「いや、これはカケルくんたちがノリにノッた結果だよ。その熱に飲まれちゃった…♡」
ジム側が話していると違和感に気付く。カケルとルカリオが一切喋ることもなく立ったまま、いや、そのまま前のめりに倒れこんでしまった。
「えぇ?!ちょ、カケルくん?!ルカリオ?!」
「急いでポケモンセンターに運ばないと!」
初めてのエモリュージョンに体が付いてこなかったようだ、今後使う場合は問題ないだろうが今は鼻血を軽く流してそのままカケルは眠りについてしまった。意識を手放す瞬間エネルギーが霧散して自分自身に戻ってくる感覚があるがそれがまた心地よく更に深い眠りへと至ってしまった。
次に目を覚ました時、目に入ってきたのは知らない天井だった……
To Be Continued…….