あとがきにさらっと書いた挿絵があります、よければ見てください。
それと遅くなりましたがいつも誤字脱字の報告ありがとうございます、助かります!
「……!ここは……?」
「やぁ、起きたみたいだねコウキくん」
「先輩?!なんでここに……っつぅ……」
「無理しない方がいい。倒れるときに頭を打ったみたいだ、病院だから暴れないようにね」
コウキが目を覚ます、頭を抱える鈍痛が襲っているようだが思ったより異常はないらしい。だが万が一を考えて数日の入院となったようだ。
「俺はまた先輩に勝てなかったんですね……まだまだ鍛え方が足りないんだな……」
「いやあの短時間でゴウカザルに進化させてきたの鍛えすぎだと思うんだけど???」
「そうだ!ゴウカザルは?!」
「ゴウカザルは先に目を覚ましてボールに入っているよ」
ゴウカザルが入っているボールを受け取り安堵した様子のコウキ、しかしその顔はまたすぐに曇る。
あの勝負で勝ちをもぎ取る予定だったのに自分は負けてしまい看病される始末……情けないにもほどがあるとコウキは思い込んでしまっている。
「そんな落ち込まなくても……」
「原因は先輩なんですけど?」
「けど手加減したら怒るだろ?」
「俺の顔がゴウカザルみたいになります」
「我慢するつもりもないじゃん、怒りが顔から噴き出てるよ」
だがここまで会話が出来るのなら自分はもう先に行ってもいいだろう……と思うがここで思い返す。
(そうじゃん、おそらく推定だけど異変はコウキくんに起きてるんだよ。どうすんだこれ……)
そう、直すべき異変はコウキ自身である。つまりここでカケルが先に進んでも何も解決しない明白、ならばどうするべきか……
「せっかくなら先輩も俺達と一緒に行きましょうよ」
渡りに船である。またいつコウキが倒れるようなことが起きるとも限らないし、異変を直すという目的にも合っているため拒否をする理由もなかった
「だがいいのかい?俺と一緒に行くってことはそっちの手の内も俺は知ってしまうよ?」
「俺思ったんですよね、俺だけ先輩のこと分かっているのに先輩は俺の戦い方は知らない。フェアじゃないと思うんですよ」
「君結構なバトルジャンキーだね?」
「人のこと言えないでしょうに、クロガネジムのバンギラスを倒したって聞きましたよ?」
「あれはメガシンカを見たかったからぁ……!」
「見たい=戦いたいとはならないんですよね!!!」
そんなこんなで言い合っているとガラッと音を立てて扉が開かれる。そこにいたのは息を切らしてこちらを見てくるヒカリとジュンの姿だった。
「コウキくん大丈夫!?」
「倒れたって聞いたぞ!」
「あ、ジュンにヒカリ先輩。お疲れ様です」
「あっさりしすぎじゃない???」
そんな反応に2人とも目をぱちくりさせている。微妙な空気が流れるがそれを断ち切ったのは幼馴染であるジュンだ。
「いや、いやいやいや!お前倒れたんだぞ?!」
「あぁ、みたいだね~。俺も倒れると思わなかったよ」
「コウキくん本当に大丈夫なの…?」
「はい!思ったより全然大丈夫なんですよね!むしろ倒れる前よりも調子がいいというか……」
「やらないよ?こっち見てるけどやらないからね?君病み上がりだよ???」
どこのバトルジャンキーの思想が移ったのか分からないが視線で訴えてくるコウキ、やらせませんよ???
病院のナース達から多少白い目で見られながらも病院を後にする。コウキが退院するのに数日、その間どうにも暇になってしまう。そんなことを思いながらどうするかと考えているとヒカリが話しかけてくる。
「ねぇカケルくん。今度は何したの……?」
「何って……いつも通りポケモンバトルをしただけだ。お互い新しい力を手に入れたから腕試し的な?」
「腕試しであんな風にはならないわよ……!正直に言って、何をしたの!」
これだけヒカリに詰め寄られても言っていることは本当にポケモンバトルをしただけである。どうすれば信じてもらえるだろうか……と考えているとジュンが提案をしてくる。
「そんなに気になるならやってみればいいじゃん、ポケモンバトル」
「え?ヒカリと?」
「そうそう、確かにカケルさんのポケモンバトルは普通じゃねぇけど」
「普通じゃないって……みんな頭が固いだけじゃない?」
「ポケモンに技を使わせないでそのまま戦わせてるのチャンピオンでも見たことねぇって。ポッタイシも出来るようになっちまったけど」
「丁度いいわ、私も戦ってみたかったのよね。このバトルで本当のこと言っているかどうか分かるわ」
「なんでそんなに乗り気なんだよ」
戦いの定めからは逃れられない、それがこの物語の主人公の運命である。そしてバトルステージにたどり着く両者、ヒカリはやる気満々だがカケルは余り乗り気ではない。
「行くわよナエトル!カケル君に勝つよ!」
「う~ん……行くぜコイル」
『ポケモントレーナーの ヒカリが勝負を仕掛けてきた!』
ヒカリはナエトル、コウキはコイルを繰り出す。ヒカリはナナカマド博士の助手であり余りバトルをしているトレーナーではない、だからこそ手持ちでレベルがそこそこのコイルで十分という判断をする。
「コイル?リオルは出さないの?」
「ヒカリはあんまバトルしてないからレベルが低いだろ?リオルじゃきついと思ってな」
「ナチュラルに煽ってるぜカケルさん……」
その言われようにヒカリは少しムカッとする、その思いがナエトルにも伝わったのか鼻息を荒くしてコイルを睨みつけている。
「ナエトル行くわよ!【はっぱカッター】!」
「【スパーク】で焼ききれ」
ナエトルの【はっぱカッター】を容赦なく電気の熱で焼き落としていく。
そして【スパーク】をそのまま【じゅうでん】へと変化させ自分の能力を上げていく、しかし見た目でほぼ判断付かないためバトル初心者のヒカリはそれに気付くことはない。
「やっぱり落とされるわね…!【たいあたり】よ!」
「【エレキネット】だ、そのまま絡めとれ」
カケルの思惑通りネットに絡まりその場で転んでしまうナエトル、しかし自分の判断で【じならし】を使い的確にコイルの技を対処してきた。
「お?こいつはもしかして……」
「いいわよナエトル!その調子で戦うわよ!」
まさかの動きをしてくるナエトルに警戒度を少し上げる、その隙にコイルは【エレキフィールド】を展開して着々と自分に有利な場を整えていく。しかしここでナエトルはまさかの行動を取ってくるーーー
「ナエッ!!!」
「おぉいマジかよ、お前そういうタイプか……!」
ヒカリの指示を聞かずに展開される草のエリア、それは数日前にナタネにも使われ辛酸を舐めさせられたフィールドの展開ーーー
「【グラスフィールド】を覚えて使ってくるナエトルだァ…?しかも自己判断で使ってくんのか、この地方の御三家みんな才能の塊マンかよ……」
「なんかよくわかんないけど、その調子よナエトル!」
ヒカリ本人も分かっていないが結構な異常事態である。本来ナエトルがグラスフィールドを覚えるのは他のポケモンからの遺伝、アニポケ時空では他のポケモンからの教えてもらうことで覚えられる技の1つだ。
それをこのナエトルは使ってきたのだ、【エレキネット】に対しタイプ相性を理解した上でその手札を切ってきたのだ。ナエトルに対するカケルの警戒度は更に跳ね上がる。
「油断すんなよコイル、ちょっとこれは一筋縄じゃいかない気配がするぞ」
「なんだかよく分からないけど、これはチャンスね!【はっぱカッター】よ!」
ヒカリの指示で飛ばしてくる【はっぱカッター】を避けていくコイル、しかし避けたはずの草の刃が円を描きながらまたコイルに向かっているではないか。
「操作技術も上手すぎる、何処で教わったんだコイツ……!」
「いいぞナエトル!俺らとトレーニングした甲斐があったな!」
「元凶お前らか!!!」
センスはカケルと同等、いやそれ以上に伸び代がある2人とバトルしてたというのだ。これはゴウカザルやポッタイシのように必殺を切る事をカケルは視野に入れ始めた。
「ジジジィッ!!!!!!!!」
「なんかコイルが激しく電気を纏っているんだけどォ……?!」
「あちゃー、ナタネさんの時を思い出したんだな。コイツあの時やられちゃったから……」
コイルは激怒した。何故自分の時はいつも草が生い茂っているのだ、何故自分のエリアを侵食されるのだ。あの時もそうだ、この主人は仲間になったばかりの自分を信じて送り出してくれた。なのにあの有様はなんだ、この有様はなんだ?
許せぬ、あぁ許せぬ。不甲斐ない自分が、期待に応えられない自分が……何もかもが足りない自分が許せぬ……ッ!!!
「落ち着けコイル、冷静にならないとあいつに勝てないぞ」
「ジジ……?」
コイルを宥めて真っ直ぐにナエトルを見据える。こちらに絶対勝つと言わんばかりの気合いだが所詮は1匹、トレーナーと力を合わせないポケモンはもはや脅威ではない。
「コイル、勝ちたいよな」
「……ジジッ」
「負けたくないよな」
「ジジ……ッ!」
「そうだ、俺たちは負けない。負けるわけにはいかないんだ……ッ!」
主人が期待してくれている、絶対勝てると信じてくれている。ならばそれに応えるのが主人に対する答えではないだろうか?
エネルギーは充分にあった、だがそれを上手く身体に流しきれなかったからこそ起こり得なかった変化がある。
ハガネの身体だが無駄な力は抜け、脱力をする。凝り固まっていたエネルギーが全身を駆け巡り……それは望んだ力を引き出す大きな1歩となるだろうーーー!
『おや? コイルの様子が……』
「そうか、お前は応えようとしてくれるんだな……!」
「嘘でしょ?!この土壇場で……!」
「ナエェ……?」
溢れるエネルギーはコイルを包む、1つの球体だった身体が新しく形成される。3つの球体にU字の磁石がくっついた電気のポケモンーーー
「ジジィイ!!!」
【レアコイル】
《じしゃくポケモン》
『特性:がんじょう』
タイプ:でんき・はがね
『おめでとう!コイルは レアコイルに進化した!』
「殻を破ったなコイル!いや…レアコイル!!」
「ちょっとぉ!それ反則じゃない?!」
「ここで進化だなんてマジで持ってるな?!」
これで更に戦えるーーーとレアコイルが思ったのも束の間。自分以外にも光り輝いていたもう1匹が3つの目に映る。
「は……?!」
「うそ?!」
「そんなんありかっ?!」
「ガァメェッ!!!」
『おめでとう!ナエトルは ハヤシガメに進化した!」
【ハヤシガメ】
《こだちポケモン》
『特性:しんりょく』
タイプ:くさ
「なんで?!いくらコウキくんやジュンくんとトレーニングしていたからって早すぎるわ!」
「こいつまさか……見て学習したってのか……?!」
「見て学習って、進化の方法を?!そんなバカな?!」
ところがどっこいその通りである。ハヤシガメがしたことはレアコイルに進化したときのエネルギーの使い方を今この場で見て学び、それを実行したに過ぎない。ゴウカザルやポッタイシと同等どころの話ではない、天才をも超えた超天才。それがこのハヤシガメというポケモンであった。
「冗談じゃねぇよ、やっとコイルが自分を認めて進化したってのにこの仕打ちは流石に……」チラッ
レアコイルの方を見る、顔は陰に隠れてよく見えないが……その3つの丸い体にないはずの血管が浮かび上がっているのが後ろからでもよく分かる。
(めっちゃキレてる……)
(こ、怖い……!顔見えてるから余計に怖い!!!)
(レアコイルってあんな顔出来るんだな……)
「ジジZZzzzgGGggzzzigiィィイイイイジジジジッ!!!!!」
「がめぇ……」
このキレっぷりにはトレーナー達もハヤシガメもタジタジである。そして怒りが臨界点を突破したレアコイルはその怒りを開放するかの如くハヤシガメに襲い掛かり、進化したことによって効率的にエネルギーを操作できるようになったレアコイルはカケルの指示も聞かずに戦いを始めてしまった……
※被害者ヅラしてるけど元凶お前やぞハヤシガメ。
To Be Continued.......