通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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試された魂胆

「さて、無事にリオルをパートナーにできたところで、本題に入ろう」

「本題?」

 

ウィアド博士が真剣な顔つきになる、確かに無償でリオルをってわけにはいかないもんな。

 

「君にやってもらいたいことはこのトラウム地方の異変を調べてほしいんだ」

「異変?そういえばさっき空の色が黄色くなる前って言ってましたね。てことは元々の色は青色だったってことであってます?」

「そうだね、その認識で間違いないよ」

 

 更に聞いていけばトラウムの空が黄色く染まりだしたのはここ数日の話だという。

そのすぐあとに俺が転移してきたのだから俺との関連性を探り入れてるんだろうが…

 

「残念ながら俺は何も知らないんですよね、この地方に来たのだってさっきだし…」

「確かにそうっぽいよね、1つの地方をこうやって異変に巻き込むような人間がポチエナで怯えるとは思えないし……だからこそ君に調査を頼みたいんだ」

「調査って言っても一体何をすれば?ここに来たばかりの俺にできることなんてたかが知れてると思うんですけど」

「それについては問題ないよ!原因は分かっているんだ」

 

どうやら原因は分かっているらしい

じゃあ尚更この地方の人間が自ら解決しないのかよく分からないな。自分たちが住んでるところなのだから自分たちで解決するものだと思うんだが……

 

「この地方はいってしまえば少子高齢化が進みすぎてしまった地方なんだ、民家にいるのは老人ばかりでね。解決しようにも激しく動くことが出来ないんだ」

「そりゃ確かに無理だな……」

「だからこそカケルくん、君に頼みたいんだ」

(ここまで言われちゃなぁ……正直この地方に転移した時点で俺に協力しないという選択肢は無いんだよな。)

 

カケルの思っていることは正しい、ゲームでやった知っている地方ならともかくここは自分が全く知らない地方。いくらリオルを貰ったとはいえ自分1人で出来る事なんてたかが知れているだろう。

 

「分かりました。この地方を元に戻すために俺も力を貸しますよ!」

「君ならそう言ってくれると思っていたさ…ッ!」

「さっき原因は分かっているっていってましたよね?具体的にはなぜこんなことになっているんです?」

「そうだね、じゃあざっと説明しようか」

 

 ウィアドの話ではこうだ。

霊脈がおかしくなっている原因は霊脈の向こう側、つまり次元を超えた先に異変が起きたことによる自然の自浄作用が働いた結果らしい。つまりトラウム地方を元に戻すには異変起きた次元の先、つまりゲームで登場した地方に自ら出向き、異変が起きたターニングポイントを元に戻す必要があるとのことだ。

 

「ただ基本的に、1度決まった出来事って変わることがないんだ。変えるには意図的に、変えようと思って動かなきゃ決まった未来が違う未来に変化することはない」

「そうやって念押しするってことはトラウムをこういう風にした黒幕がいると踏んでるんですね?」

 

ウィアド博士がこくりと頷く。ただ聞いてる分には簡単に思えそうだが忘れちゃいけない部分がある。これは聞いておかなければならない。

 

「しかし博士、直したところでその黒幕がまた異変を起こすってのは考えられませんか?俺だったら修正された歴史はもう一度変えてしまえばいいって思うんですが」

「確かにそうだね、けどおそらくなんだけどそれはない。トラウム地方の霊脈を悪用した歴史改変は今までなかったわけじゃないんだ」

「なんだって……?」

 

ちょっと待て、てことは今まで俺らがやっていたポケモンシリーズでも何回か歴史改変があったってことか?普通に聞き捨てならない一言聞こえたんだけど?????

 

「歴史は直されると同時に修正力が動く、つまり元の歴史に戻ろうとする力が働くんだ。その際に霊脈に改変された分のエネルギーが還元される、過剰に戻された分のエネルギーは結晶化するんだ。黒幕の狙いはおそらくそれだろう」

「なるほど……お供えをしてその分の見返りが返ってくるとんでもない霊脈だし、その純粋な高エネルギーの結晶体。利用価値は大いにあるってことか……」

「話してて思ったけど君かなり頭回るよね???」

 

問題はその結晶体を黒幕は何に使うかだ、使い道が正直ありすぎる。モノを動かすエネルギーにもなるし、おそらくだがポケモンを強化することも出来るだろう。

 

……ダメだな、判断するだけの情報が足りなすぎる、そのためにも今は歴史の改変を直すために取り合えず行ってみるしかないか。

 

「とまぁ、こんな感じでね。ただここまで霊脈が荒れるのは見たことがない。今まで起こった歴史改変に比べてかなり大規模に展開されているはずだ」

「その今までのに比べて危険度が跳ね上がってるってことか……そうだ、今までも何回か起きたってことはそれを直した人物がいるはず。その人たちって今は何をしてるんです?」

 

 これは気になったことだ、できればその人たちにアドバイスを聞きたいとこなんだが……

 

「ごめんね、みんな歴史改変を解決した後に行方不明になっているんだ……」

「やっぱそう上手くはいかないか……え?博士何年生きてるんすか???」

「え?あ~、150年から先は数えてないな」

「うっそだろお前っ??!!!」

 

 (冗談きついって!どうみても20代後半にしか見えねぇけど?!)

 

「こんなに長生きできてるのもちゃんと理由があるんだけどね。さっき結晶体の話はしたよね?その力さ」

「その結晶体ってそんなことまで出来るのか……ッ!」

 

あまりにも利用価値が高すぎる…!俺が思っているよりもずっと使いやすくとんでもない代物じゃねぇか!そんなもんを生み出すことが出来るあの霊脈って一体…?

 

「ちなみにその結晶ってこれなんだけどね」

「そんな簡単に取り出していものじゃないだろそれ?!」

「大丈夫だよ、触ったからって基本的にどうこうなるもんじゃないよ。『基本的に』は」

「どうこうなる可能性があるってことじゃねぇか」

「よかったら触ってみなよ、なんなら少し使ってみるといい。使い方は持ってる状態で強く念じるんだ」

「それだけで使えるもんなんですか?」

「何言ってるんだい、想いって案外馬鹿にならないもんなんだよ?ほらほら、騙されたと思って使ってみて!」

 

 ウィアドから渡されて手に取ってみる。やはりエネルギーの結晶体だからか少し暖かい、伝わってくる力は膨大なものだと直感で感じ取ることが出来る。

 

(確かに凄いエネルギーを感じる……これは……たしか……に……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ??!!!」

 

思わず結晶体を手から落としてしまった。

エネルギーから伝わってきたこちらをじっと見つめるような視線、ねばねばとした気持ちの悪い気配に使ったら戻ってこられなくなるような―――

 

「―――く―、カケ―く――!」

 

頭が痛い……直前にやめようとしたが無理矢理エネルギーを流し込まれたような…

 

「カケルくん!」

「ッ……すいません、取り乱しました」

「急に固まって頭を抱え始めたからね……何事かと思ったよ」

 

ウィアドは落ちた結晶体を懐にしまう。

寝不足も相まって頭痛が収まらないな……ちょっと休憩させてもらうか。

 

「すいません、体調が優れないので休憩してもいいですか…?」

「そっか、今は昼ぐらいだけど君は夜の時間から転移してきたんだったね。ご飯はいるかい?」

「大丈夫です、バッグにおにぎりあるので……それ食べてちょっと横になります」

 

ポンッ!

 

「っ?」

「おっと、大丈夫だよリオル。少し寝れば治るさ」

「はは、随分なつかれたみたいだね♪君に任せて正解だったよ!取り合えず今はゆっくりおやすみ、明日は起こしてあげるから」

「ではお言葉に甘えて……」

 

リオルを抱きかかえながらおにぎりを食べ、床に就く。

1日で起こったことにしては余りにも濃い。トラウム地方のこと、霊脈のこと、ウィアドのことにリオルのこと、そして……

 

「歴史改変のことか……俺に務まるだろうか……」

「……?」

「大丈夫さリオル、きっと何とかなる。これからお前の力を借りることになるからちゃんと寝るんだぞ」

「♪」

 

(そして結晶を触った時に感じたあの悍ましい気配……)

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■』

 

 

 

(今まで感じたことない気配、犬や猫みたいな生易しいもんじゃねぇ。それこそ襲われたときに感じたポチエナのような……ポケモンのような…?)

 

カケルは考えるが答えにたどり着くことはなかった。考えているうちにウトウトとしてきて夢の中へと堕ちてゆく、その中で不思議な夢を見た。

 

『想いは力に、駆け巡る願いは我が元へ、汝の贄を―――』

 

(なんだ……これは……?)

 

『贄を捧げよ、想いは力に、思いは知恵に―――』

 

真っ黒な影がこちらを見つめている。贄を捧げろ?思いは力に…?

まさかこれがウィアドの言っていたお供えものを捧げて恩恵を得るっていうやつか……?

 

『贄を捧げよ、想いは力に、思いは知恵に―――』

 

(ふざけんな…!てめぇに渡すもんなんざ何もねぇよ!!!)

 

『…それが汝の答えか?』

 

(何度も言わせんな!俺の想いは俺だけのもんだ!!!)

 

『しかと受け取った…合格だ』

 

は?合格…だと…?

 

『授けよう、想いを具現化する力。【エモリュージョン】を』

 

エモリュージョン……?

 

『さぁ、目覚めよ。我にたどり着いて見せよ……』

 

くそ……意識が……薄れて……

 

『全ての答えは光の中に……』

 

カケルの意識は浮上してゆく。夢の中だと侮るなかれ、霊脈は微笑む相手を選ばない。

転移してきた新米トレーナーは魅入られた、それが幸か不幸かは分からない。しかし、良くも悪くもその力は道を切り開くことになるだろう。

 

「……あんまいい目覚めじゃないな。博士が起こしてくれるって言ってたけど普通に起きちゃったな」

「……zzz」

「リオルもぐっすりだな」

 

ぐーっと体を伸ばす。窓の外を見てみるがやはり空の色は黄色のままだ、それを見ると自分が転移してきたのが嫌でも分かる。ベッドから体を起こし、貰ったトレーナーの服に着替え、身支度を整える。

 

「さて…と、夢のあいつが言ってた力、エモリュージョン。一体どんな力なの気になるところだけどまずは博士のところに行く方が先だな。リオル、そろそろ起きるんだ」

「……」ぽやぽや

「まったく、寝坊助なんだから。ほら、ボールの中入ってな」

 

 リオルをボールにしまい博士の元へと歩いていく。ドアを開けて見てみれば机に突っ伏して寝ているウィアド博士の姿が目に飛び込んできた。

 

「あーあ、そりゃこんな状態じゃ起こしに来れないわな……ん?この資料…ッ!エモリュー……ジョン……!」

 

 散乱している資料を一つ持ち上げる。見てみれば書いてある単語はエモリュージョン、昨晩みた夢の中であの黒い影に渡された力のことが書かれていた。少し読み進めて見れば昨日の影が言っていたことと同じようなことが書かれている。しかしこの資料にはもう少し分かりやすく書かれているのだった。

 

「エモリュージョンは想いの力、力はそのポケモンが至るかもしれない可能性を引き出す……だって…?!」

 

これに書いてあることが本当ならとんでもないことが書かれてるじゃないか!使い方さえ分かればメガシンカもZ技も自在に使えるってことか……!

 

「ん……あぁ、おはようカケルくん」

「おはようございます博士、寝起きで悪いんですがこの資料は一体……」

「お、見たんだね。それは起きた後に君に見せようと思ってた資料さ。昨日夢を見なかったかい?黒い影が出てきたと思うんだけど」

「……そうですね、出てきました。贄を寄越せって言われたのでやるもんなんざなんもねぇよって追い返しちゃいましたけど」

 

 それを聞いてウィアドはうんうんと首を縦に振っている、表情は笑顔で「やっぱりそうだよね~」と言って頷いている。

 

「君なら合格すると思っていたよ。そこで贄を出すと君は君でいられなくなるし、何もできない廃人状態になっちゃうからね」

しれっととんでもないことやらせやがったな?!それ俺が贄を差し出したらどうするつもりだったんだよ!」

「それなら大丈夫。時空を直すために呼ばれる人ってね、みんな自分の中に強い心を持っているんだ。だから君が呼ばれた時点でエモリュージョンはほぼ獲得できると思っていたよ」

「そういうってことは歴代の人たちもみんな使えたんですね、エモリュージョン」

「そうだね、けど人によって使う為のトリガーが違うんだ」

「トリガー?」

「うん。強い感情が基本的には使う為のきっかけになるんだけど、それが怒りなのか悲しみなのか……はたまた楽しい感情なのかはその人次第なんだ」

 

強い感情がトリガーに、だけどその引き金を引くには人それぞれの感情があるんだな……

取り合えず分かったことは、今現状だと使えないってことか、あまり期待しない方がよさそうだな。

 

「そういうわけだから、今この瞬間にエモリュージョンを使いますってことは出来ないね」

「なるほど…じゃあ次元を直していくうちに使えるようになるかもしれないんですね」

「そうだね、だから焦らずに今は実力を高めていこう」

 

そうだった、今の俺は転移したばっかのペーペートレーナー。一回もポケモンバトルをしたことないのに、いきなり次元直しに行きますは出来るわけがないわな。

 

「てことで!今から僕とポケモンバトルだ!」

「急だなぁ、けど強くなるためだ、ぜひやらせてください」

 

ウィアドとポケモンバトルをすることになったカケル。外に出てお互いのモンスターボールを構える。

神妙な顔をしているとウィアドと目が合った、優しそうな顔をしていると思ったが力強い眼光がこちを刺してくる。流石150年以上生きている人だな……ッ!

 

「さ!いくよカケルくん。初めてのバトルだからね、まずは小手調べだ」

「お手柔らかにお願いします!いくぞリオル!デビュー戦だ!」

「ッ!」ぶんぶん!

 

【リオル】

《はもんポケモン》

『特性:せいしんりょく』

タイプ:かくとう

 

ボールを投げればリオルが出てきて、腕を回している。準備は万端そうだな。

 

分かってはいたが俺は今ポケモンを持っているんだ、ハマっていたゲームのバトルが今から出来るんだ……!

 

「うんうん!リオルも元気そうだね、じゃあ僕の方も行かせてもらうよ。()()()()!セットアップだ!」

 

「フーシィイッ!!!」

 

【ケーシィ】

《ねんりきポケモン》

『特性:シンクロ……?』

タイプ:エスパー

 

ケーシィ、本体自体はそこまでと予想されるポケモンだが…150年以上生きている博士のケーシィだぞ?ただで済むはずがねぇ…!

 

「まずはお手並み拝見といこうか!ケーシィ!ねんりきだ!」

「リオルッ!みきりだ!」

 

ケーシィのねんりきはとても進化前とは思えないほどの出力をしていた。

ギリギリのところでみきりを発動ししゃがんで避けるリオル。カケルは飛んで行ったであろうねんりきの波動がぶつかった岩を見て絶句する。

 

(嘘だろッ?!岩が捻じ切れやがった!!!

 

ギュリリリッ!!!と波動を受けて捻じ切れる岩。とてもでは無いが進化前のポケモンが出していい出力ではない。

 

だが見開いたままではケーシィの餌食になるのも時間の問題。思考を切り替えてどうにか勝てる方法を模索する。

 

「リオル!後手に回ってたら負けるぞ!バレットパンチだ!」

「ッ!!」

「そうはいかないよ!ねんりきで岩を操るんだ!」

「フゥゥ!!」

 

バレットパンチで素早く近づこうとするが、念力で操られた岩に挟み込まれそうになる。リオルはスピードを生かして岩を捌きながら移動するが、周りに岩が多すぎて近づくことはおろか逃げることすら出来なくなってきた。

 

「ほらほら!抜け出せないと岩で押し潰されちゃうよ!」

「うるせえ!こっちは初めてバトルしてんだ!ちょっとは手加減しやがれ!!!」

 

(だがこのまま動き続けても体力切れになるのはリオルの方!どうにかしないとな!!!)

 

「リオル!でんこうせっかで岩と岩の間を駆け上がれ!」

「ッ!」こくこく!

「そんなことしても無駄さ!ケーシィのねんりきはこんなもんじゃ無い!」

「無駄かどうかは試してみなきゃ分かんねぇだろ!!!」

 

でんこうせっかを使い更に速度を上げてゆくリオル、それに追いつかんとするねんりきの岩と共に駆け上がっていく。一定の高さになった頃だろうか、カケルはニヤリと笑って指示を出す。

 

「けたぐりで岩をケーシィに蹴飛ばせ!思いっきり蹴って砕き割ってな!!」

「なるほど!考えたね!」

 

砕けた岩はまるでショットガンのようにケーシィに降り注ぐ、しかしーーー

 

「けど、そんな攻撃でウチのケーシィを倒せると思っているなら…甘いねッ!」

 

今度はウィアドがニヤリと笑う。

その瞬間、開いてないはずのケーシィの目から確かに、ピンク色の光がバチッ!と漏れる

 

(ッ…!明らかに気配が変わった!)

 

「リオル!警戒しろ!」

「もう遅いよ!ケーシィ!最大出力ッねんりきだ!!!」

「フゥウウディイイイッ!!!」

 

ショットガンとして繰り出された石のつぶてが次々と止まる。1秒も経たないうちにすべてのつぶてがピタリと止まり、今度はリオルへと返ってゆく。リオルがけたぐりで砕き、シュートした時よりもずっと早いスピードでリオルに襲い掛かる。

 

「っ??!!!」あわあわ

「慌てるな!みきりでダメージを最小限にしろ!」

「そんな悠長に待ってあげると思うかい?!ケーシィ!()()()()()スタンバイッ!」

 

ウィアドの指示で電気を溜めるケーシィ。

あと数秒も経たないうちに放たれる電気の砲撃は―――空中では避けれない。

 

「リオル!バレットパンチを最大までため―――ッ!」

 

その瞬間、カケルは自分の指示が間違いだったと気付く。気付いたときにはもう遅い。

 

「そ、気付いたようだけど遅いのさ。決めろケーシィ!!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()

でんじほうを構えて真後ろに、ルカリオならば反応できたかもしれないが……ケーシィと対立しているのはバトルが初めての初心者リオルである。

後ろに気配を感じることは出来たが、振り向くまでには至らない。

 

ケーシィの最大まで溜めたでんじほうが放たれる―――

 

「なーんてことはしないよ、これは練習試合だからね」

 

ことはなかった。

でんじほうを霧散させ、重力で落下してゆくリオルの首根っこを掴んでテレポートを

使うケーシィ。カケルはほっと胸をなでおろすとリオルに駆け寄る。

 

「リオル!よく頑張ったな!お前凄いじゃないか!」

「いやー、僕も驚いたよ。戦っているところを見たことないからさ、てっきり戦えないと思っていたんだけど。まさか()()()()()相手にここまで戦えるなんてね」

 

(は……?この博士今なんて言いやがった…?)

 

思考が追い付かない、それもそうである。

 

(フーディン?こいつが?!見た目完全にケーシィじゃねぇか!!!)

 

そう、見れば見る程ケーシィなのである。しかし進化前のポケモンがあの出力を出せるなんて到底思えない。初めてポケモンバトルをしたが、自分のいた世界ではたねポケモンとさえ言われている未進化ポケモン。あそこまでの出力を出せる方が異常である。

 

「理由は簡単、僕も使えるからさ」

「使えるって……まさか!」

「そ!()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()。その子はケーシィの姿にエモリュージョンしたフーディンなんだ」

 

To Be Continued…

 

 

 

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