通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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気が付いたらこの小説を投稿して1年たってたんですね。
月1も更新しない小説ですがチマチマやっていくので気長にお待ちください。


決着とロボット、そして米

 周囲に爆発音が響き渡る。淡紅色のエネルギーと共に俊敏な動きで戦場を駆け巡り、鈍足な獣へダメージを与え続けるポケモンが1匹ここにいた。

 

「かなりタフだなぁ、けどそれだけだね」

 

 瞬間、エルレイドの足元で地面が爆ぜる。前足で起きたその爆発は容易にエルレイドの身体をかち上げる、その隙をウィアドとフーディンは見逃さない。

 

「その耐久力の種は分厚い皮と大量に生えている毛皮か。だから物理ダメージの効きは悪いと、典型的なタイプだな」

「ッグルァア!!!」

 

 曝け出された腹に素早くスプーンを突き立てるフーディン、しかしエルレイドも黙ってやられるわけはなく思い切り腕を使い振り払おうとする。

 

「ガッ……?!」

「させると思うかい?甘いんだよ」

 

 だがその腕にはエネルギーで出来た剣が突き刺さる。その余りの激痛に抜こうともがくがスプーンの先から撃たれた衝撃で胸を打たれ、呼吸が出来なくなってしまう。

 

「どんな生物だって呼吸はしている、禍襲ノ疾装も例外じゃないだろう?」

 

 その言葉の数々をエルレイドは理解することはできない、しかし……そのウィアドの態度に怒りを覚えるのは充分な視覚情報であった。

 

「グルァラァアアアアァアアアッ!!!」

「弱い犬ほどよく吠える……って言葉をカケルくんから聞いたことあるけど、まさにその通りだね。

失せろよ」

 

 愚策、それは肺の空気を怒りの咆哮で全て吐き出してしまったエルレイドの失敗だった。

 己の下にいたはずのフーディンは既に上に”テレポート”をしており、その大きなスプーンで頭をカチ割ろうと振り下ろしてくる。気付くはすれど身体は動かない、甘んじて受け入れるしかなかった。

 

「ギャ……ッ?!」

「これでお前は動けない。呼吸が出来ないから頭は回らないし、脳みそが揺れたからまともに立ってられないだろ?」

 

 スプーンを軸に大きくエネルギーを貯め、その力に呼応するようにフーディンの両目からも雷が奔る。

 その切先に大きな球体が発生し、あまりのエネルギー密度に球体の周りが陽炎の様に揺らいでいる……バチバチバチ!と轟音が鳴り、遂には淡紅色の球体は姿を変える事となる──

 

 温度の臨界点を超え、淡紅色は蒼へと昇華する。あたり一面を消し飛ばしそうなほどに力が込められた球体は……見てるカケルもエルレイドがタダでは済まないと察するに値するものだ。

 

「これで終わりだ……奥義装填──ッ!!!」

「待ってくれ博士!流石にそこまでは──!」

 

 カケルの叫びも虚しく、ウィアドはその技を高々と叫ぶ。怒りに打ち震え、もう2度とあんな思いをしないために……長寿のトレーナーは無慈悲にもその奥義を放つ──

 

「超天砲砕……

マグナサイケリックッ!!!!!」

「フゥウウウウウディイイイイイッ!!!!!」

 

『フーディンの奥義

ちょうてんほうさい・マグナサイケリック!!!』

 

 瞬間──景色が爆ぜる。

 凝縮したエネルギーは爆風を生み出し、離れていたはずのカケル達にも影響を及ぼすほどの風圧を叩きつける。

 

「うぉあああああああああッ??!!!」

 

 少し経ち、煙がだんだんと晴れてゆく。そしてその光景の先に広がっていたのは──

 

「まったく、手加減するのって大変なんだよ」

「フゥ……」

 

 着ていた博士服が真っ黒になり、エルレイドを肩に担いでいるフーディンとウィアドの姿があった。

 

「あっぶねー……!マジでエルレイド消し飛んだかと思った……!」

僕はもう少し消し飛ばす気だったんだけどね、禍襲ノ疾装硬すぎ」

 

 なんて会話しているがイジクは瀕死、意識を失っていないだけで喋れるほどの体力はほぼない。そして研究所に置いてきたエディのことも心配だ、だからこそテレポートで帰ろうとするのだが……

 

「え”……エネルギーを使い切ったからテレポート出来ないって?」

「フウ、フゥウディ……」

「そうか、フィールド展開を使ったから立っているのもキツイはずなんだよな……」

 

 使用したことがあるからこそ分かる弱点、故にカケルの焦りは増していくがここでウィアドはあることを思い出す。

 

「こうなったらしのごの言ってられないよね、久々に彼を呼ぼう」

「彼……?」

「そう、ただ本当に久々だから来るかどうか……なんせイジクくん達が各地方に行く前に作ったポケモンだからさ」

 

 しれっととんでもないことを言っているのに気付いているのだろうかこの博士は……そしてウィアドは懐からスイッチを取り出し押す。数分経った頃だろうか、遠くの方からゴォ……ゴォ……という音を立てて影が現れる。

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 遠くから見たら小さく見えるが近くにくればかなりの大きさだ、そしてその姿には見覚えがある。

 

「おぉ!来てくれた!」

「赤い……ゴルーグ……?!」

「正解!しかも全員で悪ノリした結果とんでもないバケモン性能になった乗れるゴルーグさ!!!」

 

【ゴルーグ(トラウムの姿)】

《ゴーレムポケモン》

『特性:オープンボディ』

タイプ:ゴースト・はがね

 

「けど普通のゴルーグにしては随分デカいし体細いな……」

「マジで色々改造したからね、いや今はそんな事はいいんだよ。早く乗って!」

 

 ウィアドにせかされゴルーグに乗り込む3人と1匹。リオルとフーディン、ジャラランガはボールに入れることができたがエルレイドのボールはエディが持っている。

 そして忘れずにケンタロスもボールに入れる、これで正式にケンタロスもカケルの仲間へと加わった。

 

「よぉし、発進するよ!何処でもいいから掴まってて!」

「掴まってってどこnうぉおおおおおおおああああああああ??!!!」

 

 背中と足のスラスターを爆速で吹かせ、一気に空中へと飛び上がるゴルーグ。その勢いはそこら辺の乗り物よりずっと早く、身体にGが襲いかかってくる程の出力を見せていた。

 

「フォオオオオオオオオ!!!」

「ちょ、速、速すぎる!!!ポケモン世界で出していい速度じゃねぇだろ!!!!!」

 

 叫ぶカケルの声も虚しく更に速度を上げるウィアドとゴルーグ。その身体にかかるGの圧力に耐えきれず、そのまま気絶してしまった。

 ちなみにイジクは何故か乗っても無事だった…何故???

 

 そしてどれくらいの時間が経っただろうか。カケルは目を覚まし、辺りを見渡すために起きあがろうとする。

 

「いった……っ!なんでこんなに身体痛いんだ……?」

※ゴルーグのせいです

 

 視線だけを動かせば見覚えのある部屋、どうやら無事……無事?に研究所に辿り着いていたようだ。

 立ち上がろうとするが体の節々が痛み、そして前によろけ転んでしまう──

 

「おっと、目覚めか?」

「へぁ……イジ……ク……?」

 

 ことはなかった、先に起きていたイジクにその身体を受け止められる。見ればイジクの身体もボロボロで全身に包帯を巻いており、特徴的なメガネも外しコンタクトにして視界を確保しているようだ。

 

「ありがとうな後輩、おかげで私は死に損なったようだw」

「何が死に損なっただ……俺はアンタを倒すんだ、死んで勝ち逃げなんて許さねえぞ」

「はは、なら余計に死ねないな……取り敢えず飯にしようぜ。ご飯にする?お米にする?

それともラ・イ・ス?」

「全部米じゃねぇか、せめておかずも食わせろよ」

 

 そんなやりとりをしながらウィアドの元へと向かう、途中でエディのとこにも行ったがまだ眠っているようでエルレイドもボールの中に入っていた。

 エディの部屋を後にして部屋へと向かうが何か白いものが通ったような気がした、()()()()()()()()()()()()()まぁ気のせいだろうとカケルは気にせず部屋へと向かう、しかしそれが更なる絶叫を呼ぶことをまだ知らない。知る由もない。

 

「2人とも起きたんだね!ご飯にする?ピラフにする?それともチャーハンがいいかい?」

「あのボケで本当に米なことあるのかよ」

「しかもしっかり単体で食えるもんだな……」

 

 そして食堂の奥、調理場から鍋を振る豪快な音と食材を切る音が聞こえる。この時点で何か違和感に気付く。

 

「ちょっと待て、なんで鍋を振る音と物を切る音が同時に聞こえるんだよ。エディはまだ寝てたぞ?」

「それの何がおかしいんだい?」

「普通の人間がんなことできるか!」

 

 奥のドアに手をかける、そして中を見てみると──

 

「レェジラァ!!!」

 

 片手で鍋を振り、野菜を均等な大きさに切り分けスープに入れ、皿を出しながらセカセカ動く白い塊がそこにいた。

 

「え?は、な、なんだコイツ??!!!」

「おぉ、ありがとう()()()()()。君の作るご飯はいつも最高だな!」

 

 先ほど足元を通ったと思った白い物体、見間違いかと思ったが間違いなくコイツである。そもそもレジライスってなんだよ。

 

「いやレジライスってなに?!」

「おぉ久しぶり、なのか?そういえば戻ってきてからは姿を見てなかったな」

「だろ?僕が意気消沈してるのに気付いていたみたいで他のところに行って食材を取ってきてくれていたみたいなんだ」

「いや、いやいやいやちょっと待てよ。なんで普通に会話してんだよ、おかしいだろ!」

 

 カケルのいうことは間違いない、ウィアドとイジクにとっては当たり前過ぎて忘れていたが顔に彫られた点字に名前につくレジ……間違いなくあっちの系統のポケモンである。

 

「彼は僕達が遺跡から発見したポケモンさ、この地方は至る所の要素が混じっている場所だからたまにこういうポケモンが眠っていることがあるんだ」

「なるほど……もしかしてゴルーグも?」

「ゴルーグは壊れかけていたのを僕を含めた11人で直した」

「直したって範疇超えてるだろアレ、新幹線よりも速いものを体で体感させられた俺の気持ちを考えろ」

「楽しかったろ?」

反省しろ

 

 そんな会話をしながらレジライスが作ったご飯を食べ始めるカケルとイジク、その余りの美味さにもう1話ぐらい話が出来そうだがここでは割愛しよう。

 

 少し時間が経った頃だろうか?カケル達が通ってきたドアから音がする。

 

んぅ……おあよぅござぃます……」

 

3人が目を向けると寝癖がボサボサで目を擦りながら出てきたエディが起きてきたところだった。

 

「エディ!起きたんだな!身体は大丈夫か?」

「ふぇ?えっと、何があったのでしょうか……エルレイドが負けた後の記憶がなくて……」

 

 その言葉に3人はお互いの顔を見る、アレだけ苦労したのにとは各々思ったがそこは伏せて何があったのかをエディに説明した。

 

「まぁ……!そんなことが……皆様申し訳ございませんでした、大変ご迷惑をおかけしました……」

「まぁまぁ、全員生きてたんだから儲けもんだよ。それに異変を解決するなら死ぬかもしれない危険は付きものさ、一々気にしていたら病んじゃうよ」

「そうだぜエディ。それにおかげで新しい力の使い方に目覚めそうなんだ、あそこでエルレイドを出してくれたからこその闘い方だし俺は感謝してるぜ」

「私が一番やばかったらしいけど気にしてないしな。生きているならッオッケーです!!!」

「皆さん……!」

 

 そして隙を見て運ばれてくる新しいご飯、エディがそちらを見ればレジライスが餡掛けチャーハンを持ってきていたところだった。

 

「レジレジジ」

この方は誰ですの??!!!

「2回目だなこの反応」

「普通はそうなるんだよ」

 

 当然の反応である。

 雑なボケは置いておいて今後のことを話し合う、取り敢えず決まったことを表しておこう。

 

・シンオウ地方には戻る、異変を解決していないため

・最低限の実力をつける、このまま戻ってもケセドに殺されるのが目に見えているため

・トラウムにいる間はエモリュージョン禁止

 

「エモリュージョン禁止キツくない……?」

「カケルさんはすぐに無理をするのでダメです、エディは心配です」

「使わないです」

「ちょろすぎだろ、それでいいのか後輩」

 

 イジクが呆れながら言うが関係ない。そもそも寿命を削るって言ってんだろ、そんなポンポン使うもんじゃねぇんだわ。

 

「とにかく、これは決定事項だね。こっちでの3日は向こうの1日だ、これを利用しない手はない」

「懸念点をいうならケセドか……あの時は私という抑止力はいたから大事にならなかっただけだしな」

「本当ならすぐにでも行きたいところなんだけど、今のまま行ってもまたケセド君に殺されそうになるからね」

 

 そしてウィアドは更に神妙な顔をして話を続ける。

 

「イジク君とカケル君、そしてエディちゃんはこっちに転移してきたトレーナーだろ?ならシンオウ地方は最低でも2つの世界があるのも知っているはずだ」

「俺らで言うところのゲームの世界とアニメの世界のことだな、あのシンオウ地方は確かゲーム基準だったはず」

「僕はその2つがどんな結末を迎えるのか分からない、機械で世界が2つあるってことが分かるだけだからね。だからこそゲーム基準?だっけ、それは非常に不味いんだ」

 

 それもそのはず。ゲームの世界なんて実際どれだけの時間が進んでいるのかなんて判断のしようがないからだ、故にどこまで進むかも検討が付かない。

 

「だからこそ最低限だ、最悪ケセドがディアルガとパルキアを手に入れている可能性だってある」

「そうなるとエディ達が出来ることは何もできなくなってしまいますわ……」

「だからこそ私がみっちり鍛えよう、おふざけ手加減なしのガチ修行だ」

「いいぜぇ……待っていろよケセドォ……!」

 

 だがここで4人は失念していた、今思えば仕方がないことだった。

 

「は?」

「え?」

 

 突如カケルとエディの背後に紫の靄が現れる―――何故気付かなかったのだろう。こちらがトラウム結晶を持っていたのだ、向こうだって結晶を持っていたかもしれない可能性を……

 

「ちょ、マジか?!」

「嘘だろ……!最悪だ!」

 

 靄から出てきた腕に掴まれ2人は引きずり込まれてしまう、その先はおそらくシンオウ地方だろう。

 イジクがボールを持って駆けだすがもう遅い……靄は既に消えてしまい、イジクとウィアドはそこに立ち尽くすしかなかった。

 

To Be Continued.......

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