通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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みんな投稿してたから早めちゃった、ユルシテ
次回もっと濃いバトルを書きたいです


本気ノバトル

「うわ?!」

 

 紫の靄から弾き出されるカケル。若干の痛さに身をよじるが下を見れば生い茂っている草、どうやらこれのおかげでそこまで怪我をせずにいたようだ。

 

「くっそ……何がどうなって……!エディは?!」

 

 辺りを見渡すがエディはいない、どうやら別々の場所に飛ばされてしまったようだ。

 そして何やら視線を感じる、そちらを見れば見たことがあるようで見たことがないポケモンがいた。

 

「なんだお前、ヒトツキ……なのか?」

「……」

 

 だが形状がおかしい。通常のヒトツキは剣だ、しかしこのヒトツキの形状は斧である。ヒトツキはカケルのことを見ているが襲ってくる気配はなく寧ろ心配しているような様子だった。

 

「見ず知らずの俺を心配してくれるんだな……大丈夫!迷惑かけたな!」

「ッ……!」

 

 こんなところで時間を食っている場合ではない。そんなことを思いながらカケルは走り出す、その後ろ姿をヒトツキはジッと見ていた……

 

 そして走り出したのはいいが下を見れば絶壁、雪が吹きあふれている周りを見れば1つ間違えれば命を落とすことには変わらないと直感できるほどには不味い状況だ。

 

「くっそ…俺らはどこに飛ばされたんだ……?結構高いところみたいだが何にも見えねぇ」

 

 ガキンッ……!バキッ……!と上から聞こえる、こんなところで一体何が?と思うところだが1つ思い当たることがある。ここはおそらくだがテンガン山だ───

 

「つまり上で戦っているのはギンガ団と誰かってことか、急がないとな……!」

「ブルゥ!!!」

「ケンタロス…!いくぞ!」

 

 ケンタロスにまたがり更に上へと目指す。するとどうだろうか、おそらくギンガ団のボスであろう男とコウキが戦っているのが視界に入り込んできた。

 そしてゴウカザルがマニューラを倒しきり、ボスがぶつぶつと何かを言い頭を抱える姿が見えた。

 

「俺の勝ちだな……ギンガ団」

「何故だ……何故私のポケモン達がゴウカザル1匹にィッ!」

「いいぞ、よくやったコウキ。これでワタクシたちの目的も達成できるというものだ」  

 

 コウキのそばにいるのはケセド、そして少しみていれば項垂れているギンガ団のボスにトドメを刺そうとゴウカザルが腕を振り上げているのが目に飛び込んできた。

 

「ふざけ……!」

「ルォウッ!」

「ッ……!このリオルは……!」

 

 すかさずリオルが飛び出し腕を弾き飛ばす、遅れてカケルもそこに辿り着くが……

 

「コウキくん……」

「久しぶりですね、先輩……俺達から逃げた人が今更何しにきたんですか?」

 

 帰ってくる反応と言葉はとても冷淡なもの、トラウムに帰る前とはあまりにもかけ離れている態度に驚きを隠せない。

 

「その通りだコウキ。コイツらはお前やシンオウ地方を捨て、今や伝説のポケモンまで奪おうとしにここまできたのだ!」

「テメェ何を言って……」

「やっぱりそうなんだ。じゃあ……敵ですね?」

 

 横から飛んでくるゴウカザルの拳、しかしそれを黙って受けるリオルではない。足を使って拳を下に弾き、そのままドロップキックの要領で腹を蹴り抜く。

 

「ルォ…!」

「先輩のリオルはやっぱ強いですね……けどいつまでその姿でいるつもりですか?」

「ッキャアアア!!!」

「なに?!」

 

 体格が足りないのか、それともゴウカザルの体幹が強いのか、おそらく両方であろう。

 リオルはゴウカザルを吹き飛ばすことができなかった、それどころかゴウカザルは足を掴み思い切り投げ飛ばす。

 その勢いを利用してバックステップで体勢を整えるリオル、しかし額には冷や汗が垂れており、それは主人であるカケルもそうであった。

 

「あの一連の行動を見るだけで分かる、強いな……」

「ワタクシが鍛えたのだ、当然であろう?」

「ケセドさんのおかげで俺はここまで強くなれました、逃げた先輩と違って俺のことをよく見てくれたんです」

 

 その言葉と共にゴウカザルの火力は更に上がる。イジクがふざけ倒していたが忘れてはいけない、ケセドの実力はイジクとほぼ互角だということを……

 

「ほら、早くルカリオになってくださいよ。それとも俺達相手にリオルだけで充分だと思ってるんですか?」

「随分と口が達者になったようだね、何をそんなに焦ってるんだい?」

「時間稼ぎなら無駄ですよ、俺にその手はもう効きません」

 

 見破られている──どうにか時間を稼いで何かしらの案を考えようと思ったが……そう簡単にはいかないらしい、相手との駆け引きも上手くなってるようで圧倒的に隙が少ない。

 

「こんな状況じゃなきゃ喜べたんだけど……立派になったもんだ」

「ふざけてるんですか?いかないならこっちから行きますよ!!!」

 

 その掛け声と共にゴウカザルが駆け、同時にリオルも駆け出しお互いに拳を突き出しぶつけ合う。

 やはりリオルが弾かれるがその勢いに身を任せ後ろに飛び、”はどうだん”を2発投げる。だがゴウカザルは炎を纏った拳で弾きながらマッハパンチで追撃、その拳を蹴りで下に弾くがそれすらも予測していたようにかかと落としに繋げてくる。

 

「今のも避けきるんですね、やっぱり先輩達は強い、油断は出来ない……!」

「なーにが油断出来ないだ、初めからしてないくせによ!」

 

 リオルはみきりを発動し寸前でかかと落としを避けていた、そしてブレイクダンスの要領でその場で回転し足を払う。

 それをゴウカザルはジャンプして避けるが手の波動を爆破させ跳ね起きをするように両足を突き出す、しかしそれすらも読めていたようで両足で受け止められた挙句更に強い勢いで地面に叩きつけられてしまった。

 

「先輩ならそうくると思ってましたよ、イメージ通りです」

「クッハッハ!いいぞコウキ!今のお前ならこの小僧にさえ勝てよう!」

「くっそ、マジで強えな……出し惜しみしている場合じゃねぇ……ッ!」

 

 体勢を立て直しまた構えを取るリオル。

 このまま戦っていても埒が開かない、ならせめて体格だけでも近づけようとカケルは考えを改める……そして認めよう、今のコウキは間違いなく強い、それこそ自分を負かすかもしれない程に───

 そして輝く左目のE、相棒の右目に光るSの文字を通して想いが増幅していくのを感じる。これは勝ち負けではない、絶対に勝たなくてはならない死合いだ……ッ!

 

『カケルの想いに リオルが応える───!』

 

「やはり貴様も使えたようだな!だが使い慣れていないそのエモリュージョンでどこまでワタクシたちを止められるか見ものだ!」

「テメェもうるせえ野郎だな……コウキくんを止めた後はお前だ、首洗ってまってやがれ……!」

「俺にもう勝ったつもりですか?舐められたもんですね!!!」

 

 コウキの咆哮と共にゴウカザルが攻撃を仕掛けてくる、だが既に遅い。()()()()は反撃態勢を既にとっている。

 

『リオルの 可能性が引き出される!』

 

 パシンッ!と軽い音を立てながらゴウカザルの拳を弾く、その勢いを使いゴウカザルは更に攻撃をしようとするが何かがおかしい……動こうにも体が動かないのだ。

 そして見せた隙を見逃すルカリオではない。弾いたときに使ったのは左手、右腕は反撃をするために力を溜め、今か今かと解放のタイミングを図っていた。

 

「動け!動くんだゴウカザルッ!!!」

「もう遅い!”きあいパンチ”ッ!!!」

「ルォウッ!!!」

 

 隙だらけのその腹に無慈悲な一撃をぶち当てる、これで倒せたとは思っていないがかなりのダメージを与えることは出来ただろう……しかしその考えが甘かったと今認識することとなる。

 

「ウキャア……ッ!!!!!」

 

 腹にきあいパンチを入れ込んだ数秒後、ゴウカザルから爆炎が迸る。

 その余りの火力に思わず主人の方へと戻るルカリオ、前にコウキに判断の遅さが敗因と伝えたがまさか自分がそうなるかもしれないとは思わなかったカケル……だが後悔してももう遅い。

 

「あぁ……やっと出来た……!繋がった!!!」

 

 コウキとゴウカザルにあの時の黒い瘴気が纏わりつく、嫌な予感が拭えないが炎を発し続けるゴウカザルに近づくことが出来ない。

 

「”はどうだん”!」

 

 カケルの指示で技を撃つが炎の壁に阻まれてしまう……そして炎が収束し、中から出てきたゴウカザルは姿が変わっていた。

 炎の色は蒼炎に、噴き出るエネルギーは形を成し拳にセスタスのようなグローブを身に着け、所々に黒い紋様が浮かび上がっている。顔には白い仮面のようなものをつけていたがその仮面すらエネルギーで溶けたようになっており、そして何より目につくのは胸に埋め込まれているような真っ赤なオーブでそこから伸びている鎖……まるでコウキの怒りを一心に受けたような紅の球体がそこにはあった。

 

「その姿は……!」

「やっぱり先輩は知っていたんだぁ……!これが今の僕とゴウカザルの全てだぁ!!!」

「やはり覚醒に至るには小僧が必要だったか、いけコウキ!貴様とゴウカザルのきずなであいつを倒すのだ!」

 

【ゴウカザル《きずなへんげ》 タイプ:ほのお・かくとう】

 

 瞬間、爆炎が弾ける───

 何が起きたのか分からない程の速度、後ろを見ればルカリオの腹にきずなゴウカザルが拳を差し込んでいるのが見えた、そして後から伝わってくる腹からの鈍い痛み、余りの速度に痛みすらも遅れてやっていたのに驚きを隠せない。

 

「は──カフッ……!」

「どうです?どうなんだよ!今この瞬間が先パいに勝てるかもしれない唯一ノ場面なんダ!寝てイルばあイじゃないですヨネェ!!!」

「いいぞ!いいぞコウキよ!今のお前のその力で小僧を殺してしまえ!」

 

 隣でケセドが叫ぶ、それを腹を押さえて見ていたが何かがおかしい……その瞬間ゴウカザルの姿が消える。

 また来るかと意識を張り巡らせるが……その違和感は当たっていたようだ。

 

「ゴォリ……」

「は───?!何をするのだコウキよ!今バトルしているのはワタクシではないだろう!!!」

 

 ゆらぁ……した立ち姿をしてるコウキの顔はよく見えない、だがこれだけは分かる。このままいけばカケルにとってもコウキにとっても、ケセドにとっても最悪なことが起きるであろうと直感する。

 

「五月蠅イなァ……今は僕がセン輩とバとルしてるンだ……邪魔スルナヨ!!!」

「貴様何を言って…ッ?!」

 

 ゴウカザルの紋様が黒く変色していく……オニゴーリが動き出そうとするがもう遅い、既にゴウカザルの攻撃は終わっている。

 あまりの炎、いや、焔と言っても差し支えないだろう。焔に焼かれオニゴーリ共々倒れ伏すケセド、余りの速度と威力に声すら上げずに瀕死となってしまった。

 

「ケセド!コウキくん!流石にやりすぎだ!!!」

「先輩ガ悪イんでスよ……?今は俺トばトるしてルノニィ!!!」

 

 コウキはもはや正気ではない、だが1つ行幸なこともあった。不謹慎だがこればかりは感謝できると言えよう、ケセドが戦闘不能になったために余力を残しておく必要がなくなった。つまりこの行動は後先を考えずに全力を出すことが出来ることへの裏返しだった。

 

「分かったよ……そんなに相手してほしいなら本気を出してやる……!」

「イツマデぼレを舐めテイルンだヨ……?!来ナイナラこっチカライクゾカケルゥウウウウ!!!」

 

 今のコウキを止めなければ火傷でケセドは死に、ここでカケルが負ければコウキは負荷に耐え切れずに死ぬだろう……余りにも難易度が高すぎるがやるしかない、今ここでどうにか出来るのは主人公であるカケルだけなのだ。

 

『カケルの思いに ルカリオが応える───!』

 

「行くぜリオル……!ここでコウキくんを止めなきゃみんな台無しだ!!!」

「ルォウ!!!」

 

『ルカリオの 更なる可能性が引き出される!』

 

「コレ以上負ケナイ!僕ガ!俺達ガ最強ナンダァアアアアア!!!!!」

「その鼻っ柱へし折ってやるよ!ここで決着をつけるぞ()()()ィイイイイイ!!!!!」

 

To Be Continued.......




【ゴウカザル】
《かえんポケモン》
『特性:きずなへんげ』
タイプ:ほのお・かくとう

トレーナーとの深い絆が新しいシンカをもたらす……しかし外れてしまった道は正さねばならない、間違えた道は身体を形成し、本来とはまた違った姿を映し出すであろう……
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