通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ   作:厄丸

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遅れました(n回目)
もっと戦闘シーンだけを書いていたいのにそれだと一生話しが進まない……ジレンマですね。




英雄再戦

 今一度、フィールド展開という技について改めて説明をしておこう。

 

 この技はトレーナーとポケモンがお互いにリンクし、両方のエネルギーを外壁と成して自分自身を大幅に強化する技である。

 内部は展開したポケモンのエネルギーで満たされるため攻撃は必中になり、相手を異物と捉えるため攻撃の起こりが感知できるようになる。

 

 カケルとルカリオが3匹に増えたゴウカザルを捌けたのはコレが理由であり、イジクとジャラランガがルカリオのインファイトを流したのもこの作用が理由である。

 

 もちろんデメリットも大きい。使える時間は5分、これはトレーナーとポケモンのエネルギーが尽きるまでの時間である。

 展開するポケモンが強ければ強いほど使うエネルギーの消費量が上がるのでどんなポケモンが使おうと絶対に5分なのだ……そう、本来ならば。

 

「ワタクシにコレを使わせたのは褒めてやろう……だがここで終わりだ!」

「ヒュオォオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 メガユキメノコへと変化したフィールドが意志を持ってコチラに拳を突き立ててくる。しかしこのままやられるトレーナー達ではない。

 

「ゴウカザルッ!!!」

「ッキャア!!!」

 

 赤い炎を纏ったほのおのパンチで拳を砕く、だが砕かれた側から再生しゴウカザルを鷲掴みにする。

 

「ふん、きずなへんげが解けた猿に勝てるわけなかろう!」

 

 ケセドの言う通りゴウカザルのきずなへんげは解除されていた。

 カケルほどの疲労はないがきずなへんげでフィードバックしたダメージがコウキを蝕んでいる、それこそその姿を維持できないほどに──

 

「今ここで頑張らなきゃ先輩が死んじゃうだろ!そんなことさせるわけにはいかないッ!」

「コウ……キ……!」

「涙ぐましい行動だな、だが無意味だ。この姿となったワタクシ達に弱点などないのだよ!!!」

 

 万事休す……とはならない。

 もしもの時のためにカケルはある一手を打っていた。突如辺りに轟く爆音、気付いた時にはもう遅い。

 

「ヒュおぁ──?」

「なんだと?!」

 

 ズガンッ!!!メガユキメノコの頭部を的確にぶち抜く一筋の雷光、それが出来るのは現状1匹しかいない。

 

「あれは……!先輩のレアコイル!」

 

『レアコイルのひっさつ! ロックオン・テスラブラスター!!!』

 

「ジッジジジッ……!」

 

 そしてすかさず2発目を充填するレアコイル、しかしそれで倒せれば苦労はしないだろう……

 

「ヒュアァアアア!!!」

「ジ……ッ?!」

 

 突如下から突き出してきたアッパーに吹き飛ばされてしまうレアコイル。みてみれば頭が砕けながらも再生し、目がないはずの場所からは見られているという圧を感じる。

 

「どうなっているんだ……?!腕を壊しても頭を砕いてもダメージがない?!」

「これこそが無敵のフィールド展開だ!キサマらはダメージを与えることなく凍り、砕けるのだよ!!!

 

 まさに絶体絶命……いや、この状況を覆すことができる。しかし今この場の状況では出来ることはない、それを裏付けるようにカケルにはあるデジャブが駆け巡っていた。

 それを思い出す事ができればなんとかなる確信がある、だがそれを待ってくれる敵はこの世に存在しない。

 身体を再生成し再び顕現するメガユキメノコ、更に吹き溢れる局所的な吹雪、その全てが死へと誘う道に見える。

 

「やばい……マジで死んじゃうかも……」

(まずいな、リオルは氷の中でチゴラスはドラゴン……この吹雪じゃ動けないだろう……レアコイルはワンパンされてケンタロスはフィールドの外……マジで詰みか……?)

 

 ピシッ…

 

「フハハハ!さぁ!そろそろ終わりにしようではないか!」

 

 ピシッ…ピシッ……

 

 更に吹雪が強くなる、次第に氷柱のように鋭い氷が地面から顔を出し始める、この技は初めて出会った時使われたあの技だろう。

 

「くっ……ここまでなのか……!」

「せめてコウキだけでも……!」

「エリア制圧── 壊界氷戦・鬼おr──」

 

 バキンッ!!!!!

 

「は?」「え?」

「なにっ?!」

 

 突如響き渡る何かが割れた後、そして見たことあるような影が目の前に飛び込んでくる。

 足には輝くエネルギーを携え的確にメガユキメノコをぶち抜く1匹のドラゴン、そしてその隣には同じくラ◯ダーキックのように構え、ケセドを捉えてそのまま蹴り抜くトレーナーが1人──

 

「…イナミーックッ!!!エーンリィイイイイ!!!!!」

「ぐぉおおおぁああああああ??!!!」

 

 腹をぶち抜かんとばかりに速度の乗った蹴りでケセドを吹っ飛ばす、己の展開したフィールドに打ち当たり唸っているがすぐに立ち上がりコチラを睨みつけてくる。

 

「な、何故だ……!何故貴様がここにおるのだ!()()()!!!」

「馬鹿かテメェは、こちとら結晶がある地方に一回戻ってんだぜ?使うに決まってんだろ」

「またしても!またしてもワタクシの邪魔をするというのだなぁ!!!」

「いつでも何処でも新鮮な邪魔をお届けするぜ!もちろん着払いでなぁ!!!」

「誰ですかあの人?!」

「はは……こんなに頼もしい増援はないぜ……!」

 

 そう、飛び込んできたのは不敵な笑みを浮かべてケセドを見据えるイジクであった。

 ケセドはそれが信じられないのか目をパチクリさせながら再びイジクを睨みつける。

 

「そもそもどうやってワタクシのフィールドを……!」

「私がピンチな時に後輩が見せてくれたんでな、先輩なら出来て当然だろ?」

「俺が見せた……?フィールドの相殺効果か…!」

 

 フィールドはフィールドでしか中和出来ない、イジクがしたのはフィールド展開をしながら無理矢理外殻を割る力業を行使したからだ。

 

「そしてケセド、お前は何か勘違いをしているな?」

「……なんだというのだ」

「またしても邪魔をしやがって?はは、なんの冗談だよ」

 

 イジクの右目から橙色の稲妻が走る。そこでケセドとカケルは初めて気付く、イジクが本気でキレていることに……

 

「てめぇこそいつも()()の邪魔をしやがって……いい加減この地方から引けよ、マジで潰すぞ

「ッ……!ワタクシは……ワタクシはまだ引くわけにはいかんのだぁ!!!」

 

 ケセドに呼応してメガユキメノコが動く、しかし忘れてはいけない。

 フィールドはフィールドで相殺できる、今のメガユキメノコはフィールドそのものである故に──

 

「ジャラランガァ!!!」

「ジャッッッラァ!!!

 

 あまりのエネルギーに赤熱化した腕がメガユキメノコの足元を捉える。疲弊してるとはいえほのおタイプのゴウカザルでさえ腕しか破壊できなかった、それをジャラランガは半分以上消し飛ばすことが出来た。

 

「ユキメノコ?!」

「よく見てろよ後輩ども、力の使い方を教えてやる」

「2人ともこちらに!」

「エディ?!よかった……合流してたのか!」

「え?なんで?なんでここにエディさんが?」

 

 イジクと共にフィールドに入ってきたエディに連れられその場から離脱する、いつでも逃げられるようにジャラランガが開けた穴に陣取り様子をみる。

 

「改めていくぜ、モード変更……赫乱星棍ッ!!!

 

 イジクの発現するモードは赫乱星棍(かくらんせいこん)、それは技そのものを強化するものではなくジャラランガを更に強化するものである。

 自分の生命力をエネルギーに変換し、全身が赤熱化するのが特徴のモードだ。

 そしてモードには各々の想いが込められた効果を発揮するように出来ている、イジクの場合は相棒の更なる強化がそのまま想いに表れている。

 

「くッ…まだだ!」

「そうだよなぁ?これからだよなぁ!」

『ヒュオォオオオオオオオオオオッ!!!』

『ジャラジャラジャラジャラジャラァ!!!』

 

 無限に飛んでくる氷の拳を全て叩き割っていくジャラランガ。本来ドラゴンであればこおりは弱点、しかし身体を赤熱化することで実質弱点を克服していた。

 ユキメノコの口から砲撃のようにツララが飛んでくる、それすら手に取り棍の用に振り回して顔に向かって投げ飛ばすが間一髪で避けられてしまう。

 ここでユキメノコは気付く、目の前から燃えた赤龍が消えていることに。

 

「借りるぜ後輩!修羅抜刀・鬼燕ェ!

『ジャラランガのひっさつ! しゅらばっとう・おにつばめ!』

 

 真後ろにいたジャラランガが投げたツララを振り下ろす。

 反応出来ずに真っ二つにされるユキメノコ、その圧倒的な速度と攻撃力に目を見開くしかない3人。

 

「おま…強すぎだろッ……?!」

「これが本気を出したイジクさんの力……!」

「先輩もとんでもないけど……その先輩もなんで強さだ!」

「立て!立つのだユキメノコ!ワタクシ達がここで終わるなんて──」

 

 主人の声を聞きなんとか立ちあがろうとするユキメノコ、しかし身体が言うことを聞かない。

 身体が負けを認めてしまっている、先ほど放った一撃にはフィールドの相殺効果をあえて乗せていない。

 

「ヒゅ──ぉぁ──?」

 

 故に半分に割られ、二つに別れた身体をくっつけることが出来ずにその場にのたうち回っていた。

 

「勝負アリだな……今だったらまだ見逃してやる、この地方から引け」

「負けた……?ワタクシが……ワタクシ達が負けたのか……?!」

 

 ケセドは項垂れ溶けた雪の上へと膝をつく。目の焦点は揺れ、自分が受けた結果に納得できないようでいる。

 そしてそれを凍えるような目で見下すイジク、誰が見てもどちらが勝者なのか明白だった。

 

「まだだ……!せめて動けない雑魚どもだけでも!!!」

 

 主人の意図を汲んでかどうなのか、2つに割れた身体でユキメノコは襲いかかる。しかし──

 

「させるか!」

 

 復活し、姿()()()()()ゴウカザルがユキメノコの身体を完全に燃やし尽くす。

 未だにフィールドへと姿を変えているのだが経てば復活するだろうがそんな時間をイジクは与えないだろう。

 

「はぁ……それがお前の答えかよ。()()がっかりだぜ」

 

 興醒めと言わんばかりにケセドへの興味をなくす。

 悪あがきすら通らなかった哀れな男へと最後の一撃を繰り出す準備は既に整っている。

 

「じゃあなケセド、これで消し飛びな」

 

 ジャラランガが拳を振りかぶる、今までの戦闘で一度も使ってこなかった正真正銘の最終奥義──

 

『ジャラランガの奥義! 熱界臨星・蛇螺乱打(ねっかいりんせい・じゃららんだ)ッ!!!』

 

 壊れかけのフィールドを消し飛ばす様な一撃、しかしケセドの狙いはここにあった。

 

「貴様が間抜けで助かったぞイジク!”みちづれ”!」

「は、てめ―――ッ?!」

 

 ユキメノコは声を上げる間もなく消し飛んだ、しかし消え際に使われた置き土産は余りにも大きすぎる……

 

「じゃらぁ……」

 

 見事にケセドの策略にはまりダウンするジャラランガ。それも通常の技ならいざ知らず返ってきたのは自分自身の最終奥義、通常の効果より余程強力な効果として降りかかってしまった。

 

「今回は引き分けと言ったところだろう……だが次はこうはいかんぞ……!」

 

 いつの間にか手に持っていた結晶を砕きケセドは深い紫霧の中へと消えていく。

 場に残されたのはうなだれて動く気配のないギンガ団のボス、そして動けない4人のトレーナー。

 異変の元凶を倒したはずなのに、その場に流れる空気はとても解決したとは思えないほどの重苦しい異彩を放っていた……

 

To Be Continued.......

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